ダイレクトメールマーケティングは、自社の名簿に沿って一人ひとりへ案内を届けられる一方、郵送料の上昇や名簿にいない人へ届かないことが課題になりがちです。そこで検討されるのがインフルエンサー施策ですが、両者は届く相手も受け取られ方も違うため、反応率の数字だけで比べると判断を誤ります。この記事では、郵送のダイレクトメール(DM)とインフルエンサー施策を、到達特性・リーチと文脈・反応率とコストの3つの観点で比較し、顧客フェーズ別の役割分担、併用時の予算配分と組み合わせ例、名簿を扱ううえでの個人情報保護法の注意点までを、販促の担当者がそのまま社内の検討に使える形で整理します。

この記事の要点

  • 郵送のダイレクトメール(DM)は、自社が持つ名簿に沿って一人ひとりへ確実に届ける「1to1」の手法で、既存顧客や休眠顧客への働きかけに強みがあります。
  • インフルエンサー施策は、名簿の外にいる見込み客へ「第三者の体験談」という文脈で届く手法で、新しい顧客との出会いづくりに強みがあります。
  • 両者は反応率の定義が違うため、1通・1投稿あたりの数字ではなく「獲得1件あたりの費用」と「獲得後の売上」で横並びに比べます。
  • 予算配分は「名簿の厚さ」「新規獲得の必要度」「商材の購入頻度」の3軸で決め、四半期ごとに獲得単価を見て組み替えます。
  • DMは個人情報保護法上の利用目的・第三者提供・配信停止への対応が、インフルエンサー施策は広告であることの表示が、それぞれ必須の確認事項です。

ダイレクトメールマーケティングの基本と到達特性

ダイレクトメールマーケティングの最大の特徴は、自社が持つ名簿に基づいて、特定の個人へ確実に届けられる点です。テレビや新聞、SNS広告のように「不特定多数の中から見てくれた人に届く」手法ではなく、届け先を一人ずつ指定して送るため、誰に何を送ったかを最初から把握できます。

ダイレクトメールの定義と主な種類

ダイレクトメール(DM)とは、企業が個人や法人の住所あてに、はがき・封書・圧着はがき・カタログなどの印刷物を郵送や宅配便で直接届ける販促手法です。メールマガジンやSNSのダイレクトメッセージも略して「DM」と呼ばれることがありますが、本記事では郵送で届く紙のダイレクトメールを対象にします。メールマガジンとの比較はインフルエンサー施策とメルマガの使い分けと予算配分で、宛名のない折込チラシとの比較は折込チラシとインフルエンサー施策の比較と地域商圏の予算配分で扱っています。

紙のダイレクトメールは、主に次の形式に分かれます。はがきは費用が最も抑えやすく、セールの告知や来店のお知らせに向いています。圧着はがきは開くと面積が2〜3倍になり、会員限定の情報やクーポンを載せやすい形式です。封書は商品サンプル・カタログ・申込書などを同封でき、高単価商材や法人向けの提案で使われます。

名簿に基づく1to1の到達

ダイレクトメールの到達範囲は、手元の名簿の件数と質でほぼ決まります。購入履歴や会員情報を持つ企業であれば、「半年以上購入がない人」「誕生月の人」「特定の商品を買った人」といった条件で届け先を絞り込み、内容を出し分けることができます。宛名と一緒に名前や購入商品を印字すれば、受け取った人に「自分あての案内だ」と感じてもらいやすくなります。

一方で、名簿にいない人には届きません。新しい顧客に送るには、地域や属性を指定して全戸に配るタウンプラスのような宛名なしの配達サービスを使うか、外部の名簿を用意する必要があり、後者は個人情報保護法上の確認が欠かせません。名簿の扱いについては後半の章で詳しく解説します。

手元に届き、開封されやすいメディアです

紙のダイレクトメールは、本人あてに届くと開封・閲読されやすいメディアです。日本郵便がDM活用ページで紹介している日本ダイレクトメール協会「DMメディア実態調査2024」では、自分あてのDMを受け取った人のうち74.3%が開封・閲読し、閲覧後に何らかの行動をした人は20.8%とされています。いずれも2026年10月時点で日本郵便のサイトに掲載されている数値です。ここでいう「行動」には、Webサイトを見る、家族と話題にするといった購入以外の行動も含まれるため、売上に直結する反応率とは分けて読む必要があります。

押さえておきたいポイント

ダイレクトメールの強みは「名簿にいる人へ確実に届き、読まれやすいこと」で、弱みは「名簿にいない人には届かないこと」です。インフルエンサー施策と比べるときは、この到達範囲の違いを最初に押さえておくと、役割分担を考えやすくなります。

インフルエンサー施策とのリーチと文脈の違い

インフルエンサー施策とダイレクトメールの違いは、「誰に届くか」と「どんな文脈で受け取られるか」の2点に集約されます。ダイレクトメールは自社の名簿にいる人へ企業からの案内として届き、インフルエンサー施策は自社をまだ知らない人へ第三者の体験談として届きます。

名簿の外に届くインフルエンサー施策

インフルエンサー施策の到達範囲は、起用するインフルエンサーのフォロワーと、投稿がおすすめ表示や検索で広がった先までです。自社の名簿にはいない人に届くため、新規顧客との接点づくりに向いています。フォロワーの年齢・性別・居住地・関心はインフルエンサーごとに異なるため、届けたい層に合わせて人選を変えることで、名簿がなくても狙いを付けた到達ができます。ただし、誰に届いたかを個人単位で把握することはできず、成果はクーポンコードや計測用URLを通じて集計します。

「企業からの案内」と「第三者の体験談」の違い

ダイレクトメールは差出人が企業であり、受け取った人は最初から「お店からのお知らせ」として読みます。既存顧客にとっては信頼できる案内ですが、まだ取引のない人にとっては営業の印刷物と受け取られやすく、開封されないまま処分されることもあります。インフルエンサー施策は、普段からフォローしている人が実際に使った感想として届くため、商品の使い方や生活の中での場面が伝わりやすく、初めて知る商品でも関心を持ってもらいやすい点が違います。広告であることの表示は必要ですが、その上で「使った人の言葉」として届くことが最大の違いです。

8項目で見る比較表

両者の違いを8項目で整理すると、次のようになります。数値は2026年10月時点の一般的な目安で、実際の金額は部数・形式・起用規模によって変わります。

項目ダイレクトメール(郵送)インフルエンサー施策
届く相手自社の名簿にいる個人・法人インフルエンサーのフォロワーと拡散先
到達の確実さ住所が正しければほぼ確実に届く表示されるかはSNSの仕組みに左右される
受け取られ方企業からの案内第三者の体験談(広告表示つき)
出し分け購入履歴などで一人ずつ変えられるインフルエンサーごとの切り口で変える
主な費用制作費・印刷費・郵送料報酬・商品提供・送料・管理工数
成果の測り方名簿と購入データの突き合わせクーポンコード・計測用URL・指名検索
効果が続く期間届いてから数日〜数週間投稿の残存期間と二次利用の期間
得意な顧客段階リピート・休眠掘り起こし・既存顧客の育成認知・興味喚起・初回購入

反応率とコストの比較

ダイレクトメールとインフルエンサー施策は、反応率の数字をそのまま比べても判断を誤ります。ダイレクトメールの反応率は「送付数に対する反応数」、インフルエンサー施策の反応は「表示回数やフォロワー数に対する反応数」で測るため、分母がまったく違うからです。比較するときは、最終的に「獲得1件あたりの費用」と「獲得後の売上」に置き換えて横並びにします。

ダイレクトメールの反応率の目安と測り方

ダイレクトメールの反応率は、反応数を送付数で割って求めます。反応の定義は「来店」「申込」「購入」「資料請求」など目的によって変わるため、社内で一つに決めてから測ることが大切です。一般に、取引のある既存顧客あてのダイレクトメールは反応率が高く、取引のない新規の相手に送る場合は大きく下がる傾向があります。業界全体の平均値を目標にするよりも、自社の過去の送付結果を「既存顧客」「休眠顧客」「新規」に分けて記録し、その数字を基準にする方が実務では役に立ちます。反応を測るには、DMごとに専用のクーポン番号や二次元コードを付け、名簿のIDと購入データを突き合わせます。

1通・1投稿あたりのコスト構造

ダイレクトメールの費用は「制作費+印刷費+宛名印字・封入作業費+郵送料」で決まり、送付数にほぼ比例して増えます。郵送料は2024年10月1日の料金改定で、通常はがきが85円、定形郵便物(50gまで)が110円になりました。これは日本郵便の発表に基づく2026年10月時点の料金です。一定数以上をまとめて差し出す場合は広告郵便物の割引制度を使えるため、実際の負担はこれより下がることがあります。インフルエンサー施策の費用は「報酬+商品提供+送料+進行管理の工数」で決まり、報酬はフォロワー数に1〜4円程度を掛けた金額がよく使われる目安です。相場の詳細はインフルエンサー起用の料金相場【2026年完全ガイド】でまとめています。

費用項目ダイレクトメールインフルエンサー施策
固定的にかかる費用デザイン・原稿制作、名簿の整備企画・募集文の作成、候補選定
件数に比例する費用印刷費・郵送料(1通ごと)報酬・商品原価・送料(1人ごと)
郵送料・報酬の目安(2026年10月時点)はがき85円・定形封書110円(割引適用前)フォロワー単価1〜4円程度(ギフティングのみの起用もあり)
見落としやすい費用宛先不明の戻り・名簿の更新作業投稿確認・差し戻しの工数、二次利用の追加費用
費用が無駄になりやすい原因古い名簿・反応しない層への送付フォロワーの質や層が合わない人選

獲得単価で横並びにする計算方法

両者を同じ物差しで比べるには、施策ごとに「総費用÷獲得件数=獲得単価」を出し、さらに獲得した顧客の90日後・1年後の購入額を追います。たとえば次のような想定例で考えます。数字はすべて計算方法を示すための仮の値で、実在の企業や実績ではありません。

想定例の前提休眠顧客あてDMインフルエンサー施策
総費用3,000通×1通150円=45万円10人起用で報酬・商品・送料の合計45万円
獲得件数(仮)購入90件初回購入60件
獲得単価5,000円7,500円
獲得した顧客の性質過去の購入者の再購入新規顧客
評価の考え方再購入の促進として評価新規獲得として、その後のリピートまで含めて評価

この想定例では獲得単価だけを見るとダイレクトメールが有利ですが、獲得しているのは既存顧客の再購入であり、インフルエンサー施策は新規顧客を獲得しています。目的が違う成果を同じ単価で比べると、新規獲得の施策が常に不利に見えてしまいます。比べるときは「新規獲得単価」と「再購入獲得単価」を分けて管理し、新規顧客については獲得後の購入額まで含めて判断します。流入元ごとの顧客データの紐づけ方はインフルエンサー施策とCRMを連携して顧客データを活かす方法が参考になります。

ダイレクトメールが強い場面と弱い場面

ダイレクトメールが最も力を発揮するのは、購入履歴のある顧客に、その人に合った案内を手元に届けたい場面です。反対に、名簿が薄い段階や、商品の魅力を使用場面ごと伝えたい場面では、費用に見合う成果が出にくくなります。

ダイレクトメールが強い場面

  • 休眠顧客の掘り起こし:メールを開かなくなった顧客にも、紙なら手元に届きます。最終購入日で絞り込み、再購入のきっかけになる特典を付けると反応が得られやすくなります。
  • 高単価・検討期間の長い商材:住宅、リフォーム、保険、教育、法人向けサービスなど、資料をじっくり読んでもらいたい商材では、封書やカタログの情報量が生きます。
  • シニア層や紙を好む層:SNSの利用頻度が低い層にも、郵便であれば確実に届きます。
  • 会員限定・誕生月などの特別感の演出:名前入りの案内や限定クーポンは、既存顧客との関係を深めるのに向いています。

ダイレクトメールが弱い場面

  • 名簿がまだ少ない立ち上げ期:送れる相手が少なく、新規顧客を増やす手段にはなりにくい段階です。
  • 使用感や見た目の変化を伝えたい商材:化粧品の質感や料理の手順、ファッションの着こなしなどは、紙の写真よりも動画の方が伝わります。
  • 若年層への新規の訴求:住所を知らない相手には送れず、宛名なしの配布では読まれる割合が下がります。
  • 送付頻度を上げたい施策:1通ごとに郵送料がかかるため、高頻度の連絡には向きません。

費用の無駄を減らす名簿の整え方

ダイレクトメールの費用対効果は、名簿の鮮度でほぼ決まります。宛先不明で戻ってきた住所の削除、過去1年以上反応のない人の送付頻度の引き下げ、購入金額や頻度による優先度付けを定期的に行うだけで、同じ予算でも反応する人に集中して届けられます。郵便物が戻ってきた件数も記録しておくと、名簿の傷み具合を把握できます。

インフルエンサー施策が強い場面と弱い場面

インフルエンサー施策が最も力を発揮するのは、自社をまだ知らない人に、商品を使う場面ごと届けたい場面です。一方で、特定の顧客に確実に届けたい連絡や、一人ずつ内容を変える案内には向きません。

インフルエンサー施策が強い場面

  • 新商品の発売や新規顧客の獲得:名簿にいない層へ一斉に接点を作れます。
  • 使い方や雰囲気を伝えたい商材:写真・リール・ショート動画で使用場面を見せられます。
  • 若年層や特定の趣味層への訴求:関心の近いフォロワーを持つ人を選ぶことで、狙った層に届けやすくなります。
  • 販促素材の確保:契約で二次利用の範囲を決めておけば、投稿の写真や動画をダイレクトメールや自社サイトの素材として使えます。

インフルエンサー施策が弱い場面

  • 既存顧客への個別連絡:特定の人にだけ届けることはできません。
  • 期日が厳密な告知:投稿日を指定しても、表示されるタイミングはSNSの仕組みに左右されます。
  • 個人単位での効果検証:誰が見たかは分からないため、クーポンコードや計測用URLでの集計が前提になります。

成果を安定させるための前提

インフルエンサー施策の成果は、人選と投稿内容の設計で大きく変わります。フォロワー数だけで選ぶと、フォロワーの居住地や年齢が商材と合わず、反応が出にくくなります。複数人に少しずつ依頼して反応の良い人を見極め、次の回に配分を寄せる進め方が、費用の無駄を抑えるうえで有効です。クーポンコードを一人ずつ発行すると、誰の投稿から売上が生まれたかを比べられます。発行と集計の方法はインフルエンサー施策のクーポンコード設計と利用数の測り方で解説しています。

顧客フェーズ別の役割分担

ダイレクトメールとインフルエンサー施策は、顧客の段階によって役割を分けると無駄が出にくくなります。基本の考え方は、新しい顧客との出会いはインフルエンサー施策で作り、出会った顧客との関係を深める段階はダイレクトメールが担うという分担です。

顧客の段階主役になる施策ダイレクトメールの役割インフルエンサー施策の役割
認知・興味インフルエンサー施策宛名なし配布で地域に知らせる程度使用場面を見せて関心を作る
比較検討両方資料請求者へ詳しい資料を届ける口コミとして判断材料を増やす
初回購入インフルエンサー施策初回特典の案内を同封して後押しクーポンコードで購入のきっかけを作る
リピートダイレクトメール購入履歴に合わせた次の提案新しい使い方の投稿で再購入を後押し
休眠の掘り起こしダイレクトメール手元に届く特典付きの案内話題づくりで「また使ってみよう」と思わせる

認知・興味の段階はインフルエンサー施策が中心です

認知と興味の段階では、まだ住所を知らない相手が対象になるため、インフルエンサー施策が中心になります。ダイレクトメールで新規の相手に届ける方法もありますが、宛名なしの配布は読まれる割合が下がり、名簿を外部から用意するには法令上の確認が必要です。まずはインフルエンサーの投稿で関心を集め、自社サイトや店舗での会員登録につなげる流れを作ります。

初回購入から会員登録までを橋渡しします

インフルエンサー施策で生まれた初回購入を、ダイレクトメールが届けられる関係に変えることが、両者をつなぐ要になります。購入時や会員登録時に、案内を郵送で送ることを利用目的として明示し、住所を受け取れる状態にしておけば、次の段階でダイレクトメールを使えるようになります。初回購入の商品に同梱物として次回の案内を入れるのも有効です。

リピートと休眠の掘り起こしはダイレクトメールが担います

一度購入した顧客には、購入履歴に合わせたダイレクトメールで次の提案を届けます。消耗品であれば使い切る時期に合わせた案内、季節商品であれば翌年の同じ時期の案内が効果的です。しばらく購入のない顧客には、手元に届く紙の案内が改めて思い出してもらうきっかけになります。この段階でも、インフルエンサーの投稿を素材としてダイレクトメールに載せると、「ほかの人はこう使っている」という情報を既存顧客に届けられます。

併用時の予算配分の決め方

併用時の予算配分は、「名簿の厚さ」「新規獲得の必要度」「商材の購入頻度」の3つの軸で決めるのが基本です。名簿が厚く購入頻度の高い商材ほどダイレクトメールの比率を上げ、名簿が薄く新規獲得が急務な段階ほどインフルエンサー施策の比率を上げます。

配分を決める3つの軸

  • 名簿の厚さ:郵送できる既存顧客が何人いるか、そのうち直近1年に購入した人が何割か。名簿が厚いほどダイレクトメールの使いどころが増えます。
  • 新規獲得の必要度:売上計画のうち新規顧客で埋める割合。新規の比重が大きいほどインフルエンサー施策の比率を上げます。
  • 商材の購入頻度:消耗品のように繰り返し買われる商材は、既存顧客への案内の価値が高く、ダイレクトメールが効きやすくなります。

事業フェーズ別の配分の目安

3つの軸をもとにした配分の目安は次のとおりです。これは編集部が考え方を示すために整理した目安で、業種や商材の単価によって調整が必要です。

事業フェーズダイレクトメールインフルエンサー施策考え方
立ち上げ期(名簿が少ない)1〜2割8〜9割新規の接点づくりを優先し、会員登録の受け皿を整える
成長期(名簿が増えてきた)3〜5割5〜7割新規獲得を続けながら、初回購入者への2回目の案内を始める
成熟期(名簿が厚い)5〜7割3〜5割既存顧客の再購入と休眠対策を中心に、新規の補充を続ける
店舗型・地域密着4〜6割4〜6割来店客の名簿と、地域のインフルエンサーによる新規集客を並行する

年間を通した予算の立て方や月ごとの配分は、インフルエンサー施策の年間予算計画と月別配分の作り方もあわせて参考にしてください。

配分を見直すタイミング

配分は一度決めたら固定するのではなく、四半期ごとに見直します。見直しの基準は、新規獲得単価と再購入獲得単価の推移です。インフルエンサー施策の新規獲得単価が上がり続けている場合は人選や投稿内容を見直し、ダイレクトメールの反応が落ちている場合は名簿の鮮度や送付頻度を確認します。どちらかに予算を寄せるときも、いきなり全額を移すのではなく、1〜2割ずつ動かして結果を比べると判断を誤りにくくなります。

配分を決める前の確認

予算を動かす前に、両方の施策で「何を成果とするか」をそろえておきます。ダイレクトメールは購入、インフルエンサー施策はいいね数、のように評価の基準がばらばらだと、配分の見直しが感覚的になってしまいます。最低でも「新規購入件数」「再購入件数」「それぞれの獲得単価」の3つは共通の表で管理しましょう。

ダイレクトメールとインフルエンサー施策の組み合わせ例

ダイレクトメールとインフルエンサー施策は、片方の成果をもう片方の材料に使うと、単独で行うより費用対効果を高められます。ここでは、組み合わせ方の想定例を3つ紹介します。いずれも考え方を示すための架空の例で、実在の企業の事例ではありません。

想定例1:投稿の写真をダイレクトメールの素材に使う(化粧品のA社)

化粧品を通信販売するA社が、新商品の発売に合わせて10人のインフルエンサーに使用感の投稿を依頼する想定です。契約で二次利用の範囲を決めたうえで、投稿の写真と感想の一部を既存顧客あてのダイレクトメールに掲載します。既存顧客は企業の説明だけでなく、使った人の言葉を手元で読めるため、新商品を試すきっかけが増えます。二次利用には事前の合意と表示の配慮が必要で、ダイレクトメールに掲載する際も、インフルエンサーへの依頼に基づく内容であることが分かるようにします。

想定例2:休眠顧客へのダイレクトメールと投稿の時期をそろえる(飲食店のB社)

複数の店舗を持つ飲食店のB社が、季節の新メニューの開始に合わせて、半年以上来店のない会員へはがきを送り、同じ週に地域のインフルエンサーに来店投稿を依頼する想定です。はがきで「新メニューが始まった」ことを思い出してもらい、SNSで実際の料理の様子を目にしてもらうことで、来店の後押しを重ねます。はがきとインフルエンサーの投稿で別々のクーポン番号を使えば、どちらの経路から来店したかを分けて集計できます。

想定例3:インフルエンサー経由の初回購入者へフォローのダイレクトメールを送る(食品のC社)

健康食品を扱うC社が、インフルエンサーの投稿経由で初回購入した顧客に、商品を使い切る頃合いに合わせて封書を送る想定です。封書には、使い方のヒントと2回目の購入に使える特典を同封します。インフルエンサー施策で生まれた新規顧客を、ダイレクトメールで2回目の購入につなげることで、インフルエンサー施策の評価を「初回購入」だけでなく「継続購入」まで含めて行えるようになります。こうした流れは、サンプル配布と組み合わせる場合も同じ考え方で設計できます。

組み合わせ方主な目的集計のしかた
投稿素材をDMに掲載既存顧客の新商品の試用DM専用クーポンの利用件数
DMと投稿の時期をそろえる休眠顧客の来店・再購入経路別クーポン番号で分けて集計
投稿経由の新規へフォローDM2回目購入への転換流入元ごとの2回目購入率

個人情報保護法と表示ルールの注意点

ダイレクトメールを送るときに必ず確認すべきなのは、個人情報保護法に沿った名簿の取得と利用です。インフルエンサー施策では、広告であることの表示が必須になります。どちらも、違反すると行政の指導や企業の信頼低下につながるため、施策を始める前に社内の確認手順として整えておきます。以下は2026年10月時点の法令とガイドラインに基づく一般的な整理で、個別の判断は専門家に確認してください。

名簿の取得と利用目的の明示

個人情報保護法では、個人情報を取り扱う際に第17条で利用目的をできる限り特定すること、第18条でその範囲を超えて利用しないことが求められています。また、第21条により、個人情報を取得した場合は利用目的を本人に通知するか公表する必要があります。ダイレクトメールを送る予定があるなら、会員登録や購入の画面、プライバシーポリシーに「商品やサービスのご案内を郵送でお送りするため」といった利用目的を明記しておきます。インフルエンサー施策のキャンペーンで応募者の住所を集める場合も、賞品の発送だけを目的として集めた住所を、後からダイレクトメールに使うことはできません。将来の案内に使いたい場合は、応募の時点でその目的を示しておく必要があります。

名簿の購入と第三者提供の確認

外部から名簿を入手して新規の相手にダイレクトメールを送る場合は、提供元が適法に名簿を提供しているかを確認する必要があります。本人の同意なく個人データを第三者に提供する「オプトアウト」による提供を行う事業者は、個人情報保護委員会への届出が必要で、届出内容は委員会のWebサイトで公表されています。これは同法第27条第2項に定められた手続きです。2022年4月施行の改正により、不正に取得された個人データや、他社からオプトアウトで提供を受けた個人データは、オプトアウトで第三者に提供できなくなりました。名簿を受け取る側にも、提供元の氏名や取得の経緯を確認し、記録を残す義務があり、これは同法第30条に定められています。個人情報保護委員会は名簿を扱う事業者への注意喚起を繰り返しているため、出どころの分からない名簿は使わないことが原則です。

配信停止の受付と広告表示

ダイレクトメールには、送付を止めたい人のための連絡先を必ず記載し、申し出があれば速やかに名簿から外します。個人情報保護法では、本人が利用停止を求めた場合の対応も定められており、ダイレクトメールの送付停止は最も多い申し出の一つです。通信販売の商品を案内する場合は、特定商取引法に基づく表示(価格、送料、返品条件、事業者名など)も必要です。インフルエンサー施策では、2023年10月1日から景品表示法のステルスマーケティング規制が施行されており、企業が依頼した投稿には広告であることが分かる表示が欠かせません。具体的な表示方法はステマ規制とは?景表法対応と#PR表記の実務ガイドで確認してください。

法令面のチェックポイント

  • 会員登録・購入・キャンペーン応募の画面に、郵送での案内を利用目的として明記している
  • 外部の名簿を使う場合、提供元の届出と取得の経緯を確認し、記録を残している
  • ダイレクトメールに送付停止の連絡先を記載し、申し出を名簿に反映する手順がある
  • インフルエンサーの投稿に、広告であることが分かる表示を入れるよう依頼している

併用前のチェックリストとBloomでの進め方

ダイレクトメールとインフルエンサー施策を併用する前に確認すべきことは、「成果の定義」「顧客データのつなぎ方」「法令面の準備」の3点です。この3点がそろっていれば、どちらにどれだけ予算を割くべきかを数字で判断できるようになります。

併用を始める前のチェックリスト

  • ダイレクトメールとインフルエンサー施策で、成果の定義(新規購入・再購入・来店など)をそろえている
  • 施策ごと・インフルエンサーごとに異なるクーポン番号や計測用URLを用意している
  • インフルエンサー経由の新規顧客を、会員登録や購入時に住所付きで名簿に取り込める
  • 名簿の鮮度(戻り郵便の削除、反応のない人の頻度調整)を定期的に整えている
  • 投稿の二次利用範囲を契約で決め、ダイレクトメールへの転用可否を確認している
  • 新規獲得単価と再購入獲得単価を四半期ごとに見直す場を設けている

Bloomでインフルエンサー施策側を始める場合

インフルエンサー施策側を小さく始めるなら、審査済みのインフルエンサーが登録しているマッチングプラットフォームを使うと、候補探しと進行管理の手間を抑えられます。Bloomには審査制のインフルエンサー30,000人が登録しており、ジャンルやフォロワー層を比べながら案件ごとに応募を募れます。最初は少人数に依頼して反応の良い人と投稿内容を見極め、得られた写真や感想を既存顧客あてのダイレクトメールにも活かす、という順番で進めると、両方の施策の手応えを同時に確かめられます。

小さく試して配分を決める進め方

最初の1〜2か月は、ダイレクトメールの予算を大きく変えずに、インフルエンサー施策を少額で並行させるのが安全です。経路別のクーポン番号で成果を分けて集計し、新規獲得単価と、獲得した顧客の2回目購入率を比べます。そのうえで、反応の良かった施策に1〜2割ずつ予算を寄せていきます。紙とSNSのどちらかに決めるのではなく、顧客の段階ごとに得意な手段を割り当てることが、限られた販促費で成果を最大にする近道です。

本メディアは、審査制インフルエンサー30,000人のマッチングプラットフォーム『Bloom』(株式会社ハーマンドット)が運営しています。