インフルエンサー施策は、担当者とインフルエンサーの個人的なやり取りの積み重ねで成り立っている部分が大きく、担当者の異動や退職をきっかけに、それまで順調だった施策が止まってしまうことが少なくありません。候補リストや契約書は残っていても、「この人にはどう頼めば快く引き受けてもらえるか」「なぜこの人を選び、あの人を見送ったのか」といった関係性や判断基準は、担当者の頭の中にしか残っていないことが多いからです。この記事では、マーケティングの責任者や施策の担当者に向けて、担当交代に備えたインフルエンサー施策の引き継ぎを設計する手順を、引継書のテンプレートとチェックリストを交えて解説します。
この記事の要点
- インフルエンサー施策の引き継ぎで最も失われやすいのは、ファイルに残る情報ではなく、インフルエンサーとの関係性と、選定や承認の判断基準です。
- 引き継ぎの対象は「関係性」「判断基準」「進行中の案件」「契約・支払い」「アカウント・データ」の5つに分けて棚卸しします。
- 関係性は、相手ごとの連絡の好み、過去の経緯、配慮事項を記録し、後任者を紹介する挨拶の場を設けて引き継ぎます。
- 判断基準は、選定・NG・承認・撤退の4つの場面ごとに、過去の判断例と理由をセットで書き残します。
- 引き継ぎは少なくとも1か月程度の期間をとり、後任者が実際に案件を進める並走期間を設けるのが基本です。平時から情報を共有の場所に残す運用にしておくと、急な交代にも対応できます。
インフルエンサー施策の引き継ぎで失われるもの
インフルエンサー施策の引き継ぎで最も失われやすいのは、インフルエンサーとの関係性と、選定や承認の判断基準です。インフルエンサー施策の引き継ぎ設計とは、担当者が異動や退職で交代しても、施策の成果と外部との関係を落とさずに続けられるよう、引き継ぐ情報の範囲、記録の形式、引き継ぎの手順を事前に決めておくことです。マーケティング業務の引き継ぎ全般に共通する考え方ですが、社外の個人と継続的に関係を築くインフルエンサー施策では、特に重要になります。
ファイルに残る情報と残らない情報
担当者が交代しても、候補リスト、契約書、請求書、投稿のURL、レポートといったファイルは比較的残りやすい情報です。一方で、インフルエンサーごとの連絡の取り方の好み、過去に起きた行き違いとその解決の経緯、報酬交渉で譲った点と譲らなかった点、候補を見送った理由などは、担当者の記憶やチャットの履歴に埋もれていることが多く、交代とともに失われがちです。後任者が困るのは、手順よりもこうした「なぜそうしたのか」の部分です。
インフルエンサー施策が属人化しやすい理由
インフルエンサー施策が属人化しやすいのは、相手が企業ではなく個人であり、やり取りの多くがSNSのダイレクトメッセージや個人のメールで行われるからです。担当者個人のアカウントでやり取りしていると、会社として記録が残らず、交代後に後任者が連絡を取ろうとしても、相手から「誰ですか」と警戒されることもあります。また、施策の判断は数値だけでは決まらず、投稿の雰囲気やコメント欄の様子など、担当者の感覚に頼る場面が多いことも属人化の原因です。
体制設計との違い
社内の役割分担や担当者の配置を決める体制設計は、平時の業務を回すための仕組みです。これに対して引き継ぎ設計は、人が入れ替わる瞬間に何を失わないかに焦点を当てた仕組みです。体制の作り方はインフルエンサー施策の体制設計と社内担当者の役割分担で解説しているため、この記事では交代の場面に絞って説明します。
担当交代で起きやすいトラブル
担当交代で起きやすいトラブルは、連絡の途絶、条件の行き違い、判断のぶれ、権限とデータの喪失の4つに大きく分けられます。どれも、引き継ぎの段階で情報が十分に渡っていれば防げるものですが、交代が急に決まった場合や、引き継ぎ期間が短い場合に起きやすくなります。
トラブルの種類と原因
次の表は、担当交代のあとに起きやすいトラブルと、その主な原因、引き継ぎで防ぐための対策を整理したものです。自社の施策で起こりうるものから優先的に対策を考えてください。
| トラブル | 具体例 | 主な原因 | 引き継ぎでの対策 |
|---|---|---|---|
| 連絡の途絶 | 後任者からの連絡に返信がない | 前任者の個人アカウントでやり取りしていた | 前任者からの紹介連絡と会社の窓口の明示 |
| 条件の行き違い | 口頭で約束した追加報酬や特典が伝わっていない | 合意内容が記録に残っていない | 相手ごとの合意事項一覧の作成 |
| 判断のぶれ | 前任者なら見送った候補を起用してしまう | 選定やNGの基準が言語化されていない | 判断基準と過去の判断例の記録 |
| 進行の停止 | 投稿確認や支払いが滞る | 進行中の案件の状況が把握できない | 案件ごとの進行状況と次の期限の一覧 |
| 権限とデータの喪失 | 広告アカウントや管理ツールに入れない | 前任者の個人IDで管理していた | 会社管理のアカウントへの移管 |
相手から見た担当交代
インフルエンサーにとって、企業の担当者が替わることは、取引先の顔が替わることを意味します。前任者と良い関係を築いていた人ほど、後任者の対応次第で「この会社との仕事は以前より進めにくくなった」と感じ、継続の依頼を断ることがあります。相手にとっての負担を増やさないこと、過去の合意を後任者がきちんと把握していることを示すことが、関係を維持するうえで大切です。
急な交代ほど影響が大きい
退職や休職、急な異動など、交代が突然決まった場合は、引き継ぎに十分な時間を取れないことがあります。こうした場面で慌てずに済むよう、平時から情報を共有の場所に残しておく運用が重要です。この点は最後の章で詳しく説明します。
引き継ぎ対象の棚卸し
引き継ぎの第一歩は、引き継ぐべき情報を「関係性」「判断基準」「進行中の案件」「契約・支払い」「アカウント・データ」の5つに分けて棚卸しすることです。思いついた順に引継書を書き始めると、ファイルとして残っている情報ばかりが並び、本当に失われやすい関係性や判断基準が抜け落ちてしまいます。
5つの分類と主な中身
関係性には、起用中・起用実績のあるインフルエンサーごとの連絡手段、連絡の好み、過去の経緯、配慮事項が含まれます。判断基準には、候補の選定基準、NGとした理由、投稿の承認基準、起用をやめる基準が含まれます。進行中の案件には、案件ごとの進行状況、次の期限、未解決の課題が含まれます。契約・支払いには、契約書、合意した条件、支払いの予定と実績、請求書の受け取り状況が含まれます。アカウント・データには、管理ツール、広告アカウント、共有フォルダ、計測ツールの権限と所在が含まれます。
重要度と緊急度で優先順位をつける
棚卸しした項目には、重要度と緊急度で優先順位をつけます。投稿日が近い案件や支払い期日が迫っている案件は、緊急度が高いため最初に引き継ぎます。継続起用している主要なインフルエンサーとの関係性は、重要度が高いため、時間をかけて丁寧に引き継ぎます。過去に一度だけ起用した人の詳細な経緯などは、記録が残っていれば後任者が必要に応じて確認できるため、優先順位を下げてもかまいません。
情報の所在を一覧にする
棚卸しでは、情報の中身だけでなく、その情報がどこにあるかも一覧にします。共有フォルダ、管理ツール、メール、チャット、前任者の個人のパソコンなど、情報が散らばっている場所を洗い出し、会社として管理できる場所に集約していきます。候補リストの管理方法はインフルエンサー候補リストの一元管理と更新の進め方で詳しく解説しています。
前任者の「頭の中」を聞き出す時間を確保する
棚卸しは前任者が一人で行うと、本人にとって当たり前になっていることが抜け落ちます。後任者や上長が同席し、「この人を選んだ理由は」「このときなぜ修正を依頼したのか」と質問しながら進めると、暗黙の判断基準を引き出しやすくなります。1回1時間程度の聞き取りを、主要な案件ごとに設けるのがおすすめです。
関係性の引き継ぎ方
インフルエンサーとの関係性は、相手ごとの記録を残したうえで、前任者が後任者を紹介する挨拶の機会を設けることで引き継ぎます。記録だけを渡しても、相手にとって後任者は見知らぬ人のままであり、関係は一からのやり直しになってしまいます。
相手ごとに記録しておく項目
関係性の記録には、連絡手段と連絡しやすい時間帯、返信の速さ、好むやり取りの形式(文章で詳しく伝えるのがよいか、要点だけがよいか)、これまでの起用回数と内容、報酬や条件の経緯、過去に起きた行き違いとその解決方法、本人が大切にしていること、避けたほうがよい話題や依頼などを書いておきます。たとえば、「撮影は週末しかできない」「子どもの顔は出さない方針」「修正依頼は1回にまとめてほしいと言われたことがある」といった情報は、後任者が同じ失敗を繰り返さないために欠かせません。
後任者を紹介する挨拶の進め方
主要なインフルエンサーには、前任者から担当交代の連絡を入れ、後任者を紹介してもらいます。連絡には、交代の時期、後任者の名前と連絡先、これまでの条件や約束が引き続き守られることを含めます。可能であれば、前任者と後任者が同席するオンラインの挨拶の場を設けると、相手も安心して新しい担当者とやり取りを始められます。退職による交代の場合は、退職の理由などの個人的な事情に触れる必要はありません。
連絡窓口を会社のものにする
担当者個人のSNSアカウントや個人のメールでやり取りしていた場合は、交代を機に会社の公式アカウントや共通のメールアドレス、マッチングサービスのメッセージ機能などに窓口を移します。窓口が会社のものであれば、次に担当が替わったときも、過去のやり取りがそのまま残り、相手に連絡先の変更をお願いする必要もありません。
判断基準の言語化
判断基準は、選定、NG、投稿の承認、起用の継続と撤退の4つの場面ごとに、基準と過去の判断例と理由をセットで書き残すことで引き継げます。基準だけを書くと抽象的になりやすく、後任者は具体的な場面でどう当てはめればよいか迷ってしまいます。実際に判断した例と、その理由を添えることで、判断の勘所が伝わります。
場面ごとに残す判断基準
次の表は、判断の場面ごとに書き残しておきたい基準と、記録の例をまとめたものです。自社の施策でよく判断に迷う場面から優先して言語化していきます。
| 判断の場面 | 書き残す基準 | 記録の例 |
|---|---|---|
| 候補の選定 | フォロワー層・投稿の質・ブランドとの相性の見方 | 「フォロワー数より保存数を重視。理由は過去の施策で保存数と購入数の相関が高かったため」 |
| NG・見送り | 起用しない条件とその理由 | 「競合商品のPRが直近3か月以内にある人は見送り」 |
| 投稿の承認 | 修正を依頼する基準と許容する範囲 | 「表現の好みでは修正しない。効果効能の表現と事実の誤りのみ修正」 |
| 報酬の交渉 | 上限と譲れる条件・譲れない条件 | 「二次利用の期間は譲れるが、PR表記の位置は譲らない」 |
| 継続と撤退 | 継続起用する条件・起用をやめる条件 | 「2回続けて成果が目標の半分以下なら見直し」 |
判断の記録を日常の業務に組み込む
判断基準を引き継ぎの直前にまとめて書こうとすると、思い出せないことが多く、内容も抽象的になりがちです。候補を選んだとき、見送ったとき、修正を依頼したときに、その理由を候補リストや案件の記録に一行ずつ残しておく運用にすると、引き継ぎの時点で判断の例がそろっている状態になります。評価の基準を表にしておく方法はインフルエンサー評価表の作り方と応募者選考の採点基準が参考になります。
社内ガイドラインに昇格させる
判断基準のうち、担当者が替わっても変わらない会社としての方針は、個人の引継書ではなく社内のガイドラインとして文書化しておくのが理想です。ガイドラインにしておけば、後任者だけでなく、関係する他部署や上長も同じ基準で判断できるようになります。ガイドラインの作り方はインフルエンサー施策の社内ガイドライン作成手順とSNS運用ルールで詳しく解説しています。
引継書テンプレートの項目
インフルエンサー施策の引継書は、施策の全体像、相手ごとの関係性、判断基準、進行中の案件、契約と支払い、アカウントとデータ、相談先の7つの項目で構成すると、抜け漏れを防ぎやすくなります。一般的な業務の引継書は手順の説明が中心になりがちですが、インフルエンサー施策では相手ごとの情報と判断の理由に多くの紙幅を割くことが大切です。
引継書の構成
次の表は、引継書の項目と書く内容、記載の粒度の目安をまとめたものです。すべてを文章で書く必要はなく、候補リストや案件管理表など、既存の資料へのリンクで済む部分はリンクを貼っておけば十分です。
| 項目 | 書く内容 | 粒度の目安 |
|---|---|---|
| 1. 施策の全体像 | 目的・KPI・年間計画・予算・これまでの成果 | 1ページ程度の要約 |
| 2. 相手ごとの関係性 | 連絡手段・好み・経緯・配慮事項・合意事項 | 主要な相手は1人ずつ詳しく |
| 3. 判断基準 | 選定・NG・承認・交渉・撤退の基準と判断例 | 場面ごとに3〜5例 |
| 4. 進行中の案件 | 案件ごとの状況・次の期限・未解決の課題 | 案件ごとに1行〜数行 |
| 5. 契約と支払い | 契約書の保管場所・条件・支払い予定と実績 | 一覧表とファイルへのリンク |
| 6. アカウントとデータ | ツール・広告アカウント・共有フォルダの権限と所在 | 一覧表(パスワードは書かない) |
| 7. 相談先 | 社内外の関係者と、困ったときに誰に聞くか | 名前・役割・相談する場面 |
施策の全体像の書き方
施策の全体像には、施策の目的、追っているKPI、年間の計画と予算、これまでの主な成果と課題を1ページ程度にまとめます。後任者が最初に読む部分なので、細かい数字よりも、施策がどこに向かっているのか、何がうまくいって何がうまくいっていないのかがわかるように書くことが大切です。過去のレポートがあれば、その所在も記載しておきます。
パスワードは引継書に書かない
アカウントの一覧には、ツールの名前、管理者、権限の種類、ログインの方法を記載しますが、パスワードそのものは引継書に書かないようにします。引継書は複数の人が閲覧するため、パスワードを書くと漏えいのリスクが高まります。パスワードは会社で管理するパスワード管理ツールに保管し、後任者には個別に権限を付与する形で引き継ぎます。
アカウント・データ・契約の移管
アカウント、データ、契約の移管では、前任者の個人に紐づいた権限をなくし、会社が管理する形に切り替えることが最も重要です。前任者が退職したあとに権限が残っていると、情報漏えいのリスクになり、逆に権限を先に止めてしまうと、後任者がデータにアクセスできなくなります。移管の順番と時期を決めて進めます。
移管するアカウントと権限
移管の対象には、マッチングサービスや管理ツールの企業アカウント、SNSの公式アカウント、広告アカウント、アクセス解析ツール、共有フォルダ、チャットツールのチャンネルなどがあります。まず後任者に権限を付与し、後任者がログインして必要な操作ができることを確認してから、前任者の権限を外すのが安全な順番です。広告アカウントでインフルエンサーの投稿を広告として配信している場合は、配信の許可がどのアカウントに付与されているかも確認しておきます。
個人情報の扱い
インフルエンサーの本名、住所、連絡先、振込先などは個人情報にあたるため、引き継ぎの際も社内のルールに沿って扱う必要があります。前任者の個人のパソコンやスマートフォンに保存された情報は、会社の管理する場所に移したうえで削除してもらいます。個人情報の取り扱いの考え方は、個人情報保護委員会のウェブサイトで確認できます。情報管理のルールづくりはインフルエンサー施策の情報管理と社内外の共有ルールも参考にしてください。
契約と支払いの確認
契約については、契約書の保管場所、契約期間、更新の有無、二次利用の範囲と期限、競合の制限などを一覧にして引き継ぎます。口頭やメッセージで合意した追加の条件がある場合は、交代の前に書面やメールで確認しておくと、後任者が相手と行き違いを起こさずに済みます。支払いについては、未払いの報酬、請求書の受け取り状況、源泉徴収の有無を確認します。2024年11月に施行されたフリーランス法では、個人への発注時の条件明示や支払期日のルールが定められているため、交代によって支払いが遅れないよう注意が必要です。詳しくはフリーランス法の発注者義務とインフルエンサー発注の実務で解説しています。
引き継ぎのスケジュールと進め方
インフルエンサー施策の引き継ぎは、少なくとも1か月程度の期間をとり、棚卸し、引継書の作成、並走、独り立ちの4つの段階で進めるのが基本です。引継書を渡して終わりにするのではなく、後任者が実際に案件を進めながら疑問を解消する並走期間を設けることで、記録だけでは伝わらない部分を補えます。
4段階の進め方
最初の段階は棚卸しで、引き継ぐ情報を5つの分類で洗い出し、優先順位をつけます。2つ目の段階は引継書の作成で、前任者が書き、後任者が読んで質問を返す形で内容を固めます。3つ目の段階は並走で、後任者が主担当として案件を進め、前任者が横で確認と助言を行います。4つ目の段階は独り立ちで、後任者が単独で業務を行い、前任者は質問に答えられる状態を一定期間保ちます。
| 段階 | 期間の目安 | 主な作業 | 完了の目安 |
|---|---|---|---|
| 1. 棚卸し | 交代の4週間前〜 | 情報の洗い出し・優先順位づけ・所在の一覧化 | 引き継ぐ項目の一覧ができている |
| 2. 引継書の作成 | 交代の3週間前〜 | 引継書の執筆・後任者からの質問と回答 | 後任者が引継書を読んで説明できる |
| 3. 並走 | 交代の2週間前〜交代日 | 後任者が主担当・前任者が確認と助言・挨拶の実施 | 主要な相手への挨拶が済んでいる |
| 4. 独り立ち | 交代日〜1か月後 | 後任者が単独で対応・前任者への質問窓口を維持 | 案件が滞りなく進んでいる |
案件の切れ目を交代のタイミングにする
交代の時期を選べる場合は、大きな案件の途中ではなく、案件と案件の切れ目に合わせると混乱が少なくなります。投稿日の直前や、報酬交渉の最中に担当が替わると、相手にとっても負担が大きくなります。どうしても案件の途中で交代する場合は、その案件だけは前任者が最後まで担当し、次の案件から後任者が引き継ぐといった分け方も検討します。
上長が引き継ぎの完了を確認する
引き継ぎは前任者と後任者だけに任せず、上長が進み具合を確認し、完了を判断することが大切です。チェックリストを用意しておき、各項目が引き継がれたかを3人で確認すると、抜け漏れを防げます。退職による交代では、前任者の最終出社日が決まっているため、逆算して各段階の期限を設定しておきます。
平時から属人化を防ぐ仕組み
担当交代に強い施策を作る最も確実な方法は、引き継ぎの時だけ頑張るのではなく、平時から情報を共有の場所に残し、複数の人が施策に関わる運用にしておくことです。日常の業務のなかで記録が残っていれば、急な交代でも引継書を一から作る必要がなく、後任者は残された記録を読むところから始められます。
平時の運用チェックリスト
属人化を防ぐために、平時から次のような運用ができているかを定期的に確認します。インフルエンサーとのやり取りは会社のアカウントや共通の窓口で行っているか、候補リストと起用実績は共有の場所で一元管理しているか、選定や見送りの理由を一行でも記録しているか、合意した条件は書面やメールで残しているか、ツールの権限は会社が管理しているか、施策の結果は定期的にレポートとして共有しているか、主要な相手とは担当者以外にも面識のある人がいるか、といった点です。記録の保存期間や保存方法はインフルエンサー施策の記録保存と監査対応の実務ポイントで詳しく解説しています。
副担当を置いて情報を分散させる
施策の規模が大きい場合や、主要なインフルエンサーとの関係が施策の成果を左右する場合は、主担当とは別に副担当を置き、定例の打ち合わせや主要な相手とのやり取りに同席してもらいます。副担当がいれば、主担当が急に不在になっても、相手との関係や進行中の案件の状況をある程度把握している人がいる状態を保てます。
定期的なレポートを引き継ぎ資料として使う
月次や施策ごとのレポートに、成果の数字だけでなく、判断の理由や学び、次の施策への示唆を書き添えておくと、それ自体が引き継ぎ資料として機能します。レポートの書き方はインフルエンサー施策のレポート作成手順と社内共有のポイントで解説しています。日々の記録とレポートが積み重なっていれば、担当者が替わっても施策の歴史をたどれる状態になります。
引き継ぎの出来は「後任者の最初の1か月」で決まる
引継書がどれだけ丁寧でも、後任者が最初の1か月で主要な相手と関係を作れなければ、施策は失速します。交代後の1か月は、新しい起用を増やすよりも、継続中の相手との関係を保ち、進行中の案件を確実に終えることを優先するよう、上長と後任者で目標を共有しておくのがおすすめです。
本メディアは、審査制インフルエンサー30,000人のマッチングプラットフォーム『Bloom』(株式会社ハーマンドット)が運営しています。