インフルエンサー施策で最初に決めにくいのが投稿本数です。予算は決まっているのに、10人に1本ずつ頼むのか、3人に3本ずつ頼むのか、フィードだけにするのかストーリーズまで含めるのかで、届く人数も検証できることも大きく変わります。多くの現場では「予算を単価で割った結果」として本数が決まっていますが、それでは何本が適正だったのかを後から検証できません。この記事では、目的・必要リーチ・予算という3つの入口から投稿本数を逆算する手順を、フォロワー帯別の想定リーチ率、予算30万〜300万円の配分シミュレーション、多人数×1本と少人数×複数本の使い分け、フォーマット別の本数換算、決裁前に確認する12項目のチェックリストまで、そのまま社内で使える形で整理しました。

この記事の要点

  • 投稿本数は「起用人数 × 1人あたりの本数 × フォーマットの重み」で決まります。予算を単価で割った余りとして本数を決めると、何本が適正だったのかを後から検証できません。
  • 認知拡大が目的なら人数を増やして本数を横に広げ、獲得が目的なら同じ人に重ねて本数を縦に積みます。目的が決まれば配分の型はほぼ自動的に決まります。
  • 必要本数は「目標延べリーチ ÷(平均フォロワー数 × 想定リーチ率)」で概算できます。2026年9月時点の想定リーチ率は、ナノ層で30〜50%、マイクロ層で25〜40%、メガ層で10〜20%を出発点に置くのが現実的です。
  • 予算から決める場合は、2026年9月時点で一般的なフォロワー単価2〜4円をもとに1投稿あたりの費用を出し、総額の10〜20%を検証枠と予備枠として残します。
  • 検証に耐える最低ラインは1案件6本です。これを下回ると、伸びた投稿が実力なのか偶然なのかを判断できず、次の案件に持ち越せる学習が残りません。

インフルエンサー施策の投稿本数の決め方の全体像

インフルエンサー施策の投稿本数とは、施策期間中に起用したインフルエンサーが公開するPR投稿の合計数のことで、起用人数・1人あたりの本数・投稿フォーマットという3つの変数の掛け算で決まります。この3つを分けずに「予算をフォロワー単価で割った結果」として本数を出してしまうと、施策が終わったときに、本数が足りなかったのか、人数の配分が偏っていたのか、フォーマットの選び方を誤ったのかを切り分けられません。まずは本数を3つの変数に分解するところから始めてください。

本数の設計が曖昧なまま走った案件は、振り返りがどうしても感覚論になります。「もう少し本数があればよかった」という結論だけが残り、次回も同じ決め方を繰り返すことになります。逆に3つの変数に分けて記録しておけば、2案件目からは「人数を増やす」「同じ人に重ねる」「フォーマットを変える」のどれで調整するかを具体的に選べるようになります。

投稿本数を構成する3つの変数

投稿本数を決めるときに動かせるつまみは3つしかありません。1つ目は起用人数で、どれだけ多くの層に届けるかという広がりを決めます。2つ目は1人あたりの本数で、同じ相手に何回発信してもらうかという深さを決めます。3つ目はフォーマットの重みで、フィード投稿1本とストーリーズ1枚を同じ1本として数えないための調整です。この3つを別々に決めてから掛け合わせると、同じ総本数でも中身がまったく違う設計になることが見えてきます。

変数決めていること主に効く成果よくある誤り
起用人数どれだけ多くの層に届けるか新規到達人数・接触の広さ人数だけを増やし、1人あたりの発信が薄くなります
1人あたりの本数同じ相手に何回接触するか検討の後押し・信頼の積み上げ全員1本で終わり、記憶に残らないまま流れます
フォーマットの重み1本あたりの情報量と残存期間理解の深さ・導線の強さストーリーズを1本と数え、総量を過大に見積もります
期間内の配置決めた本数をいつ出すか検索されたときの見つかりやすさ期間に均等割りし、山も谷も作れません

4行目に挙げた期間内の配置は総本数そのものを変えませんが、同じ本数の効き方を大きく左右します。並べ方の考え方はPR投稿のタイミング設計と投稿日を分散させる考え方で詳しく扱っていますので、本数を決めたあとに配置を検討する流れで読むと接続がよくなります。

本数から先に決めてはいけない理由

「まず10本」「今回は20本で」と本数から入る決め方は話が早いのですが、根拠がないため増減の判断ができなくなります。上司から「なぜ20本なのか」と聞かれて答えられない本数は、予算が削られたときに真っ先に削られます。逆に「目標延べリーチ10万に対して1投稿あたり9,000リーチを見込み、必要本数は11本」と説明できれば、削るなら目標も下げる、という会話に持ち込めます。

順序としては、目的の確定、目標リーチまたは目標コンバージョンの設定、必要本数の逆算、予算との突き合わせ、という流れになります。この順番を守るだけで、本数は交渉可能な数字から、根拠のある数字に変わります。予算のほうが先に決まっている案件でも、いったんは必要本数を逆算し、そのうえで予算内に収まる配分を選ぶという手順を踏んでください。

なお、必要本数と予算が合わないこと自体は失敗ではありません。合わないと分かった時点で、目標を下げるのか、層を下げて単価を落とすのか、期間を延ばして分割するのかという選択肢が見えます。逆算していなければ、そもそも足りていないことにすら気づけません。

本数を決める前に固めておく前提

本数の話に入る前に、3つの前提を確定させてください。第1に、この施策の目的が認知拡大なのか、獲得なのか、UGCと広告素材の確保なのかという点です。第2に、商材の検討期間で、数百円の消耗品と数十万円の商材では、投稿が働く時間の長さがまったく違います。第3に、投稿以外の施策との重なりで、広告・メルマガ・店頭施策と重ねるのか、あえてずらすのかを先に決めておきます。

目的の言語化がまだであれば、インフルエンサー施策のKPI設計とテンプレートで指標を先に決めてから本数に進むと、以降の判断が速くなります。目的が「面での話題化」なのか「検討の後押し」なのかが決まれば、次の章で扱う本数の型はほぼ自動的に選べます。

目的別に変わる投稿本数の考え方

認知拡大が目的なら投稿本数は人数を増やして横に広げ、獲得が目的なら同じインフルエンサーに重ねて縦に積むのが基本です。総本数が同じ20本でも、20人が1本ずつ出す形と、7人が3本ずつ出す形では、届く人数も、届いた人に残る印象もまったく違います。どちらが優れているという話ではなく、狙う成果によって最適な形が変わるという話です。

目的本数の型起用人数の目安1人あたり本数総本数の目安主に見る指標
認知拡大・新商品の話題化横に広げる10〜30人1〜2本15〜40本延べリーチ・指名検索数
獲得・購入促進縦に積む3〜8人3〜5本12〜30本クリック数・クーポン利用数
UGC蓄積・広告素材の確保横に広げて選ぶ15〜40人1〜2本20〜60本使える素材の本数・二次利用可率
継続的なブランド想起薄く長く積む3〜6人月1〜2本を6か月月4〜10本フォロワー増・言及数の推移

この表の数字は2026年9月時点で一般的な案件規模から置いた出発点であり、商材の単価や検討期間で上下します。まずは自社の目的が4行のどれに近いかを選び、その行の目安から±30%の範囲で調整するところから始めると、大きく外れることはありません。

認知拡大を狙う場合の本数設計

認知拡大が目的の場合は、1人あたりの本数を1〜2本に抑えて、そのぶん起用人数を増やします。理由は単純で、同じ人が3本出しても届く相手はほぼ同じフォロワー層であり、新しく接触できる人数はほとんど増えないからです。新規到達を最大化したいなら、フォロワー層が重ならないアカウントを並べるほうが効率的です。

このとき注意したいのが、フォロワー層の重複です。同じジャンルの上位アカウントを10人並べると、フォロワーの3〜5割が重なっていることも珍しくありません。ジャンルを少しずつずらす、地域を分ける、年代の異なる層を混ぜるといった工夫で重複を減らせます。層の混ぜ方はインフルエンサーのフォロワー数別の使い分けとミックス設計で詳しく整理していますので、人数を増やす設計にする場合はあわせてご覧ください。

認知目的でも、全員を完全な1本にする必要はありません。フィード1本にストーリーズ2〜3枚を添える形にすると、24時間の集中露出とリンク送客が加わり、1人あたりの費用の増分に対して得られる効果は大きくなります。ストーリーズは本数換算では1本に数えませんが、導線としては有効な追加です。

獲得・購入促進を狙う場合の本数設計

獲得が目的の場合は、起用人数を絞って1人あたりの本数を3〜5本に増やします。人は1回見ただけでは買いませんので、同じ発信者から複数回にわたって商品が登場することが、信頼と購入意欲の両方を押し上げます。1回目は紹介、2回目は使用感、3回目は継続後の変化やセール告知、というように役割を分けると自然な流れになります。

この型では、投稿の間隔と役割設計が本数と同じくらい重要になります。3本を1週間に詰め込むと宣伝色が強くなり、フォロワーの反応がむしろ落ちます。2〜3週間の間隔をあけて、投稿ごとに伝える内容を変えてください。継続的な起用を前提にする場合の契約や単価の考え方はインフルエンサーの継続起用と長期契約の設計・運用ガイドにまとめています。

また、獲得目的では計測の設計と本数が直結します。1人あたり複数本を出すなら、投稿ごとに別のクーポンコードや計測用パラメータを割り当てて、どの回が効いたのかを分離できるようにしてください。ここを分けておかないと、本数を増やした効果を数字で説明できなくなります。

UGCと広告素材の確保を狙う場合の本数設計

UGCの蓄積や広告素材の確保が目的の場合は、本数そのものよりも「使える素材が何本残るか」で数えます。実務では、依頼した本数のうち二次利用の許諾が取れて、かつ広告として配信できる品質に達するのは半分から3分の2程度です。広告に使う素材を10本そろえたいなら、依頼段階では15〜20本を見込んでおく必要があります。

この歩留まりを前提に置かないまま「10本頼めば10本使える」と考えると、配信直前に素材が足りず、慌てて追加発注することになります。追加発注は納期が短くなるぶん単価も上がりますので、最初から歩留まりを織り込んだ本数で組むほうが結果的に安く済みます。投稿を広告として配信する流れはホワイトリスト広告の仕組みと始め方を実務フローで解説で扱っていますので、素材確保が目的の場合は先に読んでおくと本数の見積もりがぶれません。

素材目的の案件では、フォーマットを縦型動画に寄せておくことも本数設計の一部です。フィード写真だけを集めても広告配信面での使い道が限られますので、リールやTikTok動画を一定比率で含めるように依頼段階で指定してください。

必要な投稿本数をリーチから逆算する計算式

必要な投稿本数は「目標延べリーチ ÷(起用予定の平均フォロワー数 × 想定リーチ率)」で概算できます。たとえば目標延べリーチが10万、起用予定のマイクロインフルエンサーの平均フォロワー数が3万人、想定リーチ率が30%であれば、1投稿あたりのリーチは9,000となり、必要本数は約11本という計算になります。この式が本数設計の骨格であり、以降の予算配分や人数の調整はすべてこの数字を基準に行います。

逆算の4ステップ

実務では次の4ステップで進めます。第1に、目標延べリーチを決めます。第2に、起用予定の層と平均フォロワー数を仮置きします。第3に、その層の想定リーチ率を当てはめて1投稿あたりのリーチを出します。第4に、目標を1投稿あたりリーチで割り、重複と歩留まりを補正して最終本数を確定します。ここまでを表計算ソフト1枚で行えば、企画会議で人数と本数の組み合わせをその場で試せます。

第1ステップの目標延べリーチが決まらない場合は、逆側から置く方法もあります。目標コンバージョン数を、想定するクリック率と購入率で割り戻すと必要リーチが出ます。たとえば目標100件、リーチからクリックへの遷移率1%、クリックから購入への転換率3%であれば、必要クリックは約3,300、必要リーチは約33万という計算になります。この数字が現実的でないと感じたら、その施策はインフルエンサー単体で成立しないと判断できます。

想定リーチ率の置き方

想定リーチ率は、フォロワー数が多いアカウントほど低くなるのが一般的な傾向です。2026年9月時点で各社が公開している解説記事でも、フォロワー規模が小さいアカウントほどフォロワーに届く比率は高く、規模が大きくなるほど下がると説明されています。次の表は、Instagramのフィード投稿を基準にした出発点の目安であり、実案件では起用候補本人のインサイト実績で必ず上書きしてください。

フォロワー帯想定リーチ率の目安1投稿あたりリーチの例本数設計での扱い
ナノ(〜1万)30〜50%8,000人なら2,400〜4,000本数を多く積んで到達量を作ります
マイクロ(1〜10万)25〜40%3万人なら7,500〜12,000費用と到達のバランスが取りやすい主力帯です
ミドル(10〜50万)15〜30%20万人なら3〜6万1〜2人を軸に置き、周りをマイクロで固めます
マクロ(50〜100万)12〜25%70万人なら8.4〜17.5万本数は絞り、話題づくりの起点として使います
メガ(100万〜)10〜20%150万人なら15〜30万1本で予算の大半を使うため慎重に判断します

リールやTikTok動画のようにレコメンドで配信されるフォーマットは、この表の枠に収まりません。フォロワー数の100〜300%に届くこともあれば、フォロワーの半分にも届かないこともあり、振れ幅が大きくなります。本数の見積もりでは、動画フォーマットのリーチは表の数値をそのまま使い、上振れは織り込まないでおくと安全です。リーチ率やエンゲージメント率の読み方そのものはインフルエンサーのエンゲージメント率の目安と見方で整理しています。

接触回数と重複を織り込んだ補正

逆算で出た本数は、あくまで延べリーチをそろえるための本数です。実際には、同じ人が複数の投稿を目にする重複が発生しますので、ユニークな到達人数は延べリーチより少なくなります。同じジャンルのアカウントを並べる案件では、延べリーチの70〜85%程度がユニーク到達と考えて見積もると、大きく外しません。

逆に、同じ人に2回以上届けたい場合は、本数を意図的に増やします。検討期間が長い商材では、1回の接触で決まることはほとんどありませんので、重複はむしろ設計の一部です。2回接触を狙うなら本数を1.5〜2倍に、3回接触を狙うなら2〜2.5倍に増やす、という粗い係数で見積もっておけば、企画段階の議論としては十分に機能します。

この補正まで含めると、先ほどの例では、目標延べリーチ10万に対して11本、2回接触を狙うなら17〜22本、という2つの数字が出ます。どちらを選ぶかは目的次第ですが、両方を並べて示せるだけで、社内での本数の議論は一気に具体的になります。

予算から投稿本数を割り出す配分パターン

予算が先に決まっている場合は、2026年9月時点で一般的なフォロワー単価2〜4円をもとに1投稿あたりの費用を出し、そこから本数に割り付けます。フォロワー3万人のマイクロインフルエンサーにフィード投稿を依頼するなら、単価3円で計算して1本あたり約9万円という見当がつきます。この単位費用が分かれば、あとは予算を割るだけで上限本数が出ますので、そこから人数と本数の組み合わせを詰めていく流れになります。

フォロワー単価と1投稿あたりの費用

フォロワー単価はフォーマットによって変わります。2026年9月時点で各社の料金解説記事に共通して出てくる水準としては、ストーリーズがフォロワー数×1〜3円、フィードがフォロワー数×1.5〜4円、リールがフォロワー数×2〜5円という幅で紹介されています。動画になるほど制作工数が増えるため単価も上がりますが、そのぶん新規リーチの伸びしろも大きくなります。

ここで注意したいのは、フォロワー単価はあくまで報酬の目安であり、案件の総費用ではないという点です。商品原価、送料、撮影小物、投稿確認や進行管理の人件費、プラットフォームやキャスティング会社の手数料が上に乗ります。実務では報酬額の10〜25%程度を諸経費として別枠で見積もっておくと、後から本数を削る事態を避けられます。見積書の内訳の読み方はインフルエンサー起用の見積書の読み方と費用内訳の確認ポイントで詳しく扱っています。

予算別の本数シミュレーション

報酬分の予算だけを対象に、代表的な4パターンを試算しました。いずれもフォロワー単価3円を基準とし、1人に2本まとめて依頼する場合はセット割引で1本あたり約20%下がる前提で計算しています。2026年9月時点の一般的な水準からの試算であり、実際の見積もりは候補ごとに変わります。

報酬予算想定する構成起用人数1人あたり本数総本数1本あたり平均費用想定延べリーチ
30万円ナノ中心(5千〜1万)10人1本10本約3.0万円3万〜5万
50万円ナノ+マイクロ(1〜2万)7人2本14本約3.6万円6万〜9万
100万円マイクロ中心(2〜4万)7人2本14本約7.1万円11万〜16万
300万円マイクロ14人+ミドル1人15人2本30本約10.0万円30万〜40万

この表で注目してほしいのは、50万円と100万円がどちらも14本で並んでいる点です。総本数は同じでも、フォロワー規模が違うため延べリーチは倍近く変わります。つまり本数だけを見て施策の規模を語ることはできず、必ず1本あたりのリーチとセットで語る必要があるということです。稟議資料に本数だけを書くと、この差が伝わりません。

もうひとつの読み方として、リーチ単価を計算しておくと自社の見積もりが妥当かを判断できます。上の4パターンはいずれも報酬をリーチで割ると1リーチあたり6〜10円前後に収まります。手元の見積もりがこの水準から大きく外れているなら、本数か単価のどちらかに見直す余地があると考えてください。低予算帯での配分の考え方は低予算で始めるインフルエンサーマーケティングの予算配分術にまとめています。

検証枠と予備枠を残す

予算の全額を本数に変換してはいけません。総額の10〜20%は、検証枠と予備枠として手元に残しておいてください。検証枠は、反応がよかった投稿を広告として配信したり、伸びた型を追加で発注したりするための資金です。予備枠は、投稿の遅延やキャンセル、品質不足による差し替えに備える資金です。

この枠を持たない案件は、最初に決めた本数がそのまま結果になります。逆に2割を残しておけば、施策の途中で「この型が効いている」と分かった時点で本数を追加でき、当たった方向に資源を寄せられます。100万円の案件なら20万円、300万円なら60万円を後半に回す設計にしておくだけで、成果の上限は目に見えて変わります。

起用人数と1人あたり本数のバランス

同じ14本でも、14人に1本ずつ頼む形と7人に2本ずつ頼む形では、得られる成果の性質が変わります。前者は新しく接触できる人数が増え、後者は同じ層への接触回数が増えます。どちらを選ぶかは目的で決まりますが、実務では判断材料を並べて比べたほうが早いので、主な違いを表にまとめました。

比較軸多人数×1本型少人数×複数本型
新規到達広く取れます。初回接触の人数が増えます狭くなります。同じ層に繰り返し届きます
接触回数1回で終わり、記憶に残りにくくなります2〜3回の接触で検討を後押しできます
制作品質毎回ゼロから商品説明をやり直します2本目以降は理解が進み品質が上がります
1本あたり単価セット割引が効かず割高になりますまとめ依頼で1本あたり20〜30%下がります
進行管理の負荷人数分の連絡・確認・審査が発生します相手が少なく管理は軽くなります
広告素材としての幅表現のバリエーションが増えます同じ人の素材が続き幅が出にくくなります
検証で分かること人選の当たり外れが見えますクリエイティブの当たり外れが見えます
向く場面新商品の話題化・面での認知拡大検討期間が長い商材・獲得と再訪

多人数×1本型が向く場面

多人数×1本型が向くのは、発売日や開催日が決まっていて、その日の話題量そのものが価値になる商材です。同じ日に10本以上の投稿が並ぶと、見た人に「いま話題になっている」という印象が残ります。また、どんな人選が当たるのかがまだ分かっていない初回の案件でも、この型は有効です。人数を増やすほど、当たりの人選を見つける確率が上がるからです。

ただし、人数が増えるほど進行管理の負荷は直線的に増えます。20人を超えると、依頼書の配布、投稿予定日の確認、投稿前チェック、投稿URLの回収という一連の作業が、担当者1人では回らなくなります。多人数型を選ぶなら、管理の仕組みを先に用意してください。20人規模の進め方はインフルエンサー20人を同時に動かす進行管理と抜け漏れ対策で具体的に整理しています。

少人数×複数本型が向く場面

少人数×複数本型が向くのは、検討期間が長い商材、価格が高い商材、使い続けて価値が分かる商材です。1回の投稿では伝えきれない情報を、複数回に分けて積み上げられます。また、同じ発信者が繰り返し紹介することで「本当に使っている」という信頼が生まれ、これは1本だけの投稿では作れない資産になります。

この型のもうひとつの利点は、単価交渉がしやすいことです。2本、3本とまとめて依頼すると、インフルエンサー側には安定した収入という利点があるため、1本あたりの単価は20〜30%下がることが一般的です。同じ予算でも本数を多く確保できますので、獲得目的の案件では検討する価値があります。

ハイブリッド型の標準比率

実務でもっとも扱いやすいのは、両方を組み合わせたハイブリッド型です。総本数を10とした場合、5〜6本を多人数×1本の認知枠、3〜4本を少人数×複数本の獲得枠、残り1〜2本を検証用の予備枠に配分する形が扱いやすい配分になります。総本数30本の案件なら、認知枠18本、獲得枠9本、予備枠3本という配分になります。

この比率は目的によって動かします。認知寄りなら認知枠を7割まで引き上げ、獲得寄りなら獲得枠を5割まで引き上げます。重要なのは、比率を先に決めてから人選に入ることです。人選を先に始めると、たまたま良い候補が見つかった側に本数が偏り、設計が後追いの言い訳になります。

投稿フォーマット別の本数換算

投稿1本の重みはフォーマットによって異なりますので、本数は「何本」ではなく「どの形式を何本」で数えてください。フィード投稿1本とストーリーズ1枚を同じ1本として社内資料に書くと、実際の露出量を大きく取り違えます。ここではフィード投稿1本を基準の1.0として、他のフォーマットを換算する係数を置いておきます。

フォーマット別の単価と本数換算係数

フォーマット単価の目安(2026年9月時点)残存期間本数換算主な役割
Instagramフィードフォロワー数×1.5〜4円長期(プロフィールに残ります)1.0情報の受け皿と保存
Instagramリールフォロワー数×2〜5円長期+レコメンド配信1.5新規リーチの主力
Instagramストーリーズフォロワー数×1〜3円24時間(ハイライトで延命)0.3リンク送客と導線
TikTok動画フォロワー数×2〜5円長期+レコメンド配信1.5拡散と新規発見
YouTubeショート登録者数×2〜5円長期1.2認知の補完
YouTube長尺タイアップ登録者数×3〜10円非常に長く残ります3.0比較検討時の深い理解
X(旧Twitter)投稿フォロワー数×1〜3円短期(流速が速いためです)0.5速報と話題づけ

この換算係数はBloom編集部が実務での扱いやすさを優先して置いたもので、業界標準の指標ではありません。目的は精密な計算ではなく、社内で本数を議論するときに単位をそろえることにあります。「フィード7本、リール3本、ストーリーズ12枚」という構成は、換算すると7.0+4.5+3.6で15.1本相当になり、単純合計の22本とは印象がかなり違います。

Instagramでのセット設計

Instagram中心の案件でもっとも使われる構成は、フィード1本にストーリーズ2〜3枚を組み合わせる形です。フィードで情報を残し、ストーリーズでリンクに送るという役割分担が明確で、費用の増分に対して得られる効果が大きくなります。獲得目的であれば、ここにリールを1本足して新規リーチを補うと、認知と獲得の両方が成立します。

セットで依頼するときは、依頼書に「フィード1本、ストーリーズ3枚(うち1枚はリンク付き)、リール1本」のように、形式と枚数を明記してください。「投稿一式」といった曖昧な書き方をすると、納品されるものが人によって変わり、本数の集計もできなくなります。依頼書の書き方はインフルエンサーディレクションの進め方と指示書で具体的に扱っています。

複数媒体をまたぐ場合の数え方

InstagramとTikTokの両方に投稿してもらう場合、同じ内容の動画を両方に上げる形なら制作コストは1本分に近くなりますので、単価は1.3〜1.6倍程度に収まることが一般的です。この場合、本数は形式上2本ですが、制作の手間としては1.5本程度と考えると見積もりの感覚が合います。媒体ごとの性質の違いはInstagram・TikTok・YouTube インフルエンサー施策の媒体比較で整理していますので、媒体配分を決める前に目を通しておくと判断が速くなります。

一方で、媒体ごとに内容を作り分ける場合は、実質的に別案件です。単価も本数もそれぞれ独立して数えてください。同じ人に頼むから安くなるという前提は、この場合は成り立ちません。

期間内での本数配分とスケジュール

決めた本数は期間に均等配分せず、前半に厚みを置いた配分にします。前半で反応の良い型が分かれば、後半の本数をその方向に寄せられるからです。均等配分にすると、全部が終わってから「あの型が当たっていた」と気づくことになり、学びを同じ案件の中で活かせません。

4週間案件での週別配分

総本数30本、期間4週間の案件を例に、週別の配分を示します。この比率は認知目的でも獲得目的でも大きくは変わらず、前半に厚く、最終週に予備を残すという形が扱いやすい配分になります。

期間配分比率30本の場合その週の狙い
第1週30%9本初速をつくり、反応の良い型を見つけます
第2週30%9本第1週で当たった型を横に展開します
第3週25%8本検索されたときの見つかりやすさを維持します
第4週15%4本遅延の吸収と、当たった方向への追加投下に充てます

第4週の4本は、最初から相手を確定させずに枠だけ確保しておくのが理想です。第2週の時点で成果の傾向が見えますので、そこで初めて誰に何を依頼するかを決めます。この運用ができると、案件の後半が「消化」ではなく「上積み」になります。

同一インフルエンサーの2本目・3本目の置き方

同じ人に複数本を依頼する場合、投稿間隔は最低でも1週間、できれば2〜3週間あけてください。同一アカウントで同じ商品のPR投稿が短期間に続くと、フォロワーには宣伝色が強く映り、投稿者への信頼が下がります。信頼が下がれば次の投稿の反応も落ちますので、間隔を詰めることは短期的にも損になりやすい選択です。

役割の分け方としては、1本目を出会いと紹介、2本目を実際に使った感想、3本目を継続後の変化やセール・キャンペーンの告知に充てる流れが自然です。同じ内容を3回繰り返すと、視聴者は2本目で飽きます。本数を増やすなら、増やした本数の分だけ伝える内容を用意するのが前提だと考えてください。

予備本数の確保と遅延への備え

総本数の10〜15%は予備として確保しておいてください。インフルエンサー施策では、体調不良、撮影の遅れ、商品の到着遅延、審査での差し戻しといった理由で、当初の予定どおりに投稿されない案件が一定割合で発生します。予備を持たない設計では、1本の遅延がそのまま総本数の未達になります。

予備の持ち方は2通りあります。1つは、追加で依頼できる候補を控えとしてリスト化しておく方法です。もう1つは、契約済みの相手に「必要なら追加1本」という条件を最初から入れておく方法です。後者のほうが立ち上がりが速いため、期間が短い案件では有効です。季節商戦のように動かせない締切がある案件では、インフルエンサーの季節キャンペーン設計と逆算スケジュールの逆算表と組み合わせて予備を厚めに取ってください。

投稿本数の決め方でよくある失敗

もっとも多い失敗は、予算を人数で割って全員に1本ずつ配る決め方です。この決め方は公平に見えますが、目的にも目標リーチにも紐づいていないため、成果が出ても出なくても理由を説明できません。ここでは現場で繰り返し見る失敗を3つに絞って、回避の仕方まで整理します。

予算の割り算で本数を決めてしまう

「予算100万円、単価10万円だから10人に1本ずつ」という決め方が、もっとも典型的な失敗です。この形では、認知が目的なのか獲得が目的なのかによらず同じ配分になり、獲得目的の案件でも接触が1回で終わってしまいます。同じ100万円でも、7人に2本ずつ依頼すれば14本になり、接触回数も本数も増やせます。

回避策は単純で、割り算に入る前に目的と目標リーチを紙に書くことです。書いてしまえば、認知目的なら人数を増やす、獲得目的なら本数を重ねる、という判断が自動的に決まります。所要時間は10分程度ですが、この10分の有無で成果の説明可能性が大きく変わります。

本数を増やしすぎて管理が破綻する

2つ目の失敗は、リーチを稼ぐために本数を増やしすぎて、運用が回らなくなるパターンです。1本の投稿には、依頼書の配布、質問への回答、投稿前の内容確認、修正依頼、投稿URLの回収、実績数値の記録という6つの作業が付随します。30本の案件なら180回のやり取りが発生する計算になり、これを片手間で回すことはできません。

目安として、専任ではない担当者1人が無理なく管理できるのは15〜20本、専任1人であれば40〜60本程度です。この上限を超える本数を設計するなら、担当を増やすか、進行管理をプラットフォームや外部パートナーに任せる前提で組んでください。管理しきれずに投稿確認が甘くなると、ステマ規制への対応漏れという別のリスクも生まれます。表記のルールはステマ規制とは?景表法対応と#PR表記の実務ガイドで確認できます。

本数が少なすぎて検証にならない

3つ目の失敗は、本数が少なすぎて次につながる学びが残らないパターンです。3本の案件で1本が伸びたとしても、それが人選のおかげなのか、投稿内容のおかげなのか、たまたまなのかを判断できません。次の案件で再現するための材料が何も残らず、毎回ゼロから始めることになります。

検証に耐える最低本数は6本

統計的な厳密さを求めなくても、実務上の最低ラインは1案件6本だと考えてください。6本あれば、上位2本と下位2本を比べることで、伸びた投稿に共通する要素を仮説として取り出せます。3本以下では上位と下位の比較が成り立たず、担当者の印象論しか残りません。予算の都合で6本に届かない場合は、無理に人数を増やさず、フォロワー規模を落として本数を確保するほうが、次の案件への学びは大きくなります。

本数が確保できない場合の代替案として、ギフティングを併用する方法もあります。報酬を伴う確約案件を4本に絞り、ギフティングで10〜20人に商品を送って投稿の可能性を作れば、比較できる母数を増やせます。投稿は確約されませんが、検証の材料としては十分に機能します。進め方はギフティング施策の進め方と投稿獲得率を上げるコツにまとめています。

投稿本数の効果検証と次回への反映

投稿本数の正解は1案件目では決まりませんので、次回に持ち越せる形で記録を残すところまでが本数設計です。他社の一般論を何度読んでも、自社の商材とターゲットにとって何本が適正かは分かりません。1案件ごとに数字を残し、3案件目で自社の型を確定させる、という進め方を前提にしてください。

記録する指標と算出方法

案件が終わったら、次の項目を1枚の表にまとめてください。ここで重要なのは、投稿単位で記録することです。案件全体の合計だけを残すと、どの本数配分が効いたのかを後から分解できません。

記録する項目取得元次回設計での使い道
投稿ごとのリーチ数投稿者のインサイト想定リーチ率を実測値に置き換えます
1リーチあたりの費用報酬÷リーチ数層や人選の費用効率を比較します
投稿ごとのクリック数計測パラメータ・クーポン獲得目的での本数の効き方を見ます
同一人物の1本目と2本目の差投稿単位の実績本数を重ねる価値があるかを判断します
フォーマット別の実績投稿単位の実績次回の本数換算係数を自社値に更新します
納品遅延・未投稿の件数進行管理表予備本数の適正比率を決めます

特に価値が高いのは、4行目の「同一人物の1本目と2本目の差」です。2本目のリーチが1本目の8割以上を保っていれば、その相手には3本目を依頼する価値があります。逆に半分以下に落ちているなら、その層では本数を重ねるより人数を増やすほうが効率的だと判断できます。この1つの比較だけで、次回の本数配分の方向が決まります。効果測定の全体設計はインフルエンサー施策の効果測定の方法と計測ツールで扱っています。

本数を増やすか単価を上げるかの判断

予算を追加できることになったとき、本数を増やすか、より影響力の大きい相手に単価を上げて依頼するかで迷う場面があります。判断基準は、直前の案件のリーチ単価です。上位の投稿と下位の投稿でリーチ単価に3倍以上の差が開いているなら、人選の精度に伸びしろがありますので、本数を増やして当たりを探すほうが期待値は高くなります。

逆に、リーチ単価がどの投稿もほぼ同じ水準に収まっているなら、その層で得られる効率は上限に近いと考えられます。この場合は本数を増やしても比例して伸びるだけですので、より上の層を1人加えて到達の上限を引き上げるほうが有効です。費用対効果の見方はインフルエンサーマーケティングのROIと費用対効果の測り方で整理しています。

3案件で自社の型を作る

実務では、3案件を回せば自社にとっての適正本数の型が見えてきます。1案件目は一般的な目安どおりに組み、2案件目で人数と本数のどちらかを2割動かし、3案件目で効いたほうにさらに寄せる、という進め方が確実です。毎回すべてを変えると、何が効いたのかを切り分けられなくなりますので、変える変数は1案件につき1つに絞ってください。

3案件を終えた時点で、自社の商材における「1投稿あたりの実測リーチ」「本数を重ねたときの減衰率」「予備本数の適正比率」の3つが数字で手元に残ります。ここまで来れば、次からの本数設計は30分で終わり、社内での説明も数字だけで完結します。

投稿本数の決定チェックリストと社内運用

決裁前に確認する項目は12個です。企画から見積もり、依頼前までの各段階で確認するものを時系列に並べましたので、そのまま社内の確認シートとして使ってください。12項目のうち1つでも空欄が残っている案件は、本数の根拠が説明できない状態だと考えて差し支えありません。

本数決定チェックリスト12項目

#確認項目決めるタイミング
1施策の目的(認知/獲得/UGC確保/想起維持)企画時
2目標延べリーチ、または目標コンバージョン数企画時
3起用予定層の想定リーチ率(前提値)企画時
4逆算で出した必要本数と、その計算過程企画時
5狙う接触回数と、重複を織り込んだ補正後の本数企画時
6起用人数と層の構成(ナノ/マイクロ/ミドル)選定前
71人あたりの本数と、複数本の役割分担選定前
8フォーマット別の内訳と本数換算後の実質本数依頼前
9セット依頼時の単価条件(割引率と支払い条件)見積時
10期間内の週別配分と、最終週の枠の扱い依頼前
11予備本数(総本数の10〜15%)と追加候補リスト依頼前
12投稿URLと実績数値の記録先、記録の担当者投稿前

12項目のうち、実務でもっとも抜けやすいのは5番の接触回数と、12番の記録先です。前者は本数を1.5〜2倍動かす要素にもかかわらず、企画段階で議論されないまま流れがちです。後者は投稿が終わってから用意しようとすると、インフルエンサー側のインサイトがすでに共有されず、取り返しがつきません。

稟議資料への本数の書き方

社内資料には、本数を単独で書かず、必ず根拠とセットで書いてください。「投稿30本」ではなく「目標延べリーチ30万に対し、想定リーチ率30%・平均フォロワー3万で1投稿9,000リーチ、2回接触を狙い30本」と書けば、質問の大半は事前に潰せます。削減を求められたときも、本数ではなく目標のほうを議論の対象にできます。

あわせて、本数を1割削った場合と2割増やした場合の到達見込みを併記しておくと、決裁の場で判断がその場で終わります。稟議を通すための資料構成そのものはインフルエンサーマーケティングの稟議を通す提案資料の作り方にまとめていますので、初回の予算取りではあわせてご覧ください。

Bloomでの本数設計の進め方

プラットフォームを使うと本数の自由度が上がります

Bloomでは審査制インフルエンサー30,000人の中から候補を絞り込み、フォロワー規模や過去の実績を見比べながら人数と本数の組み合わせを組み立てられます。相場の3分の1の水準から依頼できますので、同じ予算でも本数を多く確保でき、検証に耐える母数を作りやすくなります。依頼書の配布から投稿予定日の連絡、投稿URLの回収までをプラットフォーム上で管理できますので、本数を増やしたときの進行管理の負荷も抑えられます。初期費用0円で始められますので、まずは小さな案件で本数の型を試してみてください。

プラットフォームを使うか、キャスティング会社に任せるかで本数の設計自由度は変わります。仲介の手数料が高いほど、同じ予算で確保できる本数は減りますので、本数を優先したい案件では手数料構造を先に確認してください。両者の違いはキャスティング会社 vs プラットフォーム徹底比較で整理しています。

まず何から始めるか

これから本数設計を整えるなら、最初にやることは、直近の案件の投稿単位の実績を1枚の表にまとめることです。すでに実施済みの案件があるなら、投稿ごとのリーチと費用を並べるだけで、自社の想定リーチ率とリーチ単価の実測値が手に入ります。次に、この記事の12項目を企画書のテンプレートに組み込みます。最後に、次の案件で変える変数を1つだけ決めます。

投稿本数に業界共通の正解はありません。目的から必要本数を逆算し、予算の制約の中で人数と本数の配分を決め、実績を投稿単位で記録して次に返す。この循環を3案件続ければ、他社の目安を借りなくても自社の数字で本数を決められるようになります。まずは次の案件で、本数を決めた理由を1行でよいので書き残すところから始めてください。

本メディアは、審査制インフルエンサー30,000人のマッチングプラットフォーム『Bloom』(株式会社ハーマンドット)が運営しています。