Instagramのストーリーズは、リンクを貼れる数少ない投稿枠でありながら、24時間で消えるという理由だけで「費用対効果が不安」と敬遠されがちな施策です。しかし実際には、リンククリックという明確な行動データが取れるため、フィード投稿よりも成果を追いやすい形式でもあります。この記事は、EC・D2Cのマーケティング担当者に向けて、ストーリーズPRの費用相場と見積もりの読み方、3〜5枚で組む構成テンプレート、リンクスタンプやアンケートなどインタラクション機能の使い分け、ハイライト保存とパートナーシップ広告による延命策、フィード投稿との組み合わせ方、そして閲覧完了率・タップ率・クリック率というストーリーズ固有の評価指標までを、2026年9月時点の実務目線で整理しました。読み終えるころには、依頼文と指示書をそのまま書き起こせる状態になります。
この記事の要点
- ストーリーズPRの依頼料は2026年9月時点でフォロワー単価1〜3円が目安で、フィード投稿(1.5〜4円)より2〜3割安く、リンクスタンプ付き・枚数指定で2〜5割の上乗せが発生します。
- ストーリーズは1枚単位ではなく3〜5枚の連続構成で依頼し、リンクスタンプは2枚目以降と最終枚の2回置くのが最も送客効率が高い設計です。
- 24時間で消える弱点は、ハイライト保存(最低30日)とパートナーシップ広告への二次利用を契約条件に入れることで実質的に解消できます。
- 評価指標はリーチ数ではなく、閲覧完了率・スタンプタップ率・リンククリック率の3点で行います。閲覧完了率70%以上、リンククリック率1〜3%が一つの目安です。
- フィードやリールとの組み合わせでは、フィードで信頼を作りストーリーズで送客する「2枠セット」が最も再現性の高い型です。
Instagramストーリーズを使ったPR施策の全体像
Instagramのストーリーズを使ったPR施策とは、インフルエンサーに24時間で消える縦型フルスクリーンの投稿枠で商品やサービスを紹介してもらい、リンクスタンプやアンケートといった機能を通じて視聴者の行動を直接引き出す施策です。フィード投稿が「残して見せる」枠であるのに対して、ストーリーズは「いま動いてもらう」枠であり、設計の考え方も評価に使う指標もまったく別物になります。この違いを理解しないまま「フィードのついでにストーリーズも」と依頼してしまうと、24時間で消えたあとに何も残らず、費用対効果が判断できない結果に終わります。
ストーリーズPRと「ストーリーズ広告」は別物
検索でよく混同されるのが、インフルエンサーに依頼するストーリーズPRと、Meta広告として自社が配信するストーリーズ広告の2つです。前者はインフルエンサーのアカウントから本人の言葉で投稿され、費用はインフルエンサーへの依頼料として支払います。後者は広告アカウントから配信し、費用はインプレッション課金またはクリック課金でMetaに支払います。両者は排他ではなく、インフルエンサーが投稿したストーリーズを広告素材として配信する「パートナーシップ広告(旧ブランドコンテンツ広告)」という中間形態も存在します。
実務上は、まずインフルエンサーのストーリーズPRで反応の良いクリエイティブを見つけ、そのうち成績の良いものだけを広告として配信するという順番が効率的です。この考え方をさらに広げた手法についてはホワイトリスト広告の仕組みと始め方で詳しく整理しています。ストーリーズ単体で完結させるのではなく、広告への橋渡しまで含めて設計すると、24時間で消えるという弱点が投資回収の障害になりません。
ストーリーズが向いている商材と向いていない商材
ストーリーズが強いのは、単価が数千円から1万円台で、説明を長く読まなくても魅力が伝わる商材です。コスメ、食品、日用品、アパレル、サブスクリプションの初回無料トライアルなどが代表例で、視聴者が「気になる」と思った瞬間にリンクスタンプでLPへ飛べる導線の短さが効きます。逆に、検討期間が数週間から数か月に及ぶ高額商材や、仕様の比較検討が必要なBtoB商材は、24時間で消えるストーリーズだけで意思決定まで運ぶのは困難です。
ただし高額商材でも、資料請求や見学予約といった中間コンバージョンをゴールに置けば十分に機能します。重要なのは、ストーリーズ1本で売り切ろうとせず、視聴から次の接点までの距離を短く設計することです。
フィード・リールとの役割分担
3つの投稿形式は、担う役割がそれぞれ異なります。フィード投稿はアカウントに残り続けるため、後から検索や回遊で見つけてもらう資産になります。リールは発見タブやおすすめ経由でフォロワー外まで届くため、認知の拡大に向いています。そしてストーリーズは既存フォロワーへの到達率が高く、リンクを貼れる唯一の一般的な形式であるため、送客と行動喚起に向いています。縦型動画そのものの作り方はリール・ショート動画のインフルエンサー施策設計で扱っているため、本記事ではストーリーズ固有の論点に絞って解説します。
ストーリーズPRの費用相場と見積もりの考え方
2026年9月時点で、インフルエンサーへのストーリーズ投稿の依頼料はフォロワー単価1〜3円が目安であり、フィード投稿の1.5〜4円、リールの2〜5円と比べて2〜3割ほど安く設定されるのが一般的です。安い理由は明快で、投稿が24時間で消えるため、インフルエンサー側のアカウント資産としての価値が低いと評価されるからです。ただし後述するリンクスタンプの付与や枚数の指定、ハイライト保存の条件を加えると、この基準額から2〜5割の上乗せが発生します。
投稿形式別のフォロワー単価
| 投稿形式 | フォロワー単価の目安 | 掲載期間 | リンク設置 | 主な役割 |
|---|---|---|---|---|
| ストーリーズ(1〜3枚) | 1.0〜3.0円 | 24時間 | 可能 | 送客・行動喚起 |
| フィード(静止画・カルーセル) | 1.5〜4.0円 | 恒久 | 不可(プロフィール経由のみ) | 信頼形成・資産化 |
| リール | 2.0〜5.0円 | 恒久 | 不可 | 認知拡大・フォロワー外到達 |
| ストーリーズ+フィードのセット | 2.5〜5.5円 | 24時間+恒久 | 可能 | 認知から送客までの一連設計 |
この単価はフォロワー数に対する係数であるため、フォロワー3万人のインフルエンサーにストーリーズ3枚を依頼した場合、3万×1.0〜3.0円で3万円〜9万円が基準額になります。実際にはジャンルの専門性、指名での依頼か公募かによって上下します。形式を横断した相場の全体像はインフルエンサー起用の料金相場ガイドにまとめているため、社内の予算組みではあわせて確認してください。
単価が上振れする4つの条件
ストーリーズの見積もりが基準額から跳ね上がるのは、次の4つの条件が加わったときです。第一にリンクスタンプの設置で、送客という明確な成果に直結するため10〜30%の上乗せが一般的です。第二に枚数の指定で、3枚を超えると1枚あたり基準額の20〜30%が加算されます。第三にハイライト保存の期間指定で、30日保存で10〜20%、無期限保存で20〜40%が目安です。第四に二次利用で、広告素材としての利用許諾は投稿料と同額から2倍の範囲で別途発生します。
見積書で確認すべき点
ストーリーズは「1件いくら」の表記だけでは何が含まれるのかが判断できません。枚数、リンクスタンプの有無と設置枚数、ハイライト保存の期間、インサイトのスクリーンショット提出義務、二次利用の範囲と期間の5点が明記されているかを、発注前に必ず確認してください。この5点が曖昧なまま進むと、投稿後に「ハイライトは別料金です」といった追加請求が発生します。
単価ではなく1クリック単価で判断する
ストーリーズの費用対効果を判断するときは、フォロワー単価そのものではなく、1リンククリックあたりの単価で比較することをおすすめします。たとえばフォロワー10万人で単価2円、費用20万円のインフルエンサーと、フォロワー1万人で単価3円、費用3万円のマイクロインフルエンサーがいたとします。前者の閲覧数が1万件でクリック率1%なら100クリックで2,000円/クリック、後者の閲覧数が3,000件でクリック率4%なら120クリックで250円/クリックとなり、後者が圧倒的に有利という結論になります。フォロワー数が少ないほどストーリーズの閲覧率とクリック率は高くなる傾向があるため、送客を目的にする場合はマイクロ層を厚く使うほうが合理的です。
24時間で消える前提のストーリーズ構成設計
ストーリーズPRは1枚単位ではなく、3〜5枚の連続投稿として設計するのが基本です。1枚だけでは商品の理解から行動までを運びきれず、6枚以上になると最後まで見てもらえる割合が大きく落ちます。ストーリーズは1枚あたり画像で5秒、動画で最大60秒という表示時間の制約があり、視聴者は指1本で次へ飛ばせるため、「1枚で1つのことだけを伝える」という原則を守った構成が必要になります。
1枚目で決まる閲覧完了率
ストーリーズで最も重要なのは1枚目です。視聴者は前のアカウントから流れてきた状態で表示されるため、最初の1〜2秒で自分に関係があるかどうかを判断します。ここでいきなり商品パッケージを大写しにすると「広告だ」と認識されて即座にスキップされます。効果が高いのは、インフルエンサー本人が画面に登場して話しかける形、視聴者の悩みを文字で提示する形、意外な結果を先に見せる形の3つです。いずれも共通しているのは、商品ではなく視聴者の関心から入っている点です。
企業側から「1枚目は必ず本人の顔出しか肉声で始めてください」と指示するだけでも、閲覧完了率は明確に変わります。指示書に盛り込むべき項目の全体像はインフルエンサーディレクションの進め方と指示書で整理しています。
4枚構成の標準テンプレート
| 枚数 | 役割 | 入れる要素 | スタンプ |
|---|---|---|---|
| 1枚目 | フック | 本人登場・悩みの提示・意外な結果の先出し | なし(離脱要因を作らない) |
| 2枚目 | 体験の実況 | 実際に使っている様子・使用前後の変化 | アンケートまたはクイズ |
| 3枚目 | 具体の説明 | 成分・使い方・価格・キャンペーン条件 | リンクスタンプ(1回目) |
| 4枚目 | 行動喚起 | 期限の明示・視聴者へのひと押し | リンクスタンプ(2回目)+メンション |
リンクスタンプを3枚目と4枚目の2回置くのがポイントです。3枚目まで見てくれた層はすでに関心が高いため、そこで1回目のリンクを出し、最後にもう一度出すことで取りこぼしを防ぎます。1回しか置かない場合と比べて、リンククリック数はおおむね1.3〜1.6倍になるというのが実務上の感触です。
投稿時間と曜日の設計
ストーリーズは24時間で消えるため、フィード投稿以上に投稿時間が成果を左右します。一般消費者向け商材であれば、平日の朝7〜8時台、昼12時台、夜20〜22時台が閲覧の山です。このうち夜帯は閲覧数が最も多い一方で競合も多いため、購入まで運びたい場合は決済のハードルが下がる20〜21時台を狙うのが定石です。複数人に同時依頼する場合は、全員を同じ時間帯に集中させず数日に分散させると、ブランドの露出期間が伸びます。分散の考え方はPR投稿のタイミング設計と投稿日を分散させる考え方で具体的に扱っています。
インタラクション機能の使い分け
ストーリーズのスタンプ機能は、目的別に使い分けるのが正解です。リンクスタンプは送客、アンケートスタンプは離脱防止、質問スタンプは見込み客の声の収集、カウントダウンスタンプは期限の可視化というように、それぞれ効く場面が異なります。すべてを1枚に詰め込むと画面が煩雑になり、どれもタップされないという結果になるため、1枚につきスタンプは1種類までという制約を指示書に書いておくことをおすすめします。
機能別の目的と設置ルール
| スタンプ | 主な目的 | 置く枚数 | 効果の目安 | 注意点 |
|---|---|---|---|---|
| リンクスタンプ | LP・ECへの送客 | 3枚目と最終枚 | クリック率1〜3% | URLは企業側が発行し、短縮URLは使わない |
| アンケート(2択) | 離脱防止・関与を作る | 2枚目 | タップ率5〜15% | 商品名を含めず、視聴者自身のことを聞く |
| クイズ | 商品知識の伝達 | 2〜3枚目 | タップ率3〜10% | 正解が推測できる易しさにする |
| 質問(質問箱) | 疑問の収集・次回コンテンツの素材 | 最終枚 | 回答率0.5〜2% | 回答の二次利用可否を事前に合意する |
| カウントダウン | キャンペーン期限の告知 | 1枚目または最終枚 | リマインド登録1〜3% | 期限が実在する施策でのみ使う |
| メンション(@タグ) | 公式アカウントへの誘導 | 最終枚 | プロフィール遷移0.5〜2% | タグ付けだけでは送客にならない |
アンケートスタンプは離脱防止装置として使う
アンケートスタンプの本当の価値は、集計結果そのものよりも、視聴者に指を止めさせて次の枚へ進む確率を上げる点にあります。人はタップしたコンテンツには関与した感覚を持つため、その後の枚数の閲覧完了率が上がります。設問は「この商品を知っていますか」のような企業目線ではなく、「朝のスキンケア、時間かける派?時短派?」のように視聴者自身について聞く形にすると、タップ率が2倍以上変わります。
質問スタンプで集めた声を次に使う
質問スタンプで集まった疑問は、そのまま次回のクリエイティブ素材やLPのFAQに転用できます。「〇〇でも使えますか」「敏感肌でも大丈夫ですか」といった実際の言葉は、社内で想像して書いたコピーよりも遥かに刺さります。ただし、視聴者の投稿内容を企業が二次利用するには本人の同意が必要になる場面があるため、インフルエンサーに回答を共有してもらう際は個人を特定できない形に加工したうえで受け取るのが安全です。
スタンプ配置の黄金比
画面下部3分の1は、機種によってはUI要素と重なってタップしづらくなります。リンクスタンプは画面中央からやや下、上下比でいえば上から60〜70%の位置に置くのが最もタップされやすい配置です。また、文字情報とスタンプが重ならないよう、テキストは画面上部3分の1にまとめるよう指示書に明記してください。
リンク付きストーリーズの依頼と計測設計
リンク付きストーリーズを依頼するときは、リンク先URLを企業側が発行して渡すのが原則です。インフルエンサーに自由にURLを設定させると、計測パラメータが付かないまま投稿されて成果が追えなくなったり、リンク先がトップページになって離脱したりします。ストーリーズはリンクを貼れる貴重な枠であるにもかかわらず、この一手間を省いたために「クリック数は不明ですが反応は良かったです」という報告で終わってしまう例が非常に多く見られます。
依頼時に渡すべき4点セット
リンク付きストーリーズの依頼では、次の4点をセットにして渡してください。第一に計測パラメータ付きの完全なURLです。第二にリンクスタンプに表示させるテキストで、「詳しくはこちら」より「クーポンを受け取る」のように得られるものを書いたほうがクリック率は上がります。第三にリンクを置く枚数の指定です。第四にリンク先で実施しているキャンペーンの終了日時で、期限をストーリーズ内で言及してもらうためです。この4点を1枚のシートにまとめて渡すだけで、投稿の質と計測精度が安定します。
計測パラメータの設計
| パラメータ | 設定値の例 | 意味 |
|---|---|---|
| utm_source | 流入元の媒体 | |
| utm_medium | influencer_story | ストーリーズ経由であることを区別 |
| utm_campaign | 2026aw_launch | 施策単位の識別 |
| utm_content | アカウント名+枚数番号 | 誰の何枚目からの流入かを特定 |
重要なのはutm_contentにアカウント名と枚数番号の両方を入れることです。これによって「3枚目のリンクと4枚目のリンクのどちらが効いたか」まで分解でき、次回の構成改善に直結します。インフルエンサーごとにURLを個別発行する運用は手間がかかりますが、成果配分の根拠になるため省略しないでください。計測全般の設計はインフルエンサー施策の効果測定の方法と計測ツールで体系的に解説しています。
計測がズレる3つの原因
ストーリーズの計測は、インフルエンサー側のインサイト数値と自社側の計測数値が一致しないことが頻繁に起こります。原因は主に3つあります。第一に、アプリ内ブラウザからSafariやChromeへ遷移する際にセッションが切れ、参照元が直接流入として計上されるケースです。第二に、複数のインフルエンサーが同時期に投稿しているとユーザーが別経路で再訪して購入し、最後のタッチポイントに成果が寄るケースです。第三に、リンクスタンプのタップ数はページの読み込み完了を待たずにカウントされるため、構造的に自社側のセッション数より2〜3割多く出るケースです。
数値が合わないときの判断基準
インフルエンサー側のタップ数と自社側のセッション数に2〜3割の乖離があるのは正常な範囲です。乖離が5割を超える場合は、リンク先ページの読み込みが遅い、リダイレクトが多段になっている、計測タグが発火していないといった技術的な問題を疑ってください。乖離を理由にインフルエンサーへ不信を伝える前に、まず自社側の計測を検証することをおすすめします。
ハイライト保存によるストーリーズの延命
24時間で消えるという弱点は、ハイライト保存を契約条件に入れることで実質的に解消できます。ハイライトはプロフィール画面の上部に固定表示される領域で、ここに保存されたストーリーズは期限なく閲覧でき、リンクスタンプも生きたまま機能し続けます。つまりハイライト保存を条件に含めれば、ストーリーズは24時間のフロー型コンテンツから、プロフィール上に常設されるストック型の導線に変わります。
ハイライト保存の依頼条件
依頼時には、保存期間と表示位置の2つを明示してください。保存期間は最低30日が目安で、季節商材や通年商材であれば90日から無期限を交渉する価値があります。表示位置はプロフィール上で左から何番目に置くかを指定します。ハイライトは左から順に並ぶため、左端に近いほど閲覧されます。カバー画像を企業側で用意して渡すと、ブランドの世界観が揃い、インフルエンサー側の手間も減るため受諾されやすくなります。
ハイライト保存の追加費用は投稿料の10〜40%が相場ですが、30日程度であれば無償で応じてもらえることも少なくありません。特に継続的な関係を築きたい相手であれば、初回から強く要求するより、成果が出た2回目以降に条件へ加えるほうが交渉は円滑に進みます。継続起用の設計はインフルエンサーの継続起用と長期契約の設計・運用ガイドを参照してください。
自社アカウントへのリポストと二次利用
インフルエンサーのストーリーズを自社の公式アカウントでリポストすることも、延命の有効な手段です。メンションされたストーリーズは公式アカウント側で簡単に再投稿でき、さらに自社のハイライトにも保存できます。ただし、これはあくまで元投稿が生きている24時間以内に限られるため、投稿日時を事前に共有してもらい、社内の担当者が当日対応できる体制を組んでおく必要があります。
より本格的な二次利用、たとえば自社LPへの掲載や広告素材としての利用は、必ず契約で範囲と期間を定めてください。口頭合意のまま広告配信を始めてしまい、後から追加報酬を請求されるトラブルは頻発します。二次利用の考え方とUGCの活かし方はUGCマーケティングの活用法と二次利用の進め方にまとめています。
パートナーシップ広告への転用
反応の良かったストーリーズは、パートナーシップ広告(旧ブランドコンテンツ広告)としてMeta広告で配信すると、投稿の寿命を実質的に無期限に延ばせます。インフルエンサー本人のアカウント名義で広告が表示されるため、通常の広告よりも広告らしさが薄まり、クリック率が改善する傾向があります。Metaは公式に、通常キャンペーンへパートナーシップ広告を組み合わせた検証でクリック率が13%向上、獲得単価が19%改善したと発表しています。転用にはインフルエンサー側でのパートナーシップラベルの許可設定が必要になるため、依頼段階で設定の可否を確認しておいてください。
フィード投稿・リールとの組み合わせ設計
ストーリーズは単体で使うより、フィードやリールと組み合わせたほうが費用対効果は明確に高くなります。理由は、ストーリーズが既存フォロワーへの到達に強い一方で、フォロワー外への拡散力をほとんど持たないためです。新規層に届ける役割をリールやフィードに担わせ、届いた層を動かす役割をストーリーズに担わせると、認知から行動までが1人のインフルエンサーの中で完結します。
定番の3パターン
| パターン | 構成 | 費用感(フォロワー3万人の場合) | 向いている目的 |
|---|---|---|---|
| ストーリーズ単発 | ストーリーズ3〜4枚のみ | 3〜9万円 | 期間限定セール・在庫処分・短期送客 |
| フィード+ストーリーズ | フィード1本+ストーリーズ3枚(誘導付き) | 7.5〜16.5万円 | 新商品の認知と送客の同時達成 |
| リール+ストーリーズ+ハイライト | リール1本+ストーリーズ4枚+30日保存 | 10〜24万円 | 新規層への拡散と継続的な導線確保 |
最も再現性が高いのは2番目のフィード+ストーリーズのセットです。フィード投稿で丁寧に商品を紹介して信頼を作り、同日または翌日のストーリーズで「さっきの投稿の商品、リンク貼っておきます」と誘導する流れは、視聴者にとって自然であり、押し売り感が出ません。Instagram施策全体の組み立て方はInstagramインフルエンサーマーケティング完全ガイドで総論を扱っています。
予算別の配分例
予算30万円であれば、フォロワー1〜3万人のマイクロインフルエンサー3〜4名にフィード+ストーリーズのセットを依頼する配分が現実的です。予算100万円であれば、フォロワー10万人規模を1名だけ起用するよりも、5万人規模を2名とマイクロ層5名に分散させたほうが、クリック単価とリスク分散の両面で有利になります。ストーリーズは1人あたりの投稿単価が低いため、人数を増やして接触回数を稼ぐ設計と相性が良い形式です。少ない予算での組み立て方は低予算で始めるインフルエンサーマーケティングの予算配分術で詳述しています。
投稿順序の設計
複数の形式を組み合わせる場合、投稿順序は「リール→フィード→ストーリーズ」または「フィード→ストーリーズ」が基本です。ストーリーズを先に出してしまうと、まだ商品を理解していない状態でリンクを見せることになり、クリックされても離脱率が高くなります。1人のインフルエンサーに複数形式を依頼する場合は、同日に全部出すのではなく、リールを初日、フィードを2日目、ストーリーズを3日目に配置すると、フォロワーの記憶に3回接触でき、認知の定着率が上がります。
ストーリーズ固有の評価指標
ストーリーズの評価は、リーチ数ではなく閲覧完了率・スタンプタップ率・リンククリック率の3つで行います。リーチ数はインフルエンサーのフォロワー数でほぼ決まってしまう数字であり、クリエイティブの良し悪しも企画の適切さも反映しません。一方でこの3指標は、どの枚で離脱したか、どのスタンプが効いたか、最終的に何人が動いたかを示すため、次回の改善に直結します。
3つの指標の定義と目安
| 指標 | 計算式 | 目安(2026年9月時点) | 低いときに疑うこと |
|---|---|---|---|
| 閲覧完了率 | 最終枚の閲覧数 ÷ 1枚目の閲覧数 | 70%以上が良好、60%未満は要改善 | 1枚目のフック不足・枚数過多・文字量過多 |
| スタンプタップ率 | スタンプのタップ数 ÷ その枚の閲覧数 | アンケート5〜15%、クイズ3〜10% | 設問が企業目線・スタンプの位置が悪い |
| リンククリック率 | リンクタップ数 ÷ リンク設置枚の閲覧数 | 1〜3%が標準、5%超は非常に良好 | リンクテキストが弱い・メリットの提示不足 |
| スキップ率 | 次へタップ ÷ その枚の閲覧数 | 40%未満が良好、50%超は要改善 | 1枚あたりの情報量が多すぎる |
閲覧完了率が70%を割る場合、原因のほとんどは1枚目にあります。2枚目以降で大きく落ちている場合は、その枚の文字量が多すぎるか、商品説明に急に切り替わって広告感が出ているかのどちらかです。どの枚で落ちているかを特定できるのがストーリーズの強みであり、フィード投稿では得られない改善情報です。
ナビゲーション指標の読み方
Instagramのインサイトでは、視聴者の離脱行動が「次へ」「戻る」「次のアカウントへ」「退出」の4つに分かれて記録されます。このうち注目すべきは「戻る」と「次のアカウントへ」です。「戻る」が多い枚は、情報が多すぎて読み返された可能性が高く、内容としては関心を持たれている証拠でもあります。一方で「次のアカウントへ」のスワイプが多い枚は、視聴者がその時点でコンテンツへの興味を失っており、最も優先して改善すべき箇所になります。
インサイト提出を契約条件にする
ストーリーズは24時間で消えるため、インサイトのスクリーンショットを提出してもらわないと後から数値を確認できません。投稿から24時間以内、できれば23時間時点での撮影を条件として依頼文に明記してください。提出物として指定すべきは、各枚の閲覧数、スタンプのタップ数、リンクのタップ数、ナビゲーション内訳の4点です。なお、ストーリーズのインサイトはアーカイブから期間内であれば後日でも確認できますが、インフルエンサー側の設定によってはアーカイブが無効の場合もあるため、24時間以内の提出をルールにしておくのが安全です。KPIの置き方はインフルエンサー施策のKPI設計とテンプレートを参考にしてください。
依頼文と指示書に書くストーリーズ固有の条項
ストーリーズの指示書には、フィード投稿の指示書に加えて、枚数・スタンプ・リンク・保存・インサイト提出という5つの固有条項が必要です。これらはフィード投稿の依頼書式には存在しない項目であるため、既存のテンプレートを流用すると必ず抜け落ちます。抜けたまま進行すると、投稿されたストーリーズが1枚だけでリンクもなく、成果も測れないという最悪の結果になり得ます。
依頼文に入れる要素
初回の打診文では、報酬額と投稿内容の概要に加えて、ストーリーズ特有の条件を先に開示してください。後出しで条件を追加すると信頼を損ない、価格交渉も不利になります。具体的には、依頼する枚数、リンクスタンプの設置有無、ハイライト保存の期間、インサイト提出の要否の4点を打診段階で伝えます。依頼文そのものの書き方や例文はインフルエンサーへの依頼文面の書き方とテンプレート例文にまとめています。
指示書に記載する7項目
実際の指示書には、次の7項目を必ず記載してください。第一に投稿枚数と各枚の役割です。第二に1枚目の表現方法の指定で、本人登場か肉声かを明示します。第三にリンクスタンプの設置枚数と表示テキストです。第四に使用してよいスタンプの種類と1枚あたりの上限です。第五に必須で言及してほしいキーワードと、使用してはいけない表現です。第六にPR表記の方法と表示位置です。第七にハイライト保存の期間と表示位置です。
あわせて、禁止事項も箇条書きで明示しておくと認識のずれを防げます。実務で有効だったのは次の5点です。
- 1枚に3つ以上のスタンプを配置しないこと
- 画面下部20%にテキストやスタンプを置かないこと(UIと重なるため)
- 商品名の誤表記、旧パッケージ画像の使用をしないこと
- 効果効能について断定的な表現を使用しないこと
- 他社製品との直接比較や、他社を貶める表現を含めないこと
ステマ規制とPR表記の扱い
ストーリーズにも景品表示法のステルスマーケティング規制は当然に適用され、事業者からの依頼で投稿する場合は広告であることを明示する必要があります。ストーリーズは1枚ごとに独立して視聴されるため、1枚目にだけPR表記を入れても、2枚目から見た視聴者には広告と伝わりません。全枚数に表記を入れるのが最も安全です。表記は画面上部の視認しやすい位置に、背景と十分なコントラストのある文字色で、「#PR」または「プロモーション」と記載します。Instagramのタイアップ投稿ラベル機能を併用すると、より明確になります。詳しい要件はステマ規制とは?景表法対応と#PR表記の実務ガイドで解説しています。
なお、動画のストーリーズで音声のみでPRである旨を述べる方法は、音を切って視聴する層に伝わらないため不十分です。必ず文字で表示してください。化粧品や健康食品を扱う場合は薬機法の制約も重なるため、表現の確認フローを社内に置くことをおすすめします。
ストーリーズ施策の運用チェックリスト
ストーリーズ施策は投稿から24時間しか猶予がないため、事前準備の精度がそのまま成果を決めます。フィード投稿であれば投稿後の修正依頼も間に合いますが、ストーリーズは修正している間に消えてしまいます。そのため、投稿前の確認を徹底し、投稿当日は即応できる体制を組んでおくことが、他の形式以上に重要になります。
投稿3日前までの確認事項
投稿の3日前までに、計測パラメータ付きURLの発行と動作確認、リンク先ページの表示速度確認、在庫とクーポンコードの有効性確認、原稿と画像の最終確認を完了させてください。特にリンク先ページの表示速度は見落とされがちで、ストーリーズからの流入はモバイル回線がほとんどであるため、表示に3秒以上かかると流入の半分近くが離脱します。クーポンコードは必ず実際に入力して使えることを確認してください。
投稿当日の運用
投稿当日は、公開後30分以内に内容を確認し、PR表記の有無、リンクの動作、商品名の表記を点検します。問題があれば、この時点であれば投稿の削除と再投稿が現実的な選択肢になります。同時に、自社公式アカウントでのリポストを実施し、コメントやDMで届く質問に対応できるよう担当者を配置してください。ストーリーズは視聴者からの返信が届きやすい形式であり、インフルエンサー側に問い合わせが集中することがあるため、想定問答を事前に共有しておくと親切です。
投稿後の振り返りと社内報告
振り返りでは、インフルエンサーごとに閲覧完了率・リンククリック率・クリック単価・獲得件数の4つを一覧化します。ここで重要なのは、成果が出なかったインフルエンサーを切り捨てる判断を1回のデータで下さないことです。ストーリーズは投稿時間や当日のフォロワーの状況で数値が2倍近く変動するため、判断には最低2回の実施データが必要です。社内報告では、クリック単価をSNS広告の実績と並べて提示すると、決裁者にとって比較可能な形になります。広告との使い分けの考え方はSNS広告とインフルエンサー施策の使い分け比較で整理しています。
ストーリーズは24時間で消える形式であるからこそ、消える前提で設計し、消えたあとに何を残すかまで決めておくことが成果の分かれ目になります。リンククリックという明確な行動データ、ハイライトという常設導線、そして広告素材という資産の3つを残せる設計にできれば、費用対効果が不安という悩みは数値で解消できるはずです。
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