この記事は、インフルエンサーへの個人依頼(SNSのDMやメールでの直接依頼)を検討している企業の担当者に向けて、手順、金額と相場、企業が負う法律上の義務を整理したものです。工程ごとの手間も仮の数字で計算し、個人依頼を続けるか、プラットフォームやキャスティング会社に切り替えるかを判断できるようにしました。

この記事の要点

  • 個人依頼とは、仲介する会社を通さず、インフルエンサー本人にDMやメールで直接PRを頼む方法です。仲介の費用がかからない代わりに、選定から支払いまでの全工程が自社に残ります。
  • 金額は「フォロワー数×単価」が出発点で、2026年11月時点で確認した公開記事の目安はInstagramで1フォロワーあたり2〜4円前後です。統計ではなく各社の目安です。
  • 手間は仮の数字で計算すると1人あたり約4時間、10人で約42時間になります。手間が増えるのは、承諾してくれる人の何倍もの相手に打診するためです。
  • 企業が自分で確認する法律上の論点は、ステマ規制、フリーランス法、源泉徴収とインボイスの3つです。
  • 本記事の目安では、候補が決まっていて月3人までなら個人依頼、月5人以上を続けるならプラットフォームやキャスティング会社を検討します。

個人依頼の基本と向く場面

インフルエンサーへの個人依頼とは、企業がキャスティング会社やプラットフォームを通さず、インフルエンサー本人にSNSのDMやメールで直接PRを依頼する方法です。直接依頼とも呼ばれます。起用する人数が少なく、頼みたい相手が決まっている場合に向いています。

得られるものと自社に残る作業

個人依頼で得られるものは、仲介する会社に払う費用がかからないことと、相手と直接話せることの2つです。OWNLYの記事やBOXILの記事も、費用を抑えやすい点と、自由度の高さを利点に挙げています。商品への思いを担当者の言葉で伝えられるため、投稿内容の相談もしやすくなります。

その代わり、候補探し、交渉、書面の取り交わし、発送、投稿の確認、支払い、効果測定のすべてが自社の作業になります。BOXILの記事は、ノウハウや人手が足りない企業には勧めない方法だと説明しています。費用が安く見えるのは、社内の作業時間が料金に含まれていないためです。手間の量は後の節で計算します。

個人依頼が向く場面

個人依頼が向くのは、次のような場面です。

  • すでに自社商品を使ってくれている人や、頼みたい人が決まっている
  • 起用は月に数人までで、担当者が相手と丁寧にやり取りできる
  • 地域の店舗など、相手の活動範囲が限られていて、顔の見える関係を作りたい
  • サービスを契約する前に、施策の手応えを小さく確かめたい

事務所に所属している人の窓口

事務所に所属しているインフルエンサーには、事務所を通して依頼するのが基本です。Astreamのギフティング手順の記事も、事務所所属の場合は事務所経由が基本だと説明しています。プロフィールに事務所名や問い合わせ先がないかを、打診の前に確認してください。所属先がある人に本人へ直接連絡すると、やり取りが進まないことがあります。窓口や請求の違いは次の記事で整理しています。

参考記事:インフルエンサーの事務所所属と個人起用の違いと選び方

個人依頼の手順

個人依頼は、目的を決めてから効果を測るまでの8工程で進めます。公開されている解説は5ステップ前後のものが多いのですが、実務では書面、発送、支払いが別の作業になるため、ここでは分けて示します。

工程やること残しておくもの
1. 目的を決める認知、購入などの目的とKPI、予算、人数を決めます施策の概要メモ
2. 候補を探すハッシュタグや競合のPR投稿から候補を探し、反応率と過去の投稿を確認します候補リスト
3. 打診するDMかメールで、依頼内容と条件を伝えます送信日と返信の記録
4. 条件を合意する報酬、投稿本数、期限、二次利用を決め、書面にします発注書または契約書
5. 商品を送る住所を受け取り、商品と案内を発送します発送記録
6. 投稿を確認する事前確認を行い、公開後にPR表記や内容を確かめます投稿URLと画面の保存
7. 支払う請求書を受け取り、期日までに支払います請求書と振込の記録
8. 効果を測るインサイトの数値を共有してもらい、次の選定に活かします結果の一覧

候補探しと確認

候補を探す時は、フォロワー数より、投稿への反応と投稿の内容を先に見ます。トリドリマーケティングのコラムは、エンゲージメント率、世界観やフォロワー層、過去の投稿のモラルやPR表記の3点を確認事項に挙げています。Find Modelの記事は、フォロワーの購入や低いエンゲージメントへの注意を促しています。探し方と見分け方は次の記事に手順があります。

参考記事:インフルエンサーの探し方6手段と候補リストの作り方

参考記事:フェイクフォロワーの見分け方と選定でのチェック手順

DMかメールでの打診

連絡先は、プロフィールにメールアドレスがあればメール、なければDMを使うのが一般的です。最初の連絡には、会社名と担当者名、連絡した理由、依頼内容、投稿媒体と本数、報酬または提供条件、スケジュール、返信期限の7項目を入れます。使い回しの文面が読み飛ばされやすいことはAstreamのギフティング手順の記事でも指摘されているため、「なぜあなたに頼むのか」の一文は相手ごとに書いてください。文例は次の記事にまとめています。

参考記事:インフルエンサーへの依頼文面の書き方とテンプレート例文

合意後の進行

承諾の返事をもらったら、発送や撮影の前に条件を書面にします。そのうえで、投稿期限、ハッシュタグ、メンション、PR表記をまとめて相手に渡します。公開後は投稿URLを受け取り、PR表記の有無を確認してから支払い手続きに進みます。インプレッション、リーチ、エンゲージメントなどの数値は、本人にしか見えない項目があるため、依頼の時点で共有をお願いしておきます。

個人依頼の金額と相場

個人依頼の金額は「フォロワー数×単価」で考えるのが出発点で、公開記事の目安はInstagramで1フォロワーあたり2〜4円前後です。ただし、どれも各社が示す目安であり、調査にもとづく統計ではありません。実際の金額は、ジャンル、投稿の形式、相手の方針で変わります。

公開されている単価の目安

2026年11月4日に確認した、各社の記事に書かれている単価は次のとおりです。記事に料金の出典が書かれていないものは「出典の記載なし」としました。

出どころ単価の目安(1フォロワーあたり)前提記事の日付料金の出典
トリドリマーケティングのコラム2〜4円Instagram2026年10月7日記載なし
Find Modelの記事2〜4円1投稿あたり2026年10月8日更新記載なし
BOXILの記事2〜4円標準的な単価。ナノはより低く、100万人以上は10円を超える場合あり2025年1月23日更新記載なし
Kolrの記事1〜5円程度固定報酬制2025年5月20日記載なし
OWNLYの記事2〜6円程度直接依頼の場合2024年6月1日更新記載なし

この単価を当てはめると、金額の目安は次のようになります。単価を2円と4円にした仮の計算です。

フォロワー数単価2円の場合単価4円の場合
1万人2万円4万円
3万人6万円12万円
10万人20万円40万円

相手から金額を提示された時は、この表に当てはめて高いと判断するより、過去の投稿の反応と依頼する作業の量で考えてください。SNS別、規模別の相場は次の記事で詳しく整理しています。

参考記事:インフルエンサー起用の料金相場【2026年完全ガイド】

単価以外の費用

個人依頼でも、報酬のほかに実費がかかります。見落としやすいのは次の費用です。

  • 商品代と送料、訪問してもらう場合の交通費や宿泊費
  • 投稿の写真や動画を広告や自社サイトで使う場合の二次利用の費用
  • ストーリーズ、ライブ配信、動画制作など、通常の投稿に足す作業の費用(Find Modelの記事でも別途費用の例に挙げられています)
  • 報酬の消費税と振込にかかる費用

商品提供のみで頼める範囲

商品提供のみの依頼は、相手が商品を欲しいと思い、投稿の自由度が高い場合に成り立ちます。トリドリマーケティングのコラムは、フォロワーが数千〜数万人のナノ、マイクロの層なら商品提供のみで受けてもらえることも少なくないとしつつ、商品の魅力と発信の自由度を前提に挙げています。Kolrの記事は、商品提供のみだと意欲が下がるおそれがあると注意しています。

商品提供のみで頼む時は、投稿を義務にせず「気に入っていただけたら」という形にするか、投稿を必須にするなら報酬を付けるかを、最初に決めておきます。Astreamのギフティング手順の記事も、依頼文で投稿が任意かどうかを伝えるよう勧めています。進め方は次の記事にあります。

参考記事:ギフティング施策の進め方と投稿獲得率を上げるコツ

個人依頼にかかる手間の見積もり

個人依頼の手間は、仮の数字で計算すると起用1人あたり約4時間です。公開されている解説の多くは「手間がかかる」と書くだけで、時間までは示していません。社内で判断するために、工程ごとに分けて計算します。

工程別の作業時間

次の表は、担当者が慣れていて、1人あたりのやり取りが順調に進む場合を想定した仮の数字です。実測ではありません。

工程1回の時間(仮の数字)回数の数え方
候補探しと確認20分打診する人ごと
文面の作成と送信10分打診する人ごと
条件の調整40分起用する人ごと
書面の作成と取り交わし30分起用する人ごと
発送と住所の管理20分起用する人ごと
投稿の確認と修正のやり取り30分起用する人ごと
支払いの処理15分起用する人ごと
数値の回収と集計25分起用する人ごと

手間を左右するのは、打診した人のうち何人が受けてくれるかです。株式会社FinTの調査(2022年9月、フォロワー1万人以上の55名)では、毎月届くPR依頼のうち受ける割合が5割未満という回答が約8割でした。調査の人数は少なく時点も古いものの、打診の大半が成立しない前提で考える必要があることは読み取れます。ここでは仮に、3人に打診して1人が受けるとします。

すると、起用1人あたりの時間は、打診側が30分×3人で90分、起用後が160分で、合計250分(約4時間10分)です。

人数別の時間と人件費

同じ前提で、人件費を時給3,000円と仮定すると次のようになります。すべて仮の数字です。

起用する人数打診する人数作業時間人件費(時給3,000円の場合)
1人3人約4.2時間12,500円
3人9人12.5時間37,500円
10人30人約41.7時間125,000円
30人90人125時間375,000円

自社の数字に置き換えてください

表の分数、承諾率、時給は計算の形を示すための仮の数字です。最初の3人を個人依頼で進める時に工程ごとの時間を記録すると、自社の実際の数字で比べられます。

人数が増えた時に起きること

人数が増えると、作業時間の合計だけでなく、抜け漏れの危険も増えます。誰に送ったか、誰が投稿したか、誰に支払ったかがDMとメールに分かれて残るためです。Astreamのギフティング手順の記事も、人数が増えるほど状況が分からなくなるとして、1人1行で管理するよう勧めています。5人を超える頃には、管理表を作るか、やり取りを1か所にまとめる方法を考える時期です。

参考記事:インフルエンサー20人を同時に動かす進行管理と抜け漏れ対策

個人依頼と他の依頼先の比較

依頼先は個人への直接依頼、プラットフォーム、キャスティング会社、事務所の4つで、違いは費用の形と自社に残る作業の量です。料金は公開されているものだけを載せました。多くのキャスティング会社と事務所は見積もりの形で、料金を公開していません。

依頼先探し方費用の形公開されている料金の例自社に残る作業向く場面
個人へ直接依頼自社でSNSを探します報酬と実費会社に払う費用は発生しません。単価の目安は前の節の表をご覧ください全工程相手が決まっていて少人数
Bloom(プラットフォーム)審査済み30,000人に案件を公開して応募を集めます月額+案件の条件による報酬と実費月額30,000円(税別)から。インフルエンサーに現金の報酬を支払う案件は、月額料金とは別にプラットフォーム手数料がかかります(商品提供のみのギフティング案件は対象外)。2026年11月4日時点案件の作成と、起用する人の判断複数人を続けて起用する
その他のプラットフォーム登録者の中から公募やスカウトで集めます月額または案件ごとの料金と報酬トリドリマーケティングの店舗PRプラン 月額5万円(税抜)、通販PRプラン 月額6万円(税抜)。2026年11月2日時点サービスにより異なります費用の見通しを立てて自社で回す
キャスティング会社会社が候補を提案します単価に会社の費用を含む形、または見積もりFind Modelの料金表(Instagram)は1万〜3万人 1.50円〜、3万〜10万人 1.75円〜、10万人以上 2.00円〜(税抜・同社への支払い金額)。2026年11月4日確認企画の確認と承認社内に担当者を置けない、著名な人を起用する
事務所事務所の所属者から選びます見積もり公開なし窓口とのやり取りと確認特定の所属タレントに頼む

株式会社ハーマンドットのサービス

1人ずつDMを送る手間を減らし、起用する人は自社で選ぶ選択肢:Bloom

  • AIで進行を自動化:応募への返信・初稿と投稿のチェック・リマインド・インサイトの回収をAIが代行し、判断が要るものだけ担当者に回します
  • AIがPDCAまで回す:実施結果から効果の高かった投稿を分析し、その分析をもとにインフルエンサーごとに投稿の作成指示・修正指示を出します
  • ASPを丸ごと内蔵:インフルエンサーごとの計測リンクでクリック・購入・売上を人ごとに計測します

個人依頼で担当者が受け持つ返信・投稿の確認・リマインド・数値の回収をAIとASPが受け持つため、社内に残る作業の中心は、案件の作成と起用する人の判断になります。

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費用の形の違い

個人依頼の費用は報酬と実費だけなので、起用が少ないうちは総額が小さく収まります。月額制のプラットフォームは、使わない月にも固定費がかかる一方で、人数が増えても月額が変わらない形があります。キャスティング会社は、作業を任せる分の費用が単価や見積もりに含まれます。同じ施策を型ごとに頼んだ時の総額は、次の記事で前提つきで試算しています。

参考記事:【2026年11月最新】インフルエンサーマーケティングの料金体系を比較|キャスティング手数料と総額の試算

自社に残る作業の違い

比べるべきは料金だけでなく、自社に残る作業です。Find Modelの記事は、プラットフォームでもやり取りや発送は自社対応が基本だと説明しています。プラットフォームの中でも、応募を集めるだけのものと、進行や計測まで受け持つものとでは、残る作業が大きく違います。サービスごとの違いは次の記事で実名で比較しています。

参考記事:【2026年11月最新】インフルエンサーマーケティングプラットフォーム17社を比較|選び方と料金

依頼先を切り替える判断の基準

個人依頼を続けるか切り替えるかは、起用の人数、続ける頻度、社内で使える時間の3つで判断します。次の表は本記事の目安で、統計にもとづく基準ではありません。

自社の状況向く依頼先理由
候補が決まっていて、月3人まで個人依頼仮の計算で月12.5時間ほどで、担当者の手で回せる範囲です
月5人以上を数か月続けるプラットフォーム打診と進行の繰り返しの作業が大きくなるためです
商品提供で多くの人に頼みたい月額定額で採用数に上限のないプラットフォーム人数が増えても固定費が変わらないためです
社内に担当者を置けないキャスティング会社進行を任せられるためです
著名な人や特定のタレントを起用する事務所またはキャスティング会社本人に連絡が届きにくく、条件交渉の窓口が必要なためです

個人依頼のままでよい場合

頼みたい人が数人に絞れていて、毎月は実施しないなら、個人依頼のままで問題ありません。月額の固定費がかからないうえ、担当者と相手の関係も残ります。この場合は、書面の型と管理表を一度作れば、次回からの手間を減らせます。

サービスを使う場合

打診に使う時間が増えてきた時、返信が少なく候補を探し続けている時、支払いや書面の処理が担当者の負担になっている時は、サービスを検討する時期です。プラットフォームは応募してきた人から選べるため、打診の繰り返しを減らせます。キャスティング会社との違いは次の記事が参考になります。

参考記事:インフルエンサーキャスティングとは?会社とプラットフォームの違い|手数料・費用・期間を比較

小さく試して切り替える順序

最初から決めきれない時は、3段階で進めます。まず3人を個人依頼で進めて工程ごとの時間を記録します。次に、その時間と人件費を人数に掛けて、続けた場合の社内の負担を出します。最後に、その負担をプラットフォームの月額やキャスティング会社の見積もりと並べて判断します。内製と外注の分担を整理したい場合は、次の記事もご覧ください。

参考記事:インフルエンサーマーケティングの内製化と代理店のメリット・デメリット|費用・工数の試算と選び方

Bloomで個人依頼の手間を減らす方法

Bloomは、個人依頼で自社が受け持つ作業のうち、候補集め、進行、計測、支払いを1つにまとめられるプラットフォームです。本メディアを運営する株式会社ハーマンドットのサービスのため、合わない企業もあわせて書きます。

置き換えられる工程

個人依頼の工程とBloomでの扱いを並べると、次のようになります。

個人依頼の工程Bloomでの扱い
候補探しと打診審査済みの30,000人に案件を公開し、応募してきた人から選びます
返信とリマインド応募への返信とリマインドをAIが代行します。案件ごとにオン・オフを切り替えられます
投稿の確認初稿と投稿のチェックをAIが代行し、判断が要るものだけ担当者に回します
数値の回収と効果測定インサイトの回収をAIが代行し、人ごとの計測リンクでクリック、購入、売上を計測します
次の投稿の改善効果の高かった投稿をAIが分析し、インフルエンサーごとに投稿の作成や修正の指示を出します
支払いインフルエンサーへの報酬はBloomがまとめて支払います。インボイスにも対応しています
自社に残る作業案件の作成と、起用する人の判断です

料金

Bloomの料金は月額30,000円(税別)からで、初期費用は0円です(2026年11月4日時点)。採用数は無制限で、商品提供なら月額だけで何人でも起用できます。インフルエンサーに現金の報酬を支払う案件は、月額料金とは別にプラットフォーム手数料がかかります(商品提供のみのギフティング案件は対象外)。写真や動画の二次利用は無料です。詳しくはBloomの料金をご覧ください。

Bloomが合わない企業

次の企業には、Bloomは合いません。

  • 頼みたい相手が1人に決まっている企業:本人か事務所に直接連絡するほうが早く進みます
  • 企画から投稿まですべて任せたい企業:Bloomでは案件の作成と起用する人の承認を自社で行います。キャスティング会社のほうが目的に合います
  • 1案件だけ単発で試したい企業:最低契約期間が3ヶ月で、3ヶ月プランは3ヶ月分150,000円(税別)を一括で支払います
  • 起用した人と直接の取引に移りたい企業:Bloom経由で知り合ったインフルエンサーと、Bloomを介さずに直接契約することは利用規約で禁止しています

なお、Bloomを使っても、広告主としてのPR表記の責任がなくなるわけではありません。次の節の内容は、どの依頼先を選ぶ場合にも関係します。

個人依頼で企業が負う法律上の義務

個人依頼で企業が確認する法律上の論点は、景品表示法のステマ規制、フリーランス法、源泉徴収とインボイスの3つです。仲介する会社がいないため、確認の担当者は自社の中に置くことになります。以下は2026年11月4日時点で確認した公的機関の情報にもとづく整理で、個別の取引については専門家に確認してください。

ステマ規制

ステマ規制の対象は、インフルエンサーではなく依頼した企業です。消費者庁のステルスマーケティング規制のページによると、規制は令和5年10月1日に始まり、規制の対象は商品やサービスを供給する事業者(広告主)で、依頼を受けた第三者は対象になりません。

消費者庁のQ&Aでは、個別に投稿を依頼して報酬を渡す場合は、投稿内容を指定しなくても事業者の表示に当たる可能性が高いとされています(Q19)。商品の無償提供だけなら、投稿者の自主的な意思による表示は事業者の表示に当たりませんが、提供の目的ややり取りの内容などから自主的と認められない場合もあります(Q5、Q17)。表示の文言は「広告」「宣伝」「プロモーション」「PR」などで、ツリーへの記載は明瞭とはいえない場合が多く(Q14)、動画は冒頭だけでなく全体を通じて明瞭にするのが望ましいとされています(Q15)。

参考記事:ステマ規制とは?景表法対応と#PR表記の実務ガイド

フリーランス法

個人のインフルエンサーに業務を委託する企業には、フリーランス法の義務がかかります。公正取引委員会のQ&Aによると、法律は令和6年11月1日に施行され、「従業員を使用」とは週の所定労働時間が20時間以上で、31日以上の雇用が見込まれる労働者を雇うことを指します。スタッツ株式会社の解説(2026年10月時点の確認)も、従業員を使わない個人と代表者1人だけの法人が対象で、会社員の副業も含まれると整理しています。事務所との契約は扱いが変わるため、相手が誰と契約するのかを確かめてください。

確認する点内容
取引条件の明示業務を委託したら直ちに、当事者の名称、委託日、内容、期日、場所、報酬の額と支払期日などを、書面または電磁的方法で示します
報酬の支払期日従業員のいる発注者は、給付を受け取った日から60日以内のできる限り短い期間で定めます
1か月以上の委託報酬の減額など、定められた禁止行為が加わります
6か月以上の委託解除や更新しない場合の30日前の予告と、求めに応じた理由の開示が加わります

DMだけで依頼する場合も、条件を示す義務はなくなりません。契約書でなくても、条件を一覧にしたメッセージやPDFを送り、相手の承諾を残しておきます。詳しくは次の記事で整理しています。

参考記事:フリーランス法の発注者義務とインフルエンサー発注の実務

源泉徴収とインボイス

源泉徴収の要否は、依頼する作業の中身で決まります。源泉徴収が必要な報酬は国税庁のタックスアンサー No.2792に列挙されており、原稿料やデザイン料、モデルの報酬、テレビ出演などの芸能の報酬が含まれます。自分のアカウントに投稿してもらうだけの報酬は不要と整理されるのが一般的ですが、写真を広告に使う、原稿を納品してもらうなど中身が変わると判断も変わります。税額は、100万円以下の部分が10.21%、超える部分が20.42%で計算します(計算式の例は同じく国税庁のNo.2798)。

消費税については、相手が適格請求書発行事業者かどうかで、自社の仕入税額控除が変わります。相手に登録番号があるかを発注前に確認してください。判断は顧問税理士と相談して決めます。

参考記事:インフルエンサー報酬の源泉徴収とインボイス対応の実務

書面に残す項目と行き違いの防ぎ方

個人依頼の行き違いは、投稿の前に条件を書面にそろえて防ぎます。Find Modelのスカウトの記事は、企業とインスタグラマーは対等な業務委託の関係だとしたうえで、条件の明文化を勧めています。

書面に入れる項目

発注書や契約書には、少なくとも次の項目を入れます。

項目決めること決めないと起きること
依頼する作業媒体、形式、本数ストーリーズの追加などで認識が食い違います
期限事前確認の日と投稿日キャンペーンの開始に間に合わなくなります
PR表記文言、位置、タイアップラベルの使用表記が漏れ、企業の責任が問われるおそれがあります
修正回数と、修正を求められる範囲修正の依頼が相手の負担になり、関係が悪くなります
報酬と支払い税込か税抜か、請求書の有無、支払期日金額の認識違いや支払いの遅れにつながります
掲載期間投稿を残す期間と削除の扱いすぐに削除される、または削除を求められます
二次利用使う媒体、期間、費用無断利用と受け取られます
競合他社案件を制限するかどうか、その範囲同じ時期に競合のPR投稿が出ます
投稿されない場合商品の返却や報酬の扱い対応の根拠がなくなります

DMの「よろしくお願いします」だけで進めない

DMの流れのまま進めると、合意した内容をあとから確かめにくくなります。条件を1つのメッセージかPDFにまとめて送り、承諾の返事をもらってから発送してください。

参考記事:インフルエンサー契約書の作り方と必須チェック項目

投稿内容の確認の加減

投稿の確認は、事実と表記を中心に行い、表現は相手に任せます。Find Modelのスカウトの記事は、投稿日程、撮影角度、ロゴ位置などを細かく指示しすぎないよう勧めています。一方で、薬機法などに関わる言い回しやPR表記は、企業の責任で確認が必要です。確認する範囲を「事実、法令、表記」に絞ると、相手の持ち味を残しながら必要な確認ができます。

二次利用と個人情報

投稿の写真や動画を広告や自社サイトで使う場合は、事前に許諾を取ります。トリドリマーケティングのコラムは、著作権はインフルエンサー本人にあり、無断で使うと権利の侵害になると説明しています。人物が写っていれば肖像の問題もあるため、媒体と期間を書面に入れてください。

参考記事:インフルエンサー投稿の肖像権・著作権対応と二次利用の範囲

個人依頼では、相手の住所、氏名、振込先を自社で預かることになります。Astreamのギフティング手順の記事も、住所や氏名の保管方法と削除の時期を社内で決めておくよう勧めています。保管する場所、見られる人、削除の時期を決めてから受け取ってください。

依頼前のチェックリストと返信が来ない時の見直し

依頼の前に確認する項目は次の10個で、返信が来ない時は相手の選び方と文面の条件を見直します。

依頼前のチェックリスト

  • 施策の目的とKPI、予算、人数が決まっている
  • 候補の反応率、過去の投稿、PR表記の習慣を確認した
  • 事務所に所属していないことを確認した
  • 報酬または提供条件を決めた
  • 単価以外の実費と二次利用の費用を見込んだ
  • 最初の連絡に7項目が入っている
  • 書面の型を用意した
  • PR表記の文言と位置を案内できる
  • 支払期日、請求書、源泉徴収、インボイスの確認先を決めた
  • 住所など個人情報の保管と削除の方法を決めた

返信が来ない時の見直し

返信が来ない原因は、Astreamの依頼DMの記事によると、一斉送信や定型文、報酬や条件の不明瞭さ、相手にとっての利点の不足、投稿の制約の厳しさです。また、株式会社FinTの調査(2022年9月・55名)では、依頼を受ける条件として「好きなブランドや商材」を挙げた人が84%でした。相手の普段の投稿と商材が合っていない場合は、文面を直しても返信は増えにくいと考えられます。

再度の連絡は、Astreamの記事にあるとおり、短いものを1回までにとどめます。それでも返信がなければ、別の候補に進んでください。数を増やしても返信が増えない時は、個人依頼そのものを見直す時期です。応募を待つ形のプラットフォームなら、打診を繰り返さずに候補を集められます。比較はBloomの料金と、次の記事から確かめられます。

参考記事:【2026年11月最新】インフルエンサーマーケティングプラットフォーム17社を比較|選び方と料金

本メディアは、審査制インフルエンサー30,000人のマッチングプラットフォーム『Bloom』(株式会社ハーマンドット)が運営しています。