化粧水も美容液もボディケアも、せっかくならまとめてインフルエンサーに紹介してもらいたい。複数の商材を持つ企業のマーケティング担当者であれば、一度はそう考えたことがあるのではないでしょうか。ところが、全商材を同時に動かした施策ほど、どの商材でも成果が見えにくくなります。インフルエンサー施策で成果を出すには、どの商材を優先し、どの順番で投入するかを先に決めることが欠かせません。この記事では、商材の優先度を決める5つの評価軸とスコアリング表の作り方、商材タイプ別の相性、最初の1商材の選び方、2商材目以降の投入順の型、年間ローテーション、予算配分と撤退ラインまでを、社内でそのまま使える形で整理しました。
この記事の要点
- 複数の商材を持つ企業は、全商材を同時に動かさず、評価軸で点数化した上位1商材から投入するのが基本です。
- 評価軸は「粗利の厚さ」「写真や動画での伝わりやすさ」「購入までの距離」「リピート性」「法規制の重さ」の5つで足ります。
- 2商材目以降は、勝ち商材を横に広げる型、関連商材でつなぐ型、季節で入れ替える型の3つから投入順を選びます。
- 予算は主力商材に6〜7割、検証商材に2〜3割、新規テストに1割前後を目安に配分すると、学びと成果を両立できます。
- 投入順は固定せず、3か月ごとにスコアと実績を並べて見直し、撤退ラインを事前に決めておきます。
インフルエンサー施策で商材の優先順位を決める意味
インフルエンサー施策で商材の優先順位を決めるべき理由は、限られた予算と社内の工数を、成果が出やすい商材に集中させるためです。複数の商材を持つ企業ほど、各部署から「うちの商品も載せてほしい」という要望が集まり、結果として1商材あたりの投稿数が薄くなります。薄く広く出した施策は、どの商材でも成果が見えにくく、次の予算も取りにくくなります。
商材の優先順位とは、インフルエンサー施策に投入する商材を、成果の出やすさと事業上の重要度で並べ、どの商材から・どの順番で・どれだけの予算で動かすかを決めた計画のことです。単なる売れ筋ランキングではなく、インフルエンサーの発信で伝わりやすいか、投稿を見た人が買いやすいかといった施策固有の条件を加味して決める点が特徴です。
全商材を同時に動かすと起きること
全商材を同時に動かすと、まず投稿の内容が散らばります。ある人は化粧水、別の人は美容液、また別の人はボディケアを紹介するという状態では、同じブランドの施策として生活者の記憶に残りにくくなります。インフルエンサーの発信は、同じ商品を複数の人が別々の言葉で語ることで信頼が積み上がる性質があるため、商材を分散させるとこの効果が弱まります。
次に、効果検証ができなくなります。商材ごとの投稿本数が少ないと、成果が良かったのか悪かったのかを判断できるだけのデータが集まりません。3本の投稿で売上が動かなかったとしても、それが商材の問題なのか、人選の問題なのか、投稿時期の問題なのかを切り分けられないのです。
投稿本数の配分との違い
商材の優先順位は、投稿本数の配分よりも前に決める上位の判断です。投稿本数の配分は「決まった商材に対して何本・どのフォロワー帯で出すか」を扱い、商材の優先順位は「そもそもどの商材に投稿本数を割くか」を扱います。本数の考え方はインフルエンサー施策の投稿本数を決める考え方と配分方法で詳しく整理していますので、商材が決まったあとの工程として参照してください。
商材の優先度を決める5つの評価軸
商材の優先度は、粗利の厚さ、視覚的な伝わりやすさ、購入までの距離、リピート性、法規制の重さという5つの評価軸で判断できます。評価軸を増やしすぎると点数付けに時間がかかり、社内の合意も取りにくくなるため、まずはこの5つに絞って比較するのが実務的です。
粗利の厚さと視覚的な伝わりやすさ
1つ目の粗利の厚さは、施策費を回収できるかどうかに直結します。インフルエンサー施策では、報酬に加えて商品の提供費や発送費がかかるため、粗利率が低い商材は売上が伸びても利益が残りにくくなります。単価が低く粗利も薄い商材は、単体ではなく、まとめ買いセットや定期便と組み合わせて投入すると採算が合いやすくなります。
2つ目の視覚的な伝わりやすさは、写真や短尺動画で商品の良さが伝わるかどうかです。使用前と使用後の変化が見える、使っている場面が絵になる、色や質感に特徴があるといった商材は、インフルエンサーの投稿と相性が良くなります。反対に、効果が数か月後にしか分からない商材や、中身が見えないサービスは、伝え方を工夫しないと投稿の反応が伸びにくくなります。
購入までの距離とリピート性
3つ目の購入までの距離は、投稿を見た人が買うまでにどれだけの手間や検討が必要かを示します。数千円で公式通販からすぐ買える商材は距離が短く、数十万円の高額商材や、来店・見積もり・契約が必要なサービスは距離が長くなります。距離が短い商材ほど、投稿の成果が売上として早く見えるため、最初の投入商材に向いています。
4つ目のリピート性は、一度買った人が繰り返し買うかどうかです。消耗品や定期購入型の商材は、初回の獲得単価が多少高くても、継続購入で回収できます。リピート性の高い商材を優先すると、施策の費用対効果を長い期間で評価できるようになります。
法規制の重さ
5つ目の法規制の重さは、投稿で使える表現にどれだけ制約があるかです。化粧品や健康食品、医療関連のサービスは、薬機法や景品表示法の制約により、効果効能の表現が限られます。2023年10月1日からは景品表示法のステルスマーケティング規制が施行されており、2026年9月時点でも、広告であることを明示しない投稿は規制の対象になります。規制が重い商材は、投稿の確認工数が増えるため、最初の1商材よりも、運用に慣れた2商材目以降に回すと進行が安定します。表現の注意点は薬機法とインフルエンサー投稿の関係もあわせて確認してください。
商材優先度スコアリング表の作り方
商材の優先度は、5つの評価軸を5段階で採点し、事業上の重要度で重み付けした合計点で並べると決められます。感覚で決めると声の大きい部署の商材が優先されがちですが、点数表にしておくと、なぜその順番にしたのかを社内に説明できます。
採点の基準をそろえる
採点で大切なのは、1点と5点の基準を事前に言葉で決めておくことです。たとえば粗利の厚さなら、粗利率30%未満を1点、40%台を3点、60%以上を5点とする、といった具合です。購入までの距離なら、公式通販で即日購入できるものを5点、店舗への来店が必要なものを3点、見積もりや商談が必要なものを1点とします。基準が曖昧なままだと、担当者ごとに点数がぶれ、比較の意味がなくなります。
採点は1人で行わず、マーケティング担当、商品担当、営業担当の3者で別々に付けてから平均を取る方法をおすすめします。立場によって見えている情報が違うため、平均を取ることで偏りが小さくなります。
重み付けの考え方
重み付けは、その期の事業目標に合わせて変えます。売上を早く立てたい期であれば購入までの距離の重みを大きくし、利益率を改善したい期であれば粗利の厚さの重みを大きくします。重みを毎期変えることで、同じ商材群でも優先順位が変わるのは自然なことです。
| 評価軸 | 1点の目安 | 3点の目安 | 5点の目安 | 重みの例 |
|---|---|---|---|---|
| 粗利の厚さ | 粗利率30%未満です | 粗利率40%台です | 粗利率60%以上です | ×2 |
| 視覚的な伝わりやすさ | 変化や違いが写真で見えません | 使用場面は撮れますが変化は小さいです | 使用前後や質感が一目で伝わります | ×2 |
| 購入までの距離 | 見積もりや商談が必要です | 来店や予約が必要です | 公式通販ですぐ買えます | ×3 |
| リピート性 | 一度買えば数年買いません | 年に数回買い替えます | 毎月消費する、または定期便があります | ×1 |
| 法規制の軽さ | 効果表現に強い制約があります | 一部の表現に注意が必要です | 表現上の制約がほぼありません | ×1 |
上の表は一例で、重みの合計は9になるため、満点は45点です。点数の差が3点以内の商材同士は、点数だけで順番を決めずに、在庫の状況や販売チャネルの準備状況など、表に出てこない条件で判断してください。
商材タイプ別の相性と優先度の目安
商材タイプごとに、インフルエンサー施策との相性にはおおよその傾向があります。自社の商材がどのタイプに近いかを把握しておくと、スコアリングの前段階で候補を絞り込めます。以下は2026年9月時点で一般的に言われている傾向を、Bloom編集部が整理したものです。
相性が良く最初に投入しやすい商材
最初に投入しやすいのは、化粧品、アパレル、食品、雑貨など、写真映えがして数千円で買える商材です。これらは視覚的な伝わりやすさと購入までの距離の両方で高い点数が付きやすく、投稿の反応が売上に結びつくまでの時間も短くなります。特に、新色や限定品のように話題性がある商材は、投稿のきっかけを作りやすくなります。
工夫が必要で後回しにしやすい商材
金融商品、保険、BtoBサービス、高額な住宅関連商材などは、投稿だけで購入まで進むことが少なく、成果が見えるまで時間がかかります。これらの商材を扱う場合は、いきなり売上を目標にせず、資料請求や来店予約などの中間指標を置くと評価しやすくなります。また、商品そのものではなく、使う人の暮らしや考え方を語ってもらう企画にすると、投稿として成立しやすくなります。
| 商材タイプ | 相性の傾向 | 投入順の目安 | 成果の見方 |
|---|---|---|---|
| 化粧品・スキンケア | 使用感と変化を伝えやすいです | 1番手に向きます(表現規制に注意) | 購入数・クーポン利用数で見ます |
| アパレル・雑貨 | 着用や使用場面が絵になります | 1番手に向きます | 購入数・保存数で見ます |
| 食品・飲料 | 調理や食べる場面が伝わりやすいです | 1〜2番手に向きます | 購入数・定期便の申込数で見ます |
| 飲食店・美容サロン | 来店体験を語りやすいです | 地域を絞って1〜2番手に向きます | 予約数・来店数で見ます |
| アプリ・デジタルサービス | 画面の操作は伝わりますが魅力の説明に工夫が要ります | 2番手以降に向きます | インストール数・登録数で見ます |
| 高額商材・BtoBサービス | 投稿だけで購入に至りにくいです | 主力商材で型ができてから投入します | 資料請求数・指名検索数で見ます |
同じタイプでも優先度が変わる条件
同じ商材タイプでも、自社の販売体制によって優先度は変わります。たとえば食品でも、公式通販がなくスーパーでの販売が中心の商材は、投稿を見た人がすぐに買えないため、購入までの距離の点数が下がります。逆に、BtoBサービスでも無料トライアルがすぐに始められるものは、距離が短くなります。タイプの傾向はあくまで出発点とし、最終的には自社の条件で採点してください。
最初に投入する1商材の選び方
最初に投入する1商材は、スコアリングで上位に来た商材の中から、在庫と販売導線が整っているものを選ぶのが正解です。最初の施策の目的は、売上を最大化することよりも、自社でインフルエンサー施策を回す型を作ることにあります。そのため、成果が早く見え、失敗しても事業への影響が小さい商材から始めます。
ヒーロー商材を選ぶ条件
最初の1商材は、ブランドの顔となるヒーロー商材にするのが基本です。ヒーロー商材とは、そのブランドを知らない人に最初に試してほしい、ブランドの特徴がもっとも表れた商品を指します。ヒーロー商材で認知を取っておくと、2商材目以降を投入するときに、すでにブランド名を知っている人に届けられるため、反応が良くなりやすくなります。
ヒーロー商材を選ぶときは、次の3つを確認してください。1つ目は、投稿が集中しても品切れにならない在庫があるか。2つ目は、公式通販やECモールの商品ページが整い、レビューがある程度集まっているか。3つ目は、商品の特徴を一言で説明できるか。この3つがそろっていない商材は、点数が高くても最初の投入には向きません。
新商品を最初に投入してよいケース
新商品を最初の1商材にしてよいのは、発売時期が決まっていて、発売に合わせた話題づくりが事業上の最優先になっている場合です。新商品は話題性がある反面、レビューがなく、売れ行きも読めないため、在庫と販売導線の準備が間に合っているかを慎重に確認します。発売前後の進め方は新商品プロモーションのインフルエンサー設計と発売前後90日の進め方で詳しく解説しています。
最初の1商材を決める前の確認リスト
- スコアリングで上位3位以内に入っています。
- 投稿が集中した場合でも、1か月分の在庫を確保できています。
- 商品ページに価格・使い方・レビューがそろっています。
- 商品の特徴を30字以内で説明できます。
- 成果を測る指標(購入数やクーポン利用数など)が決まっています。
2商材目以降の投入順を決める3つの型
2商材目以降の投入順は、横展開型、関連商材型、季節入れ替え型の3つの型から選ぶと決めやすくなります。どの型を選ぶかは、最初の商材でどのような成果が出たか、そして次の期に何を伸ばしたいかで判断します。
横展開型と関連商材型
横展開型は、最初の商材で成果が出た条件をそのまま別の商材に当てはめる型です。同じフォロワー帯、同じ投稿形式、同じ訴求の切り口で、次にスコアの高い商材を投入します。成功した条件を変えずに商材だけを入れ替えるため、商材そのものの相性を比較しやすいのが利点です。
関連商材型は、最初の商材を買った人が次に欲しくなる商材を順番に投入する型です。化粧水の次に美容液、シャンプーの次にトリートメントというように、使う場面がつながる商材を選びます。最初の商材で集めたフォロワーや購入者に、自然な流れで次の商材を紹介できるため、クロスセルにつながりやすくなります。同じインフルエンサーに続けて依頼すると、使い続けている実感を語ってもらえる点も強みです。
季節入れ替え型
季節入れ替え型は、季節ごとに需要が高まる商材を順番に投入する型です。夏は日焼け止め、秋冬は保湿クリームというように、売れる時期に合わせて主役の商材を入れ替えます。季節需要がはっきりしている商材を複数持つ企業に向いており、年間を通じて施策を止めずに回せます。季節施策の逆算の考え方はインフルエンサーの季節キャンペーン設計と逆算スケジュールが参考になります。
| 投入順の型 | 考え方 | 向いている企業 | 注意点 |
|---|---|---|---|
| 横展開型 | 成功条件を固定して商材だけを入れ替えます | 似た価格帯の商材を複数持つ企業 | 商材の違いを投稿で出さないと同じ内容に見えます |
| 関連商材型 | 使う場面がつながる商材を順に出します | ライン使いができる商材群を持つ企業 | 最初の商材の評価が低いと後続も伸びません |
| 季節入れ替え型 | 需要期に合わせて主役を入れ替えます | 季節商材を複数持つ企業 | 準備期間を逆算しないと需要期に間に合いません |
商材ローテーションを年間で設計する手順
商材ローテーションは、年間の需要カレンダーを先に作り、そこに主力商材と検証商材を割り当てる順番で設計します。3つの型を組み合わせて1年の流れを作っておくと、場当たり的に商材を選ぶことがなくなり、インフルエンサーへの依頼も前倒しで進められます。
需要カレンダーを先に作る
最初に、自社の商材ごとに売れる月と売れない月を書き出します。過去の販売データがあれば、月別の売上を商材ごとに並べるだけで需要の山が見えてきます。そのうえで、年末商戦、新生活、母の日、夏休みなど、自社に関係する販促の山を重ねます。こうして作った需要カレンダーが、ローテーションの土台になります。
需要の山が重なる月は、無理に複数の商材を動かさず、もっとも点数の高い商材に絞ります。逆に、どの商材も需要が落ちる月は、新しい商材を試す検証期間として使うと、繁忙期に向けた準備になります。
四半期ごとに主役を決める
年間の設計では、四半期ごとに主役の商材を1つ決め、脇役として検証商材を1つ添える形がもっとも運用しやすくなります。主役の商材には予算と投稿本数の大半を割き、検証商材は少人数で反応を確かめます。検証商材の反応が良ければ、次の四半期で主役に昇格させます。
| 時期 | 主役の商材(例) | 検証商材(例) | ねらい |
|---|---|---|---|
| 4〜6月 | ヒーロー商材 | 関連商材A | 新生活の需要でブランド認知を取ります |
| 7〜9月 | 夏の季節商材 | 関連商材B | 需要期に合わせて購入数を伸ばします |
| 10〜12月 | ギフト向けセット | 新商品 | 年末商戦で単価を上げます |
| 1〜3月 | ヒーロー商材の再投入 | 次年度の候補商材 | 閑散期に次の主力を見極めます |
上の表は、スキンケアや食品のように通年で販売しつつ季節の山がある商材群を想定した一例です。自社の商材構成に合わせて、主役と検証の組み合わせを置き換えてください。投稿日の具体的な管理はインフルエンサー施策の投稿カレンダー作成と運用管理の手順で解説しています。
準備期間を逆算する
ローテーションを回すうえで見落としやすいのが、準備期間です。インフルエンサーの選定、依頼、商品の発送、撮影、投稿内容の確認までを含めると、依頼から投稿までには一般的に1〜2か月かかります。需要期の初めに投稿を出したい場合は、その2か月前には商材と人選を決めておく必要があります。
予算と投稿本数を商材間で配分する考え方
商材間の予算配分は、主力商材に6〜7割、検証商材に2〜3割、新規テストに1割前後を充てるのが目安です。この比率は2026年9月時点でBloom編集部が推奨している考え方で、成果を出しながら次の主力を育てるための配分です。
主力・検証・テストの3層に分ける
主力商材は、すでに成果の型が見えている商材で、確実に売上を作る役割を持ちます。検証商材は、スコアは高いものの実績がまだ少ない商材で、次の主力候補です。新規テストは、スコアの低い商材や新しい切り口の企画を小さく試す枠です。3層に分けておくと、主力に偏りすぎて次の商材が育たない状態や、検証に予算を使いすぎて成果が出ない状態を避けられます。
予算が限られている場合は、新規テストの枠をなくし、主力と検証の2層だけで運用しても問題ありません。月の予算が数十万円規模であれば、主力1商材に集中するほうが成果は見えやすくなります。少ない予算での配分の考え方は低予算で始めるインフルエンサーマーケティングの予算配分術もあわせてご覧ください。
検証に必要な最低本数を確保する
検証商材に割く予算は、成果を判断できるだけの投稿本数を確保できる額にします。1〜2本の投稿では、反応が良くても悪くても偶然の可能性を否定できません。フォロワー数が近いインフルエンサーで5本以上の投稿を集めると、商材としての反応の傾向がつかみやすくなります。予算が足りない場合は、フォロワー数の少ないナノやマイクロのインフルエンサーで本数を確保する方法が有効です。
配分でよくある失敗
- 部署間の公平を優先して、全商材に同じ予算を割り振ってしまいます。
- 検証商材の本数が少なすぎて、成果の良し悪しを判断できません。
- 主力商材の成果が良いため、検証枠をなくして次の主力が育たなくなります。
- 1人のインフルエンサーに複数商材を同時に紹介してもらい、訴求がぼやけます。
投入順を見直す判断基準と撤退ライン
投入順は、3か月ごとに実績とスコアを並べて見直し、事前に決めた撤退ラインを下回った商材は優先度を下げるのが原則です。最初に決めた順番に固執すると、成果の出ない商材に予算を使い続けることになります。
見直しのタイミングと見る指標
見直しは四半期の終わりに行い、商材ごとに投稿数、リーチ数、保存数、クリック数、購入数や予約数を一覧にします。そのうえで、1件の成果を得るためにかかった費用を商材ごとに比較します。指標の設計そのものはインフルエンサー施策のKPI設計とテンプレートで詳しく扱っています。
数字を比べるときは、投稿時期や起用したインフルエンサーの条件をそろえて見ることが大切です。季節商材を需要期に出した結果と、通年商材を閑散期に出した結果を単純に比べると、商材の実力を見誤ります。
撤退ラインを事前に決める
撤退ラインは、施策を始める前に数字で決めておきます。たとえば「5本以上の投稿で、1件の購入にかかった費用が主力商材の2倍を超えたら、次の四半期は検証枠から外す」といった基準です。撤退ラインを後から決めると、思い入れのある商材ほど判断が甘くなるため、必ず事前に合意しておいてください。
撤退は、その商材を二度と扱わないという意味ではありません。訴求の切り口や起用するインフルエンサーのジャンルを変えれば、反応が変わることもあります。撤退した商材は、半年から1年後に新規テストの枠で再挑戦する候補として記録しておきます。
昇格させる基準
検証商材を主力に昇格させる基準も、同じように数字で決めておきます。1件の成果にかかった費用が主力商材と同等以下で、保存数やコメント数などの反応も主力商材に近い水準であれば、次の四半期で主役に据えます。昇格させる際は、在庫と販売導線が主力並みの規模に耐えられるかを改めて確認してください。
商材優先度を社内で合意するプロセス
商材の優先度は、点数表をたたき台にして関係部署と一度に協議し、決定の理由を記録に残すことで社内の合意を得られます。優先度の決定は、どの部署の商材を後回しにするかを決めることでもあるため、手順を踏まずに決めると後から不満が出ます。
協議に呼ぶ部署と役割
協議には、マーケティング部門、商品企画部門、営業部門、そして予算を承認する責任者を呼びます。マーケティング部門は施策としての実現性を、商品企画部門は商材の強みと在庫を、営業部門は販売チャネルの状況を、責任者は事業上の優先度を判断します。全員が同じ点数表を見ながら話すことで、主観の対立ではなく、どの評価軸の点数に納得できないかという具体的な議論になります。
協議で決まった優先順位と投入順は、施策の企画書にそのまま書き込みます。企画書の構成はインフルエンサー施策の企画書の作り方と必須項目11点で整理していますので、商材選定の欄を設けて理由とあわせて記載してください。
後回しになった商材への説明
後回しになった商材の担当部署には、いつ、どの条件がそろえば投入するのかを伝えます。「来期の検証枠で扱う」「商品ページのレビューが一定数集まったら投入する」といった具体的な条件を示すことで、単に外されたのではなく、順番を待っている状態だと理解してもらえます。
商材優先度の決定前に確認するチェックリスト
- 全商材を5つの評価軸で採点し、3者の平均を取っています。
- 重み付けが今期の事業目標と一致しています。
- 最初の1商材の在庫と販売導線が整っています。
- 2商材目以降の投入順の型(横展開・関連商材・季節入れ替え)を決めています。
- 主力・検証・テストの予算比率を決めています。
- 撤退ラインと昇格基準を数字で合意しています。
- 後回しになった商材の投入条件を担当部署に伝えています。
外部のプラットフォームを使う場合の進め方
インフルエンサーのマッチングプラットフォームを使う場合も、商材の優先順位は企業側で決めておく必要があります。募集を出す段階で紹介してほしい商材が1つに絞られていると、応募してくるインフルエンサーの顔ぶれも商材に合ったものになり、選定の手間が減ります。複数の商材を同時に募集する場合は、募集ごとに商材を分け、それぞれの成果を別々に記録してください。
商材の優先順位は、一度決めて終わりではなく、施策を回すほど精度が上がっていく判断です。最初は点数表と直感のずれが気になるかもしれませんが、四半期ごとの見直しを2〜3回重ねると、自社の商材のどこに強みがあるのかが数字で見えるようになります。まずは上位1商材で型を作り、そこから投入順に沿って広げていってください。
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