新商品の発売や売り場の強化を考えるとき、販促予算を店頭販促(POP・陳列・店頭イベント)に使うか、インフルエンサー施策に使うかで迷う担当者は少なくありません。店頭販促は売り場で購買の最後のひと押しをする施策、インフルエンサー施策は売り場に来る前の人に商品を知ってもらい、来店の理由をつくる施策で、得意な段階がはっきり異なります。この記事では、量販店・小売の売り場販促とインフルエンサー施策を7つの軸で比較し、購買ファネル別の役割分担、両者を連動させる設計、商品タイプ別の予算配分、効果測定、法規制と小売店との調整までを、発注企業の視点で解説します。
この記事の要点
- 店頭販促(POP・陳列・店頭イベント)は「売り場で迷っている人に最後のひと押しをする施策」、インフルエンサー施策は「売り場に来る前の人に知ってもらい、来店理由をつくる施策」で、担う段階が異なります。
- 購買の多くは売り場で決まると言われる一方、売り場に来ない人には店頭販促は届きません。認知から来店まではインフルエンサー、売り場での訴求は店頭販促と役割を分けるのが基本です。
- 最も成果が出やすいのは、投稿と売り場の言葉・ビジュアル・時期をそろえる「連動型」です。投稿で見た商品を売り場ですぐ見つけられる状態をつくることが鍵になります。
- 予算配分は、新商品や認知の低いブランドはインフルエンサー寄り、定番品や指名買いの多い商品は店頭販促寄りにし、毎期の測定結果で比率を見直します。
- どちらの施策も景品表示法の対象になり得ます。投稿の広告表記(ステマ規制)と、店頭の景品・価格表示の両方を確認します。
店頭販促とインフルエンサー施策の違いとは
店頭販促とインフルエンサー施策の違いは、働きかける「場所」と「タイミング」にあります。店頭販促は売り場の中で購買の直前に働きかけ、インフルエンサー施策は売り場の外で、購買を考える前の段階から働きかけます。どちらが優れているかではなく、購買までの流れのどこを担うかで使い分けるのが正しい考え方です。
店頭販促とは何か
店頭販促とは、量販店やドラッグストア、スーパー、専門店などの売り場で、POP、棚の陳列、エンド(棚の端の目立つ場所)展開、試食・試飲、実演販売、店頭イベントなどを通じて購買を後押しする施策のことです。インストアプロモーションとも呼ばれます。すでに売り場に来ている買い物客に対して「この商品を選ぶ理由」を短い言葉で伝え、手に取ってもらうことが目的です。メーカーが小売店と協力して実施する場合と、小売店が自ら実施する場合があります。
インフルエンサー施策とは何か
インフルエンサー施策とは、InstagramやTikTok、YouTubeなどで発信力を持つ人に商品を実際に使ってもらい、その体験を投稿として届けてもらう施策のことです。フォロワーは日常的に投稿を見ているため、売り場に行く前の段階で商品を知り、「今度お店で探してみよう」と思うきっかけになります。基本的な仕組みや費用の考え方はインフルエンサーマーケティングの基礎で詳しく整理しています。
なぜ今、両者を比較して考える必要があるのか
2026年10月時点では、買い物客の多くが来店前にSNSで商品を調べるようになり、売り場の外で情報を得てから来店する行動が一般的になっています。一方で、店頭のPOPや陳列が購買の最後の決め手になる構造は変わっていません。そのため、販促予算を「店頭か、SNSか」の二者択一で考えると、どちらかの段階で取りこぼしが起きます。両者の役割を比較し、つなげて設計することが、限られた予算で売上を伸ばす近道です。なお、同じく店頭で行うサンプリング配布との違いはサンプリング施策とインフルエンサー施策の比較と予算配分で扱っており、本記事では量販店・小売の売り場販促(POP・陳列・店頭イベント)との役割分担に絞って解説します。
店頭販促とインフルエンサー施策を7つの軸で比較
店頭販促とインフルエンサー施策は、到達できる人、伝えられる情報量、効果が出るまでの時間、測定のしやすさなど、7つの軸で性質がはっきり分かれます。まず全体像を表で確認し、そのあと特に判断を分けやすい軸を詳しく見ていきます。
| 比較軸 | 店頭販促(POP・陳列・店頭イベント) | インフルエンサー施策 |
|---|---|---|
| 働きかける段階 | 来店後・購買の直前 | 来店前の認知・興味・比較検討 |
| 到達できる人 | その店に来た人だけ | フォロワーと、その投稿を見た人 |
| 伝えられる情報量 | 少ない(数秒で読める言葉が中心) | 多い(使い方・感想・生活の中での使用場面) |
| 効果が出るまでの時間 | 短い(設置した日から) | 中程度(投稿後数日〜数週間かけて広がる) |
| 地域の絞り込み | 店舗単位で細かく絞れる | フォロワーの居住地に左右される |
| 効果の測りやすさ | POSデータで売上の変化を見やすい | 投稿の反応は見やすいが、店頭売上との結び付けに工夫が必要 |
| 実施の調整先 | 小売店の本部・バイヤー・店舗 | インフルエンサー本人(またはマッチングサービス・代理店) |
到達できる人と情報量の違い
店頭販促の最大の制約は、その店に来た人にしか届かない点です。どれほど良いPOPを作っても、来店しない人には見てもらえません。その代わり、来店した人はすでに「何かを買う」状態にあるため、短い言葉でも購買に結び付きやすいという強みがあります。インフルエンサー施策は反対に、来店していない人にも届きますが、見た人がすぐ買える状態にあるとは限りません。使い方や使用感を詳しく伝えられる点を生かして「欲しい理由」をしっかり育てる役割に向いています。
効果が出るまでの時間と測定の違い
店頭販促は設置した日から効果が表れやすく、POSデータで前後の売上を比べれば成果を確認しやすい施策です。インフルエンサー施策は、投稿が保存されたり、検索されたりしながら数日から数週間かけて効果が広がります。店頭売上との結び付けにはクーポンや指名検索の変化など、追加の測り方が必要になります。この「測りやすさの差」が、社内で店頭販促ばかりに予算が寄りやすい理由の一つです。測定方法は後半の「効果測定の指標」で詳しく解説します。
表から読み取れる使い分けの原則
表を縦に読むと、両者は弱点を補い合う関係にあることが分かります。店頭販促は「届く範囲が狭いが、決め手になる力が強い」、インフルエンサー施策は「届く範囲は広いが、その場で買わせる力は弱い」という性質です。したがって、認知から来店まではインフルエンサー施策、売り場での訴求は店頭販促という分担を基本にし、両者の言葉とタイミングをそろえることが成果を最大化する原則になります。
売り場での訴求で店頭販促が強い場面
店頭販促が力を発揮するのは、買い物客が売り場で迷っている場面、ついで買いを狙う場面、価格や量で選ばれる商品を扱う場面の3つです。これらの場面では、売り場の外でどれだけ評判を高めても、最後の一歩は店頭の見せ方で決まります。
売り場で選ぶ商品・衝動買いされやすい商品
米国の業界団体POPAI(現在のShop! Association)の調査として、購買決定の約7割が店内で行われるという数字が業界でよく紹介されています。調査時期や業態によって数字は変わるため、そのまま当てはめることはできませんが、菓子・飲料・日用品・調味料など、売り場で比べて選ぶ商品ほど店頭の訴求が売上を左右するという傾向は、多くの小売関係者が実感しているところです。こうした商品では、棚の位置や目線の高さ、POPの一言が選ばれるかどうかを決めます。
価格・容量・お得感を伝えたい場面
期間限定の値引き、増量、まとめ買い特典など、「今買うとお得」という情報は、店頭で伝えるのが最も効果的です。買い物客はその場で価格を比べているため、お得感が購入の決め手になりやすいからです。インフルエンサーの投稿でお得情報を伝えることもできますが、店舗によって価格や在庫が異なる量販店では、投稿で具体的な価格を示すと誤解やクレームの原因になることがあります。価格訴求は店頭販促に任せ、投稿では商品の魅力や使い方に集中してもらう分担が安全です。
試してもらうことで良さが伝わる商品
試食・試飲・実演販売は、香りや味、使い心地など、実際に体験しないと伝わらない価値を売り場で伝えられる手法です。ただし人件費がかかり、実施できる店舗と日数が限られます。そこで、インフルエンサーの投稿で「使ってみた感想」を先に広げておき、店頭の試食・実演では「投稿で見たあの商品」として体験してもらうと、限られた実施日数でも反応を高めやすくなります。
店頭販促を優先したほうがよい商品の特徴
- 売り場で他の商品と比べて選ばれることが多い商品です。
- 価格・容量・特典など、その場で分かるお得感が購入の決め手になる商品です。
- すでに知名度があり、売り場で目に留まれば買われやすい定番品です。
- 取扱店舗が限られ、特定の商圏で集中的に売りたい商品です。
認知から来店までを担うインフルエンサー施策の役割
インフルエンサー施策の役割は、売り場に来る前の人に商品を知ってもらい、「お店で探す理由」をつくることです。店頭販促は来店した人にしか届かないため、新商品や知名度の低いブランドほど、来店前の認知づくりが売上の上限を決めます。
売り場に来る前に「欲しい理由」を育てる
インフルエンサーの投稿は、生活の中で商品を使っている場面を見せられる点が最大の強みです。朝の支度で使う化粧品、子どものお弁当に使う冷凍食品、週末のキャンプで使う調味料など、使用場面が具体的に見えることで、見た人は自分の生活に置き換えて商品を想像できます。こうして育った「欲しい理由」は、売り場で商品を見つけた瞬間に購入へとつながります。POPに書ける数文字では伝えきれない価値を、事前に伝えておく役割です。
指名検索と「売っている場所」の情報を届ける
投稿を見た人の多くは、商品名で検索したり、「どこで買えるのか」を調べたりします。そのため、投稿には商品名を正確に入れてもらい、取扱店舗の種類(ドラッグストア、スーパーの冷凍食品売り場など)や、売り場で探すときの目印(パッケージの色や形)を伝えてもらうと、来店後に迷わず見つけてもらえます。保存された投稿は買い物メモとして使われることも多く、買い物の直前に見返されることで来店のきっかけになります。
地域を絞った来店のきっかけづくり
特定のチェーンや地域で集中的に売りたい場合は、その商圏に住むフォロワーが多い地域密着型のインフルエンサーを起用すると、店頭販促とのつながりが強まります。地域ごとの発信者の選び方はローカルインフルエンサーで地方の店舗集客を設計する方法で詳しく解説しています。短期間の催事やポップアップストアで集客したい場合の進め方はポップアップストアの集客にインフルエンサーを起用する方法が参考になります。本記事が扱うのは、常設の売り場で継続的に販売する商品の販促です。
購買ファネル別に見る役割分担
役割分担は、購買ファネル(認知→興味→比較検討→来店→購入→再購入)の段階ごとに、どちらの施策が主役になるかを決めると整理しやすくなります。段階ごとに主役と脇役を決めておくと、予算の重複や空白を防げます。
| ファネルの段階 | 主役となる施策 | 補助する施策 | 主な指標 |
|---|---|---|---|
| 認知 | インフルエンサー施策 | 店頭の大型POP・店頭イベント | 投稿のリーチ、表示回数 |
| 興味・比較検討 | インフルエンサー施策 | 売り場の説明POP | 保存数、指名検索数 |
| 来店 | インフルエンサー施策と店頭イベントの連動 | 店舗のSNS・チラシ | イベント参加数、クーポン提示数 |
| 購入 | 店頭販促(POP・陳列・試食) | 投稿画像を使ったPOP | POS売上、購入率 |
| 再購入 | 店頭販促(定位置の棚・増量企画) | インフルエンサーの継続投稿 | リピート率、定番化 |
認知・興味の段階はインフルエンサー施策が主役
認知と興味の段階では、まだ売り場に来ていない人に情報を届ける必要があるため、インフルエンサー施策が主役になります。店頭の大型POPや店頭イベントも認知には役立ちますが、届くのはその店の来店客に限られます。この段階の成果は売上ではなく、投稿の保存数や商品名での検索数の伸びで確認します。ファネル全体の設計手順はインフルエンサー施策のカスタマーファネル設計で整理しています。
購入の段階は店頭販促が主役
購入の段階では、売り場で商品が見つかり、選ばれることが何より大切です。棚の位置、フェイス数(棚に並ぶ商品の列数)、POPの言葉、価格表示などの店頭販促が主役になります。ここでインフルエンサーの投稿画像や紹介文の一部をPOPに使うと、投稿を見た人には「あの商品だ」と気付いてもらえ、見ていない人には「SNSで話題の商品」という安心感を与えられます。ただし投稿の二次利用には、インフルエンサーとの事前の取り決めが必要です。
再購入の段階は両者の継続で定番化を狙う
一度買った人に再び買ってもらうには、売り場の定位置で見つけやすい状態を保つことと、使い続ける理由を思い出してもらうことの両方が必要です。店頭では定番棚への定着や季節ごとの売り場づくり、SNSではインフルエンサーによる新しい使い方の提案や季節のアレンジ投稿が効果的です。小売店のバイヤーは売れ行きを見て定番採用を判断するため、発売直後の売上を店頭とSNSの両面で底上げすることが、長く売り場に残るための条件になります。
店頭販促とインフルエンサー施策を連動させる設計
連動設計の要点は、投稿と売り場で「同じ言葉・同じビジュアル・同じ時期」をそろえることです。投稿で見た商品を売り場ですぐ見つけられ、POPの言葉が投稿の記憶を呼び起こす状態をつくれば、両施策の効果は足し算ではなく掛け算になります。
キーメッセージとビジュアルを統一する
最初に、商品の魅力を一言で表すキーメッセージを決め、インフルエンサーへの依頼内容と店頭POPの両方に反映します。たとえば「朝5分で作れる」「洗い流さなくていい」といった言葉を、投稿の中でも自然に使ってもらい、POPにも大きく書きます。パッケージの色や形、売り場の目印も投稿の中で見せてもらうと、来店した人が棚の前で迷いません。ただし、インフルエンサーに台本どおりの言葉を言わせると不自然になり、反応が落ちるため、キーメッセージは「入れてほしい要素」として伝え、表現は本人に任せるのが基本です。
投稿時期と店頭展開の時期をそろえる
投稿が先に出て、店頭に商品が並んでいない状態は最も避けたい失敗です。小売店では棚替え(売り場の商品入れ替え)の時期が決まっていることが多く、新商品が全店に並ぶまでに時間差が生じます。投稿日は、主要な取扱店舗で商品が並び、POPや特設売り場が設置された後に設定します。目安としては、店頭展開の開始から1〜2週間以内に投稿が集中するよう、インフルエンサーへの依頼と商品発送を逆算して進めます。
店頭イベントとSNS投稿をつなぐ
試食会や実演販売、店頭でのワークショップなどのイベントを行う場合は、インフルエンサーを招いて体験を投稿してもらう方法と、投稿でイベントを告知して来店を促す方法があります。前者はイベントの様子が投稿として残り、参加できなかった人にも届きます。後者は投稿を見た人が実際に来店するきっかけになります。インフルエンサーを招くイベントの企画と運営はインフルエンサーを招待するイベント・体験会の企画と運営で手順を解説しています。
連動設計で事前にそろえる5つの項目
- キーメッセージ(商品の魅力を表す一言)を投稿とPOPで共通にします。
- パッケージや売り場の目印を、投稿の中で見せてもらいます。
- 投稿日は、主要店舗での店頭展開が始まった後に設定します。
- 投稿画像をPOPに使う場合は、二次利用の範囲と期間を事前に取り決めます。
- 取扱店舗の種類と売り場の場所を、投稿の中や説明文で案内してもらいます。
予算配分の考え方とモデルケース
予算配分は、商品の知名度と売り場での選ばれ方で決めるのが基本です。知名度が低い新商品はインフルエンサー施策を厚く、すでに知られた定番品は店頭販促を厚くし、施策ごとの測定結果を見て毎期比率を調整します。
費用構造の違いを理解する
店頭販促の費用は、POPや什器の制作費、試食・実演の人件費、小売店へ支払う販促協賛金や棚の確保にかかる費用などで構成されます。販促コンサルティングなどを手がけるサングローブ社のコラムでは、手作りPOPなら数千円程度から、のぼりや印刷POP・什器で数万円、デジタルサイネージや試食販売では数十万円規模になると整理されています。インフルエンサー施策の費用は、投稿の報酬、商品の提供、発送の手間、進行管理で構成され、起用人数とフォロワー規模で大きく変わります。具体的な相場はインフルエンサー起用の料金相場ガイドを参照してください。いずれも2026年10月時点の一般的な目安であり、商材や地域、取引条件によって変わります。
商品タイプ別の配分モデル
以下は、販促予算全体を100としたときの配分の考え方を示した想定例です。実際の比率は、商品の利益率や取扱店舗数、過去の測定結果を踏まえて決めてください。
| 商品タイプ | 店頭販促 | インフルエンサー施策 | 配分の考え方 |
|---|---|---|---|
| 新商品・新ブランド | 30〜40 | 60〜70 | まず知ってもらう必要があるため、来店前の認知づくりを厚くします |
| リニューアル・新フレーバー | 50 | 50 | 既存客には売り場で、新しい客にはSNSで変化を伝えます |
| 定番品・指名買いが多い商品 | 60〜70 | 30〜40 | 売り場で見つけてもらえれば買われるため、店頭の露出を優先します |
| 季節商品・期間限定品 | 40〜50 | 50〜60 | 短期間で認知と購入の両方を取る必要があり、時期の一致が最重要です |
| 地域限定・一部チェーン限定品 | 50〜60 | 40〜50 | 店舗の商圏に住むフォロワーを持つ発信者に絞って起用します |
小さく始めて比率を見直す進め方
初めて両者を組み合わせる場合は、一部の地域やチェーンで連動施策を試し、連動しない地域と売上を比べる方法がおすすめです。比較できる対照群があれば、インフルエンサー施策が店頭売上にどれだけ貢献したかを推定しやすくなります。結果を見て、翌期の配分を10ポイント程度ずつ調整すると、大きな失敗を避けながら最適な比率に近づけます。年間を通じた予算の組み方はインフルエンサー施策の年間予算計画と月別配分の作り方で解説しています。
効果測定の指標と計測方法
効果測定は、店頭販促はPOSデータ、インフルエンサー施策は投稿の反応と指名検索を中心に、両者をつなぐ指標を一つ以上用意して行います。別々に測るだけでは、連動の効果が見えず、測りやすい店頭販促に予算が偏りがちです。
施策ごとの主な指標
店頭販促では、実施前後の売上、実施店舗と非実施店舗の売上差、購入率(来店客のうち購入した人の割合)、試食後の購入率などを見ます。インフルエンサー施策では、リーチ、保存数、プロフィールや商品ページへの移動数、コメントの内容、商品名での検索数の変化を見ます。保存数やコメントで「お店で探してみます」といった声が多い投稿は、来店につながる力が強いと判断できます。各指標の取り方はインフルエンサー施策の効果測定の方法と計測ツールで整理しています。
店頭とSNSをつなぐ計測の工夫
両者をつなぐ指標としては、投稿専用のクーポンコードやレシート応募キャンペーン、店頭でのアンケート、地域別の売上比較が使えます。クーポンは店頭での提示数を数えられるため、投稿から来店・購入までの流れを直接確認できます。設計の注意点はインフルエンサー施策のクーポンコード設計と利用数の測り方を参照してください。ただし、クーポンを使わずに買う人も多いため、提示数は実際の効果の一部にすぎない点を踏まえて評価します。
評価の時期と見方
店頭販促は実施期間中から終了直後に評価できますが、インフルエンサー施策は投稿後2〜4週間、保存された投稿が見返される期間まで含めて評価するのが適切です。また、連動施策の効果は、店頭販促だけを行った店舗や時期と比べることで初めて見えてきます。評価会議では、両施策の数字を並べるだけでなく、「投稿が集中した週に、POPを設置した店舗の売上がどれだけ伸びたか」という組み合わせの視点で振り返ると、次の配分判断に生かせます。
法規制と小売店との調整で押さえるポイント
店頭販促とインフルエンサー施策は、どちらも景品表示法をはじめとする表示の規制を受けます。加えて、店頭販促は小売店との取り決め、インフルエンサー施策は広告であることの表示が重要で、両方を連動させる場合は双方の確認が必要です。
インフルエンサー投稿の広告表記
消費者庁は、2023年10月1日から、広告であることを隠した表示(いわゆるステルスマーケティング)を景品表示法の不当表示として規制しています。企業が依頼したインフルエンサーの投稿には、「#PR」「広告」など、広告であることが分かる表記が必要です。店頭POPに投稿画像を使う場合も、それが企業の依頼による投稿であることを前提に扱います。規制の内容と表記の実務はステマ規制とは?景表法対応と#PR表記の実務ガイドで詳しく解説しています。
店頭の景品・価格表示と商品カテゴリ別の規制
店頭で購入者全員に景品を付ける場合は、景品表示法の総付景品の制限があり、消費者庁の案内によると、取引価額が1,000円未満なら景品の上限は200円、1,000円以上なら取引価額の10分の2までとされています。抽選でプレゼントを行う場合も別の上限があります。また、化粧品や健康食品のPOPや投稿は、医薬品医療機器等法(薬機法)や健康増進法の表現の制限を受けます。POPと投稿の両方で同じ基準の表現チェックを行うことが大切です。個別の判断が必要な場合は、消費者庁の公表資料を確認したうえで、弁護士などの専門家に相談してください。
小売店本部・バイヤーとの事前調整
量販店で連動施策を行う場合は、小売店の本部やバイヤーに、投稿の時期と内容、店頭での展開内容を事前に共有しておくことが欠かせません。店頭で撮影した投稿を予定している場合は、撮影の許可が必要です。また、投稿で特定のチェーン名を出す場合は、そのチェーンの了承と、他のチェーンとの関係にも配慮が必要です。SNSでの施策計画をバイヤーとの商談資料に盛り込むと、「発売時に売り場へ来る理由をつくっている」ことが伝わり、棚の確保や特設売り場の交渉で有利に働くこともあります。
よくある失敗と発注前チェックリスト
店頭販促とインフルエンサー施策の組み合わせでよくある失敗は、時期のずれ、言葉のずれ、測定の偏りの3つです。いずれも事前の計画で防げるため、発注前にチェックリストで確認しておくことをおすすめします。
時期と言葉のずれによる取りこぼし
最も多い失敗は、投稿が先に出て、店頭にまだ商品が並んでいないケースです。投稿を見て来店した人が商品を見つけられず、そのまま他社の商品を買ってしまうと、施策が競合の売上を助ける結果になりかねません。また、投稿では「しっとり感」を強調しているのに、POPでは「価格の安さ」を強調しているといった言葉のずれも、投稿の記憶を売り場で呼び起こせない原因になります。投稿とPOPの文言は、同じ担当者が一覧にして確認すると防げます。
測りやすさだけで予算を決めてしまう
店頭販促はPOSデータで効果が見えやすいため、測りやすさだけで評価すると、店頭販促ばかりに予算が集まりがちです。しかし、売り場に来る人が増えなければ、店頭販促の効果にも上限があります。インフルエンサー施策の評価には、指名検索やクーポン、地域別の売上比較など、来店前の効果を捉える指標を組み合わせ、店頭販促と同じ土俵で比べられるようにしておくことが大切です。SNS広告との比較も検討している場合はSNS広告とインフルエンサー施策の使い分け比較もあわせて参考にしてください。
店頭販促×インフルエンサー施策の発注前チェックリスト
- 商品の知名度と売り場での選ばれ方から、店頭販促とインフルエンサー施策の配分を決めましたか。
- 主要な取扱店舗での店頭展開日を確認し、投稿日をその後に設定しましたか。
- キーメッセージとパッケージの目印を、インフルエンサーへの依頼とPOPの両方に反映しましたか。
- 投稿画像をPOPに使う場合の二次利用の範囲と期間を取り決めましたか。
- すべての投稿に「#PR」などの広告表記を入れるよう依頼しましたか。
- 店頭の景品・価格表示や、商品カテゴリ別の表現規制を確認しましたか。
- 小売店本部・バイヤーに投稿時期と店頭展開を共有し、店頭撮影の許可を得ましたか。
- POS売上、指名検索、クーポン提示数など、両者をつなぐ指標と評価時期を決めましたか。
Bloomで売り場と連動できる発信者を探す場合
Bloomでは、審査を通過したインフルエンサー30,000人の中から、ジャンルやフォロワー層、活動地域を見ながら候補を探せます。店頭販促と連動させる施策では、商品の使用場面を自然に見せられる発信スタイルと、取扱店舗の商圏に合う活動地域を組み合わせて選ぶことが成果につながります。初期費用0円・月額3万円(税別)から始められるため、一部の地域で連動施策を試し、効果を確かめてから広げる進め方にも向いています。
本メディアは、審査制インフルエンサー30,000人のマッチングプラットフォーム『Bloom』(株式会社ハーマンドット)が運営しています。