非常食や保存水、携帯トイレ、ポータブル電源といった防災用品は、多くの人が必要性を感じながらも購入を後回しにしがちな商材です。災害の怖さを強調すれば一時的に注目は集まりますが、反発や炎上を招きやすく、継続的な購入にはつながりにくいのが実情です。この記事では、防災用品のインフルエンサー活用について、備蓄の現状データ、商材カテゴリ別の訴求、不安を煽らない表現設計、家族単位の訴求と発信者の選び方、防災グッズの選び方を伝える投稿の作り方、防災の日など時期需要からの逆算、景品表示法やステマ規制の注意点、成果指標までを2026年10月時点の実務目線で整理しました。

この記事の要点

  • 防災用品のインフルエンサー活用は、恐怖で買わせるのではなく「家族の暮らしに合った備え方」を見せて、備蓄を日常の習慣にしてもらう啓発型の設計が基本です。
  • 内閣府の世論調査(2025年10月発表)では、3日分以上を備蓄している人は飲料水69.8%・食料59.7%に対し、携帯トイレ・簡易トイレは27.5%にとどまり、品目ごとの備えの差が訴求の余地になります。
  • 保存食・水、携帯トイレ、ライト・電源、持ち出し袋など、商材ごとに「使ってみせる場面」と向いている発信者が異なります。
  • 依頼は防災の日(9月1日)や防災週間、台風シーズン、年度替わりなどの時期から2〜3か月さかのぼって進め、災害発生直後の投稿は止める運用を決めておきます。
  • 性能や安全性の断定表現は景品表示法の優良誤認につながるおそれがあるため、体験の範囲で伝える表現ルールと#PR表記を依頼時に共有します。

防災用品のインフルエンサー活用とは

防災用品のインフルエンサー活用とは、非常食や保存水、携帯トイレ、ポータブル電源、防災リュックなどの防災用品・備蓄品を、生活者に近い発信者に実際に使ってもらい、「わが家ではこう備えている」という形で備え方を伝えてもらう施策のことです。防災用品は必要性を理解していても購入が後回しになりやすい商材のため、商品の性能を並べるよりも、家庭での備え方や日常での使い方を見せて行動のハードルを下げる設計が成果を左右します。

防災用品が「後回しにされる商材」である理由

防災用品は、買わなくても今日の生活に困らないため、多くの家庭で「いつか買おう」と後回しにされやすい商材です。さらに、何をどれだけそろえればよいかが分かりにくく、収納場所や賞味期限の管理といった手間も、購入をためらう理由になります。インフルエンサーの投稿は、こうした「分からない」「面倒そう」という心理的な壁を、身近な生活者の実例で取り除く役割を担います。

家電レビューや社会貢献発信との役割の違い

防災用品の施策は、家電のレビュー施策とも、企業の社会貢献を伝える発信とも目的が異なります。ポータブル電源やラジオのように家電に近い商品もありますが、スペック比較や忖度のないレビューを中心にする施策の進め方は家電・ガジェットのインフルエンサーレビュー依頼と施策設計で解説しています。また、防災支援や地域貢献など企業姿勢を伝える発信はSDGs・ESGの企業発信をSNSとインフルエンサーで届ける方法が扱う領域です。本記事では、生活者に備えの行動を起こしてもらう「啓発型の販促」に焦点を当てて整理します。

啓発と販売を両立させる考え方

防災用品の施策では、啓発と販売を対立させず、「備えの必要性を伝える投稿」と「具体的な商品の選び方を伝える投稿」を組み合わせて設計します。啓発だけでは商品が選ばれず、販売だけを前面に出すと不安を利用しているように受け取られるおそれがあります。最初に備えの全体像を見せ、その中で自社商品がどの役割を果たすかを伝える流れにすると、押し付けがましさを抑えながら購入につなげられます。

備蓄の現状と防災用品市場の課題

家庭の備蓄は品目によって大きな差があり、水や食料に比べてトイレや熱源などの備えが遅れているのが現状です。この「備えの偏り」こそが、防災用品メーカーや小売にとっての訴求の余地になります。

公的データに見る家庭の備蓄状況

2025年10月17日に報じられた内閣府の世論調査の結果によると、3日分以上を家庭に備蓄していると答えた人の割合は、飲料水が69.8%、食料が59.7%でした。一方で、トイレットペーパーやマスクなどの衛生用品は38.7%、携帯トイレ・簡易トイレとカセットボンベなどの調理用の熱源はいずれも27.5%にとどまっています。2026年10月時点で公表されている最新の傾向としても、水と食料は備えが進む一方、トイレや熱源は半数を大きく下回る状態だと読み取れます。

備蓄品目(3日分以上)備蓄している人の割合訴求の方向性
飲料水69.8%量の目安と入れ替え方法の見直し
食料59.7%ローリングストックでの継続と味の満足度
衛生用品38.7%日用品の買い置きの延長として提案
携帯トイレ・簡易トイレ27.5%必要性の理解と使い方の実演
調理用の熱源27.5%停電時の調理体験と安全な使い方

出典は内閣府の世論調査結果を伝えた報道(2025年10月)です。最新の数値は、内閣府政府広報室の世論調査ページで確認してください。

推奨される備蓄量と生活者の認識のずれ

首相官邸の「災害に対するご家庭での備え」では、食料や飲料水などを最低3日分、大規模災害に備えてできれば1週間分備蓄することが推奨されています。しかし、生活者の多くは「水と非常食があれば十分」と考えがちで、トイレや明かり、情報を得る手段、常備薬など、生活を続けるための備えまでは意識が向いていません。インフルエンサーには、この認識のずれを「わが家で足りなかったもの」として、実体験の言葉で埋めてもらうことが有効です。

防災用品のマーケティングが抱える3つの課題

防災用品のマーケティングには、需要が災害報道の直後に偏る、買ったまま使われず買い替えが起きにくい、不安を強く訴えるほど反発を招きやすいという3つの課題があります。災害の直後には一時的に需要が急増しますが、時間がたつと関心は急速に薄れます。インフルエンサー施策は、平時に継続的な接点をつくり、需要の波をならす手段として位置づけると効果を発揮しやすくなります。

商材カテゴリ別の訴求ポイント

防災用品は、「食料・水」「トイレ・衛生用品」「明かり・電源・情報」「持ち出し袋・避難用品」「住まいの安全対策」の5つに分けると、訴求の型を整理しやすくなります。カテゴリによって、投稿で見せるべき場面と相性の良い発信者が変わります。

保存食・保存水と携帯トイレ

保存食や保存水は、「実際に食べてみた」「家族の反応はどうだったか」を見せる投稿が最も効果的です。災害時でも普段に近い食事がとれる安心感や、子どもや高齢の家族が食べやすいかどうかは、試食の様子で初めて伝わります。携帯トイレは使う場面を想像しにくいため、自宅のトイレで実際に設置して使い方を確認する手順や、1人1日あたりの使用回数から必要な数を計算する過程を見せてもらうと、必要性が具体的に伝わります。

明かり・電源・情報機器

ライトやランタン、ポータブル電源、手回しラジオなどは、停電を想定した「おうち停電体験」の投稿と相性が良好です。夜にブレーカーを落としたつもりで過ごし、どの明かりがどこで役立ったか、スマートフォンの充電はどれくらいもったかを記録してもらうと、使用場面が具体的に伝わります。家電に近い商材のため、スペックの説明だけに偏らず、家族の生活がどう維持できたかを中心に語ってもらうのがポイントです。

防災リュック・住まいの安全対策

防災リュックなどの持ち出し袋は、中身を広げて見せる投稿や、家族構成に合わせて中身を入れ替える投稿が保存されやすい傾向にあります。家具の転倒防止器具やガラス飛散防止フィルムなど住まいの安全対策用品は、取り付け前後の様子と作業の手順を見せることで、自分でも取り付けられそうだと感じてもらえます。

商材カテゴリ主な訴求ポイント見せるべき場面相性の良い発信者
保存食・保存水味、食べやすさ、入れ替えのしやすさ家族での試食、ローリングストックの棚料理・暮らし系、子育て系
携帯トイレ・衛生用品必要数の目安、使い方の簡単さ自宅での設置手順、必要数の計算暮らし系、子育て系
明かり・電源・情報機器停電時に生活を保てることおうち停電体験、充電の検証ガジェット系、アウトドア系
防災リュック・持ち出し袋家族に合わせた中身、持ち運びやすさ中身の紹介、背負って歩く様子子育て系、シニア向け発信者
住まいの安全対策用品取り付けの手軽さ、賃貸での使いやすさ取り付け前後、作業の手順インテリア・DIY系

不安を煽らない表現設計

防災用品の投稿は、恐怖ではなく「備えると安心して暮らせる」という前向きな動機で行動を促す表現にするのが原則です。災害の被害を強調しすぎる投稿は、見る人によってはつらい記憶を呼び起こし、ブランドへの反発や炎上の原因にもなります。

恐怖訴求が逆効果になりやすい理由

「次の大地震で命を守れますか」といった強い恐怖訴求は、注目を集める一方で、見る人に無力感を与えて行動を止めてしまうことがあります。また、被災した経験のある人や、大切な人を災害で亡くした人にとっては、心理的な負担になりかねません。インフルエンサーの投稿は友人の発信に近い距離感で届くため、広告以上に言葉選びへの配慮が求められます。

行動を後押しする前向きな言い換え

不安を煽らない表現にするには、「怖いから買う」ではなく「できることから始める」「普段の暮らしの延長で備える」という言い方に置き換えます。たとえば、「何もしていないと危険です」ではなく「まずは水と携帯トイレから見直しました」と、自分が取った具体的な行動を伝えてもらいます。完璧な備えを求めず、小さな一歩を示すことが、見る人の行動につながりやすくなります。

避けたい表現言い換えの例理由
これがないと命を守れませんわが家ではまずこれから備えました恐怖ではなく行動の例を示します
次の大地震は必ず来ますいつ起きても慌てないように見直しました予言や断定を避けます
これ1つで防災は完璧ですわが家の備えの一部として使っています過大な効果の印象を与えません
今すぐ買わないと手遅れです普段の買い物のついでにそろえています過度な購買の圧力をかけません

災害発生時の投稿停止ルール

大きな災害が発生したときは、予定していた防災用品のPR投稿を一時停止する運用を、契約時に決めておく必要があります。被災地の状況が報じられている最中に販促色の強い投稿が流れると、災害に便乗していると受け取られるおそれがあるためです。2024年8月8日に気象庁が南海トラフ地震臨時情報(巨大地震注意)を初めて発表した際には、保存水などの需要が急増し、店頭で品薄が起きたと報じられました。こうした局面では、購入をあおる投稿ではなく、すでにある備えを確認する呼びかけに切り替えるのが望ましい対応です。停止と再開の判断基準、炎上時の初動はインフルエンサー施策の炎上対策と発生時の初動対応もあわせて確認してください。

災害発生時に備えて契約で決めておくこと

  • どの規模の災害が起きたら予定投稿を延期するか、判断する担当者を決めておきます。
  • 延期した場合の投稿日の再調整方法と、報酬の扱いを事前に合意しておきます。
  • すでに公開済みの投稿について、広告配信や再掲を止めるかどうかの基準を決めておきます。
  • 発信者自身が被災した場合は、投稿よりも本人の安全を優先することを伝えておきます。

家族単位の訴求とインフルエンサーの選び方

防災用品の施策では、個人ではなく「家族単位」で備え方を見せられる発信者を選ぶことが成果の分かれ目になります。必要な備えは家族構成によって大きく変わるため、見る人が自分の家族に置き換えて考えられる発信が、購入の決め手になります。

家族構成ごとに異なる備えのポイント

乳幼児のいる家庭では、ミルクや離乳食、おむつ、おしりふきなど、一般的な防災セットには入っていない備えが必要です。高齢の家族がいる家庭では、常備薬や入れ歯の手入れ用品、やわらかい保存食、歩きやすさを考えた持ち出し袋の重さが課題になります。ペットのいる家庭では、フードや水、トイレ用品、避難時のケージなどの備えが欠かせません。一人暮らしの場合は、限られた収納に収まる量と、自分だけで判断して動くための情報の備えが中心です。

家族構成特に必要な備え向いている発信者投稿で見せたい場面
乳幼児のいる家庭ミルク、離乳食、おむつ、抱っこひも子育て系、ママ・パパ発信者子どもと一緒の避難の練習
小学生のいる家庭家族の連絡方法、子ども用の持ち出し袋子育て系、教育系親子での防災会議や備えの点検
高齢の家族がいる家庭常備薬、やわらかい食事、軽い持ち出し袋シニア・ミドル層の発信者実家の備えを一緒に見直す様子
ペットのいる家庭フード、水、トイレ用品、ケージペット系同行避難の準備と練習
一人暮らし省スペースの備蓄、情報収集の手段暮らし系、ミニマリスト系小さな部屋での収納の工夫

子育て世帯の発信者を起用する際の配慮

子育て世帯の発信者は、防災用品の訴求で最も反応を得やすい層の一つですが、子どもが登場する投稿には特別な配慮が必要です。子どもの顔や通っている学校、自宅の場所が特定される情報が映らないよう、撮影の範囲を事前に取り決めておきます。避難の練習などで子どもを撮影する場合も、危険な場所での撮影は避けてもらいます。子育て層の発信者の選び方と依頼時の注意点はママインフルエンサー起用の選び方と費用・依頼の配慮点で詳しく解説しています。

選定で確認したい3つのポイント

防災用品の発信者を選ぶときは、「日常の暮らしを継続的に発信しているか」「過去の災害関連の発信が誠実か」「防災の専門家のように振る舞いすぎていないか」の3点を確認します。普段から収納や料理、子育ての様子を発信している人であれば、備えを生活の一部として自然に見せられます。過去に災害を話題にした投稿があれば、その言葉選びから、不安を煽らない発信ができる人かどうかを判断できます。防災士などの資格を持つ発信者は信頼性が高い一方、資格の範囲を超えた断定的な助言をしていないかも確認しておくと安心です。

防災グッズの選び方を伝える投稿の作り方

防災グッズの投稿で成果を上げるには、商品紹介ではなく「防災グッズの選び方」を教える構成にして、その中で自社商品を選んだ理由を語ってもらうのが効果的です。読者が知りたいのは「何をどれだけ買えばよいか」であり、その答えを示す投稿ほど保存され、購入の検討につながります。

選び方の基準を示す構成

防災グッズの選び方を伝える投稿では、家族の人数と日数から必要な量を計算する、保存期間と入れ替えの手間を比べる、収納場所と重さを確認する、という3つの基準を示してもらいます。そのうえで「わが家はこの基準でこの商品を選んだ」と結論を伝えてもらうと、商品の紹介が読者にとって役立つ情報の一部になります。複数の商品を比較する形式にする場合は、競合商品を不当におとしめる表現にならないよう注意が必要です。

ローリングストックを日常の投稿に組み込む

農林水産省の「災害時に備えた食品ストックガイド」でも紹介されているローリングストックは、普段食べている食品を少し多めに買い置きし、食べた分を買い足して備蓄を続ける方法です。この考え方は、防災用品を「特別な日のもの」から「日常の買い物」に変えるため、インフルエンサー施策と非常に相性が良好です。保存食を普段の献立に取り入れたアレンジレシピや、買い足しのタイミングを決めた収納の工夫などを投稿してもらうと、継続的な購入につながります。

防災用品の投稿に入れてもらいたい要素

  • 家族構成と、何日分を目安に備えているかが書かれていますか。
  • 商品を選んだ基準と、実際に使ってみた感想が入っていますか。
  • 収納場所や賞味期限の管理方法など、続けるための工夫が分かりますか。
  • 効果や性能を断定せず、自分の体験の範囲で伝えていますか。
  • #PRなど広告であることが分かる表記が入っていますか。

投稿形式ごとの役割分担

Instagramのフィード投稿やカルーセルは、備蓄品の一覧や防災リュックの中身を保存してもらう場として最適です。リールやTikTokの短尺動画は、携帯トイレの使い方やおうち停電体験など、動きのある場面を伝えるのに向いています。YouTubeの長尺動画は、備えの全体像を家族で見直す過程を詳しく伝えられるため、検索され続ける資産になります。投稿後のコンテンツを店頭やECで活用する方法はUGCマーケティングの活用法と二次利用の進め方で整理しています。

防災の日など時期需要から逆算するスケジュール

防災用品の需要は防災の日や防災週間、台風シーズン、年度替わりなどに高まるため、その時期に投稿がそろうよう、2〜3か月前から準備を始めるのが原則です。時期の話題と結びつけることで、防災用品の投稿が唐突な宣伝に見えにくくなる利点もあります。

年間の防災カレンダー

以下の表は、防災への関心が高まりやすい時期と、その時期に向く訴求の一般的な目安です。地域の気候や自社の販売データに合わせて調整してください。9月1日の防災の日を含む8月30日から9月5日までの防災週間は、自治体や小売の啓発企画も集中するため、最も大きな山になります。

時期関連する日・季節向いている訴求依頼・発送の開始目安
1月防災とボランティアの日(1月17日)、冬の停電対策寒さ対策、熱源、明かり10〜11月
3〜4月3月11日前後、新生活一人暮らしの備え、家族の見直し12〜1月
6〜7月梅雨・大雨の季節浸水への備え、持ち出し袋3〜4月
8月下旬〜9月防災週間(8月30日〜9月5日)、防災の日(9月1日)、台風シーズン備蓄全般、家族の防災会議5〜6月
11月津波防災の日(11月5日)、年末の買い出し前備蓄の入れ替え、ローリングストック8〜9月

防災週間に向けた逆算の流れ

防災週間に投稿をそろえる場合、候補の選定と依頼は5月から6月、商品の発送は6月から7月、撮影と試用は7月から8月上旬、投稿前の確認は8月中旬、投稿は8月下旬から9月上旬という流れになります。保存食の試食や停電体験のように時間のかかる撮影もあるため、他の商材より余裕を持った日程が必要です。この時期は多くの企業が依頼を出すため、人気の発信者は早めに枠を押さえておくことをおすすめします。季節商戦全体の逆算の考え方はインフルエンサーの季節キャンペーン設計と逆算スケジュールで解説しています。

平時の継続発信で需要の波をならす

防災用品の施策は、防災週間だけの単発で終わらせず、年に数回の時期に合わせて同じ発信者に継続して依頼すると効果が高まります。「半年ごとの備蓄の見直し」のように定期的な投稿をお願いすると、フォロワーにも備えを見直す習慣が生まれ、入れ替え需要につながります。継続起用の場合は、毎回同じ内容にならないよう、季節や家族の変化に合わせてテーマを変えてもらいます。

景品表示法・ステマ規制と表示の注意点

防災用品の投稿では、性能や効果を断定しない表現と、広告であることを示す表記の2つを必ず守る必要があります。命や安全に関わる商材であるため、誤解を招く表現は生活者に実害を与えるおそれがあり、行政の規制も厳しく見られます。

性能表示と優良誤認

消費者庁が所管する景品表示法は、商品の品質や性能を実際より著しく優良であると誤認させる表示(優良誤認表示)を禁止しています。防災用品では「どんな地震でも倒れない」「絶対に浸水しない」「これで避難生活は安心」といった断定的な表現が問題になりやすく、合理的な根拠を示せない効果の表示は、不実証広告規制によって優良誤認表示とみなされることがあります。インフルエンサーの投稿でも、企業が内容に関与していれば企業の表示として扱われるため、性能はメーカーが根拠を持つ範囲にとどめ、感想は「わが家では」という体験の範囲で伝えてもらいます。個別の表現が問題ないかの判断は、弁護士など専門家への確認をおすすめします。

ステマ規制と#PR表記

2023年10月1日に施行された景品表示法の指定告示(いわゆるステマ規制)により、企業が依頼した投稿は広告であることが分かるように表示しなければなりません。防災用品を無償で提供しただけの場合でも、企業が投稿内容に関与していれば対象になります。啓発目的の投稿であっても、自社商品が登場する以上は#PRなどの表記を入れてもらうよう、依頼時に明確に伝えてください。表記の詳しいルールはステマ規制とは?景表法対応と#PR表記の実務ガイドで解説しています。

食品・医薬品・規格表示に関わる注意

保存食や栄養補助食品を扱う場合は、食品表示や健康効果の表現にも注意が必要です。常備薬や衛生用品の中には医薬品や医薬部外品に当たるものもあり、効能効果の表現は薬機法の規制を受けます。また、ヘルメットや消火器具など、規格や検定の表示がある商品は、その規格の範囲を超えた性能を語らないよう伝えておきます。健康に関わる表現の基本は健康食品・サプリのインフルエンサー起用と薬機法対応の実務が参考になります。なお、法令の解釈や個別の表示の可否は、消費者庁や厚生労働省の公表資料を確認したうえで、最終的には専門家に判断を仰いでください。

成果指標とKPIの置き方

防災用品の施策では、保存数と指名検索を中心に置き、EC流入や店頭販売、備えの行動変化までを段階的に見るのが効果的です。防災用品は投稿を見てすぐ買う人よりも、保存しておいて後で買う人が多いため、投稿直後の反応だけで評価しないことが大切です。

投稿の種類ごとの指標

備蓄リストや防災リュックの中身を紹介する投稿では、保存数と保存率が「後で備えたい」と思った人の多さを表します。使い方の実演投稿では、コメントでの質問数や視聴の維持率が、理解が深まったかどうかの目安になります。オンラインの流入を計測するには、投稿ごとにUTMパラメータを分けておくと、どの投稿が購入につながったかを比べやすくなります。設定方法はインフルエンサー施策のUTMパラメータ設定と流入計測の手順を参考にしてください。

投稿の種類主な指標確認するタイミング判断のポイント
備蓄リスト・中身紹介保存数、保存率、プロフィール遷移数投稿から7日後保存率が高いほど購入の検討につながります
使い方の実演視聴維持率、コメントの質問数投稿から7日後具体的な質問が多いほど理解が深まっています
試食・試用レビュー商品名での指名検索、EC流入投稿から14日後指名検索の伸びで関心の高まりを確認します
防災週間などの時期施策EC売上、店頭販売数、クーポン利用数時期の終了後前年同期や投稿のない期間と比較します
継続施策全体リピート購入、入れ替え需要半年から1年後備えの見直しが習慣化したかを確認します

行動変化をコメントとアンケートで捉える

防災用品の施策では、売上だけでなく「備えを見直した」という行動の変化も重要な成果です。コメント欄に「うちもトイレの備えが足りなかった」「週末に家族で確認します」といった声がどれだけ寄せられたかを数えると、啓発の効果を把握できます。投稿のストーリーズでアンケート機能を使い、「携帯トイレを備えていますか」と問いかけてもらう方法も、関心の度合いを測るのに役立ちます。

店頭販売とリピート購入まで追う

防災用品は、ホームセンターやドラッグストアの店頭で購入されることも多いため、EC以外の成果を把握する工夫が必要です。投稿ごとに異なるクーポンコードを発行したり、防災週間の特設売り場の販売数を前年と比べたりすると、施策の効果を推計できます。保存食や保存水は賞味期限に合わせた買い替えが発生するため、半年から1年後のリピート購入まで追うと、施策の本当の価値が見えてきます。

よくある失敗と発注前チェックリスト

防災用品の施策でよくある失敗は、不安を煽る投稿、商品紹介だけで終わる投稿、災害発生時の対応を決めていないことの3つです。いずれも依頼前の準備で防げるため、発注前にチェックリストで確認しておくことをおすすめします。

不安訴求と商品紹介だけの投稿

もっとも多い失敗は、災害の怖さを強調した投稿が反発を招き、ブランドの印象を損ねてしまうケースです。また、商品の機能だけを紹介する投稿は、「防災は大事だが、今は買わなくてもよい」と思われて終わりがちです。家族の暮らしに合った備え方の中で商品の役割を伝える構成と、前向きな言葉選びを、依頼時に書面で共有しておくことが大切です。投稿前の表現確認はインフルエンサー投稿の校正チェック項目とNG表現の直し方を参考に、防災用品向けのチェック項目を追加して運用してください。

自治体や店頭企画との連携不足

防災週間には、自治体や小売店も啓発の企画を実施することが多く、これらと連携できれば施策の効果を高められます。一方で、投稿で紹介した商品が店頭で品切れしていたり、特設売り場の場所が分からなかったりすると、せっかくの関心を取りこぼします。投稿のスケジュールを営業や店舗の担当にも共有し、在庫と売り場、ECの商品ページへの導線を投稿日までに整えておくことが大切です。

防災用品の発注前チェックリスト

  • 防災週間などの時期から逆算して、依頼・発送・撮影・投稿の日程を決めましたか。
  • 家族構成や暮らしの発信内容が、商材と訴求したい層に合っていますか。
  • 不安を煽らない表現のルールと、避けたい表現の例を共有しましたか。
  • 性能を断定しないことと、#PRなどの広告表記を入れることを伝えましたか。
  • 災害発生時の投稿延期の基準と、報酬の扱いを契約で決めましたか。
  • 子どもが登場する場合の撮影範囲と、個人情報の配慮を取り決めましたか。
  • 保存数・指名検索・店頭販売・リピート購入まで、指標と確認時期を決めましたか。

Bloomで防災用品に合う発信者を探す場合

Bloomでは、審査を通過したインフルエンサー30,000人の中から、ジャンルやフォロワー層、家族構成に近い発信内容を見ながら候補を探せます。防災用品の施策では、子育て系・暮らし系・シニア向け・ペット系など、訴求したい家族像に合った発信者を組み合わせて選ぶことが成果の分かれ目になります。案件を公開して応募を募る形にすれば、日頃から備えに関心のある発信者から手を挙げてもらえるため、不安を煽らない誠実な発信を集めやすくなります。

本メディアは、審査制インフルエンサー30,000人のマッチングプラットフォーム『Bloom』(株式会社ハーマンドット)が運営しています。