転職サイトや転職エージェント、求人アプリを運営する事業者にとって、求職者の会員登録をどう増やすかは最大の課題です。比較サイトや検索広告だけでは獲得単価が上がり続けるなか、キャリア系の発信者を起用して、まだ転職サービスを比較していない層に知ってもらう施策が注目されています。一方で、転職は人生に関わるテーマであり、求人や人材サービスの表示には職業安定法の独自のルールもあります。この記事では、転職サービスのインフルエンサー活用について、事業モデル別の狙い、成果報酬型アフィリエイトとの違い、職種別・層別の訴求、向いている発信者、会員登録までの導線、法規制の注意点、KPI、時期と予算の考え方までを2026年10月時点の実務目線で整理しました。
この記事の要点
- 転職サービスのインフルエンサー活用は、求職者が「今すぐ動かない時期」に信頼を積み上げ、転職を考えた瞬間に自社サービスを思い出してもらうための施策です。
- 成果報酬型のアフィリエイトが「登録直前の比較検討層」を刈り取るのに対し、インフルエンサー起用は「まだ比較を始めていない潜在層」の認知と指名検索を作る役割を担います。
- 会員登録の数だけでなく、有効登録率・面談実施率・応募や入社まで追うと、登録の質を含めて施策を評価できます。
- 求人・自社サービスの情報は職業安定法の的確表示義務の対象で、根拠のないNo.1表示や「登録でギフト券」といった金銭等の提供による勧誘は避ける必要があります。
- 職種別・層別に発信者を分け、それぞれ専用のLPと計測リンクを用意すると、どの訴求が登録につながったかを判断しやすくなります。
転職サービスのインフルエンサー活用とは
転職サービスのインフルエンサー活用とは、転職サイト・転職エージェント・求人アプリ・スカウトサービスなどの事業者が、求職者層に影響力を持つ発信者に自社サービスを紹介してもらい、サービスの認知と会員登録を獲得するプロモーション施策のことです。企業が自社の採用のために社員や外部の発信者を起用する「採用インフルエンサー」とは目的が異なり、獲得したいのは自社への応募者ではなく、サービスを使う求職者そのものです。
自社採用のための発信との違い
自社採用のための発信は、特定の企業で働く魅力を伝え、その企業への応募を増やすことがゴールです。一方、転職サービスのプロモーションは、「どの会社に転職するか」をまだ決めていない求職者に対して、「転職活動の進め方」や「サービスを使うメリット」を伝え、登録という最初の行動を促すことがゴールになります。訴求の主語が「この会社」ではなく「あなたの転職活動」になる点が大きな違いです。社員発信を中心にした自社採用の設計は採用インフルエンサー活用の設計と社員発信の運用ルールで詳しく解説しています。
転職市場の規模と求職者の情報収集
総務省統計局の「労働力調査(詳細集計)」によると、2025年平均の転職者数は330万人、今の仕事を辞めてほかの仕事に変わりたい人などを含む「転職等希望者」は1,023万人です。実際に転職した人の3倍以上が転職を考えている計算になり、転職サービスにとっては、まだ動き出していない層にどう知ってもらうかが大きなテーマになっています。転職を考えた人の多くは、求人サイトや口コミサイトに加え、YouTubeやInstagram、X、TikTokで「転職体験談」や「職種別の年収事情」を調べてから行動を始めます。2026年10月時点では、転職エージェントの担当者や人事経験者、現役の専門職がSNSで発信するキャリア系のアカウントが数多く存在し、求職者にとって身近な情報源になっています。
インフルエンサー起用が効く理由
転職サービスは、登録時に職歴や連絡先といった個人情報を入力する必要があり、求職者にとって心理的なハードルが高い商材です。さらに、転職は人生の大きな決断であるため、広告の言葉よりも「実際に使った人」「業界を知っている人」の話を信頼する傾向があります。自分と近い立場の発信者が転職活動の実体験と一緒にサービスを紹介することで、このハードルを下げられる点に、インフルエンサー起用の意味があります。
事業モデル別に変わる施策の狙い
転職サービスのインフルエンサー施策は、事業モデルによって「何を登録のゴールに置くか」と「何を訴求するか」が変わります。求人を検索して自分で応募する求人サイトと、担当者が面談して求人を紹介するエージェントでは、登録後の体験がまったく異なるためです。
求人サイト・求人アプリの場合
求人サイトや求人アプリは、求人の検索のしやすさや掲載件数、条件で絞り込める機能が主な訴求ポイントです。登録のハードルは比較的低く、アプリのインストールや会員登録を数多く獲得することが目標になりやすいため、リールやショート動画で使い方を見せる施策と相性が良好です。アプリのインストール獲得の考え方はアプリのインフルエンサープロモーション設計とインストール獲得も参考になります。
転職エージェントの場合
転職エージェントは、登録後にキャリアアドバイザーとの面談があり、そこから求人紹介・応募・内定へと進みます。そのため、登録数よりも「面談まで進んだ人の数」が事業上の成果に直結します。訴求では、面談で何を相談できるのか、担当者がどう伴走してくれるのかといった体験を具体的に伝えることが重要です。発信者自身が面談を受けた体験を語ってもらうと、登録後の流れが想像しやすくなります。
スカウト型・ハイクラス向けサービスの場合
スカウト型のサービスやハイクラス向けの転職サービスは、「今すぐ転職するつもりはないが、市場価値は知りたい」という潜在層の登録が中心です。訴求は「登録しておくだけで声がかかる」「自分の市場価値が分かる」といった、すぐに動かなくても使える価値が軸になります。発信者には、経験豊富なビジネスパーソンや管理職経験のある人が向いており、LinkedInやnote、YouTubeの長尺動画など、じっくり読まれる媒体の比重が高まります。
| 事業モデル | 登録のゴール | 主な訴求軸 | 相性の良い媒体 |
|---|---|---|---|
| 求人サイト・求人アプリ | 会員登録、アプリのインストール | 求人の探しやすさ、条件検索、通知機能 | TikTok、リール、YouTubeショート |
| 転職エージェント | 登録後の面談実施 | 面談の中身、担当者の伴走、非公開求人 | YouTube、Instagram、X |
| スカウト型サービス | 職務経歴の登録完了 | 市場価値の把握、待つだけで届くスカウト | X、note、YouTube |
| ハイクラス向けサービス | 経歴登録と面談 | 年収レンジ、ヘッドハンターの質 | LinkedIn、YouTube長尺、Podcast |
| 職種特化型サービス | 職種条件の登録 | 業界の求人の多さ、専門アドバイザー | 職種コミュニティの強いSNS |
成果報酬型(アフィリエイト)との違いと使い分け
インフルエンサー起用と成果報酬型のアフィリエイトは、狙う求職者の段階が違うため、どちらか一方ではなく役割を分けて併用するのが基本です。転職サービスはアフィリエイト広告が広く使われてきた業界ですが、比較サイトやランキング記事は「すでに転職サービスを探している人」を対象にしているため、それだけでは新しい需要を生み出しにくい面があります。
アフィリエイトが得意な領域
アフィリエイトは、「転職エージェント おすすめ」「20代 転職サイト 比較」といった検索をしている、登録直前の比較検討層を獲得するのが得意です。登録や面談の発生に応じて報酬を支払うため、獲得単価が読みやすく、予算管理がしやすい点も特長です。ただし、比較記事の中で他社と横並びに紹介されるため、自社サービスならではの魅力が伝わりにくく、登録が「とりあえず複数登録」の一つになりやすい傾向があります。
インフルエンサー起用が得意な領域
インフルエンサー起用は、まだ転職サービスを比較していない潜在層に、発信者の体験や価値観を通じてサービスを知ってもらうのが得意です。投稿を見た人がすぐに登録しなくても、数か月後に転職を考えたときにサービス名で検索する「指名検索」が生まれることがあります。また、発信者のファンは発信者の推薦を信頼しているため、比較記事経由の登録よりも、サービスへの期待値がそろった状態で登録してもらえるのが利点です。成果報酬型の仕組みと料率の考え方は成果報酬型インフルエンサー施策の仕組みと料率相場・設計の実務で整理しています。
| 比較項目 | インフルエンサー起用(固定報酬型) | アフィリエイト(成果報酬型) |
|---|---|---|
| 主な対象 | 転職を意識し始めた潜在層 | サービスを比較中の顕在層 |
| 主な成果 | 認知、指名検索、期待値の高い登録 | 登録・面談の直接獲得 |
| 費用の発生 | 投稿ごとの固定報酬が中心 | 登録や面談などの成果発生時 |
| 訴求の自由度 | 体験談や価値観と一緒に深く伝えられる | 比較の中で横並びに紹介されやすい |
| 成果が出るまでの期間 | 投稿直後から数か月後まで続く | 掲載中は比較的すぐに発生 |
| 主な管理ポイント | 発信者の選定、投稿内容の確認 | 掲載メディアの表示内容の監視 |
2つを組み合わせる設計
実務では、インフルエンサー投稿で認知と指名検索を作り、検索結果に出てくる比較記事や自社の広告で登録を取りきる、という二段構えが効果的です。インフルエンサーに成果報酬を組み合わせる場合は、固定報酬を土台にして登録数に応じた上乗せを設ける形が、発信者の納得感を得やすい方法です。広告の選び方全体の考え方はインフルエンサーとアフィリエイトはどっち?成果を出す広告の選び方で比較しています。
職種別・層別の訴求の作り方
転職サービスの訴求は、求職者の職種と年代によって刺さるポイントがまったく異なるため、ターゲットを分けて発信者と訴求を組み合わせることが成果の近道です。「誰にでも使える転職サービス」と一括で伝えるより、「看護師の夜勤なし転職」「エンジニアの年収アップ」のように具体的な文脈で伝えたほうが、見る人が自分ごととして受け取れます。
若手・第二新卒向けの訴求
20代の若手や第二新卒は、「今の仕事を続けていいのか分からない」「何から始めればいいか分からない」という不安を抱えていることが多い層です。訴求は、自己分析の手伝いや職務経歴書の添削など、転職活動の入口を支えるサポートが中心になります。発信者は、同世代で実際に転職した経験を持つ人や、キャリアの悩みに寄り添う発信をしている人が向いています。TikTokやリールで「転職して変わったこと」を短く見せる投稿が、関心を持ってもらうきっかけになります。
専門職・職種特化の訴求
ITエンジニア、看護師・介護職、保育士、営業職、施工管理など、職種が明確な層には、その職種ならではの悩みに即した訴求が効果的です。たとえば、エンジニアなら技術スタックやリモートワークの可否、看護師なら夜勤の有無や託児所の有無といった、職種固有の条件で求人を探せることが価値になります。発信者には現役の同職種や元同職種の人を選ぶと、専門用語や働き方の実情を踏まえた説得力のある投稿になります。
ハイクラス・管理職層の訴求
年収の高い層や管理職層は、転職を急いでいないことが多く、情報の質と秘密保持を重視します。訴求は、「在職中でも周囲に知られずに市場価値を確認できる」「経験を評価してくれるヘッドハンターとつながれる」といった、慎重な人が安心して使える点が軸になります。派手な演出よりも、落ち着いたトーンの長尺動画や記事、音声メディアでの対談形式が向いています。
| ターゲット層 | 主な悩み | 響きやすい訴求 | 向いている発信者 |
|---|---|---|---|
| 若手・第二新卒 | 何から始めればいいか分からない | 自己分析・書類添削のサポート | 同世代の転職経験者、キャリア系発信者 |
| ITエンジニア | 技術を活かせる職場が分からない | 技術スタックや働き方で探せる | 現役エンジニア、技術系YouTuber |
| 看護・介護職 | 夜勤や人間関係の負担 | 勤務条件で絞り込める、職場の内部情報 | 現役・元看護師、介護職の発信者 |
| 営業職 | 評価制度や年収への不満 | 年収アップ事例、異業種への挑戦 | 営業経験のあるビジネス系発信者 |
| ハイクラス・管理職 | 周囲に知られず情報を集めたい | 市場価値の把握、秘密保持 | 経営・人事経験者、ビジネス系の長尺発信者 |
向いているインフルエンサー像と媒体の選び方
転職サービスに向いているのは、フォロワー数よりも「キャリアについて相談される立場にあるか」と「フォロワーの職種・年代がターゲットと一致しているか」で選んだ発信者です。転職は人の人生に関わるテーマのため、日頃から誠実に情報を発信している人のほうが、紹介の効果も信頼性も高くなります。
キャリア系発信者の4つの類型
キャリア系の発信者は、大きく4つの類型に分けられます。1つ目は、元キャリアアドバイザーや元人事の「業界経験者型」で、選考の裏側やサービスの使いこなし方に説得力があります。2つ目は、自身の転職体験を発信する「体験共有型」で、同じ立場の求職者に共感されやすいのが特長です。3つ目は、特定の職種の働き方や年収事情を伝える「職種専門型」で、職種特化のサービスと相性が良好です。4つ目は、働き方や暮らし全般を発信する「ライフスタイル型」で、転職を考えていなかった層にきっかけを届けられます。
媒体ごとの役割分担
YouTubeは転職活動の進め方やサービスの使い方を詳しく説明でき、検索経由で長く見られるため、登録の質を高めやすい媒体です。Xは転職に関する本音の議論が活発で、ビジネス層やエンジニア層に届きやすい媒体です。InstagramとTikTokは、若手層や女性の多い職種に向けて、転職後の働き方や暮らしの変化を見せるのに向いています。LinkedInやnoteは、ハイクラス層やBtoB職種への訴求で役割を持ちます。媒体ごとの特性はYouTubeタイアップの費用相場と依頼方法・進め方ガイドなども参考にしてください。
選定時に確認したいポイント
転職サービスの発信者を選ぶときは、フォロワーの年代・性別・職種の分布、過去の投稿で特定の企業や業界を過度に批判していないか、競合の転職サービスの案件を直近で受けていないかを必ず確認します。特に、競合サービスを最近紹介していた発信者に依頼すると、フォロワーから「どれを勧めているのか分からない」と受け取られ、信頼を損ねるおそれがあります。案件の重複を避けるため、競合案件の受注状況と、契約期間中の同業案件の取り扱いを事前にすり合わせておくことが大切です。
会員登録までの導線設計
転職サービスの施策は、投稿の出来よりも、投稿を見た人が登録を完了するまでの導線で成果が大きく変わります。せっかく関心を持ってもらっても、リンク先が汎用的なトップページだったり、登録フォームの入力項目が多すぎたりすると、多くの人が途中で離脱してしまいます。
発信者ごとの専用LPを用意する
投稿からのリンク先は、サービスのトップページではなく、発信者の訴求に合わせた専用のランディングページにすることをおすすめします。たとえば、看護師の発信者からの流入には看護師向けの求人例や面談の流れを、エンジニアの発信者からの流入には技術職向けの機能を最初に見せます。発信者の名前や投稿内容と、リンク先の内容がつながっていると、見た人は「さっきの話の続きだ」と感じて登録に進みやすくなります。
登録フォームの負担を下げる
登録フォームは、最初の段階で必要な項目だけに絞り、職務経歴の詳細は登録後に入力してもらう段階的な設計が効果的です。SNSから流入する人はスマートフォンで閲覧していることが多いため、スマートフォンでの入力のしやすさを必ず確認してください。また、「登録後にどんな連絡が来るのか」「在職中に知られることはないか」といった不安に、フォームの近くで先回りして答えておくと、離脱を減らせます。
登録後の初回接点まで設計する
転職エージェントの場合、登録から面談の予約までの間に多くの人が離脱します。インフルエンサー経由の登録者には、発信者の投稿内容に触れた初回連絡を送る、面談予約の候補日時をすぐに提示する、といった工夫で面談への移行率を高められます。求人アプリの場合は、登録直後に希望条件に合う求人を通知するなど、最初の体験で価値を感じてもらう設計が重要です。流入の計測方法はインフルエンサー施策のUTMパラメータ設定と流入計測の手順で解説しています。
| 導線の段階 | よくある離脱の原因 | 改善の打ち手 |
|---|---|---|
| 投稿からリンク先へ | リンクが分かりにくい、ストーリーズのみ | プロフィールリンクと固定投稿で常設する |
| リンク先から登録開始 | 投稿内容とLPの内容がつながらない | 発信者別・職種別の専用LPを用意する |
| 登録フォーム | 入力項目が多い、スマートフォンで入力しにくい | 初回は最小限の項目に絞り、段階的に入力してもらう |
| 登録から初回接点 | 連絡が遅い、定型文だけで終わる | 流入元に合わせた初回連絡と即時の予約案内 |
| 面談・応募 | 期待していた求人がない | 投稿で約束した内容と実際の求人をそろえる |
職業安定法・景品表示法・ステマ規制の注意点
転職サービスのプロモーションでは、ステマ規制に加えて、職業安定法の的確表示義務と、金銭等の提供による勧誘の禁止に特に注意が必要です。求人や人材サービスは、求職者の生活に直接影響するため、一般的な商品よりも表示のルールが厳しく定められています。
募集情報の的確表示義務
2022年10月1日に施行された改正職業安定法により、求人メディアや職業紹介事業者などには、求人等に関する情報を的確に表示する義務が課されました。対象となるのは、求人情報、求職者情報、求人企業に関する情報、自社に関する情報、事業の実績に関する情報で、虚偽の表示や誤解を生じさせる表示は禁止されています。つまり、インフルエンサーの投稿で「求人数業界最大級」「利用者の年収が平均100万円アップ」といったサービスの実績を伝える場合も、根拠のある正確な内容でなければなりません。発信者に伝える実績データは、出典と集計の時点、集計の条件をそろえて渡し、投稿でも誤解のない言い方をしてもらうことが大切です。
お祝い金など金銭等の提供による勧誘の禁止
職業安定法に基づく指針により、職業紹介事業者は2021年4月から、募集情報等提供事業者は2025年4月1日から、求職者に対して金銭やギフト券などを提供して求職の申込みや登録を勧めることが原則として禁止されています。インフルエンサー施策でよく使われる「登録した人全員にギフト券」「面談を受けたらポイント進呈」といったキャンペーンは、この規制に抵触するおそれがあります。プレゼントキャンペーンを企画する場合は、登録や応募を条件にしない形にできるかを含め、必ず事前に法務や専門家に確認してください。
No.1表示とステマ規制
「満足度No.1」「求人数No.1」のような表示は、景品表示法上、客観的な調査に基づく根拠がなければ優良誤認表示にあたるおそれがあり、消費者庁も2024年に調査結果を公表して注意を促しています。また、2023年10月1日に施行されたステマ規制により、企業が依頼した投稿には広告であることが分かる表示が必要です。転職体験談の形で紹介してもらう場合でも、企業からの依頼であれば#PRなどの表記を入れてもらう必要があります。表記の詳しいルールはステマ規制とは?景表法対応と#PR表記の実務ガイドで解説しています。
投稿前に確認したい表示のポイント
- 投稿で触れるサービスの実績(求人数・利用者数・年収アップ率など)に、出典と集計時点のある根拠がありますか。
- 「No.1」「最大級」などの表現は、客観的な調査に基づいていて、調査の条件を併記できますか。
- 登録や面談の実施を条件にした金銭・ギフト券・ポイントなどの提供を企画していませんか。
- 「必ず年収が上がる」「誰でも内定がもらえる」といった断定的な表現になっていませんか。
- すべての投稿に#PRなどの広告表記を、見やすい位置に入れてもらう依頼をしましたか。
KPI設計と効果測定の進め方
転職サービスの施策は、会員登録数だけでなく、有効登録率、面談や応募への移行率、入社までの成果を段階的に追うことで、正しく評価できます。登録数が多くても、ターゲット外の層ばかりでは事業の成果につながらず、逆に登録数が少なくても入社まで進む人が多い発信者もいるためです。
段階ごとの指標と見るタイミング
投稿直後は、再生数や保存数、リンクのクリック数で、どれだけの人に関心を持ってもらえたかを確認します。その後、登録数と、職種や年代がターゲットに合っている有効登録の割合を見ます。転職エージェントであれば面談実施数、求人サイトであれば応募数まで追い、最終的には入社や採用企業からの売上までを発信者別に比べます。転職活動には数か月かかるため、入社までの成果は投稿から3〜6か月ほど追い続ける前提で計測の仕組みを用意します。
| 段階 | 主な指標 | 確認するタイミング | 判断のポイント |
|---|---|---|---|
| 認知 | 再生数、リーチ数、保存数 | 投稿から7日後 | ターゲット層に届いたかを確認します |
| 興味・検索 | リンククリック数、指名検索数 | 投稿から14日後 | サービス名での検索が増えたかを見ます |
| 登録 | 会員登録数、有効登録率、登録単価 | 投稿から30日後 | ターゲット外の登録が多くないかを確認します |
| 面談・応募 | 面談実施率、応募数 | 投稿から1〜2か月後 | 登録の質を発信者別に比べます |
| 入社・売上 | 入社数、成約売上、LTV | 投稿から3〜6か月後 | 施策全体の採算を判断します |
指名検索と間接効果の測り方
インフルエンサー投稿の効果は、投稿のリンク経由の登録だけでは測りきれません。投稿を見た人が後日サービス名で検索して登録するケースが多いため、投稿期間の前後で指名検索数や自然検索からの登録数がどう変化したかもあわせて確認します。登録フォームに「サービスを知ったきっかけ」を選択式で聞く項目を設けておくと、リンクを経由しなかった登録も把握しやすくなります。
発信者別の採算の比べ方
発信者別に、報酬額を有効登録数や面談実施数で割った単価を算出し、他の集客チャネルの単価と比べると、施策の採算を判断できます。このとき、登録単価だけでなく、面談実施単価や入社単価まで比べることが大切です。登録単価は高くても面談や入社につながる割合が高い発信者は、長期的に見ると費用対効果が高い場合があるためです。
施策の時期設計と予算の考え方
転職サービスの施策は、求職者が転職を考えやすい時期の少し前に投稿をそろえ、その後も継続的に接点を持つ設計が効果的です。転職は思い立ってすぐに決めるものではないため、単発の投稿よりも、時期を分けた複数回の接触が登録につながりやすくなります。
転職を考えやすい時期を意識する
一般に、年度替わりの4月入社を目指す動きが出る年明けから春先、夏の賞与支給後から秋にかけては、転職活動を始める人が増える時期と言われています。また、年末年始や大型連休は、仕事から離れてキャリアを見直す人が多いタイミングです。こうした時期の2〜4週間前に投稿がそろうよう、候補者の選定と依頼は1〜2か月前から進めておくと安心です。全体の逆算の考え方はインフルエンサーの季節キャンペーン設計と逆算スケジュールも参考になります。
予算配分の考え方
予算は、潜在層向けの認知施策と、顕在層向けの登録獲得施策に分けて配分すると、効果の検証がしやすくなります。はじめて取り組む場合は、職種や層の異なる小〜中規模の発信者を複数起用し、どの訴求が有効登録につながるかを検証する段階から始めるのがおすすめです。成果の出た訴求と発信者が見えてきたら、継続起用や大規模な発信者の起用に予算を寄せていきます。インフルエンサーの報酬はフォロワー数や媒体、投稿形式によって変わるため、相場の考え方はインフルエンサー起用の料金相場【2026年完全ガイド】で確認してください。
継続起用で信頼を積み上げる
転職サービスの紹介は、1回の投稿よりも、同じ発信者が時間をおいて複数回触れるほうが信頼されやすい傾向があります。たとえば、1回目にサービスの紹介、2回目に面談を受けた体験、3回目に転職活動の経過を伝えてもらうと、フォロワーは発信者と一緒に転職活動を追体験できます。継続起用の場合は、競合サービスの紹介を控えてもらう期間や範囲を契約で取り決めておくことが大切です。
よくある失敗と発注前チェックリスト
転職サービスの施策でよくある失敗は、登録数だけを追ってしまうこと、発信者とターゲットの職種がずれていること、表示のルールを確認しないまま投稿してしまうことの3つです。いずれも事前の設計と確認で防げるため、発注前にチェックリストで確認しておくことをおすすめします。
登録数だけを追ってしまう失敗
登録数を最重要の指標にすると、フォロワー数の多い発信者や、プレゼントで登録を促す企画に偏りがちです。その結果、転職の意向が低い登録や、ターゲット外の職種の登録が増え、面談や入社につながらないケースが少なくありません。施策の目標は、有効登録や面談実施など、事業の成果に近い指標で設定してください。
発信者とターゲットのずれ
フォロワーの多いビジネス系インフルエンサーに依頼したものの、フォロワーの大半が学生や経営者で、求めていた20代後半の会社員層には届かなかった、というずれもよく起こります。発信者を選ぶ段階で、フォロワーの年代・職種の分布を確認し、過去の投稿へのコメントから、どんな立場の人が見ているかを把握しておくことが大切です。
転職サービスのインフルエンサー施策 発注前チェックリスト
- 事業モデルに合わせて、登録・面談・応募のどれをゴールに置くかを決めましたか。
- ターゲットの職種・年代と、発信者のフォロワー層が一致しているか確認しましたか。
- 直近の競合サービスの案件と、契約期間中の同業案件の扱いを確認しましたか。
- 発信者別・職種別の専用LPと、計測用のリンクを用意しましたか。
- 投稿で触れる実績データの出典・時点・条件を発信者に渡しましたか。
- 登録を条件にした金銭・ギフト券等の提供を企画に含めていないか確認しましたか。
- 有効登録・面談・入社まで、指標と確認時期を決めましたか。
Bloomでキャリア系の発信者を探す場合
Bloomでは、審査を通過したインフルエンサー30,000人の中から、ジャンルやフォロワーの年代・性別、媒体を見ながら候補を探せます。転職サービスの施策では、キャリア系の発信者だけでなく、看護・介護、IT、美容、保育といった職種ごとの働き方を発信している人や、20代の暮らしや働き方を発信している人も有力な候補になります。案件を公開して応募を募る形にすれば、実際に転職を経験した人やサービスに関心のある発信者から手を挙げてもらえるため、体験に基づいた説得力のある投稿を集めやすくなります。
本メディアは、審査制インフルエンサー30,000人のマッチングプラットフォーム『Bloom』(株式会社ハーマンドット)が運営しています。