インフルエンサーに依頼する方法は、大きく「キャスティング会社型」と「プラットフォーム型」の2種類に分かれます。費用・スピード・品質・向いているフェーズが全く違うので、自社の状況に合った選択が重要です。この記事では両者を比較し、判断フローまで提供します。
キャスティング会社とは
キャスティング会社(または広告代理店のインフルエンサー部門)は、「担当者が付いて、インフルエンサーの選定・交渉・ディレクションを代行」する業態です。電通・博報堂などの大手から、インフルエンサー専業の中小企業まで幅広く存在します。
典型的な流れ
- 企業がブリーフを提出 → 担当者がヒアリング
- 候補インフルエンサー5〜10人を提案
- 企業が絞り込み → 担当者が交渉・見積もり取得
- 契約・撮影・投稿・レポーティングまで一気通貫
特徴
- 人の手が介在するのでコミュニケーションが手厚い
- クリエイティブディレクションまでやってくれる
- ただし手数料が30〜50%と高い
- 提案から投稿まで1〜2ヶ月かかるのが一般的
プラットフォーム型とは
プラットフォーム型は、「企業が自社でオンライン画面から直接インフルエンサーを検索・発注する」セルフサービス方式です。Bloom、WINK、CreatorPro、FindModel、Casting Asia などが代表例。
典型的な流れ
- 企業がプラットフォームに登録(無料が多い)
- 条件(フォロワー数、ジャンル、単価等)で検索
- 気になる候補に直接オファー送信
- インフルエンサーが承諾 → 契約・納品・支払い
特徴
- 手数料が10〜20%と安い
- 最短数日で投稿まで進められる
- 自社で選定・交渉・管理をする必要がある
- 小規模な発注から始めやすい
7項目で徹底比較
| 比較項目 | キャスティング会社 | プラットフォーム型 |
|---|---|---|
| 手数料率 | 30〜50% | 10〜20% |
| 最低発注額 | 30万円〜 | 5万円〜 |
| 提案〜投稿までの期間 | 1〜2ヶ月 | 数日〜2週間 |
| 自社の工数 | 少ない(ブリーフのみ) | 中(選定・やり取り必要) |
| 選定の自由度 | 担当者の提案に依存 | 自社で自由に検索 |
| クリエイティブ品質 | 高(ディレクター介在) | インフルエンサーに依存 |
| 大規模キャンペーン対応 | ◎(CM連動も可) | △(分散発注向き) |
キャスティング会社に向いているケース
1. 大規模キャンペーン(予算500万円以上)
TVCMやOOH広告と連動させて、トップインフルエンサー複数人を同時起用したい場合。ディレクション、撮影、編集、レポートまで一気通貫でやってくれるのはキャスティング会社の強みです。
2. インフルエンサー施策が初めてで、工数をかけられない
社内にマーケ担当者が1人しかいない中小企業で、「失敗したくない、プロに任せたい」というケース。手数料は高いですが、初回の失敗コストを考えると妥当な投資です。
3. クリエイティブの品質を担保したい
ブランドイメージを崩したくない高級商材(時計、ハイブランド、富裕層向けサービス)の場合、経験豊富なディレクターがいるキャスティング会社の方が安全です。
プラットフォームに向いているケース
1. 予算50〜300万円の中規模施策
マイクロ〜ミドル層を5〜20人起用して分散型で回したい場合、プラットフォームが圧倒的に効率的。キャスティング会社だと最低発注額の時点で選択肢に入らないケースも。
2. スピード重視(2週間以内に実施したい)
新商品ローンチ、キャンペーン連動、季節商戦など、時間軸が短い施策。プラットフォームなら数日でオファー → 1週間で契約 → 2週間で投稿というタイムラインが可能。
3. PDCAを高速で回したい
「今回効いたインフルエンサーにもう1回依頼」「今回失敗したパターンを除外」を短サイクルで繰り返したい場合。自社でダイレクトに管理できるプラットフォームが向きます。
4. ニッチジャンル(サブカル、BtoB、地方)
キャスティング会社の専属ネットワークは、有名どころに偏っています。ニッチなジャンルのインフルエンサーは、プラットフォームで自社検索した方が見つかりやすいです。
代表的なキャスティング会社5選
国内の主要キャスティング会社の特徴をまとめました。選定時の参考にしてください(2026年4月時点)。
1. サイバー・バズ
上場企業傘下で、登録インフルエンサー数3万人超。大手ナショナルクライアント多数。最低発注は300万円前後〜、TVCM連動案件が多い。メガ・マクロ層に強い。
2. LMND(レモネード)
美容・ライフスタイル系に特化したキャスティング会社。化粧品メーカーの起用実績が豊富。女性ミドル層インフルエンサーのネットワークが強み。
3. Find Model(ファインドモデル)
ソーシャルワイヤー社運営。プラットフォーム+キャスティング両方の機能を持つハイブリッド型。登録2.5万人、中規模案件(50〜300万円)の対応力が高い。
4. 3MINUTE
若年女性向けに特化。動画制作スタジオを自社保有しているため、リール・TikTok動画の制作品質が高い。ファッション・美容系ブランド案件が多い。
5. BitStar
YouTuber/動画系クリエイターに特化。ゲーム系、ビジネス系、エンタメ系の長尺動画施策に強い。プロダクションとキャスティングの両機能を持つ。
代表的なプラットフォーム型サービス5選
プラットフォーム型を検討する際の主要サービスも紹介します。
1. Bloom(ブルーム)
株式会社ハーマンドット運営。中小企業・スタートアップ向けに特化。手数料10%、最低5万円〜。マイクロ〜ナノ層が中心で、初期費用0円・登録3分で始められる。
2. toridori marketing(トリドリマーケティング)
業界最大級の登録者数(約3万人)を誇る老舗プラットフォーム。月額固定費+成果報酬型の料金体系。マッチング自動化機能が充実。
3. CastingAsia(キャスティングアジア)
東南アジア含むアジア圏のインフルエンサーネットワークに強い。越境EC・インバウンド施策で選ばれる。日本人インフルエンサーの登録も多数。
4. Winsta(ウィンスタ)
Instagramに特化したプラットフォーム。フォロワー属性分析機能が充実し、ターゲット一致度での絞り込みが可能。美容・アパレル領域で定評。
5. expaus(エクスパウス)
TikTok・YouTube Shortsに特化。短尺動画クリエイターのネットワークが強み。Z世代向け商材のマッチングに強い。
実際の運用ワークフロー比較
両者を選んだ場合、実際にどんな作業が発生するのか、1施策あたりのフローを時系列で比較します。
キャスティング会社経由(施策開始〜投稿完了まで約45日)
| フェーズ | 期間 | 企業側の作業 |
|---|---|---|
| ブリーフ提出 | 1〜2日 | 商品資料・KPI・予算を1枚にまとめて送付 |
| 提案受領 | 5〜7日 | 提案書レビュー、候補5〜10人から絞り込み |
| キックオフMTG | 1日 | 60〜90分のMTG、クリエイティブ方針確認 |
| 見積もり確定 | 3〜5日 | 契約書レビュー、稟議 |
| 撮影・制作 | 10〜14日 | 撮影立ち会い(任意)、初稿レビュー、修正指示 |
| 校正・投稿 | 3〜5日 | 最終承認、投稿タイミング調整 |
| レポート受領 | 14日後 | レポートレビュー、次回施策検討MTG |
企業側の実作業時間は、合計15〜20時間程度。担当者の負担が少ないのが特徴です。
プラットフォーム経由(施策開始〜投稿完了まで約14日)
| フェーズ | 期間 | 企業側の作業 |
|---|---|---|
| 登録・検索 | 1日 | プラットフォーム登録、条件で絞り込み |
| 候補への一括オファー | 1日 | 5〜10人にメッセージ送信、条件提示 |
| 承諾・交渉 | 2〜3日 | 個別にDMでやり取り、細部調整 |
| 契約・発注 | 1〜2日 | プラットフォーム内で契約書発行・決済 |
| 制作・確認 | 5〜7日 | 初稿レビュー、修正指示(インフル人数分) |
| 投稿・レポート取得 | 2日 | 投稿確認、各自のインサイトをまとめる |
企業側の実作業時間は、合計25〜40時間程度(5人発注時)。スピードが速い代わりに、担当者の手間は増えます。
トラブル時の対応力の違い
意外と見落とされがちなのが「トラブルが起きたときにどう動くか」。
キャスティング会社経由の場合
- 炎上時:代理店が窓口対応、謝罪文作成、関係者調整まで代行
- 納期遅延:代理店が代替インフルエンサーを提案
- 成果物が期待未満:代理店が修正指示を代行、追加撮影も調整
- インフルエンサーの離脱:代理店が代わりを手配
「保険料込みの料金」と考えると、手数料30〜50%の妥当性が見えてきます。
プラットフォーム経由の場合
- 炎上時:自社で状況判断・対応、プラットフォームは一部サポートのみ
- 納期遅延:個別にインフルエンサーと交渉、最悪は契約解除
- 成果物が期待未満:自社で修正指示、追加費用の可能性も
- インフルエンサーの離脱:自社でリカバリー、別のインフルエンサーに再発注
リスク管理は自社責任。コスト削減の代償として、担当者にはそれなりのスキルが要求されます。
判断フローチャート
以下の順番で質問に答えていくと、自社に合う発注先が分かります。
Q1:予算は500万円以上ですか?
→ Yes:キャスティング会社を推奨(スケールメリット・ディレクション品質)
→ No:Q2へ
Q2:社内のマーケ担当者は専任で2名以上いますか?
→ No(1名以下):キャスティング会社またはプラットフォーム+軽量ディレクション
→ Yes:Q3へ
Q3:投稿まで2週間以内に進めたいですか?
→ Yes:プラットフォーム一択
→ No:Q4へ
Q4:商材は超高級ブランド or 炎上リスク高め(医療系、金融系)ですか?
→ Yes:キャスティング会社(リスク管理重視)
→ No:プラットフォーム推奨
ハイブリッド運用という第3の道
最近は「柱の施策はキャスティング会社、量産はプラットフォーム」のハイブリッド運用も増えています。
- 大型の話題化施策(TVCM連動など)→ キャスティング会社
- 継続的なUGC創出、マイクロ分散 → プラットフォーム
予算規模が月300万円を超える企業は、このハイブリッド型がコストとスケールのバランスで最適になる傾向があります。
発注先が決まったら、次は選定ポイントと料金相場をもう一度チェック。プラットフォーム型で「自社運用 vs 代理店委託」を検討する場合はこちらの比較記事もどうぞ。