電気やガスは毎月必ず使う生活インフラですが、切り替えても照明やコンロの使い心地は変わらず、違いが見えにくい商材です。そのため、電力・ガス会社のインフルエンサー活用では、料金プランの切り替えを「自分の家ではこう変わった」という実体験に置き換えて伝える設計が求められます。一方で、節約額や再エネの表示には業界の営業ガイドラインと景品表示法のルールがあり、表現を誤ると事業者側の責任が問われます。この記事では、新電力や都市ガス会社のプロモーションでインフルエンサーを起用する際の読者層の分け方、向いている発信者、訴求軸と投稿構成、指針と景表法への配慮、年間スケジュール、KPIと採算までを2026年10月時点の実務目線で整理しました。

この記事の要点

  • 電力・ガス会社のインフルエンサー活用は、使っても違いが見えにくい生活インフラを「自分の家ではこう変わった」という実体験に置き換え、切り替えの心理的なハードルを下げる施策です。
  • 反応が良いのは、固定費の見直しを考えている家計管理層、引越しを控えた新生活層、再エネに関心のある環境志向層の3つで、層ごとに起用する発信者と訴求軸を分けるのが基本です。
  • 投稿表現は、経済産業省の「電力の小売営業に関する指針」「ガスの小売営業に関する指針」と景品表示法(有利誤認・ステマ規制)の両方に照らして確認する必要があり、特に節約額の表示は前提条件の明記が欠かせません。
  • 成果は申込数だけでなく、供給開始率と継続率まで分けて計測し、LTVから逆算したCPAの上限で採算を判断します。

電力・ガス会社のインフルエンサー活用とは

電力・ガス会社のインフルエンサー活用とは、小売電気事業者やガス小売事業者が、料金プランやサービスを実際に契約・利用したインフルエンサーに体験を発信してもらい、比較検討中の消費者の切り替えを後押しする施策のことです。電気やガスは品質で差がつきにくく、使い始めても生活が目に見えて変わらない商材のため、テレビCMや比較サイトだけでは「本当に切り替えて大丈夫なのか」という不安を解消しきれません。その不安を、生活者目線の実体験で埋めることが、インフルエンサーを起用する最大の理由です。

自由化後の市場と切り替えの現状

電力は2016年4月、都市ガスは2017年4月に小売が全面自由化され、家庭でも契約先を選べるようになりました。資源エネルギー庁が2025年4月に公表した「電力システム改革の検証結果について」によると、全販売電力量に占める新電力のシェアは2024年10月時点で約19.2%、家庭などを含む低圧分野では約25.6%です。言い換えると、家庭の多くは今も切り替えをしていないか、検討の途中にとどまっています。2026年10月時点でも、「面倒そう」「停電しやすくなるのでは」「結局どこが安いのか分からない」という迷いが、切り替えを止める主な壁になっています。

違いが見えない商材ならではの難しさ

コスメや食品であれば、使った感想や見た目の変化を投稿で伝えられます。一方、電気やガスは切り替えても照明の明るさやコンロの火力は変わりません。変わるのは請求額、ポイント、アプリの使い勝手、電源構成といった「数字や仕組み」です。そのため、インフルエンサーの投稿も、商品の魅力を感覚的に伝えるのではなく、手続きの簡単さや明細の変化を具体的に見せる構成が求められます。そして数字を扱う以上、表現の正確さが他の商材以上に問われます。

サブスク商材との共通点と違い

電気・ガスは毎月の継続課金で収益が積み上がるため、採算の考え方はサブスク商材と共通します。1件の獲得にいくらまでかけられるかは、平均の契約継続期間と月あたりの粗利から逆算するのが基本です。この考え方はサブスク商材のインフルエンサー施策とLTV基準の採算設計で詳しく解説しています。ただし電力・ガスには、申込から供給開始まで時間差があること、市場価格や燃料価格で粗利が大きく変動すること、業界固有の営業ガイドラインがあることという3つの違いがあり、本記事ではこの3点を中心に整理します。

切り替え訴求が届きやすい読者層と心理

切り替え訴求が最も届きやすいのは、固定費の見直しを考えている家計管理層、引越しや新生活を控えた層、再エネや環境に関心のある層の3つです。それぞれ切り替えを考えるきっかけと、迷うポイントが異なるため、同じ投稿で全員を動かそうとしないことが大切です。

固定費見直し層

通信費や保険と並んで、電気・ガス代を「一度見直せば効果が続く固定費」と捉えている層です。家計簿アプリで支出を管理していたり、節約系のアカウントをフォローしていたりする人が中心で、関心は「年間でいくら変わるのか」に集中しています。この層には、実際の明細を使った比較や、見直しの手順を一覧で示す投稿が響きます。一方で数字への関心が高い分、根拠の薄い節約額はすぐに見抜かれ、コメント欄で指摘されることもあります。

引越し・新生活層

引越しは、電気とガスの契約を新たに結ぶ必要がある数少ないタイミングです。旧居の解約と新居の申込を同時に進めるため、「どうせ手続きするなら選び直そう」という心理が働きます。就職・転勤・進学が重なる2〜4月は特に需要が高まります。賃貸物件の入居者をターゲットにした導線は賃貸・不動産仲介のインフルエンサー活用で内見予約を増やす方法とも重なる部分が多く、住まい系の発信者と組み合わせると効果的です。

再エネ・環境志向層

料金の安さよりも、電源構成や再生可能エネルギーの比率を重視する層です。母数は家計管理層ほど多くありませんが、納得すれば長く使い続けてくれる傾向があり、周囲への推奨も期待できます。この層には、発電所の見学や電源の背景を伝えるストーリー型の投稿が合います。ただし、環境価値の表示には指針で細かなルールがあるため、表現の確認は後述のとおり慎重に行う必要があります。

読者層切り替えのきっかけ主な不安響く訴求
固定費見直し層電気代の値上がり、家計の見直し本当に安くなるのか、手続きが面倒実際の明細比較、手続き時間の短さ
引越し・新生活層転居、就職・進学何を選べばよいか分からない新居で必要な手続きの一覧、セット割
再エネ・環境志向層環境意識、子どもの教育本当に再エネなのか電源構成の説明、発電所の背景
ポイント活用層経済圏の集約ポイント還元の条件普段使うポイントとの連携、還元条件の明示

向いているインフルエンサー像と選び方

電力・ガスの切り替え訴求に向いているのは、家計管理・節約系、暮らし・住まい系、比較・ガジェット系、エコ・サステナブル系の発信者です。共通する条件は、数字や仕組みを分かりやすく説明できること、そして実際に自宅で契約して体験できることです。

家計管理・節約系の発信者

家計簿の公開や固定費削減のノウハウを発信しているアカウントは、固定費見直し層への到達力が最も高い候補です。フォロワーが「この人の家計の数字なら参考になる」と感じているかどうかが重要で、普段から明細や支出の内訳を具体的に見せているかを確認します。ファイナンシャルプランナーなどの資格を持つ発信者もいますが、資格名を前面に出した推奨は中立的な助言と誤解されやすいため、あくまで個人の体験として発信してもらう設計にします。

暮らし・住まい系とファミリー層の発信者

インテリアや家事、子育ての様子を発信しているアカウントは、生活の中で電気やガスを使う場面を自然に見せられます。オール電化の住まい、ガス衣類乾燥機の導入、在宅勤務で電気代が増えたといった生活の変化と結びつけると、切り替えの必然性が伝わります。世帯人数や住まいの広さによって電気の使用量は大きく変わるため、ターゲットに近い世帯構成の発信者を選ぶことがポイントです。

比較・ガジェット系とエコ系の発信者

スマートメーターのデータをアプリで分析したり、複数のプランを表計算で比べたりする比較・ガジェット系の発信者は、仕組みを正確に説明する力があります。エコ・サステナブル系の発信者は、再エネプランの背景を伝えるのに向いています。どちらも専門性が高い分、表現の自由度を求める傾向があるため、守ってほしいルールと任せる部分を事前に明確にしておきます。

発信者タイプ主な媒体強み選定時の確認点
家計管理・節約系Instagram、YouTube固定費見直し層への到達力明細を具体的に公開しているか
暮らし・住まい系Instagram、TikTok生活の場面と結びつけた訴求世帯構成と住まいの種類
比較・ガジェット系YouTube、X、ブログ仕組みの正確な説明他社案件の掲載状況
エコ・サステナブル系Instagram、note再エネプランの背景を伝える力環境表現の慎重さ

料金プランの切り替え訴求と生活インフラ比較の設計

切り替え訴求は、料金の安さ一本ではなく、料金・手続きの簡単さ・セット割・ポイント・電源構成・サービスの使い勝手を組み合わせて設計するのが効果的です。料金だけで勝負すると、燃料価格や市場価格の変動で前提が崩れたときに、投稿そのものが不正確になるおそれがあります。

料金以外の訴求軸を用意する

電気・ガスは、使用量や地域、契約容量によって料金の差が大きく変わるため、「誰でも必ず安くなる」とは言えません。そこで、アプリで30分ごとの使用量が見られる、ガスと電気の請求がまとまる、契約手続きがスマートフォンで10分程度で済むといった、料金以外の価値を訴求の中心に置くと、条件に左右されにくい投稿になります。手続き時間などの数値を示す場合も、自社で計測した目安であることを明記しておきます。

セット割とポイントの見せ方

電気とガス、通信や住宅サービスとのセット割、ポイント還元は、切り替えの後押しになる一方で、条件が複雑になりがちです。どの商品と組み合わせると割引が適用されるのか、片方を解約したらどうなるのか、ポイントは誰がいつ付与するのかを、投稿の中でも簡潔に伝える必要があります。後述のとおり、指針ではセット販売やキャッシュバックの条件を分かりやすく説明することが求められており、インフルエンサーの投稿でも同じ視点で確認します。

生活インフラ比較コンテンツの作り方

固定費見直し層には、電気・ガス・通信・保険などをまとめて見直す「生活インフラの比較」というテーマが受け入れられやすい傾向があります。自社プランだけを持ち上げる構成にすると広告色が強くなるため、比較の観点(基本料金、従量料金、燃料費調整の仕組み、解約条件、ポイント)を整理し、その中で自社プランがどの世帯に向いているかを伝える構成が効果的です。他社の料金を引き合いに出す場合は、比較の時点、条件、出典を必ず添え、恣意的な条件設定で自社を有利に見せないよう注意します。

投稿の構成と見せ方の工夫

電力・ガスの投稿は、実際の明細やアプリ画面を使った体験型と、申込手続きの手軽さを見せる手順型の2つを軸に組み立てるのが基本です。違いが見えにくい商材だからこそ、画面や書類という「見える証拠」を使って伝えることが成果につながります。

実際の明細やアプリ画面で見せる体験型

切り替え前後の請求額を比べる投稿は、固定費見直し層に最も響く形式です。ただし、電気の使用量は季節や在宅時間で大きく変わるため、単純に前月と比べると切り替えの効果を正しく示せません。前年同月との比較や、同じ使用量で旧プランと新プランを試算した比較にするなど、比較の方法を投稿内で説明してもらうことが大切です。比較期間が短い場合は「〇か月分の自宅の結果」であることを明記し、一般化した表現は避けます。

申込手続きの手軽さを見せる手順型

「面倒そう」という不安には、実際の申込画面を順に見せる手順型の投稿が有効です。手元に用意するもの、入力にかかった時間、工事や立ち会いが原則不要であることなどを見せると、心理的なハードルが下がります。ストーリーズやショート動画で手順を見せ、詳細な契約条件は公式の申込ページで確認してもらう導線にすると、投稿の中で説明しきれない条件の扱いにも無理がありません。

個人情報の写り込み対策

検針票や請求明細、マイページの画面には、氏名、住所、お客さま番号、供給地点特定番号など、第三者に見せるべきでない情報が含まれています。投稿前に、これらの情報が隠れているかを必ず確認する工程を設けてください。インフルエンサー本人の安全だけでなく、なりすまし申込などのトラブル防止にもつながります。画面を撮影する際の注意点は依頼書にあらかじめ書き込み、校正の段階で再確認します。投稿の確認手順はインフルエンサー投稿の校正チェック項目とNG表現の直し方も参考になります。

電力・ガスの小売営業ガイドラインへの配慮

電力・ガス会社のインフルエンサー施策では、経済産業省が定める「電力の小売営業に関する指針」と「ガスの小売営業に関する指針」に照らして、投稿表現を確認する必要があります。これらの指針は、電気事業法・ガス事業法に基づく需要家保護の観点から、望ましい行為と問題となる行為を整理したもので、指針は2024年3月や2025年3月にも改定されています。運用状況は電力・ガス取引監視等委員会が監視しており、問題がある場合は業務改善勧告などの対象になり得ます。インフルエンサーの投稿であっても、事業者が依頼して内容に関与している以上、事業者自身の情報提供として扱われると考えて準備するのが安全です。

誤解を招く情報提供の禁止

電力の指針では、「当社の電気は停電しにくい」など、需要家の誤解を招く情報提供で自社のサービスに誘導することが問題となる行為として挙げられています。電気は送配電網を共有しているため、小売事業者を変えても停電のしやすさや電気の品質は変わりません。インフルエンサーが善意で「前より安定している気がする」と書いてしまうことも考えられるため、品質や安定性に関する表現は使わないよう、依頼時に明確に伝えます。逆に「切り替えても停電しやすくなることはない」という事実は、不安の解消に役立つ情報として伝えられます。

市場連動型・燃料費調整のデメリット説明

指針では、市場連動型の料金メニューや燃料費調整の仕組みを伴うメニューについて、料金が安くなるといったメリットだけを告げ、料金が高くなる可能性があるといったデメリットを告げないことは、説明義務に違反するとされています。2021年冬や2022年の卸電力価格の高騰では、市場連動型プランの請求額が大きく上がった事例が社会的な話題になりました。市場連動型のプランをインフルエンサーに紹介してもらう場合は、価格が上がる可能性があることを投稿内に含めるか、少なくとも誘導先のページで分かりやすく説明し、投稿では「安い」ことだけを強調しない構成にします。

セット販売・キャッシュバック・環境価値の表示

指針では、セット販売の際に契約先が異なる場合の説明、割引が適用される条件、キャッシュバックを誰がどのような手続きで行うかを明示することが求められています。また、必要な非化石証書を使用していないのに「再エネ」や「CO2ゼロエミッション」の電気であるかのような印象を与える表示も問題となります。再エネプランを紹介する場合は、事業者が定めた正確な表記をそのまま使ってもらい、インフルエンサーが独自に言い換えないようにします。環境に関する発信の全体設計はSDGs・ESGの企業発信をSNSとインフルエンサーで届ける方法も参考になります。

避けたい表現の例問題になりやすい理由言い換えの例
この電気は停電しにくい品質に差がないのに誤解を招く切り替えても電気の品質や停電のしやすさは変わりません
誰でも必ず電気代が安くなる使用量や条件で結果が変わるわが家(〇人暮らし・〇月分)ではこう変わりました
市場連動だから安い値上がりの可能性を伝えていない市場価格に合わせて単価が上下するプランです
再エネ100%のクリーンな電気証書の使用状況を確認せず断定事業者が定めた正式なプラン説明の表記を使用
最大〇万円お得前提条件が見えないと有利誤認のおそれ試算条件(世帯・使用量・時点)を併記

景品表示法と節約額表示の注意点

電力・ガスの投稿で最も注意が必要なのは、景品表示法の有利誤認にあたる節約額や割引の表示と、2023年10月1日に施行されたステマ規制の2つです。どちらもインフルエンサー本人ではなく、依頼した事業者が規制の対象になる点を押さえておく必要があります。

節約額・「最大〇円お得」の前提条件

景品表示法は、価格や取引条件について、実際のものや競合他社のものよりも著しく有利であると一般消費者に誤認される表示を、有利誤認表示として禁止しています。「年間〇万円の節約」「最大〇円お得」といった表示は、その金額が特定の世帯人数・使用量・契約容量・燃料費調整額の時点を前提にした試算であることを示さないと、誰でもその金額が得られるかのような印象を与えかねません。投稿で金額に触れる場合は、試算の前提条件と時点を併記し、比較対象(どの事業者のどのプランか)を明確にします。インフルエンサー自身の実績として示す場合も、自宅の条件での結果であることを伝えてもらいます。

打消し表示とショート動画の見せ方

消費者庁が2017年7月に公表した「打消し表示に関する実態調査報告書」では、強調表示と離れた場所にある注意書きや、動画で短時間しか表示されない注意書きは、一般消費者に認識されにくいことが指摘されています。リールやショート動画で「月〇円安くなった」と大きく表示し、条件を一瞬だけ小さな文字で出す構成は避けるべきです。条件は強調表示と同じ画面に、読み取れる大きさと時間で表示するか、音声でも伝えるようにします。

ステマ規制と広告表記

事業者が依頼した投稿は、#PRなどで広告であることを分かるように表示する必要があります。電力・ガスでは、紹介料やポイントを受け取って友人紹介プログラムを案内するケースや、アフィリエイトリンクを使うケースもあり、どの投稿が事業者の関与した表示にあたるかを整理しておく必要があります。表記のルールはステマ規制とは?景表法対応と#PR表記の実務ガイドで詳しく解説しています。数字を扱う規制業種の考え方は金融・保険のインフルエンサーマーケティングと広告規制対応の実務も参考になります。

節約額・割引を表示する前の確認事項

  • 金額の前提(世帯人数、月間使用量、契約容量、エリア)を投稿内に記載しましたか。
  • 燃料費調整額や再エネ賦課金など、試算の時点を明記しましたか。
  • 比較対象の事業者・プラン名を明示し、比較条件をそろえましたか。
  • ショート動画の注意書きは、強調表示と同じ画面で読める大きさと時間になっていますか。
  • キャッシュバックやポイントの付与条件・付与者・時期を誘導先で確認できますか。
  • #PRなどの広告表記を、投稿の冒頭など分かりやすい位置に入れましたか。

切り替えが動く時期と年間スケジュール

電力・ガスの切り替え需要は、引越しが集中する2〜4月と、電気代が高くなる夏・冬の前に高まります。投稿日はこの需要の山に合わせて設定し、そこから1〜2か月さかのぼって依頼と契約手続きを進めるのが基本です。

年間の需要カレンダー

以下は、一般的な家庭向けの切り替え需要の目安です。地域や商材(電気のみか、ガスとのセットか)によって山の大きさは変わるため、自社の申込データと照らし合わせて調整してください。

時期主なきっかけ向く訴求依頼開始の目安
1〜4月引越し・新生活、冬の請求額新居の手続き一覧、セット割11〜12月
5〜6月冬の電気代の振り返り、夏前の準備固定費見直し、アプリでの使用量確認3〜4月
7〜9月冷房による使用量の増加時間帯別プラン、使用量の見える化5〜6月
10〜12月暖房・給湯の増加、年末の家計見直し電気・ガスのまとめ見直し8〜9月

体験期間を確保した逆算スケジュール

明細の変化を見せる体験型の投稿では、申込から供給開始まで、さらに最初の請求が確定するまでの期間を見込む必要があります。スマートメーターが設置済みの住宅であれば切り替えは比較的早く進みますが、最初の明細が出るまでには1〜2か月かかるのが一般的です。そのため、体験型の投稿は依頼から2〜3か月後を投稿日に設定し、それまでの間は手続き編の投稿でつなぐ2回構成にすると、需要の山に合わせやすくなります。投稿日の分散についてはPR投稿のタイミング設計と投稿日を分散させる考え方で整理しています。

料金改定やニュースと重なる時期の注意

燃料価格の変動、政府の負担軽減策の開始・終了、料金改定などのニュースが出ると、電気代への関心が一時的に高まります。この時期は投稿が見られやすい反面、料金の前提が短期間で変わりやすく、投稿後に内容が古くなるリスクがあります。ニュースに便乗した投稿を行う場合は、発表日と執筆時点を明記してもらい、前提が変わった際に追記や修正を依頼できるよう、契約で修正対応の範囲を決めておきます。

KPI設計とLTVから逆算する採算

電力・ガスの施策では、申込数だけでなく、供給開始数と一定期間後の継続率まで分けて計測し、LTVから逆算したCPAの上限で採算を判断するのが基本です。申込はあっても、審査や手続きの不備、旧契約の都合で供給開始に至らないケースがあるため、申込ベースだけで評価すると成果を過大に見積もってしまいます。

申込から供給開始までを段階で計る

投稿ごとの成果は、閲覧、申込ページへの遷移、申込完了、供給開始、継続の5段階で追います。流入はUTMパラメータで投稿ごとに分けて計測し、申込フォームでは紹介コードや専用クーポンで経由元を識別します。設定方法はインフルエンサー施策のUTMパラメータ設定と流入計測の手順とインフルエンサー施策のクーポンコード設計と利用数の測り方で解説しています。電力・ガスは検討期間が長く、投稿を見てから数週間後に検索経由で申し込む人も多いため、指名検索の推移も合わせて確認します。

段階主な指標確認のタイミング判断のポイント
認知リーチ数、保存数投稿から7日後保存率が高いほど比較検討に使われています
検討申込ページ遷移数、指名検索数投稿から14〜30日後遅れて動く検索流入も含めて評価します
申込申込完了数、申込率投稿から30日後コード・UTMで経由元を識別します
供給開始供給開始数、供給開始率申込から1〜2か月後申込だけで成果を判断しないようにします
継続6か月・12か月継続率供給開始から6〜12か月後LTVの前提となる数値です

LTVから逆算するCPAの上限

1件あたりにかけられる獲得単価の上限は、月あたりの粗利に平均継続月数を掛けたLTVから、許容する回収期間に応じて決めます。電力・ガスは市場価格や燃料価格で粗利が変動するため、LTVを固定値で置かず、価格が上がった場合の悲観シナリオも用意しておくと判断を誤りにくくなります。インフルエンサーへの報酬設計としては、固定報酬に加えて供給開始ベースの成果報酬を組み合わせる方法も考えられます。成果報酬の料率設計は成果報酬型インフルエンサー施策の仕組みと料率相場・設計の実務を参考にしてください。

媒介・取次との線引き

インフルエンサーに申込の受付や契約条件の説明まで担ってもらうと、電気事業法上の媒介・取次・代理に近い役割になり、説明義務や書面交付の扱いが問題になる可能性があります。電気事業法では、小売供給契約の締結や媒介をしようとするときに料金その他の供給条件を説明し、書面を交付することが義務付けられています。インフルエンサーの役割は体験の発信と公式申込ページへの誘導にとどめ、契約条件の説明と申込受付は事業者側のページで完結させる設計にしておくと、責任の所在が明確になります。

よくある失敗と発注前チェックリスト

電力・ガスのインフルエンサー施策でよくある失敗は、節約額の一般化、市場変動による前提の崩れ、申込数だけでの評価の3つです。いずれも依頼前の設計と、投稿前の確認で防ぐことができます。

節約額の一般化と前提の崩れ

最も多い失敗は、インフルエンサーの自宅で出た節約額が、誰にでも当てはまるかのように伝わってしまうことです。特に、使用量の多い家庭で大きな節約が出た例をそのまま強調すると、使用量の少ない単身世帯では期待外れになり、解約や不満の声につながります。また、投稿後に燃料費調整額や料金単価が変わり、投稿内容が実態と合わなくなるケースもあります。投稿には時点を入れ、内容が古くなった場合の追記や非表示の扱いを契約で取り決めておきます。

申込数だけで成果を判断する

申込数が多くても、供給開始率や継続率が低ければ採算は合いません。キャッシュバック目当ての申込が多い場合、特典の受け取り後に短期間で解約される傾向もあります。施策の評価は、少なくとも供給開始数と6か月後の継続率が出るまで待ち、発信者ごとに比較することが大切です。結果を見て、継続率の高い読者を持つ発信者に予算を寄せていくと、施策全体の効率が上がります。

電力・ガスの切り替え訴求 発注前チェックリスト

  • 狙う読者層(固定費見直し・新生活・環境志向)を決め、層ごとに発信者と訴求軸を分けましたか。
  • 「停電しにくい」など品質に関する表現を使わないよう、依頼書に明記しましたか。
  • 市場連動型・燃料費調整のプランでは、値上がりの可能性を伝える構成になっていますか。
  • 節約額や割引には、試算の前提条件と時点、比較対象を併記しましたか。
  • 再エネ表示は、事業者が定めた正式な表記を使ってもらうよう伝えましたか。
  • 検針票や明細の画面で、氏名・住所・お客さま番号・供給地点特定番号を隠す手順を共有しましたか。
  • インフルエンサーの役割を発信と公式ページへの誘導にとどめ、契約説明は自社ページで行う設計にしましたか。
  • 申込・供給開始・継続率まで、指標と確認時期を決めましたか。

Bloomで電力・ガスの発信者を探す場合

Bloomでは、審査を通過したインフルエンサー30,000人の中から、ジャンルやフォロワー層、活動地域を見ながら候補を探せます。電力・ガスの切り替え訴求では、家計管理・暮らし・住まい・エコといった発信ジャンルに加えて、世帯構成や住んでいるエリアが成果を左右します。案件を公開して応募を募る形にすれば、実際に自宅の契約を見直す意思のある発信者から手を挙げてもらえるため、体験に基づいた正確な投稿を集めやすくなります。表現の確認ポイントを募集要項に書き込んでおくと、応募の段階から規制への理解がある発信者を選びやすくなります。

本メディアは、審査制インフルエンサー30,000人のマッチングプラットフォーム『Bloom』(株式会社ハーマンドット)が運営しています。