ニコニコ動画は、動画の上にコメントが流れる独自の視聴体験と、投稿者と視聴者が一緒に作品を盛り上げるコミュニティの文化を持つ動画サービスです。YouTubeやTikTokと同じ感覚で企業の宣伝を持ち込むと、コメント欄で冷ややかな反応を受けることもあれば、文化を理解した企画が視聴者に歓迎され、二次創作や切り抜きを通じて大きく広がることもあります。この記事では、ニコニコ動画でのインフルエンサー施策を検討している企業のマーケティング担当者に向けて、ユーザー文化の理解から投稿者の探し方、切り抜きや二次創作の許諾設計、応援の文化への配慮、他の動画媒体との予算配分までを、実務の順番で解説します。
この記事の要点
- ニコニコ動画のマーケティングでは、動画に流れるコメントで視聴者が一緒に楽しむ文化を前提に、「宣伝を見せる」より「視聴者が参加したくなる企画」を投稿者と作ることが基本です。
- 投稿者はフォロワー数より、ジャンル(ゲーム実況・歌ってみた・踊ってみた・解説・料理・技術系など)と視聴者との関係の深さで選びます。
- 切り抜き・二次創作が広がりやすい媒体のため、企業が使ってよい範囲、投稿者が使ってよい範囲、視聴者の二次創作を認める範囲を、依頼前に分けて決めておきます。
- 予算はYouTubeやTikTokの施策と競わせず、ネットカルチャーへの関心が高い層との深い関係づくりを担う媒体として、全体の一部を割り当てるのが現実的です。
ニコニコ動画のマーケティングの基本
ニコニコ動画のマーケティングで最初に押さえるべきことは、視聴者が「見る人」であると同時に、コメントや二次創作で作品に「参加する人」でもあるという点です。企業が投稿者と組む施策は、この参加の文化を尊重し、視聴者が自然にコメントしたくなる企画を作れるかどうかで成果が大きく変わります。
ニコニコ動画のインフルエンサー施策とは
ニコニコ動画のインフルエンサー施策とは、ニコニコ動画やニコニコ生放送で活動する投稿者・配信者に企業の商品やサービスを取り上げた動画や配信を依頼し、その視聴者コミュニティに向けて認知や好感、購入を広げるマーケティング施策です。投稿者は一般に「〇〇投稿者」「生主」などと呼ばれ、ゲーム実況、歌ってみた、踊ってみた、演奏してみた、解説動画、料理、ものづくり、技術系など、ジャンルごとに独自の文化があります。
サービスの成り立ちと近年の動き
ニコニコ動画は株式会社ドワンゴが運営する動画サービスで、2006年にサービスを開始しました。2024年6月には大規模なサイバー攻撃によりサービスが長期間停止し、同年8月に新しいバージョンでサービスが再開されています。その後もサービスの形は変化を続けています。企業が施策を検討する際は、機能や規約の名称・仕様が変わっていることがあるため、2026年10月時点の最新の内容をニコニコ動画の公式サイトや公式の案内で確認してから企画を固めます。
視聴者の特徴
ニコニコ動画の視聴者は、アニメ・ゲーム・ボカロ・VTuberなどのネットカルチャーへの関心が高い層が中心です。視聴者層の詳しい内訳は、運営会社が公開している最新の広告媒体資料で確認できます。長く利用している視聴者も多く、サービスやコミュニティへの愛着が強い傾向があります。そのため、文化を理解している企業には好意的に、理解していない企業には厳しく反応する、という振れ幅の大きさを前提に企画を考える必要があります。
コメント文化と視聴者との向き合い方
ニコニコ動画のコメント文化とは、動画の再生時間に合わせて視聴者のコメントが画面上を流れ、他の視聴者のコメントも含めて一つの作品として楽しむ文化です。企業の施策では、このコメントを「反応の指標」として見るだけでなく、「企画の一部」として設計に組み込むことが重要です。
コメントが盛り上がる企画の特徴
コメントが盛り上がるのは、視聴者が「ツッコミを入れたくなる」「一緒に応援したくなる」「答えを予想したくなる」場面がある企画です。たとえば、商品を使った挑戦企画で成功か失敗かを見守る構成、投稿者が商品の仕組みを予想してから答え合わせをする構成、視聴者のコメントで次の展開を決める生放送の構成などが考えられます。商品の特徴を一方的に読み上げる構成は、コメントで「宣伝乙」のように受け流されやすく、視聴者の参加が生まれにくくなります。
企業案件への視聴者の反応
ニコニコ動画の視聴者は、企業案件であること自体を必ずしも嫌うわけではありません。応援している投稿者に企業から依頼が来たことを喜び、「案件おめでとう」とコメントする文化もあります。反応が厳しくなりやすいのは、案件であることを隠していると感じたとき、投稿者らしさが失われていると感じたとき、企業がコミュニティの文化を軽く扱っていると感じたときです。広告であることは「PR」や「提供」の表記で明示し、投稿者の普段の芸風や言葉づかいを尊重した企画にすることが、好意的な反応を得る前提になります。
コメントへの企業の関わり方
企業の担当者がコメントで直接宣伝をしたり、否定的なコメントに反論したりすることは避けるのが基本です。コメントは視聴者の場であり、企業が介入すると場の空気が変わってしまいます。否定的なコメントがあった場合も、内容が事実に反する誤解であれば、投稿者と相談のうえで動画の説明文や後日の投稿で補足する形が穏当です。権利侵害や誹謗中傷にあたるコメントは、サービスの通報機能など所定の手続きで対応します。
「分かっている企業」と思われる小さな配慮
視聴者は、企業がどれだけ文化を理解しているかを細かな部分から読み取ります。動画のタグの付け方、投稿者の過去の名場面への言及、視聴者の間で使われている言葉の扱いなどです。ただし、企業が無理にネットスラングを使うと逆効果になりやすいため、言葉づかいは投稿者に任せ、企業は企画の自由度と制作の時間を確保することに力を注ぐほうが成功しやすくなります。
施策の形式と選び方
ニコニコ動画で企業がとれる施策の形式は、投稿者への動画制作の依頼、生放送での紹介、公式チャンネルの運営、ユーザー参加型の企画の4つが代表的です。目的と予算、社内の体制に合わせて、単独または組み合わせて選びます。
形式ごとの特徴の比較
次の表は、施策の形式ごとの特徴をまとめたものです。インフルエンサー施策の中心になるのは、投稿者への動画制作の依頼と生放送での紹介です。
| 施策の形式 | 内容 | 向いている目的 | 注意点 |
|---|---|---|---|
| 投稿者への動画制作の依頼 | 投稿者のジャンルと芸風で商品を取り上げた動画を制作してもらう | 認知・好感の獲得、長く再生される資産づくり | 制作期間が長めで、企画の自由度を確保する必要がある |
| 生放送での紹介 | 配信中に商品を使ったり、視聴者と一緒に試したりする | その場の盛り上がり、コメントでの反応の把握 | 台本どおりに進まないことを前提にした取り決めが必要 |
| 公式チャンネルの運営 | 企業や作品のチャンネルを開設し、継続的に発信する | ファンとの長期的な関係づくり | 運営の工数がかかり、継続できる体制が必要 |
| ユーザー参加型の企画 | 投稿企画やコンテスト、素材の提供で視聴者に作品を作ってもらう | 二次創作による拡散、コミュニティの活性化 | 素材の利用条件と権利の扱いを明確にする必要がある |
動画制作の依頼と生放送の使い分け
投稿者への動画制作の依頼は、編集された完成度の高い作品として長く再生され、後から検索やおすすめで見つけてもらえる点が強みです。生放送は、視聴者とのやり取りのなかで商品を試すため、反応がその場で分かり、視聴者が「一緒に体験した」という感覚を持ちやすい点が強みです。商品の使い方を丁寧に伝えたい場合は動画、話題性や参加感を重視する場合は生放送、というように目的で使い分けます。生放送を依頼する場合は、アーカイブ(タイムシフト)の公開範囲と期間も取り決めておきます。
他の配信プラットフォームとの違い
ライブ配信を中心にした施策という点では、Twitchの配信者への依頼と共通する部分もありますが、ニコニコ動画は動画作品とコメント、二次創作が一体となって楽しまれる点に特徴があります。配信のその場の盛り上がりだけでなく、動画として残ったあとに切り抜きや二次創作で広がる流れまで設計に入れるのが、ニコニコ動画らしい施策の考え方です。Twitchでの依頼方法はTwitch配信者にPRを依頼する方法と費用感の解説で解説しています。
投稿者の探し方と選び方
ニコニコ動画で起用する投稿者は、フォロワー数や再生数の大きさよりも、商品と相性の良いジャンルで活動し、視聴者との関係が深い人を選ぶのが基本です。ニコニコ動画では、同じ再生数でも、コメントの量や内容、視聴者の熱量に大きな差があります。
ジャンルから候補を探す
候補を探すときは、まず商品と相性の良いジャンルを決めます。ゲームやガジェットであればゲーム実況や技術系、飲食品であれば料理や食レポ、音楽機材であれば歌ってみたや演奏してみた、学習サービスであれば解説動画、というように、視聴者が普段その投稿者に期待している内容と商品が自然につながるジャンルを選びます。ジャンルのタグやランキング、関連する動画の投稿者をたどって候補を広げていきます。ゲーム実況者の起用についてはゲームインフルエンサーマーケティングの費用相場と実況者起用の進め方も参考になります。
視聴者との関係の深さを確認する
候補が見つかったら、過去の動画のコメントの量と内容、シリーズ動画の継続的な視聴、生放送での視聴者とのやり取り、ギフトやニコニ広告などの応援の状況を確認します。コメントに投稿者への好意的な言葉や、作品の内容に踏み込んだ反応が多い投稿者は、視聴者との関係が深く、紹介した商品も好意的に受け止められやすい傾向があります。また、YouTubeやX、他の配信サービスでも活動している投稿者は多いため、媒体をまたいだ活動の状況も合わせて確認します。
選定で確認しておきたい項目
選定では、過去の企業案件の取り上げ方、競合する商品の案件の有無、炎上や権利トラブルの履歴、動画で使っている素材や楽曲の権利の扱い方も確認します。特に、二次創作の文化が根付いた媒体のため、投稿者が普段の動画で他者の著作物をどのように扱っているかは、企業が関わる動画の権利の安全性に直結します。起用前の確認の手順はインフルエンサー起用前のリスクチェックと事前調査の手順で解説しています。
切り抜き・二次創作の許諾設計
ニコニコ動画の施策では、切り抜きや二次創作の扱いを依頼前に決めておくことが欠かせません。動画の一部を切り出して紹介する切り抜き、動画や素材をもとにした二次創作は、施策を大きく広げるきっかけになる一方、許諾の範囲が曖昧なままだと、企業・投稿者・視聴者の間でトラブルの原因になります。
誰が何に使ってよいかを分けて決める
許諾の設計は、「企業が使う場合」「投稿者が使う場合」「視聴者が二次創作に使う場合」の3つに分けて考えると整理しやすくなります。次の表は、取り決めておく項目の例です。
| 使う人 | 想定される使い方 | 取り決めておく項目 |
|---|---|---|
| 企業 | 自社サイト・SNS・広告での動画の利用、切り抜きの作成 | 利用できる媒体と期間、編集の可否、広告配信への利用の可否、追加の報酬 |
| 投稿者 | 他の媒体への転載、切り抜き動画の作成、まとめ動画への収録 | 転載できる媒体、PR表記の維持、掲載期間の終了後の扱い |
| 視聴者 | 切り抜き、MAD・音MADなどの二次創作、イラストや楽曲の制作 | 二次創作を認める範囲、商用利用の可否、商品名やロゴの扱い、禁止する使い方 |
企業が提供する素材と利用条件
視聴者の二次創作を広げたい場合は、企業側で素材(ロゴ、商品画像、効果音、キャラクターなど)と利用条件を用意し、公開しておく方法があります。ニコニコには、クリエイターが素材を共有し、作品の親子関係を登録できる仕組みとしてニコニ・コモンズやコンテンツツリーがあり、素材の利用条件を明示するのに使われてきました。こうした仕組みを使う場合は、2026年10月時点の提供状況と仕様を公式の案内で確認したうえで、商用利用の可否や改変の範囲、クレジットの表記方法を具体的に示します。利用条件が明確であるほど、視聴者は安心して二次創作に取り組めます。
権利の確認と契約での取り決め
投稿者の動画には、ゲームの映像、楽曲、イラストなど、投稿者以外の権利者の著作物が含まれていることがあります。企業がその動画を広告などに二次利用する場合、投稿者の許諾だけでは足りず、元の権利者の許諾が必要になることもあります。楽曲の利用について、サービス側が音楽著作権の管理団体と包括的な契約を結んでいる場合でも、その範囲はサービス内での利用に限られるのが一般的で、企業の広告に転用できるとは限りません。二次利用の範囲と権利の確認の進め方はインフルエンサー投稿の肖像権・著作権対応と二次利用の範囲で詳しく解説しています。
切り抜きを禁止するより、ルールを示して歓迎する
切り抜きや二次創作を一律に禁止すると、視聴者の参加の機会を失い、ニコニコ動画で施策を行う利点が小さくなります。禁止したい使い方(商品を誤解させる編集、他社商品との比較広告への転用、公序良俗に反する使い方など)を具体的に示したうえで、それ以外は歓迎する、という姿勢を示すほうが、文化に合った施策になります。
ニコニ広告やギフトなど応援の文化への配慮
ニコニコ動画には、視聴者が好きな動画や投稿者を応援する仕組みが組み込まれており、企業の施策はこの応援の文化を損なわない形で設計する必要があります。応援の仕組みは、投稿者にとっては活動を続けるための収入や評価の源であり、視聴者にとっては作品への参加の一つの形です。
応援の仕組みの概要
代表的な応援の仕組みには、視聴者がポイントを使って動画を宣伝できる「ニコニ広告」、配信や動画に贈る「ギフト」、投稿された作品に応じて奨励金が支払われる「クリエイター奨励プログラム」などがあります。2022年10月の改定では、ニコニ広告やギフトの収益とクリエイター奨励プログラムの扱いが整理され、収益化の枠組み全体がクリエイター奨励プログラムと呼ばれるようになったと報じられています。仕組みの名称や条件は変更されることがあるため、企画の前に最新の内容を公式の案内で確認してください。
企業の施策と応援の文化を両立させる
企業の依頼で制作された動画にも、視聴者がニコニ広告やギフトで応援することがあります。その際、企業が応援を求めたり、応援の数を施策の条件にしたりすることは避けます。応援は視聴者の自発的な行動であり、企業がそれを利用しているように見えると、視聴者の反発を招きます。また、企業自身が依頼した動画にニコニ広告などで露出を上乗せする場合は、視聴者の応援と区別がつかない形にならないよう配慮し、広告であることが分かる状態を保ちます。
PR表記と表示のルール
企業が依頼した動画や生放送には、広告であることが分かる表示が必要です。2023年10月1日から、広告であることを隠した表示は景品表示法の不当表示(いわゆるステマ規制)の対象になっており、2026年10月時点でも同じです。動画のタイトルや説明文、動画内のテロップ、生放送の冒頭のあいさつなど、視聴者が最初に目にする場所で「PR」「提供」などの表記を入れてもらいます。制度の概要は消費者庁のステルスマーケティングに関する情報で確認でき、表記の実務はステマ規制とは?景表法対応と#PR表記の実務ガイドで解説しています。コメントが画面を覆ってPR表記が見えにくくなる場合もあるため、表記の位置と表示時間にも注意します。
依頼から公開までの進め方
投稿者への依頼から動画の公開までは、企画のすり合わせに時間をかけ、制作は投稿者に任せる、という進め方が基本です。ニコニコ動画の投稿者は、自分の作品としての完成度にこだわる人が多く、企業が細かく台本を指定するほど、投稿者らしさと視聴者の好意が失われやすくなります。
依頼の流れと期間の目安
一般的な流れは、候補の選定と打診、企画のすり合わせ、契約、商品の提供と制作、内容の確認、公開、公開後の振り返りの順です。動画制作の依頼の場合、編集に時間をかける投稿者も多いため、打診から公開までに1〜2か月程度の余裕を見ておくと進めやすくなります。生放送の場合は、配信日の調整と事前の機材・商品の準備が中心で、動画制作より短い期間で実施できることが多いです。進め方の全体像はインフルエンサーマーケティングの進め方6ステップと標準スケジュールも参考になります。
企画のすり合わせで伝えること
企画のすり合わせでは、施策の目的、必ず伝えてほしい商品の情報、使ってはいけない表現、PR表記の方法、切り抜きと二次創作の扱い、公開の時期を伝えます。一方で、構成や演出、言葉づかいは投稿者に任せる範囲として明示します。薬機法や景品表示法など、商品によって守るべき表現のルールがある場合は、その理由も含めて伝えておくと、投稿者が自分の言葉で表現を工夫しやすくなります。
内容の確認と修正の依頼
公開前の内容確認では、事実の誤りや法令上の問題、契約で決めた禁止事項に関わる部分に絞って修正を依頼します。演出や笑いの取り方など、投稿者の作風に関わる部分は、明らかに商品やブランドを傷つけるものでない限り、尊重するのが基本です。修正の回数と確認の期限を事前に決めておくと、公開の時期がずれるのを防げます。
効果の測り方
ニコニコ動画の施策の効果は、再生数だけでなく、コメントの量と内容、マイリストや保存、二次創作や切り抜きの発生、指名検索や購入への影響を組み合わせて測ります。ニコニコ動画では、視聴者の熱量が数字以外の形で表れやすいため、量の指標と質の指標の両方を見ることが大切です。
見る指標の整理
施策の目的ごとに、見る指標を次のように整理しておくと、振り返りがしやすくなります。
| 目的 | 見る指標 | 計測の方法 |
|---|---|---|
| 認知の獲得 | 再生数・生放送の来場者数・タイムシフトの視聴数 | 投稿者から数値を共有してもらう |
| 好感・関心の獲得 | コメントの量と内容、マイリスト、ニコニ広告やギフトの状況 | コメントの内容を分類して好意的な反応の割合を見る |
| 拡散 | 切り抜き・二次創作の数、他のSNSでの言及 | タグやコンテンツツリー、SNSの検索で把握する |
| 行動・購入 | 専用URLからの流入、クーポンコードの利用、指名検索の増加 | UTMパラメータ付きのURL、投稿者ごとのコード、検索数の推移 |
コメントの内容を分析する
コメントは、視聴者の反応を知るための貴重な情報源です。商品名への言及、使ってみたいという声、疑問や誤解、否定的な反応などに分類し、どの場面でどんな反応が多かったかを確認します。再生時間に沿ってコメントが集中した場面は、視聴者の関心が高かった場面であり、次の企画や他の媒体での訴求の参考になります。
他の動画媒体との予算配分
ニコニコ動画への予算は、YouTubeやTikTokの施策と同じ指標で競わせるのではなく、ネットカルチャーへの関心が高い層との深い関係づくりを担う媒体として、全体の一部を割り当てるのが現実的です。再生数あたりの費用だけで比べると、利用者数の多い媒体のほうが有利に見えることが多いため、媒体ごとの役割を先に決めてから配分します。
媒体ごとの役割の比較
次の表は、主な動画媒体の役割を比べたものです。商品のターゲットがネットカルチャーへの関心が高い層と重なるほど、ニコニコ動画に配分する意味が大きくなります。
| 媒体 | 得意な役割 | 向いている商材・目的 |
|---|---|---|
| ニコニコ動画 | コメントによる参加、二次創作による拡散、熱量の高いコミュニティとの関係づくり | ゲーム・アニメ・音楽・ガジェット・コラボ商品、ファンの熱量を高めたい施策 |
| YouTube | 長尺の解説・レビュー、検索からの継続的な再生 | 比較検討が必要な商材、使い方を詳しく伝えたい施策 |
| TikTok・ショート動画 | 短期間での広い認知、トレンドの形成 | 若年層向けの商材、話題づくり |
| Twitchなどの配信サービス | 長時間の配信での体験の共有 | ゲームや配信と相性の良い商材 |
配分の考え方
初めてニコニコ動画で施策を行う場合は、動画施策の予算の一部を使い、少数の投稿者とテスト的に組むのが進めやすい方法です。反応が良かった投稿者とは継続して企画を重ね、視聴者に「この企業はいつもこの投稿者と面白い企画をしている」と認識してもらうことで、単発の施策より大きな好感を積み上げられます。同じ投稿者がYouTubeなど他の媒体でも活動している場合は、ニコニコ動画で公開した動画を他の媒体にも転載してもらう取り決めにすると、予算あたりの到達を広げられます。YouTubeでの施策の進め方はYouTubeタイアップの費用相場と依頼方法・進め方ガイド、VTuberとの施策はVTuberをマーケティングに起用する方法と企業事例の解説で解説しています。
マッチングプラットフォームを使う場合
ニコニコ動画で活動する投稿者の多くは、YouTubeやX、他の配信サービスでも活動しています。インフルエンサーのマッチングプラットフォームを使えば、媒体やジャンル、動画の形式などの条件を示して応募を募り、複数の媒体で活動する投稿者のなかから企画に合う人を選べます。依頼の進行や内容の確認、成果の記録を一か所で管理できるため、媒体をまたいだ施策でも、投稿者ごとの反応を比べながら次の企画につなげやすくなります。
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