リスティング広告とインフルエンサー施策は、どちらもWeb集客の代表的な手段ですが、得意な役割はまったく異なります。「リスティング広告の方がCPAが良いから、インフルエンサー施策は不要では」と考えて予算を寄せた結果、数か月後に指名検索が減り、広告全体の成果まで落ちてしまうケースは少なくありません。この記事では、リスティング広告(検索連動型広告)とインフルエンサー施策を8つの軸で比較し、指名キーワードと非指名キーワードの違い、両者の相乗効果、商材とフェーズ別の使い分け、予算配分の目安、併用時の計測ルールまでを、2026年10月時点の発注企業の実務目線で整理しました。
この記事の要点
- リスティング広告は「すでに検索している人」を拾う施策、インフルエンサー施策は「まだ検索していない人」に関心と検索のきっかけをつくる施策で、役割が異なります。
- リスティング広告のキーワードは、社名・商品名で探す指名キーワードと、一般名詞や悩みで探す非指名キーワードに分けて評価します。インフルエンサー施策は指名検索を増やす側に効きます。
- 指名キーワードのCPAは低く見えますが、認知をつくった施策の成果も含まれるため、新規獲得の効率とは分けて評価します。
- 予算は「指名キーワードの確保」を別枠で確保したうえで、事業フェーズと検索需要の大きさに応じて非指名キーワードとインフルエンサー施策に配分します。
- 投稿の前に指名キーワード広告と受け皿ページを整えておくと、投稿で生まれた関心を取りこぼさずに成果へつなげられます。
リスティング広告とインフルエンサー施策の基本的な違い
リスティング広告とインフルエンサー施策の最も大きな違いは、リスティング広告が「すでにある需要を拾う」施策であるのに対し、インフルエンサー施策は「まだない需要をつくる」施策だという点です。どちらが優れているかではなく、購買までの流れのどこを担当させるかで使い分けるのが基本になります。
リスティング広告(検索連動型広告)の役割
リスティング広告とは、GoogleやYahoo!などの検索エンジンで、ユーザーが入力した検索語句に連動して検索結果ページに表示されるテキスト広告のことで、検索連動型広告とも呼ばれます。クリックされたときに費用が発生するクリック課金が基本で、掲載順位は入札額だけでなく広告やランディングページの品質も加味したオークションで決まる仕組みです(Google 広告ヘルプの説明による)。検索という行動そのものが「今知りたい」「今比べたい」という意思の表れなので、購入や問い合わせに近い人へ確実に届けられる点が最大の強みです。
インフルエンサー施策の役割
インフルエンサー施策は、InstagramやTikTok、YouTubeなどで影響力のある発信者に、商品やサービスを実際に使ってもらい、その体験を投稿してもらう施策です。フォロワーはその発信者の好みや暮らしぶりを信頼してフォローしているため、広告よりも身近な口コミとして受け取られやすく、まだ商品を知らない人に「欲しい」「調べてみたい」という気持ちを生み出せます。全体像はSNS広告とインフルエンサー施策の使い分け比較でも整理していますので、あわせてご覧ください。
需要を拾う施策と需要をつくる施策
リスティング広告は検索されない限り表示されないため、検索ボリュームがない新しい商品や、まだ名前の知られていないブランドでは、どれだけ予算を積んでも配信量が増えません。反対に、インフルエンサー施策は認知と関心をつくれますが、投稿を見た人がその場で購入するとは限らず、多くの人は後から社名や商品名で検索して比較します。このため、インフルエンサー施策で関心をつくり、リスティング広告で検索してきた人を確実に受け止めるという組み合わせが、多くの商材で合理的な形になります。
8つの軸で見るリスティング広告とインフルエンサー施策の比較
リスティング広告は即効性・計測のしやすさ・配信量の調整のしやすさで優れ、インフルエンサー施策は認知の創出・信頼の獲得・コンテンツの資産性で優れています。以下の表は、両者を8つの軸で比べたものです(2026年10月時点の一般的な傾向をもとに本メディア編集部が整理)。
| 比較軸 | リスティング広告 | インフルエンサー施策 |
|---|---|---|
| 届く相手 | すでに検索している顕在層 | まだ検索していない潜在層〜準顕在層 |
| 主な役割 | 需要の刈り取り・獲得 | 需要の創出・認知と信頼の獲得 |
| 費用の発生 | クリックごとの課金(変動費) | 投稿ごとの報酬・商品提供・プラットフォーム利用料 |
| 成果が出るまで | 配信開始の当日から | 投稿直後に反応が集中し、検索や購入は数日〜数週間かけて現れます |
| 配信量の調整 | 予算と入札で日単位に調整可能 | 依頼人数と投稿時期で調整(即時の増減は難しい) |
| 計測のしやすさ | クリック・CV・CPAが管理画面で明確 | 直接CVに加え、指名検索や保存数など間接指標も必要 |
| 効果の持続 | 配信を止めると表示も止まります | 投稿・動画が残り、二次利用で長く使えます |
| 伝えられる情報 | 短い広告文と表示オプション | 使用シーン・使用感・ビフォーアフターなどの体験 |
届く相手とタイミングの違い
リスティング広告が届くのは、検索窓に言葉を入れた瞬間の人だけです。そのぶん購入に近い人へ届きますが、検索という行動を起こしていない人には一切届きません。インフルエンサー施策はタイムラインやおすすめ欄で偶然出会う形なので、本人が自覚していない悩みや、まだ言葉にできていない欲求に働きかけられます。届く人数の上限が検索ボリュームに縛られない点が、インフルエンサー施策ならではの特徴です。
費用の発生の仕方の違い
リスティング広告はクリックされた分だけ費用が発生し、日予算を決めれば上限を超えることはありません。一方で、競合が多いキーワードでは入札が上がりやすく、同じ成果を得るための費用が年々上がる傾向があります。インフルエンサー施策は投稿1本ごとの報酬やプラットフォームの月額料金のように、成果が出る前に費用が確定する形が中心です。費用の性質がまったく違うため、単純にCPAだけで横に並べると判断を誤ることがあります。
効果の持続と資産性の違い
リスティング広告は配信を止めた瞬間に表示がなくなり、何も残りません。インフルエンサーの投稿は、フィードやYouTubeに残り続けるほか、許諾を得れば広告素材や商品ページの口コミとして二次利用できます。短期の獲得効率ではリスティング広告が有利でも、半年・1年の単位で見ると、インフルエンサー施策で得たコンテンツが他の施策の成果を押し上げる資産になります。
指名キーワードと非指名キーワードの違い
指名キーワードとは社名・ブランド名・商品名を含む検索語句のことで、非指名キーワードとはそれ以外の一般名詞や悩み・用途を表す検索語句のことです。リスティング広告の成果を正しく読むには、この2つを分けて評価することが欠かせず、インフルエンサー施策との関係を考えるうえでも出発点になります。
| 区分 | 検索語句の例 | 検索する人の状態 | リスティング広告での役割 | インフルエンサー施策との関係 |
|---|---|---|---|---|
| 指名キーワード | 「ブランド名」「商品名 口コミ」「商品名 最安」 | すでに知っていて、買う前の最終確認をしている | 取りこぼし防止・競合からの防衛 | 投稿をきっかけに検索数が増える |
| 非指名(カテゴリ)キーワード | 「日焼け止め 敏感肌」「勤怠管理システム」 | 商品カテゴリは決まっていて、候補を比べている | 新規顧客の獲得の主戦場 | 比較の候補に入れてもらう後押しになる |
| 非指名(悩み・用途)キーワード | 「毛穴 目立たない方法」「在宅 肩こり」 | 解決策を探している段階 | 見込み客の早期接点 | 悩みを言語化する投稿と相性が良い |
指名キーワードの役割
指名キーワードで検索する人は、すでに社名や商品名を知っていて、公式サイトを探している、口コミや価格を確かめたいといった、購入直前の段階にいます。広告を出さなくても自然検索の1位に公式サイトが表示されることが多いものの、競合他社がブランド名で広告を出していたり、比較サイトや販売店が上位に並んでいたりすると、せっかくの見込み客を取りこぼします。指名キーワードへの広告は、獲得というよりも「守り」の役割を担うと考えると分かりやすいです。
非指名キーワードの役割
非指名キーワードは、まだ特定のブランドに決めていない人が、商品カテゴリや悩みで検索する言葉です。ここで自社の広告が表示されることで、初めて自社を知る人が生まれるため、リスティング広告における新規顧客の獲得は主に非指名キーワードが担います。その代わり、競合も同じキーワードに入札するためクリック単価が高くなりやすく、コンバージョン率も指名キーワードより低くなるのが一般的です。
インフルエンサー施策は指名検索を増やす側に効く
インフルエンサーの投稿を見て商品に興味を持った人は、投稿のリンクをタップするだけでなく、後から社名や商品名で検索して詳しく調べます。つまり、インフルエンサー施策の成果の一部は、リスティング広告の指名キーワードのコンバージョンや、自然検索の指名流入として表に出てきます。指名検索の増え方を測る具体的な手順はインフルエンサー施策の指名検索を測る方法と分析の進め方で解説しています。
費用構造と相場の目安
リスティング広告の費用は「クリック単価×クリック数」で決まり、インフルエンサー施策の費用は「起用人数×1人あたりの報酬(または定額の利用料)」で決まります。費用の決まり方が違うため、予算を比べるときは月額の総額だけでなく、何に対して費用を払っているのかを揃えて見ることが大切です。
リスティング広告にかかる費用
リスティング広告の主な費用は、媒体に支払う広告費と、運用を外部に任せる場合の運用代行手数料です。クリック単価はキーワードの競合状況によって大きく変わり、同じ業界でも数十円で済む語句もあれば、金融・不動産・医療のように1クリック数千円に達する語句もあります。比較サイトのアイミツ(2025年6月更新の記事)では、月額の広告費として20万〜50万円程度が一般的な目安とされています。自社が狙うキーワードの単価は、Google 広告のキーワードプランナーで事前に確認できます。運用代行を使う場合は、広告費に対する一定割合の手数料が上乗せされるのが一般的です。
インフルエンサー施策にかかる費用
インフルエンサー施策の費用は、起用する発信者のフォロワー規模、投稿の形式(写真・動画・ストーリーズ)、商品提供の有無、二次利用の範囲などで決まります。フォロワー数の多い発信者を1人起用する形と、数千〜数万人規模のマイクロ・ナノインフルエンサーを複数起用する形では、同じ予算でも得られる投稿数と反応の質が大きく変わります。依頼形態ごとの相場はインフルエンサー起用の料金相場で詳しく整理しています。マッチングプラットフォームを使う場合は、月額の利用料を軸に複数の発信者へ依頼できる料金体系もあります。
CPAで横に並べるときの注意点
リスティング広告とインフルエンサー施策をCPA(獲得単価)だけで比べると、ほぼ確実にリスティング広告の方が効率的に見えます。リスティング広告は購入直前の人に表示され、成果が管理画面で直接計測されるのに対し、インフルエンサー施策の成果は指名検索や後日の来訪を経由して現れ、その多くが他の施策の成果として記録されるためです。比較するときは、インフルエンサー施策の直接CVに加えて、施策期間中の指名検索の増加分や、指名キーワード広告の成果の増加分も合わせて評価するのが現実的です。
費用を比べるときに揃えておきたい前提
- 比較する期間を揃えます。インフルエンサー施策は投稿後2〜4週間の反応まで含めて見ます。
- リスティング広告の成果は、指名キーワードと非指名キーワードに分けて集計します。
- インフルエンサー施策は、直接CVに加えて指名検索数・指名キーワード広告のCV数の増加分も確認します。
- 運用代行手数料や制作費、商品提供の原価など、広告費以外の費用も含めた総額で比べます。
- 二次利用できる投稿素材など、施策終了後に残る資産も評価の対象に含めます。
インフルエンサー施策がリスティング広告にもたらす相乗効果
インフルエンサー施策とリスティング広告を並行すると、投稿で増えた指名検索をリスティング広告が確実に受け止め、さらに投稿の表現が広告文やランディングページの改善材料になるという相乗効果が生まれます。両者を別々の担当者が別々に運用していると、この効果を取り逃がしやすいため、施策の時期と情報を共有しておくことが重要です。
指名検索の増加を指名キーワード広告で受け止める
投稿が公開されると、数時間から数日のあいだに社名や商品名での検索が増えることがあります。このとき指名キーワードの広告の日予算が小さいままだと、予算の上限に達して広告が止まり、検索した人が競合の広告や比較サイトに流れてしまいます。投稿の日程が決まったら、事前に指名キーワードの日予算を引き上げ、「商品名 口コミ」「商品名 どこで買える」のような組み合わせ語句も登録しておくと取りこぼしを防げます。
競合のブランド名入札への備え
投稿で話題になった商品名は、競合他社にとっても魅力的な検索語句になります。自社の商品名で競合の広告が表示されると、関心を持って検索した人がそのまま他社に流れてしまいます。自社でも指名キーワードに広告を出して上位を確保しておくことに加え、他社の広告が商標を不適切に使っている場合は、Google 広告の商標に関するポリシーに沿った申し立ても選択肢になります。商標の扱いは個別の事情で判断が分かれるため、必要に応じて専門家に相談してください。
投稿の言葉を広告文とランディングページに活かす
インフルエンサーの投稿についたコメントや、反応の良かった言い回しは、実際のお客様がどんな言葉で商品の魅力を感じているかを示す貴重な材料です。たとえば「ベタつかない」「朝の支度が5分短くなった」といった生活者の言葉を広告文の見出しやランディングページのファーストビューに取り入れると、クリック率やコンバージョン率の改善につながることがあります。投稿の写真や動画をランディングページに掲載する場合は、二次利用の範囲と期間をあらかじめ契約で決めておきます。
商材とフェーズで変わる使い分けの判断
検索需要がすでに大きい商材ではリスティング広告を軸にし、検索需要がまだ小さい商材や新ブランドではインフルエンサー施策を軸にするのが基本です。実際には商材の性質と事業のフェーズによって最適な組み合わせが変わるため、以下の観点で自社の状況を当てはめてみてください。
| 状況 | 軸にする施策 | 理由 |
|---|---|---|
| 新商品・新ブランドで検索数がほぼない | インフルエンサー施策 | 検索されないとリスティング広告は表示されないため、まず認知と検索のきっかけをつくります |
| カテゴリの検索数が大きい(例:「引越し 見積もり」) | リスティング広告 | 今まさに比較している人が多く、刈り取りの効率が高いためです |
| 見た目や使用感で選ばれる商材(コスメ・食品・雑貨) | インフルエンサー施策+指名キーワード広告 | 体験の発信で選ばれ、購入前に指名検索されるためです |
| 緊急性の高いサービス(修理・鍵・水回りなど) | リスティング広告 | 困った瞬間に検索されるため、検索結果での露出が最優先です |
| BtoB・高単価で検討期間が長い | リスティング広告+専門家の発信 | 比較検討の検索を拾いつつ、信頼を補う発信が効きます |
リスティング広告を優先すべきケース
リスティング広告を優先すべきなのは、商品カテゴリの検索数が十分にあり、検索した人がそのまま比較・購入に進む商材です。修理や引越しのように困った瞬間に検索されるサービス、価格や仕様で比較されやすい商材、地域名と組み合わせて探される店舗型ビジネスなどが当てはまります。こうした商材では、インフルエンサー施策で認知を広げるよりも、検索結果で確実に見つけてもらうことが売上に直結します。
インフルエンサー施策を優先すべきケース
インフルエンサー施策を優先すべきなのは、商品の良さが写真や動画の体験で伝わりやすく、まだブランド名が知られていない商材です。新しいコスメやD2Cの食品、デザイン性の高い雑貨などは、検索されるより先に「見て欲しくなる」ことで需要が生まれます。この段階でリスティング広告に予算を寄せても、検索ボリュームが小さいため配信できる量に限りがあります。まず投稿で関心をつくり、指名検索が育ってきた段階でリスティング広告を広げる順番が効率的です。
両方を並行すべきケース
カテゴリの検索需要があり、なおかつ競合との差別化が体験で伝わる商材は、両方を並行するのが効果的です。たとえば「敏感肌 日焼け止め」のように検索数が大きいカテゴリでも、上位の広告枠は大手ブランドで埋まりやすく、非指名キーワードだけで勝つには高いクリック単価が必要になります。インフルエンサー施策で自社ブランドを比較の候補に入れてもらい、指名キーワードと一部の非指名キーワードで受け止める形にすると、全体の獲得効率を保ちやすくなります。SEOとの使い分けはインフルエンサー施策とSEOの使い分けと予算配分の考え方、成果報酬型の提携との違いはインフルエンサーとアフィリエイトの比較で解説しています。
リスティング広告とインフルエンサー施策の予算配分
予算配分は、まず指名キーワードの広告費を「守りの固定枠」として確保し、残りを非指名キーワードとインフルエンサー施策に事業フェーズと検索需要の大きさに応じて振り分けるのが基本です。最初から完璧な比率を決める必要はなく、四半期ごとに指名検索数と獲得数を見ながら調整していく考え方が現実的です。
事業フェーズ別の配分目安
以下は、指名キーワードの固定枠を除いた予算を、非指名キーワードのリスティング広告とインフルエンサー施策にどう分けるかの目安です。本メディア編集部が一般的な考え方として整理したもので(2026年10月時点)、商材の検索需要や利益率によって調整が必要です。
| 事業フェーズ | 非指名キーワードの広告 | インフルエンサー施策 | 主に見る指標 |
|---|---|---|---|
| 立ち上げ期(ブランド名がほぼ検索されない) | 2〜3割 | 7〜8割 | 投稿の反応、指名検索数の立ち上がり |
| 成長期(指名検索が増え始めた) | 4〜5割 | 5〜6割 | 指名検索数、指名・非指名それぞれのCPA |
| 安定期(指名検索が一定量ある) | 5〜7割 | 3〜5割 | 全体のCPA、新規顧客比率、指名検索の維持 |
指名キーワードの予算は別枠で確保する
指名キーワードの広告費は、他の予算と同じ枠で競わせず、別枠で確保しておくことをおすすめします。指名キーワードはクリック単価が低くCPAも良く見えるため、同じ枠に入れると成果の良い施策として予算が寄りがちです。しかし指名検索の量は他の施策がつくった認知で決まるため、指名キーワードに予算を足しても獲得数はほとんど増えません。インプレッションシェア(表示機会のうち実際に表示された割合)を高く保つのに必要な額を見積もり、その分を固定枠として確保する考え方が合理的です。
四半期ごとの見直しサイクル
配分は四半期ごとに見直します。見るべきポイントは、指名検索数が前の期より増えているか、非指名キーワードのCPAが許容範囲に収まっているか、インフルエンサー施策の投稿後に指名キーワード広告のCV数が増えているかの3点です。指名検索が順調に増えていれば、インフルエンサー施策の比率を少しずつ下げてリスティング広告で刈り取る比重を上げ、反対に指名検索が伸び悩んでいれば、認知をつくる施策の比率を戻します。年間の予算計画への落とし込み方はインフルエンサー施策の年間予算計画と月別配分の作り方を参考にしてください。
併用するときの効果計測と評価の分け方
併用するときは、リスティング広告を「指名」と「非指名」に分けて計測し、インフルエンサー施策は直接の成果と指名検索への影響を分けて計測するのが基本です。同じコンバージョンを両方の施策が自分の成果として数えてしまうと、全体の成果を過大に見積もることになるため、どの数字をどの施策の評価に使うかを事前に決めておきます。
リスティング広告側の計測
リスティング広告では、キャンペーンを指名キーワードと非指名キーワードで分けて作成し、それぞれのクリック数、コンバージョン数、CPA、インプレッションシェアを追います。指名キーワードのキャンペーンは、インフルエンサー施策の投稿日の前後でクリック数とCV数がどう変化したかを確認する材料にもなります。検索語句のレポートでは、投稿で使われた言い回しや商品の愛称など、新しく増えた検索語句がないかも定期的に確認します。
インフルエンサー施策側の計測
インフルエンサー施策では、投稿ごとにUTMパラメータ付きのリンクやクーポンコードを用意して直接の成果を計測し、あわせて保存数やプロフィールへの遷移数などの反応を見ます。設定方法はインフルエンサー施策のUTMパラメータ設定と流入計測の手順で解説しています。さらに、Google Search Consoleやリスティング広告の管理画面で指名検索の推移を確認し、投稿の公開日と重ねて見ることで、間接的な影響を把握できます。
指名検索の貢献をどう扱うか
インフルエンサー施策の投稿後に増えた指名キーワード広告のコンバージョンは、リスティング広告の成果であると同時に、インフルエンサー施策が生み出した需要の成果でもあります。実務では、施策のない期間の指名検索数や指名キーワード広告のCV数を基準値として、施策期間中に基準値を上回った分をインフルエンサー施策の間接的な貢献として参考値で扱う方法が分かりやすいです。厳密な因果を求めすぎると判断が止まるため、同じ方法で毎回比べて傾向をつかむことを優先します。
併用時に決めておきたい計測ルール
- リスティング広告のキャンペーンを指名キーワードと非指名キーワードで分けています。
- インフルエンサー施策の投稿ごとに、UTMパラメータやクーポンコードを分けています。
- 施策のない期間の指名検索数・指名キーワード広告のCV数を基準値として記録しています。
- 投稿の公開日と、指名キーワード広告の日予算・表示状況を同じ表で管理しています。
- 同じコンバージョンを二重に数えないよう、施策ごとの評価に使う指標を事前に決めています。
使い分けで起きやすい失敗と導入前のチェックポイント
リスティング広告とインフルエンサー施策の使い分けで起きやすい失敗は、指名キーワードの数字で全体を判断すること、受け皿を整えずに投稿を増やすこと、刈り取りだけに予算を寄せ続けることの3つです。いずれも計画の段階で防げるため、施策を始める前に確認しておきましょう。
指名キーワードのCPAで全体を判断してしまう
リスティング広告の全体のCPAが良く見えていても、その大部分が指名キーワードによるものであれば、新規顧客の獲得はあまり進んでいない可能性があります。指名キーワードの成果は、すでにブランドを知っている人が購入した結果であり、その認知をつくったのは過去のインフルエンサー施策や口コミ、他の広告です。指名と非指名を分けて見ずに「リスティング広告の効率が良いからインフルエンサー施策をやめよう」と判断すると、数か月後に指名検索が減り、リスティング広告全体の成果も落ちることがあります。
受け皿を整えずにインフルエンサー施策を広げてしまう
投稿で関心を持った人が検索したときに、公式サイトが見つからない、商品ページの情報が足りない、指名キーワードで競合の広告が先に表示されるといった状態では、せっかくつくった需要を取りこぼします。インフルエンサー施策を始める前に、指名キーワードの広告、商品ページ、在庫と購入導線を整えておくことが前提です。また、依頼した投稿には広告であることが分かる表示が必要です。2023年10月1日に施行された景品表示法の指定告示(いわゆるステマ規制)について、消費者庁が運用基準を公表していますので、詳しくはステマ規制とは?景表法対応と#PR表記の実務ガイドをご確認ください。個別の表現の適否は専門家にご相談ください。
刈り取りだけに予算を寄せ続けてしまう
短期の数字だけを追うと、計測しやすく効率の良いリスティング広告に予算が集中しがちです。しかし、検索してくる人の数は、認知をつくる施策を止めると時間差で減っていきます。非指名キーワードのクリック単価が上がり続ける中で新規の検索需要も細ると、獲得単価は徐々に悪化します。予算の一定割合を需要をつくる施策に充て続け、指名検索数を「将来の刈り取り量」を示す先行指標として管理することが、長く安定した成果につながります。
リスティング広告とインフルエンサー施策の導入前チェックリスト
- 自社の商品カテゴリの検索数と、指名検索数の現状を把握していますか。
- リスティング広告を指名キーワードと非指名キーワードに分けて管理していますか。
- 指名キーワードの広告費を、守りの固定枠として確保していますか。
- インフルエンサーの投稿日程を、リスティング広告の担当者と共有していますか。
- 商品ページ・在庫・購入導線を、投稿日までに整えていますか。
- 依頼する投稿に#PRなどの広告表記を入れるよう伝えていますか。
- 四半期ごとに配分を見直す指標と、判断の基準を決めていますか。
Bloomでは、審査を通過したインフルエンサー30,000人の中から、ジャンルやフォロワー層を見ながら発信者を探し、複数の発信者に依頼できます。料金は初期費用0円・月額3万円(税別)からで、リスティング広告の予算と並べて毎月の固定費として計画しやすい点も、検索広告と組み合わせて需要づくりを続けたい企業に向いています。
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