インフルエンサーにPR投稿を依頼したものの、数か月後に見に行ったら投稿が消えていた、という経験を持つ担当者は少なくありません。反対に、終売した商品の投稿がいつまでも残り、問い合わせ対応に追われることもあります。どちらも原因は、タイアップ投稿の掲載期間を決めずに依頼していることにあります。本記事では、インフルエンサーマーケティングを担当する企業の方に向けて、掲載期間の相場と決め方、契約書への書き方、期間中に削除されたときの対応、満了前の延長交渉、企業からの削除依頼の手順までを、2026年9月時点の実務に沿って解説します。
この記事の要点
- タイアップ投稿の掲載期間とは、PR投稿を削除・非公開にしないと約束する期間のことで、二次利用期間とは別に決めます。
- 2026年9月時点で公開されている契約書ひな形や解説では、投稿日から6か月を削除禁止期間とする例がもっとも多く見られます。
- 期間は施策目的・商品のライフサイクル・報酬の3点から決め、契約書には起算日・満了日・「削除」「非公開」「アーカイブ」の定義を書きます。
- 延長は満了の30日前に投稿を棚卸しし、成果の出ている投稿だけを選んで、延長料と条件をセットで打診します。
- 削除依頼は理由・期限・対象URLを明記した文面で行い、削除後は公開状態を確認して台帳に記録します。
タイアップ投稿の掲載期間とは
タイアップ投稿の掲載期間とは、インフルエンサーが企業から依頼を受けて公開したPR投稿を、削除・非公開・アーカイブにせず公開し続けると約束する期間のことです。契約書では「掲載期間」「削除禁止期間」「公開保証期間」などと呼ばれ、呼び方は違っても中身は同じです。期間を過ぎた投稿を残すか消すかはインフルエンサーの判断に戻るため、企業にとっては投稿の効果が確実に続く範囲を決める取り決めになります。
掲載期間と二次利用期間は別物です
掲載期間とよく混同されるのが、二次利用期間です。掲載期間はインフルエンサー自身のアカウント上に投稿を残してもらう期間であり、二次利用期間は企業が投稿の写真や動画を自社サイトや広告に転用してよい期間を指します。前者はインフルエンサーの行動を縛る約束で、後者は企業が権利を使える範囲の約束なので、報酬の考え方も交渉の相手方の関心も異なります。二次利用の範囲の決め方はインフルエンサー投稿の肖像権・著作権対応と二次利用の範囲で詳しく整理していますので、本記事では投稿そのものの掲載期間に絞って解説します。
掲載期間を決めずに依頼すると起きること
掲載期間を決めずに依頼すると、投稿の数日後に削除されても企業側は何も言えなくなります。実際によくあるのは、フィードの世界観を整えたいという理由でインフルエンサーが古いPR投稿をアーカイブするケースや、アカウントの方向性を変える際にPR投稿をまとめて整理するケースです。どちらもインフルエンサーにとっては自然な行動であり、悪意があるわけではありません。だからこそ、残してほしい期間は依頼の段階で明示し、合意しておく必要があります。
SNSごとに投稿の「残り方」が違います
掲載期間を考えるときは、SNSごとに投稿がどう残るかを押さえておくことが大切です。Instagramのフィード投稿やリール、TikTokやYouTubeの動画は、本人が消さない限り残り続けます。一方、Instagramのストーリーズは24時間で自動的に消えるため、掲載期間ではなく「ハイライトに何日間残すか」を決める形になります。Xの投稿にはアーカイブ機能がなく、残すか削除するかの二択です。ストーリーズを使った依頼の組み立て方はInstagramストーリー広告とPR依頼の設計・進め方もあわせてご確認ください。
掲載期間の相場と期間別の使い分け
掲載期間の相場は、投稿日から6か月です。2026年9月時点で法律事務所や契約サービス各社が公開しているインフルエンサー契約書のひな形・解説では、「投稿日から起算して6か月間は削除または非公開にしてはならない」とする例がもっとも多く見られます。ただし6か月はあくまで出発点であり、施策の目的によって短くも長くも調整します。
| 掲載期間 | 向いている施策 | 報酬への影響の目安 | 注意点 |
|---|---|---|---|
| 1か月 | 期間限定キャンペーン、イベント告知 | 基本報酬の範囲内で収まることが多いです | 期間後に残っても情報が古くなるため、削除を前提に設計します |
| 3か月 | 季節商品、短期の販促 | 基本報酬の範囲内で収まることが多いです | シーズン終了後の扱いを事前に決めておきます |
| 6か月 | 通年商品の認知・検討促進(標準) | 標準条件として扱われます | 起算日を投稿日にするか公開確認日にするかを明記します |
| 12か月 | 定番商品、指名検索を育てたい施策 | 上乗せ交渉になることがあります | 価格改定やリニューアルの予定を確認してから決めます |
| 無期限 | アンバサダー、長期契約 | 上乗せ、または継続契約とセットで交渉します | 削除依頼の手順を必ず併記します |
6か月が標準になっている理由
6か月が標準になっているのは、インフルエンサーと企業の双方にとって無理のない長さだからです。PR投稿の閲覧は公開直後の数日に集中しますが、保存やハッシュタグ検索、プロフィール経由の閲覧はその後も数か月にわたって続きます。企業側から見ると、この「後から見られる期間」を取りこぼさずに済む長さが6か月前後です。インフルエンサー側から見ると、半年たてばフィードの見た目を整え直したり、新しい案件との並びを調整したりしやすくなります。
期間を短くしてよいケース
期間限定のキャンペーンや、特定の日付に紐づくイベント告知は、掲載期間を1か月から3か月に短くしてかまいません。むしろ、終了したキャンペーンの投稿がいつまでも残っていると、応募できない読者からの問い合わせが増えたり、終了済みの価格が表示され続けたりする問題が起きます。この種の施策では、掲載期間とあわせて「期間満了後は削除またはアーカイブしてください」と終わり方まで指定しておくと安全です。
無期限を求めるときの注意
無期限の掲載を求める場合は、報酬の上乗せか継続契約とのセットで交渉するのが基本です。無期限の約束はインフルエンサーのアカウント運営の自由を長く縛るため、単発の依頼で当然のように求めると、条件を理由に辞退されることがあります。また、無期限にすると企業側が削除してほしくなったときに根拠が曖昧になります。無期限で合意する場合も、企業からの削除依頼の手順と、インフルエンサー側からの解除申し出の手順を併記しておいてください。長期的な関係づくりはインフルエンサーの継続起用と長期契約の設計・運用ガイドで扱っています。
掲載期間を決める3つの判断軸
掲載期間は、施策目的・商品のライフサイクル・報酬とのバランスの3つで決めます。3つのうち1つだけで決めると、目的は満たすが報酬が見合わない、あるいは報酬は見合うが商品情報が古くなる、といったずれが起きます。依頼条件を固める前に、次の3点を順に確認してください。
施策目的から必要な期間を逆算します
最初に確認するのは、その投稿に何を担わせたいかです。発売直後の話題づくりが目的であれば、公開から数週間の露出が勝負なので、長い掲載期間はそれほど重要ではありません。一方、商品名での検索やハッシュタグ検索から検討客を集めたい場合は、投稿が長く残るほど効果が積み上がるため、6か月から12か月の期間が意味を持ちます。目的とKPIの置き方はインフルエンサー施策のKPI設計とテンプレートの考え方を参考にしてください。
商品のライフサイクルと価格改定の予定を確認します
次に確認するのは、投稿に写る情報がいつまで正しいかです。価格、成分、パッケージ、キャンペーン条件は、時間がたつと変わります。価格改定やリニューアルが半年後に決まっているのに12か月の掲載期間を約束すると、古い情報の投稿を企業が自ら残させることになります。景品表示法や医薬品医療機器等法(薬機法)に関わる表現を含む商材では、古い表示が残ることそのものがリスクになるため、情報が正しい期間よりも長い掲載期間は設定しないでください。
報酬とのバランスで最終調整します
最後に、掲載期間を報酬とのバランスで調整します。掲載期間・競合排除期間・二次利用の条件が厳しくなるほど、インフルエンサーが提示する単価は上がりやすくなります。掲載期間だけを長く求めて報酬を据え置くと、条件交渉で時間がかかるうえに、実質的な値下げと受け取られて関係が悪くなることがあります。見積もりの中で条件ごとの費用がどう積まれているかはインフルエンサー起用の見積書の読み方と費用内訳の確認ポイントで確認できます。
掲載期間を決める前の確認リスト
- この投稿で達成したいことは、公開直後の話題づくりか、長期の検索流入か。
- 投稿に写る価格・仕様・キャンペーン条件は、いつまで正しいか。
- 二次利用や広告転用の予定はあるか(あれば掲載期間と別に条件を決める)。
- 競合排除期間を設ける場合、掲載期間と長さをそろえるか。
- 期間満了後に削除してほしいのか、残ってもよいのか。
契約書・依頼書への掲載期間の書き方
契約書には、起算日・満了日・禁止する行為の範囲・例外の4点を必ず書きます。「6か月間は削除しないでください」という一文だけでは、いつから数えるのか、アーカイブは削除に含まれるのか、アカウントが停止された場合はどうするのかが決まらず、トラブルになったときに双方の解釈が分かれます。契約書全体の構成はインフルエンサー契約書の作り方と必須チェック項目にまとめています。
起算日と満了日は日付で書きます
起算日は「投稿日」とするのが一般的ですが、投稿日が予定からずれることは珍しくありません。そのため、契約書では「本件投稿を公開した日から起算して6か月」と定めたうえで、公開後に企業から送る確認メールで「掲載期間は2026年10月1日から2027年3月31日までです」と具体的な日付を伝える運用をおすすめします。複数の投稿を依頼する場合は、投稿ごとに起算日が変わるため、最後の投稿にそろえるのか、投稿ごとに数えるのかも決めておいてください。
削除・非公開・アーカイブの定義をそろえます
禁止する行為は、削除だけでなく非公開化とアーカイブも含めて書きます。Instagramのアーカイブは投稿を消さずにプロフィールから隠す機能であり、本人から見れば削除ではありませんが、フォロワーからは見えなくなります。YouTubeの限定公開や非公開、TikTokの公開範囲の変更も同じ扱いです。さらに、キャプションやハッシュタグの大幅な書き換え、広告表示の削除も禁止事項に含めておくと、掲載期間中の品質を保てます。
やむを得ない削除の例外を決めます
掲載期間中でも削除を認める例外は、あらかじめ契約書に書いておきます。代表的なのは、アカウントの乗っ取りやプラットフォームによる削除、誹謗中傷が集中して本人の安全に関わる場合、企業から削除を依頼した場合です。例外に当たるときは、事前または事後すみやかに連絡することを義務づけ、報酬の扱いも定めておきます。2024年11月に施行された特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律(フリーランス法)では、個人のインフルエンサーに業務を委託する際に取引条件を明示することが求められるため、掲載期間と例外は書面やメールで明示してください。
契約書・依頼書の記載例
- 乙は、本件投稿を公開した日から起算して6か月間(以下「掲載期間」)、本件投稿を削除、非公開、アーカイブその他第三者が閲覧できない状態にしてはならない。
- 乙は、掲載期間中、甲の事前承諾なく本件投稿の本文、ハッシュタグおよび広告である旨の表示を変更してはならない。
- 前項にかかわらず、乙の安全確保その他やむを得ない事由がある場合、乙は甲に通知のうえ本件投稿を非公開にできる。
- 掲載期間満了後の取扱いは乙の判断による。ただし甲が別途書面で延長または削除を依頼した場合はこの限りでない。
掲載期間中に削除・非公開されたときの対応
掲載期間中に投稿が消えていることに気づいたら、まず事実を記録し、次に理由を確認し、最後に契約に沿って対応を決めます。いきなり契約違反を指摘するのではなく、事情を聞くところから始めるのが基本です。削除には、単純な操作ミスや、プラットフォーム側の判断による非表示など、本人に責任のない理由も含まれるためです。
確認と記録を先に行います
最初に行うのは、投稿が本当に見えなくなっているかの確認です。ログイン状態によって表示が変わることがあるため、別の端末や未ログインの状態でもURLを開いて確かめます。見えない状態が確認できたら、確認日時、URL、表示されたメッセージを画面の記録として残してください。公開時点のスクリーンショットやインサイトの数値を保存しておくと、報酬の扱いを話し合う際の根拠になります。
理由によって対応を分けます
理由が分かったら、それに応じて対応を分けます。誤操作やアーカイブのし忘れであれば、再公開を依頼すれば解決することがほとんどです。プラットフォームによる削除や制限の場合は、本人も対処できないことがあるため、再投稿で代替できるかを相談します。本人の判断による意図的な削除で、例外に当たらない場合は、契約違反として再公開を求め、それでも応じてもらえないときに報酬の減額や返金の協議に進みます。督促や返金の進め方はインフルエンサー案件のトラブル対処と督促・返金の実務で具体的に扱っています。
返金・再投稿の取り決めを事前に置きます
削除されたときの取り決めは、トラブルが起きてから考えるよりも、契約時に決めておくほうが円滑に進みます。たとえば「掲載期間の半分に満たずに削除された場合は再投稿を依頼し、再投稿ができない場合は報酬の一部を返金する」といった段階的な定めです。金額の割合は案件ごとに決めてかまいませんが、取り決めがない状態で返金を求めると、交渉が長引くうえに関係の修復が難しくなります。
| 削除・非公開の理由 | 企業側の最初の対応 | 報酬の扱いの考え方 |
|---|---|---|
| 誤操作・アーカイブのし忘れ | 再公開を依頼します | 再公開されれば通常は影響なしとします |
| プラットフォームによる削除・制限 | 理由を共有してもらい、再投稿の可否を相談します | 再投稿で代替し、難しい場合は協議します |
| 誹謗中傷など本人の安全に関わる事情 | 本人の安全を優先し、非公開を了承します | 例外条項に沿って扱い、原則として返金は求めません |
| 本人の判断による意図的な削除 | 契約条項を示して再公開を求めます | 応じない場合は減額・返金を協議します |
期間満了前にやる延長の判断
掲載期間の延長は、満了の30日前に判断します。満了日を過ぎてから延長を打診すると、すでにアーカイブされていたり、インフルエンサーが別の企業と競合商品の契約を結んでいたりして、選べる手が減ってしまいます。30日前であれば、延長条件の交渉と社内の稟議を無理なく並行できます。
満了30日前に投稿を棚卸しします
満了が近い投稿は、まとめて棚卸しします。確認するのは、投稿ごとの直近30日の閲覧数・保存数、投稿経由のサイト流入やクーポンの利用状況、コメント欄の雰囲気、投稿に写る情報が現在も正しいかの4点です。公開直後の数字だけで判断すると、長く見られ続けている投稿を見落とします。棚卸しの結果は、施策レポートの一部として残しておくと次の企画に生かせます。報告の型はインフルエンサー施策のレポート作成手順と社内共有のポイントを参考にしてください。
延長する投稿は成果で選びます
延長の対象は、全投稿ではなく、成果が続いている投稿に絞ります。具体的には、満了前の30日間にも一定の閲覧や流入が続いている投稿、商品名の検索結果やハッシュタグの上位に表示されている投稿、コメント欄で購入前の質問が続いている投稿が候補です。逆に、閲覧がほぼ止まっている投稿は、延長料を払っても効果が見込みにくいため、延長しない判断をしてかまいません。
延長しない投稿の扱いを伝えます
延長しない投稿は、満了後の扱いをインフルエンサーに伝えます。多くの場合は「満了後の扱いはお任せします」で問題ありませんが、価格や仕様が変わった商品の投稿は、削除かアーカイブをお願いしたほうが安全です。お任せにする場合でも、満了の連絡とあわせて協力へのお礼を伝えておくと、次回の依頼につながりやすくなります。
掲載期間の延長交渉の進め方
延長交渉は、延長する期間・延長料・変更する条件を1通の打診にまとめて伝えるのが基本です。条件を小出しにすると、やり取りの回数が増え、満了日に間に合わなくなります。延長は当初の契約とは別の新しい合意なので、口頭やDMだけで済ませず、メールや覚書で条件を残してください。
延長料は当初報酬を基準に決めます
延長料は、当初報酬を基準に、延長期間の長さと追加の制約の有無で決めます。投稿を残してもらうだけであれば、新しく撮影や制作をお願いするわけではないため、新規依頼より低い金額で合意できることが一般的です。一方、延長期間中も競合商品のPRを控えてもらう場合や、キャプションの更新を依頼する場合は、その分を上乗せします。金額の考え方をあらかじめ社内で決めておくと、投稿ごとの判断がぶれにくくなります。交渉の進め方の基本はインフルエンサーの専属契約・独占契約の設計と注意点で扱っている条件交渉の考え方も参考になります。
| 延長パターン | 内容 | 向いているケース | 交渉のポイント |
|---|---|---|---|
| 掲載のみ延長 | 投稿を残してもらうだけです | 検索流入が続いている投稿 | 追加作業がないため、低めの延長料で合意しやすいです |
| 掲載+競合排除の延長 | 同カテゴリの競合PRも控えてもらいます | 競合が多い美容・食品などの商材 | インフルエンサーの機会損失に見合う上乗せが必要です |
| 掲載+情報更新 | キャプションの価格や条件を更新してもらいます | 価格改定・リニューアルがあった商品 | 更新作業の手間と、広告表示の維持を条件に含めます |
| 掲載+二次利用の延長 | 広告転用などの権利期間も延ばします | 広告素材として成果が出ている投稿 | 二次利用料は掲載の延長料と分けて提示します |
| 継続契約への切り替え | 延長と新規投稿をまとめて契約します | 相性がよく今後も起用したいインフルエンサー | 単発の延長より総額の条件をよくできます |
打診の文面は条件と理由をそろえます
打診の文面には、対象の投稿URL、延長後の満了日、延長料、延長中の条件、回答期限を書きます。あわせて、なぜ延長したいのかを一言添えると、インフルエンサーは前向きに受け止めやすくなります。たとえば「公開から5か月たった現在も、商品名で検索した方の多くがこの投稿を見ています」と伝えれば、投稿が評価されていることが伝わります。依頼文の書き方の基本はインフルエンサーへの依頼文面の書き方とテンプレート例文で紹介しています。
広告表示と二次利用の条件もあわせて確認します
延長する投稿は、広告であることの表示が現在の基準に合っているかもあわせて確認します。2023年10月1日に施行されたステルスマーケティング規制について、消費者庁の運用基準では、施行前に公開された投稿でも施行後に表示され続けているものは規制の対象になり得るとされています。古い投稿を延長して残す場合は、「PR」や「広告」の表示が分かりやすく入っているかを確認し、足りなければ修正を条件に含めてください。表示の実務はステマ規制とは?景表法対応と#PR表記の実務ガイドにまとめています。広告転用を続ける場合は、二次利用期間の延長も同じタイミングで交渉すると手間が一度で済みます。
掲載期間中・満了後の削除依頼の手順
企業からの削除依頼は、理由・対象URL・期限を明記した文面で行い、削除後に公開状態を確認して完了とします。掲載期間はインフルエンサーに投稿を残してもらう約束ですが、企業側の事情で消してもらいたい場面も必ず出てきます。削除をお願いする立場であることを踏まえ、丁寧かつ具体的に依頼することが大切です。
削除を依頼すべきケース
削除を依頼すべき代表的なケースは、商品の終売やリコール、価格や仕様の大きな変更、キャンペーンの終了、表現に法令上の問題が見つかった場合、そして炎上や不祥事によって投稿を残すことが双方にとって不利益になる場合です。とくに法令上の問題や安全に関わる情報は、掲載期間中であっても速やかに削除か修正を依頼してください。炎上時の判断手順はインフルエンサー施策の炎上対策と発生時の初動対応で整理しています。
依頼の手順と文面
依頼は、まず担当者から理由を添えて連絡し、次に対象URLと期限を文面で送る順に進めます。文面には、削除か非公開かアーカイブかの希望、期限の日時、削除後に連絡してほしい旨、削除に伴う報酬の扱いを書きます。掲載期間中に企業の都合で削除を依頼する場合は、原則として報酬の返還は求めません。インフルエンサーは約束どおり投稿を残していたので、企業側の都合で報酬を減らすのは筋が通らないためです。
削除依頼で避けたいこと
- 理由を伝えずに「すぐ消してください」とだけ送ることは避けます。
- DMだけで依頼し、対象URLと期限の記録を残さないことは避けます。
- 企業都合の削除なのに、報酬の返還を求めることは避けます。
- 複数のインフルエンサーに依頼する際、一部の人にだけ連絡が漏れることは避けます。
- 削除後の確認をせず、依頼しただけで完了扱いにすることは避けます。
削除後は公開状態を確認して記録します
削除の連絡を受けたら、依頼したURLが実際に表示されなくなっているかを確認します。確認は、ログイン状態と未ログイン状態の両方で行うと確実です。広告として配信している場合は、広告の管理画面側でも配信を停止してください。ホワイトリスト広告のように企業のアカウントから配信している場合は、投稿が消えても広告が残ることがあるため、配信側の停止も忘れずに行います。ホワイトリスト広告の仕組みはホワイトリスト広告の仕組みと始め方を実務フローで解説で確認できます。
掲載期間を管理する台帳と社内体制
掲載期間は、投稿ごとの満了日を1枚の台帳で管理し、満了30日前に担当者へ通知が届く体制を作ると抜け漏れを防げます。起用人数が数人のうちは記憶で追えても、施策を重ねると満了日がばらばらになり、延長の判断に間に合わなくなります。台帳は表計算ソフトで十分なので、施策の開始と同時に作ってください。
管理台帳に入れる項目
台帳には、少なくとも次の項目を入れます。これらがそろっていれば、満了前の判断、削除依頼、トラブル時の確認のいずれにも対応できます。
| 項目 | 記入する内容 | 使う場面 |
|---|---|---|
| 投稿URL・媒体 | 投稿ごとのURLとSNSの種類 | 公開状態の確認、削除依頼 |
| 起算日・満了日 | 公開日と、そこから計算した満了日 | 延長判断の通知 |
| 掲載条件 | 削除禁止の範囲、競合排除の有無 | 延長交渉、違反時の確認 |
| 二次利用期間 | 広告転用などの権利期間 | 広告配信の停止判断 |
| 成果の推移 | 直近30日の閲覧・保存・流入 | 延長する投稿の選定 |
| 対応履歴 | 延長・削除依頼・再公開の記録 | 次回の起用判断、監査対応 |
担当者と通知のルールを決めます
台帳を作っても、見る人が決まっていなければ機能しません。施策ごとに台帳の責任者を1人決め、満了30日前と7日前にカレンダーやタスク管理ツールで通知が届くように設定してください。月に1回、公開中の投稿がすべて表示されているかを巡回して確認する作業も、責任者の業務に含めます。社内のルールとして明文化する場合は、インフルエンサー施策の社内ガイドライン作成手順とSNS運用ルールの構成に掲載期間の管理を1項目加えると運用しやすくなります。
延長の実績を継続起用につなげます
延長の判断で得られた情報は、次の起用先を選ぶ材料になります。長く見られ続ける投稿を作るインフルエンサーは、フォロワーとの関係が深く、検索からも見つけられやすい傾向があります。延長を打診した相手には、次の施策でも優先的に声をかけ、掲載期間を含めた条件を最初から長めに設計すると、交渉の手間が減り、投稿の効果も積み上がります。Bloomのようなマッチングプラットフォームを使えば、過去の依頼条件ややり取りを案件ごとに残せるため、延長や再依頼の判断をしやすくなります。
掲載期間は、依頼時には見落とされやすい一方で、投稿の効果がどれだけ長く続くかを左右する条件です。目的と情報の鮮度と報酬から期間を決め、契約書に定義を書き、満了前に棚卸しして延長か削除かを判断します。この流れを台帳で回せるようになれば、1本のタイアップ投稿から得られる成果を最後まで取りこぼさずに済みます。
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