農産物の魅力を消費者に直接届けたい農家・JA・産直EC事業者にとって、インフルエンサーの活用は、産地の名前を覚えてもらい直販での購入につなげる有力な手段です。一方で、旬が短く天候で収穫日がずれる、生鮮品の発送に細かな段取りが必要、原産地や「新米」「有機」などの表示ルールがあるといった、農業ならではの難しさもあります。この記事では、農業のインフルエンサー活用について、発注主体別の目的設計、向いている発信者、収穫期から逆算するスケジュール、産地の魅力を伝える投稿設計、収穫体験の活用、生鮮品のギフティング、表示ルール、直販チャネルへの導線とKPIまでを、2026年10月時点の実務目線で整理しました。
この記事の要点
- 農業のインフルエンサー活用は、収穫期を投稿日の基準にして、依頼・発送・撮影の日程を2〜3か月前から逆算する設計が成果を左右します。
- 農家・JA・産直EC事業者では目的が異なり、農家は指名とリピート、JAは産地ブランドの認知、産直ECは購入と定期便への転換を中心に設計します。
- 生鮮品のギフティングは、収穫日・到着日・温度帯をそろえることが前提で、天候による収穫のずれを契約上の投稿期限に織り込んでおく必要があります。
- 収穫体験や産地への招待は、畑や生産者の人柄を伝えられる農業ならではの施策で、直販サイトや予約ページへの導線と組み合わせると効果が高まります。
- 原産地・「新米」・「有機」などの農産物の表示ルールと、景品表示法・ステマ規制を事前に確認し、投稿表現と販売ページの表示をそろえておくことが欠かせません。
農業のインフルエンサー活用とは
農業のインフルエンサー活用とは、農家・JA・産直EC事業者などの生産者側が、食や暮らしの発信者に農産物や産地を体験してもらい、その様子をSNSで発信してもらうことで、産地の認知と直販での購入につなげる施策のことです。加工食品のPRと違い、主役は「誰が、どこで、どう育てたか」という産地そのものであり、商品が季節と天候に左右される点に特徴があります。
なぜ今、生産者がインフルエンサーを活用するのか
農林水産省の「2025年農林業センサス」の概数値によると、全国の農業経営体は約83万6千経営体で、5年前から約22%減少しました。一方で法人経営体は約10%増えており、規模を広げて自ら販路を開拓する生産者が増えています。市場出荷だけに頼らず、直売所や産直EC、ふるさと納税、飲食店への直接取引など複数の販路を持つ経営では、消費者に名前を覚えてもらうことがそのまま売上に結びつきます。
ただし、生産者自身のSNS運用だけで新しい顧客層に届けるには時間がかかります。すでに食や暮らしに関心の高いフォロワーを持つ発信者に産地を紹介してもらうことで、自社アカウントだけでは届かない層に短期間で接点をつくれる点が、インフルエンサー活用の最大の価値です。
自社SNS運用との役割分担
農家や産地のSNS運用は、種まきから収穫までを継続して記録し、ファンとの関係を深める「ストック型」の発信に向いています。インフルエンサー施策は、収穫期や販売開始のタイミングに合わせて一気に認知を広げる「フロー型」の発信に向いています。両者は対立するものではなく、インフルエンサーの投稿から自社アカウントへのフォローを促し、その後の継続的な関係は自社SNSで育てるという分担が基本です。
食品ブランドのPRとの違い
加工食品や飲料のインフルエンサー施策は、一年中同じ品質の商品を届けられる前提で設計できます。農産物は、収穫できる期間が数週間から数か月に限られ、その年の天候によって収穫日や品質が変わります。また、同じ品目でも産地や生産者によって味や見た目が異なるため、「この畑のこの品種」という固有の情報を伝えることが重要になります。食品ブランド全般の考え方は食品・飲料ブランドのインフルエンサー活用事例と勝ち筋で整理しているので、あわせて参考にしてください。
農家・JA・産直EC事業者で異なる目的と設計
農業のインフルエンサー活用は、発注する主体が農家なのか、JAや自治体などの産地団体なのか、産直ECや通販事業者なのかによって、目的とKPIが大きく変わります。まずは自社の立場と販路を整理し、施策のゴールを1つに絞ることが出発点です。
個人農家・農業法人の場合
個人農家や農業法人の目的は、農園名の指名検索と、自社ECや直売所でのリピート購入を増やすことです。生産量に限りがあるため、大規模に認知を広げるよりも、少人数の発信者に畑を訪れてもらい、生産者の人柄やこだわりを丁寧に伝えてもらうほうが成果につながります。収穫量を超える注文が入ると欠品や品質の低下を招くため、販売できる数量から逆算して起用人数を決めることも大切です。
JA・自治体・産地協議会の場合
JAや自治体、産地協議会の目的は、品目や地域名そのもののブランド認知を高めることです。「◯◯県産の◯◯」という産地名で選ばれる状態をつくるため、複数の生産者を紹介してもらう構成や、料理研究家と組んだレシピ投稿、観光と組み合わせた産地訪問などが向いています。販売の成果は市場や量販店を経由することが多いため、店頭での販売数や市場の取引価格など、直販以外の指標もあわせて見る必要があります。地域全体での誘客を狙う場合は旅行・観光業のインフルエンサー活用と誘客の設計の考え方も役立ちます。
産直EC・食品通販事業者の場合
複数の生産者の商品を扱う産直ECや食品通販事業者の目的は、サイトでの購入と、定期便や会員登録への転換です。旬の品目が入れ替わるため、季節ごとに特集を組み、その時期の生産者を紹介してもらう設計が基本になります。アフィリエイトやクーポンコードと組み合わせると購入までの成果を計測しやすく、成果の出た発信者には次の季節も継続して依頼できます。
| 発注主体 | 主な目的 | 向いている施策 | 中心となるKPI |
|---|---|---|---|
| 個人農家・農業法人 | 農園名の認知、直販のリピート | 畑への招待、収穫期の商品提供 | 指名検索数、自社EC購入数、リピート率 |
| JA・自治体・産地協議会 | 産地名・品目のブランド認知 | 複数生産者の紹介、レシピ投稿、産地ツアー | リーチ数、保存数、店頭販売数 |
| 産直EC・食品通販 | 購入、定期便・会員登録 | 旬の特集、クーポン付き投稿、アフィリエイト | 購入数、CVR、定期便登録数 |
| ふるさと納税の返礼品事業者 | 寄附の獲得 | 年末に向けた返礼品紹介 | 寄附件数、寄附ページ流入数 |
ふるさと納税の返礼品として農産物を出している場合は、寄附が集中する時期に合わせた設計が別に必要になります。詳しくはふるさと納税の返礼品PRとインフルエンサー活用の年間設計で解説しています。
向いているインフルエンサー像とプラットフォーム
農業の施策に向いているのは、料理や食卓、子育てや暮らしの様子を日常的に発信し、食材の選び方に関心の高いフォロワーを持つインフルエンサーです。フォロワー数よりも、食材の産地やつくり手に触れた投稿をふだんからしているか、実際に料理して食べる姿を見せているかが、投稿の説得力を左右します。
相性の良い発信ジャンル
相性が良いのは、大きく4つのジャンルです。1つ目は、日々の献立やレシピを発信する料理系で、農産物の食べ方を具体的に示せるため購入につながりやすい傾向があります。2つ目は、子どもと過ごす休日や食育を発信する子育て系で、収穫体験との相性が抜群です。3つ目は、旬の果物やスイーツを紹介するグルメ系で、見た目のインパクトがある果物やブランド野菜に向いています。4つ目は、地方移住や田舎暮らし、農業そのものを発信する農業系・地域系で、生産者の視点に共感するフォロワーを抱えています。
プラットフォームごとの役割
Instagramは収穫した農産物や料理の写真で「食べてみたい」と思わせる場、TikTokやリールは収穫の瞬間や切った断面を短く見せて話題をつくる場、YouTubeは畑の様子や生産者へのインタビューを詳しく伝える場という役割分担が基本です。農産物は「切った瞬間の果汁」「収穫したての色」など、動きと音で魅力が伝わる場面が多いため、ショート動画の比重を高めにしておくと効果的です。ライブ配信で収穫の様子を中継し、その場で予約を受け付ける使い方も広がっています。
| プラットフォーム | 主な役割 | 向いている品目・施策 | 注意点 |
|---|---|---|---|
| 料理や収穫物の写真で購入意欲をつくる | 果物、ブランド野菜、米 | 保存数とリンク遷移を重視します | |
| TikTok・リール | 収穫の瞬間や断面で話題をつくる | 果物、珍しい野菜、収穫体験 | 販売ページへの導線が弱くなりがちです |
| YouTube | 畑や生産者の背景を詳しく伝える | 米、こだわり栽培、産地ツアー | 撮影と編集の期間が長くなります |
| ライブ配信 | 収穫の中継と予約受付を同時に行う | 旬の短い果物、限定品 | 出荷できる数量を事前に決めておきます |
費用の目安と起用人数の考え方
2026年10月時点の一般的な目安として、Instagramの食・暮らし系インフルエンサーへの投稿依頼は、フォロワー単価2〜4円程度が試算の起点になります。フォロワー1万人であれば1投稿2〜4万円程度、商品提供のみのギフティングであれば農産物の原価と送料だけで実施できます。農業の施策では、出荷できる数量に限りがあるため、大規模な発信者を1人起用するよりも、フォロワー1万〜5万人規模の発信者を5〜10人起用し、地域や家族構成を分散させるほうが、品切れを避けながら購入につなげやすい傾向があります。
収穫期から逆算する依頼スケジュール
農業の施策は、収穫と出荷の開始日を投稿日の基準にして、そこから候補選定・依頼・発送の日程を逆算するのが原則です。旬の期間は短いため、販売開始の直前から最盛期に投稿がそろうように、遅くとも2〜3か月前には動き始める必要があります。
品目別の旬と依頼開始の目安
以下の表は、主な品目について、一般的な出荷の最盛期と依頼開始の目安をまとめたものです。実際の収穫時期は産地や品種、その年の天候によって前後するため、自社の出荷計画に合わせて調整してください。
| 品目の例 | 出荷の最盛期の目安 | 投稿の狙い | 候補選定・依頼の開始目安 |
|---|---|---|---|
| いちご | 12〜5月 | クリスマス需要、いちご狩りの集客 | 9〜10月 |
| さくらんぼ・桃 | 6〜8月 | 贈答需要、予約販売 | 3〜5月 |
| 新米 | 9〜11月 | 新米の予約、年間契約 | 6〜7月 |
| りんご・柿・みかん | 10〜1月 | お歳暮、ふるさと納税 | 7〜9月 |
| 夏野菜(トマト・とうもろこし等) | 6〜9月 | 産直ECの野菜セット、収穫体験 | 3〜5月 |
収穫のずれを見込んだ投稿期限の決め方
農産物は、天候によって収穫日が1〜2週間前後することが珍しくありません。投稿日を固定してしまうと、収穫が遅れた年に未熟な状態で発送するか、投稿が間に合わないかの二択になってしまいます。そのため契約では、「商品到着から7日以内に投稿」のように到着日を起点にした期限を設け、全体の実施期間には2〜3週間の幅を持たせておくことが大切です。不作や災害で出荷できなかった場合に、延期・品目変更・中止のどれを選ぶかも、事前に取り決めておいてください。
予約販売との組み合わせ
旬の短い果物や新米では、収穫前の予約販売とインフルエンサー施策を組み合わせると効果的です。収穫の1〜2か月前に生育の様子を紹介してもらって予約を集め、収穫期には実際に届いた様子を投稿してもらう2段階の構成にすると、出荷量の見通しを立てやすくなります。季節商戦全体の逆算方法はインフルエンサーの季節キャンペーン設計と逆算スケジュールで詳しく整理しています。
産地の魅力を伝える投稿設計
農業の投稿で伝えるべきなのは、農産物そのものの味だけでなく、その味が生まれる産地の環境と生産者のこだわりです。「おいしい」という感想だけでは他の産地との違いが伝わらないため、依頼時に産地ならではの情報を具体的に渡しておくことが欠かせません。
伝えるべき産地の情報を整理する
投稿の素材として渡す情報は、土地の気候や土壌、品種の特徴、栽培方法のこだわり、収穫から発送までの流れ、おすすめの食べ方の5つに整理すると伝わりやすくなります。たとえば「寒暖差の大きい盆地で育つ」「完熟してから収穫するので店頭に並びにくい」といった、その産地でしか語れない理由を1〜2点に絞って伝えてもらうと、読者の記憶に残ります。情報を詰め込みすぎると投稿が説明的になるため、優先順位をつけて渡すのがコツです。
生産者の顔と人柄を見せる
産直で購入する消費者の多くは、「この人がつくったものを買いたい」という理由で選んでいます。インフルエンサーに生産者を紹介してもらうときは、生産者が畑で話す様子や、収穫物を手渡す場面を撮影してもらうと、人柄が伝わる投稿になります。生産者が撮影に慣れていない場合でも、インフルエンサーとの会話の中で自然にこだわりを話してもらう形にすれば、無理なく素材がそろいます。
食べ方の提案で購入の不安を減らす
珍しい品種や大容量の野菜セットは、「どう食べればよいか分からない」「使い切れるか不安」という理由で購入をためらわれることがあります。料理系の発信者にレシピや保存方法を紹介してもらうと、こうした不安を解消でき、購入につながりやすくなります。投稿で使われたレシピを生産者の販売ページに転載したり、商品に同梱したりする場合は、二次利用の範囲を事前に取り決めておきます。投稿の二次利用についてはUGCマーケティングの活用法と二次利用の進め方を参考にしてください。
収穫体験・産地招待の活用
収穫体験や産地への招待は、畑の空気感と生産者の人柄を一度に伝えられる、農業ならではの施策です。自宅に商品を送る形よりも準備の手間はかかりますが、写真と動画の素材が豊富になり、投稿の熱量も高くなりやすい傾向があります。
収穫体験を投稿に生かす設計
収穫体験の投稿では、畑に入る瞬間、実際に収穫する手元、その場で味わう表情、生産者との会話という4つの場面をそろえると、見る人が自分も体験したくなる構成になります。子育て系の発信者を家族で招待すると、子どもが収穫を楽しむ様子が投稿の中心になり、週末のお出かけ先として観光農園の集客にもつながります。観光農園や体験の予約を受け付けている場合は、予約ページへの導線を投稿の目的として明確に伝えておきます。
受け入れ時の安全と衛生の配慮
畑や施設に外部の人を受け入れる際は、安全と衛生への配慮が欠かせません。農薬を散布した直後の圃場への立ち入りを避ける、農機具や用水路の周辺に近づかないよう案内する、熱中症や虫刺されへの対策を伝えるといった基本的な準備をしておきます。体験中のけがに備えて、受け入れ側の保険の加入状況も確認しておくと安心です。撮影の際に、近隣の農家の畑や住宅、他の来園者が映り込まないよう配慮してもらうことも依頼しておきます。
交通費・宿泊費と報酬の扱い
遠方の産地に招待する場合は、交通費と宿泊費を誰が負担するか、報酬とは別に支払うのかを、依頼の段階で明確にしておきます。体験のみを提供して投稿は任意とする場合でも、企業が招待して投稿内容に関与していれば、ステマ規制の対象になる点に注意が必要です。地域の店舗や観光施設と組み合わせて周遊してもらう場合はローカルインフルエンサーで地方の店舗集客を設計する方法の考え方も参考になります。
生鮮品のギフティングと発送の実務
農産物のギフティングでは、収穫日・到着日・温度帯の3つをそろえることが成果の前提です。届いた時点で傷んでいたり、熟しすぎていたりすると、投稿そのものが成立しなくなるため、一般的な商品提供よりも細かな段取りが必要になります。
到着日の調整と温度帯の選び方
生鮮品は、インフルエンサーが確実に受け取れる日時を事前に確認し、日時指定で発送することが基本です。不在で再配達になると鮮度が落ち、品目によっては投稿できない状態になります。果物や葉物野菜はクール便を使う、追熟が必要な品目は食べ頃の目安を添える、米は精米日を記載するなど、品目に合った温度帯と説明を用意してください。発送の全体の流れはギフティング施策の進め方と投稿獲得率を上げるコツで解説しています。
送る品質と販売品をそろえる
インフルエンサーに送る農産物は、実際に販売する商品と同じ規格・同じ品質のものにすることが大切です。PR用に特別に選別した最高級品を送ると、投稿を見て購入した消費者が「写真と違う」と感じ、レビューやクレームにつながります。逆に、規格外品や訳あり品を販売している場合は、その旨を投稿でも伝えてもらい、見た目と味の関係を正しく理解してもらうと、納得感のある購入につながります。
生鮮品を発送する前の確認事項
- インフルエンサーが確実に受け取れる日時を確認し、日時指定で手配しましたか。
- 品目に合った温度帯(常温・冷蔵)と、梱包の緩衝材を用意しましたか。
- 食べ頃の目安、保存方法、追熟の有無を説明書きで同梱しましたか。
- 送る商品は、実際に販売する商品と同じ規格・品質になっていますか。
- 到着時の状態を写真で共有してもらい、傷みがあれば再送する体制を整えましたか。
- アレルギーや苦手な食材がないか、事前に確認しましたか。
到着後のフォローと再送の体制
荷物が届いたら、状態を写真で共有してもらう運用にしておくと、輸送中の傷みにすぐ気づけます。傷みがあった場合に備えて予備を確保しておき、旬の期間内に再送できるようにしておきます。また、到着後に「おすすめの食べ方」や「生産者からのひとこと」をメッセージで送ると、投稿に盛り込んでもらいやすくなり、生産者との関係も深まります。
食品表示と農産物の表示ルール
農産物のインフルエンサー施策では、ステマ規制と景品表示法に加えて、食品表示法に基づく農産物の表示ルールを踏まえた投稿表現と販売ページの整備が必要です。インフルエンサーは善意で魅力を伝えようとするため、ルールを知らないまま誤解を招く表現をしてしまうことがあります。
ステマ規制と景品表示法の注意点
2023年10月1日に施行された景品表示法の指定告示(いわゆるステマ規制)により、企業が依頼した投稿は広告であることが分かるように表示する必要があります。農産物を無償で送っただけの場合や、収穫体験に招待した場合でも、企業が投稿内容に関与していれば対象になります。また、「日本一甘い」「どこよりも新鮮」といった表現は、客観的な根拠がなければ景品表示法上の優良誤認につながるおそれがあります。糖度などの数値を伝える場合は、測定した時期と方法を明らかにし、すべての商品に当てはまるような書き方を避けてもらいます。表記のルールはステマ規制とは?景表法対応と#PR表記の実務ガイドで詳しく解説しています。
原産地・「新米」・「有機」の表示ルール
食品表示法に基づく食品表示基準では、消費者に販売する生鮮の農産物に名称と原産地を表示する必要があり、国産品は都道府県名のほか、市町村名やその他一般に知られている地名で表示することもできます。米については、原料玄米が生産された年の12月31日までに精米・包装されたものなどに限って「新米」と表示でき、産年を表示できない未検査米は「新米」と表示できないと、農林水産省が案内しています。また、「有機」「オーガニック」の表示は、有機JASの認証を受けた事業者が有機JASマークを付けた農産物に限られます。投稿でこうした言葉を使う場合は、販売ページの表示と食い違わないよう、使ってよい表現を依頼時に伝えておきます。
| 表現・表示 | 主なルール | 投稿で注意すること |
|---|---|---|
| 原産地(産地名) | 国産品は都道府県名、または市町村名・一般に知られている地名で表示 | 販売ページの産地表示と同じ地名を使ってもらいます |
| 「新米」 | 生産年の12月31日までに精米・包装されたものなどに限る | 年明け以降の発送では「新米」と表現しないよう伝えます |
| 「有機」「オーガニック」 | 有機JAS認証を受けたものに限る | 減農薬・特別栽培と混同した表現を避けます |
| 「日本一」「最高糖度」など | 客観的な根拠が必要(景品表示法) | 根拠のない最上級表現は使わないよう伝えます |
| 健康効果 | 病気の予防・改善をうたうことは薬機法上の問題になり得る | 「体に効く」などの効能表現は避けてもらいます |
健康効果の表現に関する注意
野菜や果物に含まれる栄養素を紹介する投稿は一般的ですが、「血圧が下がる」「免疫力が上がる」といった病気の予防や身体機能の改善をうたう表現は、薬機法上の問題になり得ます。生鮮食品でも機能性表示食品として届出をしているものは届出の範囲内で表示できますが、届出のない農産物で同じような表現をすることはできません。栄養素は「ビタミンCを含む」のように事実の紹介にとどめ、効能につなげないよう依頼してください。NG表現の考え方は薬機法とインフルエンサー起用の基本と商材別NG表現・確認フローで整理しています。
直販チャネルへの導線とKPI
農業の施策で成果を出すには、投稿を見た人が迷わず購入や予約にたどり着ける導線を、投稿の前に整えておくことが欠かせません。どれだけ投稿が話題になっても、購入先が分からない、品切れで買えないという状態では、成果が自社の売上に残りません。
販売ページと在庫を先に整える
投稿の前に、自社EC、産直プラットフォーム、ふるさと納税のページ、観光農園の予約ページなど、誘導先を1つに決めて整えておきます。複数の販売先を並べると読者が迷うため、施策の目的に合った誘導先を優先して案内してもらいます。また、投稿が集中する時期に在庫が足りなくなることを想定し、「予約受付中」「次回入荷のお知らせ登録」などの受け皿を用意しておくと、品切れの機会損失を減らせます。ECへの導線全体の考え方はインフルエンサー施策をEC売上につなげる導線設計で詳しく解説しています。
段階ごとのKPIと計測方法
KPIは、認知・関心・購入・継続の段階ごとに分けて置くと、施策のどこに課題があるかが分かりやすくなります。投稿ごとにUTMパラメータやクーポンコードを分けておくと、どの発信者からの購入かを把握できます。計測の設定方法はインフルエンサー施策のUTMパラメータ設定と流入計測の手順を参考にしてください。
| 段階 | 主な指標 | 確認するタイミング | 判断のポイント |
|---|---|---|---|
| 認知 | リーチ数、再生数、農園名の指名検索数 | 投稿から7日後 | 産地名・農園名の検索が伸びたかを確認します |
| 関心 | 保存数、プロフィール遷移数、自社アカウントのフォロー増加数 | 投稿から7日後 | 保存率が高いほど購入検討につながります |
| 購入 | EC流入数、購入数、クーポン利用数、予約数 | 投稿から14日後 | 発信者ごとの購入単価も比較します |
| 継続 | リピート率、定期便登録数、翌シーズンの再購入 | シーズン終了後・翌年 | 旬が一巡した後の再購入まで追いかけます |
シーズンをまたいだ顧客づくり
農産物は毎年同じ時期に旬が巡ってくるため、一度購入した顧客に翌年も買ってもらえるかどうかが、施策の本当の価値を決めます。購入者にはLINEやメールマガジンへの登録を案内し、翌シーズンの予約開始を真っ先に知らせる仕組みを整えておきます。成果の出た発信者には翌年も継続して依頼し、「今年も届きました」という投稿を重ねてもらうと、産地への信頼が年々積み上がっていきます。
よくある失敗と発注前チェックリスト
農業の施策でよくある失敗は、依頼の遅れ、出荷量を超える反響への備え不足、表示ルールの確認漏れの3つです。いずれも事前の計画で防げるため、発注前にチェックリストで確認しておくことをおすすめします。
依頼の遅れと出荷量の読み違い
もっとも多い失敗は、収穫が始まってから慌てて依頼し、旬の最盛期に投稿が間に合わないことです。食や暮らし系の人気の発信者は、年末商戦や夏の贈答シーズンに依頼が集中するため、早めに声をかけなければ枠が埋まってしまいます。また、投稿が想定以上に反響を呼び、出荷できる量を超える注文が入って発送が遅れるケースもあります。投稿時期を発信者ごとに分散させる、予約の上限数を決めておくなど、出荷能力に合わせた設計をしておくことが大切です。
産地の情報不足による投稿の平凡化
農産物を送るだけで産地の情報を渡さないと、「おいしかった」という感想だけの投稿になり、他の産地との違いが伝わりません。依頼時に、産地のこだわりや生産者の思い、おすすめの食べ方を1枚の資料にまとめて渡しておくと、発信者ごとの個性を生かしながら、伝えるべき要点がそろった投稿になります。
農業のインフルエンサー施策の発注前チェックリスト
- 出荷の開始日から逆算して、候補選定・依頼・発送の日程を決めましたか。
- 天候による収穫のずれを見込み、到着日起点の投稿期限と、不作時の扱いを契約に入れましたか。
- 出荷できる数量から逆算して、起用人数と投稿時期の分散を決めましたか。
- 送る農産物は販売品と同じ規格・品質で、温度帯と到着日時を確認しましたか。
- 産地のこだわり、生産者の思い、食べ方をまとめた資料を用意しましたか。
- 原産地・「新米」・「有機」・健康効果の表現ルールと、#PRなどの広告表記を伝えましたか。
- 誘導先の販売ページ・予約ページと在庫、UTMパラメータやクーポンコードを準備しましたか。
Bloomで農業・食の発信者を探す場合
Bloomでは、審査を通過したインフルエンサー30,000人の中から、ジャンルやフォロワー層、活動地域を見ながら候補を探せます。農業の施策では、料理系・子育て系・グルメ系・地域系といった発信スタイルと、産地を訪れやすい地域や、購入者層と重なる家族構成を組み合わせて選ぶことが成果の分かれ目になります。案件を公開して応募を募る形にすれば、食材や産地に関心のある発信者から手を挙げてもらえるため、旬の限られた期間でも熱量の高い投稿を集めやすくなります。
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