介護施設や在宅介護サービスの事業者にとって、空室や定員の空きを埋める利用者獲得と、慢性的な人手不足を補う職員採用は、どちらも経営を左右する課題です。近年は、家族が施設の雰囲気をSNSで確かめ、求職者が職場の空気を動画で調べることが当たり前になり、介護職や家族介護の経験を持つインフルエンサーに施設を紹介してもらう事業者が増えています。一方で、介護の施策には、入居者の肖像やプライバシーへの配慮、有料老人ホームの表示規制など、他業種にはない注意点があります。この記事では、介護・福祉事業者のインフルエンサー活用について、利用者獲得と職員採用を両輪で進める設計、家族の不安を解消するコンテンツ、撮影時の同意の取り方、表示ルール、費用相場、KPIまでを実務の順に解説します。

この記事の要点

  • 介護・福祉事業者のインフルエンサー活用は、利用者(と家族)の獲得と職員採用の2つを、同じ「施設の日常を正しく見せる発信」で支える両輪の設計が基本です。
  • 入居や利用を決めるのは本人より家族やケアマネジャーであることが多いため、家族の不安を解消するコンテンツと、見学予約・資料請求への導線が成果を左右します。
  • 入居者・利用者の写真や動画は、本人の同意が前提です。認知症の方や写り込みへの配慮を含めた撮影ルールを、依頼前に文書で決めておく必要があります。
  • 有料老人ホームの不当表示告示、老健・介護医療院の広告制限、職業安定法の的確表示、ステマ規制など、介護特有の表示ルールを踏まえて投稿内容を確認します。
  • KPIは再生数よりも、見学予約・問い合わせ・応募数・入職後の定着まで追うと、介護事業ならではの長い検討期間を正しく評価できます。

介護・福祉業界のインフルエンサー活用とは

介護・福祉業界のインフルエンサー活用とは、介護施設や在宅介護サービスの事業者が、介護職として働く発信者や家族介護の経験を持つ発信者などに施設や仕事の様子を紹介してもらい、利用者・家族の獲得と職員の採用につなげる施策のことです。商品を売る施策と違い、伝えるのは「どんな人が、どんな雰囲気で、どんなケアをしているか」という目に見えにくい価値です。

介護事業者がSNS発信に取り組む背景

背景にあるのは、利用者を選ぶ側と働く人を選ぶ側の双方が、SNSで情報を集めるようになった変化です。親の介護が必要になった子世代は40〜60代が中心で、この世代はInstagramやYouTubeで施設の雰囲気を調べることに抵抗がありません。また、介護職を目指す若い世代にとって、SNSは求人票では分からない職場の空気を知る主要な情報源になっています。

人材面の課題も深刻です。厚生労働省が2024年7月に公表した「第9期介護保険事業計画に基づく介護職員の必要数について」では、2026年度に約240万人の介護職員が必要とされ、2022年度の約215万人から約25万人の増加が求められています。2040年度には約272万人が必要と推計されており、採用広報の重要性は2026年10月時点でも高まり続けています。

利用者獲得と職員採用を両輪で設計する理由

介護事業者の発信は、利用者獲得と職員採用を分けずに設計するほうが効率的です。家族が知りたい「職員が穏やかで丁寧か」「入居者が楽しそうに過ごしているか」という情報は、求職者が知りたい「職場の人間関係は良いか」「利用者とどう関われるか」という情報とほぼ重なります。1回の訪問撮影から、家族向けの投稿と求職者向けの投稿を切り出すことで、限られた予算でも両方の目的を進められます。

他業種のインフルエンサー施策との違い

介護の施策は、意思決定者が複数いること、検討期間が長いこと、撮影対象に高齢の利用者が含まれることの3点で他業種と異なります。医療機関の施策と似ている部分もありますが、介護では医療広告ガイドラインとは別の表示ルールが関わります。医療分野の考え方はクリニックのインフルエンサー起用と医療広告ガイドライン対応で、高齢者本人へ届ける発信の基本はシニア・ミドル層のSNSマーケティングとインフルエンサー起用で解説しています。本記事では、介護事業者に固有の利用者獲得と採用の設計に絞って整理します。

利用者獲得の経路とインフルエンサーの役割

介護サービスの利用者獲得でインフルエンサーが担う役割は、家族による「候補の比較・絞り込み」と「見学予約」の後押しです。介護サービスは、本人の状態やサービスの種類によって選ぶ人と選ぶ経路が大きく異なるため、まず自社のサービスがどの経路で選ばれているかを整理する必要があります。

サービス種別ごとの意思決定者と経路

在宅系のサービスは、ケアマネジャーが作成するケアプランの中で事業所が選ばれることが多く、家族の希望はケアマネジャーを通じて反映されます。一方、有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅は、家族が自分で調べて見学し、直接契約するケースが一般的です。特別養護老人ホームは原則として要介護3以上の方が対象で、申込後に入所の判定が行われます。こうした違いによって、インフルエンサー投稿が効く場面も変わります。

サービス種別主な意思決定者主な紹介・検討経路インフルエンサー投稿の効きどころ
有料老人ホーム・サ高住家族(子世代)と本人検索、紹介センター、病院の相談員比較検討中の家族の見学予約・資料請求
特別養護老人ホーム家族と本人ケアマネジャー、地域包括支援センター申込先を選ぶ際の安心材料、職員採用
グループホーム家族ケアマネジャー、医療機関認知症ケアの考え方の理解、見学予約
デイサービス本人・家族・ケアマネジャーケアプラン、口コミプログラムの楽しさの可視化、体験利用
訪問介護・訪問看護ケアマネジャー、家族ケアプラン、医療機関認知よりも職員採用への効果が中心

家族の検索行動とSNSの位置づけ

家族は、親の入院や退院をきっかけに短期間で施設を探し始めることが多く、検索エンジンで地域名と施設種別を調べ、候補の施設名をSNSや動画で確かめる流れをたどります。厚生労働省の「介護サービス情報公表システム」で人員や設備を確認する家族もいますが、数字だけでは雰囲気が分かりません。インフルエンサーの投稿は、この「雰囲気の確認」の役割を担います。そのため、投稿には施設名を正確に入れ、検索したときに見つかる状態にしておくことが大切です。

紹介者に向けた信頼づくり

ケアマネジャーや病院の医療ソーシャルワーカー、高齢者住宅の紹介センターといった紹介者も、施設の発信を見ています。紹介者は、家族に説明するときの材料として、施設の考え方やケアの様子が伝わる投稿を参考にします。インフルエンサーの投稿を自社サイトや営業資料で紹介する場合は、二次利用の範囲を事前に取り決めておく必要があります。二次利用の考え方はインフルエンサー投稿の肖像権・著作権対応と二次利用の範囲で詳しく解説しています。

家族の不安を解消するコンテンツの設計

家族向けコンテンツの中心は、施設を選ぶときに家族が抱える具体的な不安に1つずつ答えることです。「親を預けて大丈夫か」という漠然とした不安は、分解すると食事、入浴、夜間の対応、医療との連携、費用、面会のしやすさといった個別の疑問に分かれます。

不安の種類ごとに見せるべき場面

不安の種類ごとに、投稿で見せる場面を決めておくと、撮影がぶれません。家族は写真の美しさよりも、普段の様子が見えることを重視するため、イベントの華やかな場面だけでなく、日常のケアの場面を丁寧に見せることが大切です。

家族の不安投稿で見せる場面相性の良い形式
職員の対応は丁寧か声かけの様子、職員へのインタビューリール、YouTube
食事はおいしいか献立、調理の様子、きざみ食などの形態フィード投稿、ストーリーズ
日中は退屈しないかレクリエーション、機能訓練、季節行事リール、ショート動画
夜間や急変時は大丈夫か夜勤体制の説明、医療機関との連携の説明YouTube、ブログ
費用はいくらかかるか料金体系の説明(数字は公式情報に誘導)YouTube、ブログ、固定投稿
面会しやすいか面会スペース、面会のルールフィード投稿、ストーリーズ

見学の疑似体験をつくる投稿

家族向けに特に効果が高いのは、見学の流れをそのまま追体験できる投稿です。玄関から共用スペース、居室、浴室、食堂までを順に歩き、職員の説明を交えて紹介する動画は、遠方に住む家族が候補を絞る段階で重宝されます。ルームツアー形式の動画は、居室の広さや収納、窓からの景色など、写真では伝わりにくい情報を伝えられます。撮影時は、入居者の居室に無断で入らないこと、共用部に写る方への配慮を徹底します。

家族介護の経験を持つ発信者の視点

親の介護を経験した発信者に依頼すると、家族の目線で施設を見てもらえます。「自分の親だったら何を確認するか」という視点で質問してもらうと、施設側の説明では出てこない本音の疑問が拾えます。こうした投稿は、施設を宣伝するというより、家族が施設を選ぶときのチェックポイントを伝える内容になるため、読者からの信頼も得やすくなります。

職員募集の発信とインフルエンサーの活かし方

職員募集でインフルエンサーを活かす最大の価値は、求人票では伝わらない職場の雰囲気と、介護の仕事のやりがいを第三者の視点で届けられることです。介護職として働く発信者が施設を訪問し、職員と話しながら現場を紹介する形が、2026年10月時点で多くの事業者に採用されています。

介護職の発信者による施設訪問

介護職の発信者は、現場の仕事を知っているため、求職者が気にする点を自然に掘り下げられます。休憩の取り方、記録業務の負担、介護ロボットや見守りセンサーなどのテクノロジーの導入状況、研修制度といった点は、同業者だからこそ聞ける話題です。ALSOK介護など、介護職の発信者の訪問を採用広報として自社サイトで紹介している事業者もあり、求職者にとっても「同業者が見た職場」として受け止められやすい形式です。

社員発信と組み合わせる採用広報

インフルエンサーの訪問は単発になりやすいため、自社の職員による継続的な発信と組み合わせると効果が持続します。インフルエンサーの投稿で認知を広げ、自社アカウントで日々の様子を伝え、採用サイトで条件を確認してもらう流れが基本です。職員がSNSで発信する場合の運用ルールは採用インフルエンサー活用の設計と社員発信の運用ルールを参考にしてください。

求人に関する表示と委託の注意点

採用を目的とした投稿では、職業安定法のルールにも注意が必要です。2022年10月1日に施行された改正職業安定法により、募集を行う者には、求人情報を正確かつ最新の内容に保ち、虚偽の表示や誤解を生じさせる表示をしない義務が課されています。投稿で給与や休日に触れる場合は、採用サイトの公式情報と一致しているかを必ず確認します。また、採用1人あたりの成果報酬で、インフルエンサーに応募者の勧誘や取次ぎまで任せる形は、委託募集や職業紹介に該当する可能性があります。広報としての紹介にとどめるか、該当する場合の手続きを事前に労働局や専門家に確認しておくと安全です。

向いているインフルエンサー像とプラットフォーム

介護事業者に向いているのは、介護や福祉の現場を知っている発信者、家族介護の経験を持つ発信者、施設の地域に住む発信者の3類型です。フォロワー数の多さよりも、介護への理解と、フォロワーの年代・地域が自社の目的と合っているかを優先します。

発信者の4つの類型

1つ目は、介護福祉士や介護職として働きながら仕事の日常を発信する「介護職系」で、採用広報との相性が最も良好です。2つ目は、親の介護や遠距離介護の体験を発信する「家族介護系」で、40〜60代のフォロワーが多く、利用者獲得に向いています。3つ目は、地域の暮らしやグルメを発信する「ローカル系」で、施設の所在地周辺の家族や求職者に届きます。4つ目は、シニア本人が日常を発信する「シニア系」で、元気なうちから住み替えを考える層や、デイサービスの利用を検討する本人に届きます。地域を軸にした起用の考え方はローカルインフルエンサーで地方の店舗集客を設計する方法が参考になります。

プラットフォームごとの役割

Instagramは施設の雰囲気を写真と短い動画で伝える場、YouTubeは見学の疑似体験や職員インタビューを詳しく伝える場、TikTokは若い求職者に介護の仕事の魅力を届ける場という分担が基本です。家族世代はFacebookやLINEで情報を共有することも多いため、投稿を家族が転送しやすい形にしておくと広がりやすくなります。

プラットフォーム主な役割主な対象向いている目的
Instagram雰囲気を写真・リールで伝える家族世代、20〜40代の求職者利用者獲得・採用の両方
YouTube見学の疑似体験、詳しい解説比較検討中の家族、転職検討者見学予約、応募前の理解促進
TikTok仕事のやりがいを短く見せる10〜20代の求職者、学生新卒・未経験者の採用
Facebook・LINE家族間での情報共有50〜70代の家族、本人利用者獲得、地域での認知

選定時に確認する項目

介護事業者が発信者を選ぶときは、過去の投稿で高齢者や認知症を揶揄するような表現がないか、利用者の顔を無断で載せていないかを必ず確認します。介護職系の発信者の場合、勤務先の施設と競合関係にないか、勤務先の就業規則で副業や発信が認められているかも、トラブル防止のために確認しておくと安心です。フォロワーの居住地域と年代が自社の商圏や採用エリアと合っているかも、選定の重要な基準になります。

入居者のプライバシーと肖像への配慮

介護施設でインフルエンサーに撮影してもらう場合、入居者・利用者の写真や動画を掲載するには本人の同意が前提です。個人情報保護委員会は、行事などでの利用者の写真をホームページや機関誌に掲載し第三者の閲覧に供する場合、本人の同意を得る必要があるという考え方を示しており、SNSでの公開も同様に考えるのが安全です。

同意の取り方と同意書の内容

同意は、掲載する媒体、写真や動画の内容、公開の期間、インフルエンサー個人のアカウントにも掲載されることを具体的に説明したうえで、書面で取ります。施設の公式アカウントへの掲載に同意していても、インフルエンサーのアカウントへの掲載まで同意しているとは限りません。媒体ごとに同意の有無を選べる同意書にし、途中で撤回できることも明記しておきます。医療・介護関係事業者の個人情報の扱いは、個人情報保護委員会と厚生労働省の「医療・介護関係事業者における個人情報の適切な取扱いのためのガイダンス」にまとまっています。

認知症の方や意思確認が難しい場合

認知症などで本人の意思確認が難しい場合は、家族の同意だけで判断せず、本人が撮影を嫌がる様子がないかにも配慮します。判断に迷う場合は、顔が写らない構図にする、後ろ姿や手元だけを撮る、利用者を写さずに職員と空間だけで構成するといった方法を選ぶほうが安全です。介護施設の魅力は、利用者の顔を見せなくても、職員の表情や声かけ、空間の明るさで十分に伝えられます。

撮影当日の写り込み対策

撮影当日は、職員が必ず立ち会い、撮影してよい場所と時間を限定します。居室の名札、掲示板の利用者名、ケア記録の画面、服薬カレンダーなど、意図せず個人情報が写り込むものは事前に片付けるか、編集でぼかしを入れてもらいます。投稿前には施設側で全カットを確認し、問題がないことを確かめてから公開する流れを契約で定めておきます。

撮影前に必ず決めておくこと

  • 撮影に同意した利用者と、同意していない利用者の区別を職員全員で共有します。
  • インフルエンサー個人のアカウントへの掲載について、別途同意を取ります。
  • 入浴・排せつ・更衣などの介助場面は、利用者を写さない構成にします。
  • 名札、掲示物、記録画面などの写り込みを撮影前に確認します。
  • 公開前に施設側が全カットを確認できる手順を契約に入れます。
  • 同意の撤回があった場合の削除対応と期限を取り決めます。

介護事業者特有の広告規制と表示ルール

介護事業者のインフルエンサー投稿は、景品表示法に基づく有料老人ホームの不当表示告示、介護保険法の広告制限、ステマ規制、職業安定法の的確表示といった複数のルールの対象になり得ます。投稿はインフルエンサー個人の言葉であっても、事業者が依頼した広告である以上、表示の責任は事業者が負うと考えて確認する必要があります。

有料老人ホームの不当表示告示

有料老人ホームには、景品表示法に基づく「有料老人ホーム等に関する不当な表示」(2004年公正取引委員会告示、2006年改正、現在は消費者庁が所管)が適用されます。この告示では、土地・建物、施設・設備、居室の利用、医療機関との協力関係、介護サービス、介護職員等の数、管理費等についての表示が対象とされています。たとえば、協力医療機関との関係を実態以上に強く見せる表現や、「24時間看護師常駐」など実態と異なる人員体制の表現は、インフルエンサーの投稿であっても避けなければなりません。

老健・介護医療院の広告制限と医療的な表現

介護老人保健施設と介護医療院は、介護保険法によって広告できる事項が限定されています(老健は第98条、介護医療院は第112条)。医療的な側面を持つ施設のため、インフルエンサー投稿で「リハビリで必ず歩けるようになる」といった効果を断定する表現は避けます。訪問看護など医療系のサービスに触れる場合は、医療広告ガイドラインとの関係も確認が必要です。いずれの施設でも、「最高のケア」「地域No.1」といった根拠のない最上級表現は使わないよう、依頼時に伝えておきます。

ステマ規制と広告表記

2023年10月1日から、景品表示法に基づくステルスマーケティング規制が施行されています。事業者が依頼して報酬や招待を提供した投稿には、「#PR」「広告」などの表記を分かりやすく入れてもらう必要があります。施設見学への招待や食事の提供だけで報酬を払わない場合でも、事業者が投稿内容に関与していれば対象になり得ます。表記の具体的な方法はステマ規制とは?景表法対応と#PR表記の実務ガイドで確認できます。

ルール主な対象投稿で注意する点
有料老人ホームの不当表示告示有料老人ホーム医療連携、職員数、費用、設備の実態と異なる表現
介護保険法の広告制限介護老人保健施設、介護医療院広告できる事項の範囲、効果の断定
ステマ規制(景品表示法)依頼したすべての投稿#PRなどの広告表記
改正職業安定法採用目的の投稿給与・休日など求人情報の正確性、委託募集
個人情報保護法利用者が写る投稿本人同意、写り込み、撤回への対応

費用相場と予算の組み立て方

介護事業者のインフルエンサー施策の費用は、2026年10月時点の一般的な目安で、マイクロインフルエンサー1人あたり1投稿3万〜10万円程度です。ただし、介護では施設への訪問撮影が前提になることが多く、撮影の拘束時間や交通費、事前の打ち合わせ、同意取得の調整に伴う工数が加わるため、商品を送るだけの施策より費用が上振れしやすい傾向があります。

フォロワー規模別の費用目安

以下は、2026年10月時点で一般的に語られるフォロワー規模別の目安です。地域密着の施設では、商圏の外にいる大規模なフォロワーは成果につながりにくいため、ナノからマイクロ規模の発信者を中心に検討するのが現実的です。料金の全体像はインフルエンサー起用の料金相場【2026年完全ガイド】で詳しく解説しています。

規模フォロワー数1投稿の目安介護事業者での主な用途
ナノ1千〜1万3千〜3万円地域の家族・求職者への認知、継続発信
マイクロ1万〜3万3万〜10万円介護職系・家族介護系の訪問紹介
ミドル3万〜10万10万〜40万円法人全体の採用ブランディング、複数施設の紹介
マクロ以上10万〜40万円〜全国展開の法人の認知拡大

目的別の予算配分の考え方

予算は、利用者獲得と職員採用のどちらを優先するかで配分を決めます。空室や定員の空きが経営課題であれば家族介護系と地域系の発信者を中心に、人手不足が課題であれば介護職系の発信者と動画中心の構成にします。両方が課題の場合は、1回の訪問撮影で家族向けと求職者向けの投稿を作ってもらう形にすると、撮影の調整と同意取得を1回で済ませられます。

想定ケースで見る組み立て例

ここでは、架空の想定ケースとして、定員50名規模の有料老人ホームが半年間で取り組む場合を考えます。初月に介護職系のマイクロインフルエンサー1名と家族介護系のマイクロインフルエンサー1名に訪問撮影を依頼し、それぞれフィード投稿とリールを1本ずつ作成してもらいます。2か月目以降は地域のナノインフルエンサーに季節行事の取材を依頼し、投稿の二次利用を自社サイトと見学時の説明に使います。このように、最初に大きめの投稿で基礎となる素材をつくり、その後は小規模な発信者で継続的に情報を更新する設計が、介護事業者では無理なく続けやすい形です。

成果指標とKPIの置き方

介護事業者のインフルエンサー施策で追うべき指標は、利用者側では見学予約・資料請求・問い合わせ、採用側では応募数と入職後の定着です。介護は検討期間が長く、投稿を見てから数か月後に見学に来る家族も珍しくないため、短期の再生数だけで成果を判断しないことが大切です。

利用者獲得と採用のKPI

利用者獲得と採用で、追う指標と確認する時期を分けておきます。下の表は、投稿の反応から最終的な成果までを段階ごとに整理したものです。

段階利用者獲得の指標職員採用の指標確認時期の目安
認知リーチ、再生数、地域内のフォロワー増加リーチ、再生数、若年層の視聴割合投稿後1〜2週間
関心保存数、施設名の指名検索、サイト流入保存数、採用サイトへの流入投稿後1か月
行動見学予約、資料請求、電話問い合わせ応募数、職場見学の申込投稿後1〜3か月
成果入居・利用契約内定承諾、入職投稿後3〜6か月
定着利用継続、家族からの紹介入職後の定着、早期離職の減少入職後6〜12か月

問い合わせ経路の把握方法

介護の問い合わせは電話が多いため、Web上の計測だけでは経路が分かりません。見学予約や電話の受付時に「何を見て知ったか」を必ず聞き、記録する運用を全職員で徹底します。Webの導線には、投稿ごとにUTMパラメータ付きのURLを用意し、見学予約フォームや採用サイトへの流入を分けて計測します。具体的な設定方法はインフルエンサー施策のUTMパラメータ設定と流入計測の手順で解説しています。

定着まで見て評価する理由

採用目的の施策では、応募数だけでなく入職後の定着まで見ることをおすすめします。インフルエンサーの投稿で職場の雰囲気を理解したうえで応募した人は、入職後のギャップが小さく、早期離職が少ない傾向があると考えられます。応募経路別に定着状況を記録しておくと、次回の施策で投資すべき発信者や内容を判断しやすくなります。

よくある失敗と発注前チェックリスト

介護事業者のインフルエンサー施策でよくある失敗は、同意取得の不備、施設の実態と異なる演出、利用者獲得と採用の導線が混ざることの3つです。いずれも依頼前の準備で防げるため、発注前にチェックリストで確認しておくことをおすすめします。

同意の不備と実態との乖離

最も避けたい失敗は、同意を得ていない利用者が写った投稿が公開されることです。家族からの指摘で投稿を削除しても、拡散された画像を回収することはできません。また、撮影のために普段は行わないイベントを開いたり、職員を増やして見せたりすると、見学に来た家族や入職した職員が実態との違いに気づき、信頼を損ないます。投稿では、普段の施設の様子をありのまま見せることが、結果的に最も成果につながります。

導線が混ざることによる取りこぼし

家族向けと求職者向けの投稿で同じリンク先を案内すると、どちらの読者も目的のページにたどり着けず、行動につながりません。家族向けの投稿は見学予約や資料請求のページへ、求職者向けの投稿は採用サイトや職場見学の申込ページへと、リンク先を分けて案内します。プロフィールのリンクも、2つの導線が分かれて見える形に整えておきます。

介護事業者の発注前チェックリスト

  • 利用者獲得と職員採用のどちらを優先するか、投稿ごとの目的を決めましたか。
  • 撮影に写る利用者から、インフルエンサーのアカウントへの掲載を含む同意を書面で得ましたか。
  • 写り込み対策と、公開前に施設側が全カットを確認する手順を契約に入れましたか。
  • 有料老人ホームの不当表示告示や介護保険法の広告制限に触れる表現がないか確認しましたか。
  • 給与・休日など求人情報が採用サイトの公式情報と一致していますか。
  • すべての投稿に#PRなどの広告表記を入れるよう依頼しましたか。
  • 見学予約と応募のリンク先を分け、問い合わせ時に経路を聞く運用を決めましたか。

Bloomで介護・福祉の発信者を探す場合

Bloomでは、審査を通過したインフルエンサー30,000人の中から、ジャンルやフォロワーの年代、活動地域を見ながら候補を探せます。介護事業者の施策では、介護職系・家族介護系・地域系といった発信スタイルと、施設の商圏や採用エリアに合った地域を組み合わせて選ぶことが成果の分かれ目になります。案件を公開して応募を募る形にすれば、介護の仕事や家族介護に関心を持つ発信者から手を挙げてもらえるため、施設の日常を丁寧に伝えてくれる発信者と出会いやすくなります。

本メディアは、審査制インフルエンサー30,000人のマッチングプラットフォーム『Bloom』(株式会社ハーマンドット)が運営しています。