テニス用品は、ラケット、ガット(ストリング)、シューズ、ウェア、バッグなど種類が多く、なかでもラケットは数万円する高単価の商品です。購入を考える人の多くは「今のラケットから替えて本当に良くなるのか」「自分のレベルに合うのはどれか」で迷い、試打やレビューを入念に比べてから決めます。この記事では、テニス用品のメーカーや販売店が、この買い替えの迷いに応えるためにインフルエンサーをどう活用するかを解説します。買い替えのサイクルと需要の波、フェイス面積・重量・ガットのテンションといった数値で比べる試打レビューの設計、レベル別の訴求、試打会やテニススクールとの連携、春と秋のシーズン設計、効果測定までを、よく使われる施策の型に沿って整理しました。

この記事の要点

  • テニス用品は、ガットの張り替え(数か月ごと)、シューズ・ボールの消耗、ラケットの買い替え(数年ごと)と、商品ごとに買い替えのサイクルが異なるため、インフルエンサー施策もサイクルに合わせて分けて設計します。
  • ラケットの購入検討者は「今より良くなるか」で迷うため、フェイス面積・重量・バランス・ガットのテンションなど数値をそろえて比べる試打レビューが判断材料として最も役立ちます。
  • 初心者・中級者・上級者・ジュニアでは選ぶ基準が違うため、レベル別に起用する人と伝える内容を分けます。
  • 試打会やテニススクール・施設と連携すると、投稿を見た人が「実際に打って確かめる」場所ができ、購入までの迷いを減らせます。
  • 新年度の始まる春と、気候が良く大会の多い秋が需要の山になりやすいため、その1〜2か月前から投稿を準備します。

テニス用品のインフルエンサー活用の考え方

テニス用品のインフルエンサー活用で成果を出す鍵は、購入検討者が抱える「自分に合うかどうか」という迷いに、具体的な体験と数値で答えることです。テニス用品のインフルエンサー活用とは、テニスを日常的にプレーし発信しているインフルエンサーに、ラケットやガット、シューズなどを実際に使ってもらい、打球感やスペックの違い、どんなプレーヤーに向くかを紹介してもらうことで、買い替えや新規購入を促す施策のことです。

テニス用品の購買の特徴

テニス用品の購買には、三つの特徴があります。一つ目は、ラケットのように高単価で、かつ使い心地が人によって大きく違う商品が中心にあることです。二つ目は、ガットやボール、シューズのように、プレーの頻度に応じて定期的に買い替える消耗品が多いことです。三つ目は、テニススクールや部活動、サークルなど、プレーする場所での口コミが購入に大きく影響することです。インフルエンサー施策は、この三つの特徴それぞれに対応した設計にすると成果が出やすくなります。

よく使われる施策の型

テニス用品のインフルエンサー施策でよく使われる型は、主に四つあります。一つ目は、新しいラケットを複数のインフルエンサーに試打してもらい、レビューを投稿してもらう「試打レビュー型」です。二つ目は、試打会やイベントにインフルエンサーを招待し、その様子を投稿してもらう「イベント連動型」です。三つ目は、テニススクールのコーチや施設と連携して、レッスンのなかで商品を紹介してもらう「スクール連携型」です。四つ目は、消耗品の買い替え時期に合わせて、張り替えやシューズ選びのコツとあわせて紹介してもらう「消耗品の定期訴求型」です。以下では、これらの型を組み合わせる方法を順に解説します。

ほかのスポーツ用品との違い

同じスポーツ用品でも、ゴルフはプレー同行やラウンドの体験が中心になり、自転車は試乗から購入までの距離が長いといった違いがあります。テニスは、ラケットとガットの組み合わせで打球感が大きく変わり、しかもその組み合わせを数値で表せるという点に特徴があります。数値で比べられるからこそ、インフルエンサーのレビューにも「感想」だけでなく「どの条件で打った感想か」を添えてもらうことが重要になります。ゴルフ用品の施策の考え方はゴルフ業界のインフルエンサー活用とプレー同行施策の設計で整理しています。

テニス用品の買い替えサイクルと需要の波

テニス用品の需要は、商品ごとの買い替えサイクルによって波が生まれます。インフルエンサー施策を計画する際は、どの商品を、どの買い替えのタイミングにある人に向けて訴求するのかを最初に決めておくことが大切です。

商品ごとの買い替えの目安

次の表は、主なテニス用品の買い替えの目安と、買い替えのきっかけをまとめたものです。目安はプレーの頻度や強度によって大きく変わるため、一般的な参考値として見てください。たとえばガットについては、週1〜2回の練習なら2〜3か月ごとの張り替えが目安とする情報が、比較サイトなどで広く紹介されています。

商品買い替えの目安(一般的な参考値)買い替えのきっかけ訴求のポイント
ガット(ストリング)週1〜2回のプレーで2〜3か月程度切れた、打球感が落ちた、飛びすぎる・飛ばない種類による打球感の違い、張り替えのサイン
ボール数回の使用で弾みが落ちる弾みや毛羽立ちの変化まとめ買い、練習用と試合用の使い分け
シューズソールのすり減りに応じて滑る、足が痛い、コートの種類が変わったコートの種類別の選び方、フィット感
グリップテープ数回〜数週間で交換滑る、汗で握りにくい巻き方、素材の違い
ラケット数年単位(プレー頻度による)フレームの損傷、レベルの変化、新モデルの発売スペックの比較、試打の体験

ラケットの買い替えが起きるタイミング

ラケットの買い替えは、主に四つのタイミングで起きます。一つ目は、フレームの破損や劣化です。米国テニス協会(USTA)も、目に見えるひび割れがあれば交換が必要で、見た目に問題がなくても性能が落ちていれば対応が必要になると案内しています。二つ目は、レベルが上がり、今のラケットでは物足りなくなったときです。三つ目は、ケガや年齢などで、より軽く扱いやすいラケットが必要になったときです。四つ目は、使っているシリーズの新モデルが発売されたときです。インフルエンサーの投稿でこれらのタイミングにある人に呼びかけると、自分ごととして受け取ってもらいやすくなります。

消耗品から高単価商品へつなげる

ガットの張り替えやシューズの買い替えは、店舗やECとの接点が定期的に生まれる機会です。消耗品の訴求で接点をつくり、そのなかでラケットの試打や買い替えの案内を行うと、高単価商品への関心を自然に高められます。インフルエンサーにも、「ガットを替えても打球感が戻らないなら、ラケットの見直しどき」といった形で、消耗品と本体のつながりを伝えてもらうと効果的です。

数値で比べる試打レビューの設計

試打レビューの説得力を高める最も効果的な方法は、比べるラケットのスペックと試打の条件を数値でそろえて示してもらうことです。「打ちやすい」「よく飛ぶ」という感想だけでは、読み手は自分にも当てはまるのか判断できません。どの条件で打った感想なのかが分かると、読み手は自分のラケットやプレースタイルと照らし合わせて判断できるようになります。

レビューで示してもらう数値

次の表は、ラケットの試打レビューで示してもらいたい主な数値と、2026年10月時点で市販されている一般的なラケットの範囲の目安です。メーカーによって表記の方法が異なる場合があるため、依頼の際は自社の公式スペックの表記にそろえてもらいます。

項目一般的な範囲の目安打球感への主な影響
フェイス面積95〜110平方インチ程度(100平方インチ前後が中心)大きいほどスイートスポットが広く、飛びやすい傾向
重量(ガットなし)250〜320g程度(中級者向けは280〜305g前後が多い)重いほど安定し、軽いほど振りやすい
バランスラケットの端からの距離(mm)で表記トップ寄りはパワー、グリップ寄りは操作性
フレームの厚さ20mm前後〜26mm程度厚いほど反発しやすい傾向
ストリングパターン16×19、18×20など目が粗いほど回転がかけやすい傾向
ガットの種類とテンションポリエステル・ナイロン(マルチ)・ナチュラルなど/40〜60ポンド程度テンションが低いほど飛びやすく、高いほど抑えやすい傾向

試打の条件をそろえる

複数のラケットを比べてもらう場合は、ガットの種類とテンション、試打したコートの種類、打ったショット(ストローク、ボレー、サーブなど)、試打の時間をそろえてもらいます。特にガットのテンションは打球感に大きく影響するため、比べるラケットで同じテンションに張るか、テンションを変えて比べる場合はそれを明記してもらいます。インフルエンサー自身のレベルや普段使っているラケットも書いてもらうと、読み手は「自分と近い人の感想かどうか」を判断できます。

感想を言葉にしてもらう工夫

打球感は言葉にしにくいものですが、「今のラケットと比べて」「同じテンションで」といった比較の基準を決めておくと、具体的な感想が出やすくなります。依頼の指示書に、「スピンのかかり方」「ボレーの安定感」「サーブのスピード感」「振り抜きやすさ」「疲れにくさ」など、評価してほしい観点を示しておくと、投稿の質がそろいます。ただし、評価の結論はインフルエンサー自身の判断に任せ、企業側が「必ず良かったと書いてほしい」と求めることは避けます。率直な評価が含まれているほうが、読み手に信頼される投稿になります。

数値の比較は「どちらが優れているか」ではなく「誰に向くか」で締める

試打レビューで数値を比べると、どちらが優れているかという結論を求めがちですが、ラケットに絶対的な優劣はありません。投稿の締めくくりは、「スピンをかけたい中級者に向く」「軽さで振り抜きたい人に向く」といった、誰に向くかの言い方にしてもらうと、読み手が自分に当てはめやすくなり、自社の複数のモデルを公平に紹介できます。

レベル別の訴求の分け方

テニス用品の訴求は、初心者・中級者・上級者・ジュニアのレベル別に分けると成果が出やすくなります。レベルによって、ラケットに求めるもの、情報を集める方法、信頼する発信者が異なるためです。すべてのレベルに同じ内容を届けようとすると、誰にも刺さらない投稿になってしまいます。

レベルごとの違い

次の表は、レベルごとに求めるものと、起用に向いているインフルエンサー、伝える内容の目安をまとめたものです。

レベルラケットに求めるもの起用に向いているインフルエンサー伝える内容
初心者当たりやすさ、軽さ、価格の手ごろさテニスを始めたばかりの発信者、スクールに通う社会人選び方の基本、最初の1本の選び方、必要な道具一式
中級者コントロールとパワーのバランス、スピン性能週に数回プレーする愛好者、試合に出始めた人数値で比べる試打、ガットとの組み合わせ
上級者操作性、安定感、細かな打球感競技経験者、コーチ、大会に出る選手細かなスペックの違い、カスタマイズ、試合での使用感
ジュニア・部活生体格に合ったサイズ、耐久性ジュニアを指導するコーチ、子どもがテニスをする保護者年齢・身長に合う選び方、部活の始めに必要な道具

初心者向けは「選び方」で信頼を得る

初心者は、どのラケットが良いかを判断する基準をまだ持っていません。そのため、特定の商品を推す投稿よりも、「最初の1本の選び方」「重さとフェイス面積の見方」といった選び方を教える投稿のほうが信頼されます。そのうえで、選び方の基準に合う商品として自社の商品を紹介してもらうと、押しつけがましさがなく受け入れられやすくなります。

上級者向けは専門性のある人に任せる

上級者は、スペックや打球感について自分なりの判断基準を持っているため、表面的なレビューでは動きません。競技経験のある人やコーチなど、細かな違いを言葉にできる人に依頼し、専門的な内容を十分に語ってもらうことが大切です。上級者の評価は、中級者が「上手な人が選んでいるラケット」として参考にするため、中級者向けの訴求にも波及します。競技者の起用で注意すべき契約の実務はアスリートインフルエンサー起用の費用相場と契約実務ガイドで整理しています。

試打会・試打レビューとの連動

試打会とインフルエンサーの投稿を連動させると、投稿で興味を持った人が実際に打って確かめられる場所ができ、ラケットの購入までの迷いを大きく減らせます。テニスラケットは打ってみないと分からない部分が大きいため、投稿だけで購入を決める人は限られます。投稿と試打の機会をセットで設計することが重要です。

試打会にインフルエンサーを招く

新モデルの発売に合わせて試打会を開く場合は、インフルエンサーを招待して、試打の様子を投稿してもらいます。試打会の前に告知の投稿をしてもらうと、フォロワーが試打会に足を運ぶきっかけになります。当日は、インフルエンサーとフォロワーが一緒に打てる時間を設けるなど、参加する楽しみをつくると集客が伸びます。イベントへの招待の進め方はインフルエンサーを招待するイベント・体験会の企画と運営で詳しく解説しています。

試打ラケットの貸し出しと組み合わせる

販売店やメーカーが試打ラケットの貸し出しを行っている場合は、インフルエンサーの投稿で貸し出しの方法を案内してもらうと、投稿から試打への流れができます。試打したラケットのスペックを投稿と同じ表で示しておくと、試打した人が自分の感想と投稿の感想を比べやすくなります。貸し出しの申し込みに投稿ごとの専用コードを使ってもらえば、どの投稿が試打のきっかけになったかを計測できます。

試打から購入までの導線

試打の後は、そのまま購入できる導線を用意しておきます。試打会の会場や販売店で、試打したラケットを試打会限定の特典付きで購入できるようにしたり、試打後にECの購入ページへの案内を送ったりします。ガットの種類とテンションを選んで張り上げた状態で届けるサービスがあれば、試打で気に入った組み合わせをそのまま再現できるため、購入の後押しになります。

テニススクール・施設との相互送客

テニススクールやテニスコートを運営する施設との連携は、テニス用品の販売にとって最も効率の良い送客の仕組みの一つです。スクールや施設には、定期的にプレーし、用品の買い替えが必要になる人が集まっており、コーチやスタッフの推薦は購入の判断に大きく影響するためです。

相互送客の組み方

相互送客では、用品のメーカーや販売店とスクールの双方に利点がある形をつくります。たとえば、スクールのコーチにインフルエンサーとして新モデルを紹介してもらい、スクールの生徒には試打や購入の特典を提供します。反対に、用品の販売店やメーカーのアカウント、起用するインフルエンサーの投稿で、スクールの体験レッスンを紹介すれば、スクールにとっては新しい生徒を集める機会になります。スクールの生徒集客の考え方はスクール・習い事のインフルエンサー活用と生徒集客の設計も参考になります。

コーチの発信を活かす

テニスのコーチのなかには、レッスンの内容や上達のコツをSNSで発信し、多くのフォロワーを持つ人もいます。こうしたコーチは、技術的な説明に加えて、生徒のレベルに合った用品の選び方を語れるため、用品の紹介役として適しています。コーチに依頼する場合は、所属するスクールの方針や、ほかのメーカーとの契約の有無を事前に確認します。スクールが特定のメーカーと提携している場合、別のメーカーの紹介ができないことがあるためです。

施設での体験とセットにする

テニスコートやスクールで、試打ラケットを常設して誰でも試せるようにすると、施設に来た人が自然に用品に触れる機会が生まれます。インフルエンサーの投稿で「このスクールで試打できる」と案内してもらえば、投稿を見た人が施設に足を運び、体験レッスンと試打を同時に行う流れをつくれます。施設側には来場者が増える利点があり、用品側には試打の機会が増える利点があります。

春と秋のシーズン設計

テニス用品の需要は、春と秋に山ができやすいため、インフルエンサー施策もこの二つの時期に合わせて準備します。春は新年度に合わせてテニスを始める人や部活動の新入部員が増え、秋は気候が良くプレーの機会や大会が増えるためです。

春の施策

春は、テニスを始める人に向けた施策が中心になります。中学校や高校の部活動に入る新入生、社会人になってスクールに通い始める人、運動不足の解消のためにテニスを始める人などが対象です。初心者向けのラケットとシューズ、ボール、バッグなどの道具一式をまとめて紹介する投稿や、最初の1本の選び方を解説する投稿が効果的です。投稿は、新年度が始まる前の2〜3月から準備しておくと、購入を検討する時期に間に合います。

秋の施策

秋は、すでにテニスを続けている人の買い替えを狙う施策が中心になります。気候が良く、プレーの頻度が上がる時期であり、大会に向けて用品を見直す人も増えます。新モデルの発売がこの時期に重なる場合は、試打レビューと試打会を組み合わせた施策が効果的です。夏の間に使い込んだガットやシューズの買い替えを促す投稿も、この時期に合います。

季節ごとの計画の立て方

季節の施策は、需要の山の1〜2か月前から投稿を始められるように逆算して準備します。インフルエンサーへの依頼、商品の発送、試打と撮影、投稿の確認にはそれぞれ時間がかかるため、需要の山から逆算すると、依頼は2〜3か月前に行う必要があります。季節施策の逆算の方法はインフルエンサーの季節キャンペーン設計と逆算スケジュールで解説しています。

起用するインフルエンサーの選び方と依頼の仕方

テニス用品の施策で起用するインフルエンサーは、実際にテニスをプレーしていることが前提です。テニスをしない人が用品を紹介しても、打球感やスペックについて具体的に語れず、テニスをする人には信頼されません。そのうえで、フォロワーのレベルや年代が施策の対象と合っているかを確認します。

選定で確認する項目

選定では、プレーの頻度とレベル、普段使っている用品、過去のPR投稿の内容と反応、フォロワーの年代と性別、ほかのメーカーとの契約の有無を確認します。特に、ほかのメーカーと契約している人は、自社の商品を紹介できない場合があるため、事前の確認が欠かせません。普段使っている用品が競合のメーカーのものである場合でも、契約がなければ依頼はできますが、「普段は他社を使っている人が試して良かった」という形の投稿になることを想定しておきます。

依頼内容に入れる項目

依頼の指示書には、紹介してほしい商品とスペック、試打の条件(ガットの種類とテンション、コートの種類など)、評価してほしい観点、投稿の形式、広告であることの表示、投稿日、二次利用の範囲を明記します。試打には時間がかかるため、商品を発送してから投稿までの期間を十分に取ることが大切です。数回のプレーで判断するのではなく、2〜3週間ほど使ってもらうと、より信頼できるレビューになります。

動画の撮り方を工夫する

テニス用品の投稿では、打っている様子の動画が欠かせません。ショットの映像と、スペックの比較表や感想の字幕を組み合わせると、短い動画でも情報量の多い投稿になります。スローモーションでインパクトの瞬間を見せる、同じショットを二つのラケットで打ち比べるといった撮り方は、視聴者の関心を引きやすい表現です。

景品表示法・ステマ規制と表現の注意点

テニス用品のインフルエンサー施策では、広告であることの表示と、性能に関する表現の根拠の二点に特に注意が必要です。メーカーや販売店が依頼した投稿は広告にあたり、表示の漏れや根拠のない表現は、景品表示法の問題につながるおそれがあります。

広告であることの表示

2023年10月から、景品表示法のステルスマーケティング規制が施行されています。企業が依頼して商品を提供した投稿、報酬を支払った投稿には、「広告」「PR」など、広告であることが分かる表示が必要です。商品を無償で提供しただけの場合でも、企業が投稿の内容に関与していれば対象になり得ます。規制の内容は消費者庁「ステルスマーケティングに関する景品表示法の規制」で確認できます。実務での表示の方法はステマ規制とは?景表法対応と#PR表記の実務ガイドで詳しく解説しています。

性能の表現の根拠

「スピン量が○%アップ」「スイートスポットが○倍」といった数値を伴う表現は、メーカーが公表している根拠に基づくものだけを使ってもらいます。インフルエンサーが自分の感覚で数値を示すと、事実と異なる誇大な表現と受け取られるおそれがあります。インフルエンサーには、スペックの数値はメーカーの公式の値を使い、打球感は自分の感想として伝えるように依頼します。

他社との比較の扱い

他社の商品と比べるレビューは、読み手にとって有益ですが、企業が依頼した投稿のなかで他社の商品を不当におとしめる表現は避ける必要があります。比較する場合は、スペックの事実と、インフルエンサー自身の感想を分けて伝えてもらい、他社の商品の評価は公平な表現にとどめてもらいます。

効果測定と販売店・ECへのつなぎ方

テニス用品の施策の効果は、投稿の反応だけでなく、試打の申し込み、販売店への来店、ECでの購入まで計測して判断します。ラケットは検討期間が長いため、投稿の直後だけでなく、数週間から数か月にわたって成果を追うことが大切です。

計測する指標

計測の基本は、インフルエンサーごとに専用のURLやクーポンコードを用意し、ECの購入や試打の申し込みを分けて把握することです。クーポンコードは販売店の店頭でも使えるようにしておくと、オンラインとオフラインの両方の成果を計測できます。設計の方法はインフルエンサー施策のクーポンコード設計と利用数の測り方で解説しています。消耗品とラケットでは購入までの期間が違うため、それぞれ計測の期間を分けて設定します。

販売店との連携

テニス用品は、専門店で購入する人も多いため、メーカーが施策を行う場合は販売店との連携が欠かせません。インフルエンサーの投稿のスケジュールを販売店と共有し、投稿の時期に在庫と試打ラケットを用意してもらうと、投稿を見て来店した人を逃しません。販売店の店頭で、インフルエンサーの投稿を紹介するPOPを掲示する方法もあります。

次の施策への反映

施策が終わったら、成果の高かったインフルエンサー、反応の良かった投稿の形式、成果の高かった時期と商品をまとめ、次のシーズンの施策に反映します。試打レビューで評価の高かった観点は、商品の説明や広告の訴求にも活用できます。インフルエンサーのマッチングプラットフォームを使えば、テニスをプレーする発信者に条件を示して応募を募り、やり取りや投稿、売上への貢献を一か所で管理できるため、シーズンごとの振り返りと次の依頼がしやすくなります。

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