インフルエンサー広告を発注する企業の担当者に向けて、費用の相場、依頼先の比べ方、投稿を広告として配信する手順、ステマ規制で広告主が負う責任を、発注の順番に整理します。相場は公式の料金表記と各社が公開する目安を分けて示し、数字には時点と出典を添えました。読み終えると、自社がどの形で、いくらで、どこへ頼むかを判断できるようになります。代理店に任せるか自社で回すかで迷っている方にも、比べる軸として使っていただけます。

この記事の要点

  • インフルエンサー広告は「タイアップ投稿」「投稿の広告配信」「素材の二次利用」「広告への出演」の4つの形に分かれ、形によって費用の項目が変わります。
  • 報酬の目安はフォロワー1人あたり2〜5円で、フォロワー10万人なら1投稿20万〜50万円です(2026年11月時点で各社が公開している目安)。
  • 総額には報酬のほか、商品原価、依頼先への費用、二次利用費、配信費が入ります。報酬だけで予算を組むと足りなくなります。
  • 依頼先は直接依頼・所属事務所・キャスティング会社や代理店・プラットフォームの4つで、社内に残せる作業の量で選びます。
  • ステマ規制の対象は広告主です。依頼した投稿を自社サイトに載せる時も、依頼した投稿であることを明らかにする必要があります。

インフルエンサー広告の定義と4つの形

インフルエンサー広告とは、企業が費用や商品を提供して、インフルエンサーの投稿や出演、投稿素材を自社の宣伝に使う広告の総称です。SNSの広告枠に配信するものだけを指す言葉ではなく、本人のアカウントで発信してもらうタイアップ投稿も含めて呼ばれています。発注する企業にとって大切なのは言葉の定義より、どの形で頼むかによって費用の項目と社内の作業が変わることです。

定義と市場の規模

サイバー・バズとデジタルインファクトの共同調査(2024年11月7日発表)では、国内のインフルエンサーマーケティング市場は2024年に860億円(前年比116%の見通し)、2029年に1,645億円に達すると予測されています。この調査の市場は、インフルエンサーがPR活動であることを明示して製品やサービスを紹介する発信に対して支払われる年間総額と定義されています。2026年11月時点で当メディアが発表元で確かめられた数字です。

同じ調査は、インフルエンサーが作ったコンテンツを広告のクリエイティブに使う動きを、需要が伸びている背景の一つに挙げています。投稿してもらって終わりではなく、投稿を広告の素材として使う発注が増えているということです。

発注できる4つの形

発注できる形は、次の4つに分けると整理しやすくなります。THECOOの解説も、タイアップ投稿、CMなどへの起用、第三者配信、二次利用の4種類を挙げています。

形中身広告枠への配信主な費用
タイアップ投稿本人のアカウントで商品やサービスを紹介してもらうなし報酬、または商品提供
投稿の広告配信本人の投稿をそのまま広告として配信する(Spark Ads、パートナーシップ広告)あり報酬+二次利用費+配信費
素材の二次利用投稿の写真や動画を、自社の広告、EC、SNSで使う使い方による二次利用費(配信するなら配信費も)
広告への出演イメージキャラクターとして自社の広告やCMに出てもらう媒体による出演料+制作費+媒体費

SNS広告との違い

自社名義のSNS広告との違いは、誰の名前で届くかと、費用が何に応じて増えるかです。3つを並べると次のようになります。

項目SNS広告(自社名義)タイアップ投稿投稿の広告配信
発信者企業のアカウントインフルエンサー本人本人、または本人と企業の両方
届く相手設定したターゲット主にフォロワーと、おすすめに表示された人設定したターゲット(フォロワー以外にも届く)
費用が増える条件配信量起用する人数と報酬人数と報酬+配信量
配信の止めやすさ管理画面で止められる公開後は本人の投稿として残る配信は止められるが、元の投稿は残る
広告であることの示し方広告枠の表示本人にPR表記を依頼するPR表記+媒体のラベルや広告表示

参考記事:SNS広告とインフルエンサー施策の使い分け比較

発注前に決める目的と広告の形

発注前に決めるのは、目的、広告の形、予算の上限、投稿の使い道の4つです。この4つが決まっていないと、依頼先から出てくる見積もりを同じ条件で比べられません。人選や依頼先を考える前に、社内でここまで揃えておくと発注が早くなります。

目的ごとの形の組み合わせ

目的によって、合う形と見る数字が変わります。1つの施策で全部を狙うと評価がぼやけるため、主な目的を1つに絞ってください。

目的合う形主に見る数字
認知を広げるタイアップ投稿+投稿の広告配信リーチ、再生数
購入や申込を増やす計測リンクやクーポンを付けたタイアップ投稿+投稿の広告配信クリック数、購入数、CPA
口コミと素材を増やす商品提供(ギフティング)+素材の二次利用投稿数、使える素材の数
ブランドの顔をつくる継続起用、広告への出演指名検索数、好意度の調査

はじめての発注で購入を目的にするなら、少人数のタイアップ投稿で反応を見てから、反応の良かった投稿だけを配信する順番が予算の無駄を減らせます。配信費を先に確保しておくと、良い投稿が出た時にすぐ動けます。

発注前に決める4つの項目

  • 目的と見る数字:何が増えたら成功とするかを、1つの数字で決めます。
  • 広告の形:投稿までで終えるのか、広告として配信するのか、素材を自社で使うのかを決めます。
  • 予算の上限:報酬だけでなく、配信費や商品原価を含んだ総額で決めます。
  • 投稿の使い道:広告配信や自社サイトへの掲載の可能性があれば、依頼の時点で伝えます。投稿後に交渉すると、断られたり費用が増えたりすることがあります。

インフルエンサー広告の費用相場

インフルエンサー広告の報酬の相場は、フォロワー1人あたり2〜5円が目安で、フォロワー10万人なら1投稿20万〜50万円です(2026年11月時点で各社が公開している目安)。ただしこれは報酬の話で、総額には別の費目が加わります。ここでは公式の料金と目安を分けて示します。

報酬の相場と公式の単価

上位の解説記事に出てくる単価は出典のない目安が多いため、料金表を公開している会社の表記と並べました。

出どころInstagramTikTokYouTube性格と時点
Find Modelの料金ページフォロワー単価:ナノ(1万〜3万)1.50円〜、マイクロ(3万〜10万)1.75円〜、パワー(10万以上)2.00円〜フォロワー単価2.0円〜応相談公式の料金・税抜・2026年11月4日確認
Find Modelのメディア1回のSNS投稿でフォロワー数×2〜4円が一般的(10万人で20万〜40万円)目安・税表記なし・2026年10月8日更新
THECOOの解説フォロワー数×3〜5円フォロワー数×3〜5円直近投稿の平均再生回数×13〜15円目安・税表記なし・2025年8月22日更新

公式の単価は「〜」の付いた下限で、Find Modelの金額はすべて同社へ支払う額です。本人に渡る額ではなく、会社の取り分を含んだ金額として読んでください。同じ料金ページでは、来店訪問は基本料の20%、Instagramのストーリー投稿は基本料の50%と、投稿の形式や条件で金額が上乗せされることも示されています。単価の目安に幅があるのは、こうした条件や支払い先の違いが混ざっているためです。

参考記事:インフルエンサー起用の料金相場【2026年完全ガイド】

総額の費目と仮の試算

総額に入る費目は、報酬または商品原価と送料、依頼先への費用、制作や撮影の費用、二次利用費、配信費、そして社内の工数です。形ごとの総額の違いを、仮の数字で計算すると次のようになります。金額はすべて説明のための仮の数字で、特定のサービスの料金ではありません。

案前提(仮の数字)計算総額
A 商品提供が中心原価と送料が3,000円の商品を20人へ。依頼先の利用料50,000円3,000円×20人+50,000円110,000円
B タイアップ投稿フォロワー3万人×単価2円=1人60,000円を5人。進行費100,000円60,000円×5人+100,000円400,000円
C タイアップ投稿+配信Bに、報酬の20%の二次利用費60,000円と配信費300,000円を追加400,000円+60,000円+300,000円760,000円

案Bと案Cを比べると、投稿を配信する場合は費用の中心が報酬から配信費へ移ることが分かります。配信費は媒体の管理画面で自社が決める金額なので、最初は少額にして、反応を見ながら増やせます。

報酬だけで予算を組まない

「フォロワー単価×人数」で予算を出すと、商品原価、進行費、二次利用費、配信費が抜けます。稟議には総額で出し、配信費は「反応の良い投稿が出たら使う枠」として分けて確保しておくと、後から追加申請をせずに済みます。

依頼先に払う月額の幅

インフルエンサーマーケティングの月額料金は、月額制のプラットフォームの最も低いプランで月3万〜5万円の範囲です(2026年11月3日時点、当メディアが公式サイトで確認した7サービス)。例えばFind Model Circleは月額50,000円(税別・2026年11月4日確認)で、公式サイトに採用数は無制限と書かれています。月額に含まれるのは多くの場合サービスの利用料で、報酬や商品は別です。代理店やキャスティング会社は月額ではなく案件ごとの見積もりが中心で、金額を公開していない会社も多くあります。Bloomの料金は料金表で確認できます。

参考記事:【2026年11月最新】インフルエンサーマーケティングの料金体系を比較|キャスティング手数料と総額の試算

インフルエンサー広告の効果と限界

インフルエンサー広告の効果は、購入の後押しと広告素材の獲得に出やすく、短期間の数字だけで認知の効果を測ろうとすると見えにくくなります。効果があるかどうかは手法そのものより、目的に合う人と形を選べているかで決まります。良い面と限界の両方を押さえておきましょう。

期待できる効果

THECOOが2023年6月に実施した調査(PR投稿を見たことがある全国15〜59歳の男女、有効回答1,000人)では、PR投稿を見て購入した経験が1度以上ある人は10代で50%、20代で49%、30代で51%でした(Web担当者Forumの記事)。一方で同じ調査では、87%がPR投稿を怪しいと感じたことがあると答えています。買われる力はあるものの、作り方を間違えると疑われる広告だと読むのが正確です。

  • 使用感が伝わる:本人が使っている様子や感想で届くため、購入前の不安を減らせます。
  • 相手を選べる:ジャンルやフォロワーの属性で、届けたい層に合う発信者を選べます。
  • 素材が残る:許諾を得れば、投稿を広告やECのページで使い続けられます。

効果がないと言われる原因

「インフルエンサーは効果がない」と言われる場面には、共通する原因があります。発注の前に、次の5つに当てはまらないかを確かめてください。

  • 目的と数字が決まっていない:終わった後に何を見ればよいか分からず、効果がなかったことになります。
  • フォロワー数だけで選んでいる:フォロワーの層が商品と合わなければ、再生されても購入にはつながりません。
  • 台本どおりに投稿してもらっている:広告らしさが強くなり、フォロワーの反応が落ちます。
  • 1本の投稿で判断している:1本の結果は人選や投稿の時期の影響が大きく、手法の評価にはなりません。
  • 計測の仕組みがない:売れていても、どの投稿から売れたのかが分かりません。

公開されている事例

味の素の「プロテインスープ」は、幅広いジャンルのマイクロインフルエンサーに紹介してもらい、効果の高かったジャンルに連携を絞る進め方で、施策による売上が当初の計画を上回ったと公開されています。想定していた30〜40代の女性に加えて、20代の女性や体を鍛える男性にも買われていたことが分かったそうです。金額は公表されていません(リンクシェア・ジャパンの事例)。

企業名が伏せられた事例では、ダイエット系の商材で、TikTokとInstagramの投稿と別に作ったクリエイティブを組み合わせて広告運用し、ROAS 400%以上に達したという報告があります(株式会社WANDのコラム・ECのミカタ・2026年1月26日更新)。どちらも支援した会社が公開している事例なので、同じ結果を保証するものではありません。

依頼先4つの比較と選び方

依頼先は、直接依頼、所属事務所、キャスティング会社や代理店、プラットフォームの4つで、社内に残せる作業の量で選ぶのが基本です。費用の差の多くは、誰がその作業を受け持つかの差です。金額だけで比べず、作業の分担とあわせて比べてください。

4つの依頼先の比較

依頼先費用の形(公式の例)社内に残る作業投稿の広告利用向く企業
直接依頼報酬+実費。仲介の費用はかからない探す、交渉、契約、支払い、投稿の確認、データの回収まですべて本人と個別に合意する少人数で試す企業、担当者がいる企業
所属事務所本人ごとの個別見積候補探し、投稿の確認、効果の集計事務所と書面で合意する起用したい人が決まっている企業
キャスティング会社・代理店個別見積、またはフォロワー単価(例:Find Model Instagram 1.50円〜・税抜・2026年11月4日確認)目的の決定、候補の承認、最終確認会社が窓口になって調整する社内に人手がない企業、大きな施策
プラットフォーム月額+報酬または商品(例:Find Model Circle 月額50,000円・税別・2026年11月4日確認)案件の作成、起用の判断。進行の範囲はサービスによるサービスの規約と募集条件による複数の人を継続して起用する企業
Bloom(プラットフォーム)月額30,000円(税別)から+報酬または商品。インフルエンサーに現金の報酬を支払う案件は、月額料金とは別にプラットフォーム手数料がかかります(商品提供のみのギフティング案件は対象外)案件の作成、起用の判断。返信や確認の進行はAIが代行写真・動画の二次利用は無料複数の人を継続して起用し、売上まで測りたい企業

株式会社ハーマンドットのサービス

広告に使える投稿を、自社で集めて回す選択肢:Bloom

  • AIで進行を自動化:応募への返信・初稿と投稿のチェック・リマインド・インサイトの回収をAIが代行し、判断が要るものだけ担当者に回します
  • AIがPDCAまで回す:実施結果から効果の高かった投稿を分析し、その分析をもとにインフルエンサーごとに投稿の作成指示・修正指示を出します
  • ASPを丸ごと内蔵:インフルエンサーごとの計測リンクでクリック・購入・売上を人ごとに計測します。成果計測ツールの別契約は要りません

反応の良かった投稿と売上につながった人が数字で分かるため、次にどの投稿を配信するかを判断しやすくなります。

審査済みのインフルエンサー30,000人・採用数は無制限・料金は月額30,000円(税別)から

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「企業一覧」や「ランキング」で探す前に、まずこの4つのどれにするかを決めると、比べる会社が絞れます。実名の比較は、次の記事で公式サイトの表記をもとにまとめています。

参考記事:【2026年11月最新】インフルエンサーマーケティング会社・代理店25社を比較|大手・キャスティング・内製化支援

参考記事:【2026年11月最新】インフルエンサーマーケティングプラットフォーム17社を比較|選び方と料金

社内の人手から選ぶ考え方

担当者が施策に時間を割けず、企画から任せたい場合は、キャスティング会社や代理店が向いています。費用は上がりますが、社内の作業は確認と承認に絞れます。担当者がいて、複数の人を継続して起用する場合は、プラットフォームのほうが人数を増やしやすくなります。起用したい人がすでに決まっている場合は、本人か所属事務所に直接相談するのが早い方法です。TikTokを中心に考えている場合は、依頼先ごとの料金を別の記事で比べています。

参考記事:【2026年11月最新】TikTokのインフルエンサーPR依頼先15選|料金と依頼方法を公式情報で比較

見積もりで確かめる項目

  • 報酬と会社の取り分が分かれているか、合算か
  • 投稿の媒体、形式、本数、修正できる回数
  • 二次利用の範囲(媒体、期間、広告配信の可否)と追加費用
  • 投稿後のインサイト(リーチや保存数など)を提出してもらえるか
  • 配信費が金額に含まれているか
  • 最低の金額と最低の契約期間

Bloomで発注する場合の進め方

Bloomは、審査済みのインフルエンサー30,000人に自社で案件を公開して応募を集めるプラットフォームで、商品提供なら月額だけで何人でも起用できます。運営は本メディアと同じ株式会社ハーマンドットです。ここでは、広告の発注という目的に照らした使い方と、合わない場合を書きます。

3本柱と広告の形の関係

Bloomの柱は、AIで進行を自動化すること、AIがPDCAまで回すこと、ASPを丸ごと内蔵していることの3つです。タイアップ投稿の形では、応募への返信や投稿のチェック、インサイトの回収をAIが代行するため、人数を増やしても担当者の作業が増えにくくなります。投稿の写真・動画の二次利用は無料で、広告や自社SNSでも使えます。ASPの計測リンクで購入や売上を人ごとに見られるので、売上につながった投稿を選んで配信する流れを作れます。

料金の読み方

料金は月額30,000円(税別)からで、採用数は無制限です。インフルエンサーに現金の報酬を支払う案件は、月額料金とは別にプラットフォーム手数料がかかります(商品提供のみのギフティング案件は対象外)。投稿を広告として配信する場合の配信費は媒体へ支払う費用で、Bloomの料金とは別です。プランごとの金額は料金表で確認してください。

Bloomが合う企業と合わない企業

合うのは、次のような企業です。

  • 複数のインフルエンサーを継続して起用し、進行の手間を減らしたい企業
  • 投稿の写真や動画を、広告や自社サイトでも使いたい企業
  • クリックや購入など、売上に近い数字まで人ごとに測りたい企業

一方で、次のような企業には合いません。

  • 企画から投稿まですべてを任せたい企業。案件の作成と起用の判断は自社で行うため、代理店やキャスティング会社のほうが目的に合います。
  • 1案件だけ単発で試したい企業。最低契約期間が3か月あるためです。
  • 特定のタレントや著名人に出演してほしい企業。応募を集める形なので、所属事務所やキャスティング会社への相談が向いています。
  • SNS上のアカウントを広く検索して分析したい企業。検索と分析に特化したツールのほうが向いています。

投稿を広告として配信する方法

インフルエンサーの投稿を広告として配信するには、本人の許可を得たうえで、TikTokではSpark Ads、InstagramとFacebookではパートナーシップ広告を使います。どちらも、自社のアカウントで同じ動画を流すのとは別の仕組みです。許可の取り方が媒体で違うため、依頼の時点で段取りを決めておきます。

Spark Adsとパートナーシップ広告

項目Spark Ads(TikTok)パートナーシップ広告(Instagram・Facebook)
仕組みオーガニック投稿を広告に使うネイティブ広告パートナーの名前で配信する広告(旧称はブランドコンテンツ広告)
許可の取り方本人が動画の「広告設定」から動画コードを生成し、広告主が広告マネージャーで入力して承認するアカウント単位の許可、投稿単位の許可(タイアップ投稿ラベルでの宣伝の許可)、広告コードの共有
広告の見え方本人の投稿のまま配信され、視聴数やコメント、いいね、フォローは元の投稿に積み上がる広告のヘッダーに本人、または本人と広告主の両方が表示される
注意点承認後はキャプションを編集できない。非公開の動画は使用した時点で公開され、配信中は公開状態を変更できない本人はいつでも許可を取り消せる。広告コードをオフにしても、稼働中の広告は続く
出典Spark Adsについて、作成ガイド(2026年6月更新)パートナーシップ広告の許可、投稿単位の許可(2026年11月時点の公式ヘルプの記載)

画面の名称や手順は変わることがあるため、配信前に各媒体の公式ヘルプを確認してください。

許諾と契約で決めること

投稿の広告利用は、依頼の時点で書面に残すのが基本です。次の項目を決めておくと、後からもめにくくなります。

  • 広告として配信するかどうかと、配信する媒体
  • 配信の期間と、終了後の扱い
  • 二次利用費の金額と、発生する条件
  • 素材の編集をどこまで認めるか(切り抜き、テロップ、文言の追加)
  • 投稿を残しておく期間と、競合の案件を受けない期間

二次利用費は会社によって扱いが違います。Find Modelの料金ページでは、Instagramのナノとマイクロは基本料に原則含む、パワーは基本料の20%、TikTokは基本料の20%と示され、いずれも本人の承諾によるとされています(税抜・2026年11月4日確認)。公式の料金がない場合の交渉の目安は、次の記事にまとめています。

参考記事:ホワイトリスト広告の仕組みと始め方を実務フローで解説

参考記事:インフルエンサー投稿の肖像権・著作権対応と二次利用の範囲

配信する投稿の選び方

配信する投稿は、オーガニックで反応の良かったものから少額で試し、結果の良いものに予算を寄せます。先ほどのWANDのコラムの事例でも、複数のクリエイティブを用意して効果の良いものに予算を集中させています。比べる時は、自社名義の広告と同じターゲットと同じ期間に揃え、クリック率とCPAを見てください。配信すると投稿を見る人の数が大きく増えるため、PR表記の有無や、薬機法と景品表示法に触れる表現がないかを配信前にもう一度確認します。

ステマ規制と広告主の責任

インフルエンサー広告でステマ規制の対象になるのは、依頼を受けた本人ではなく広告主です。2023年10月1日から、広告であることが一般消費者に分からない表示は景品表示法違反となりました(消費者庁)。インフルエンサーに任せきりにせず、自社で確認する体制が必要です。

規制の対象は広告主

消費者庁によると、規制の対象は商品やサービスを供給する事業者で、依頼を受けたインフルエンサーなどの第三者は対象外です。SNSの投稿やレビューだけでなく、テレビや新聞、雑誌などの表示も対象に含まれます。違反した場合は措置命令が出され、違反のおそれがある場合は指導が行われます(ステルスマーケティングに関するQ&A)。PR表記が漏れた時に問われるのは発注した企業だと考えてください。

PR表記の書き方

同じQ&Aでは、「広告」「宣伝」「プロモーション」「PR」などの用語のほか、A社から商品の提供を受けて投稿している旨の文章でもよいとされています。一方で、所属を示すだけの表示や、本文ではなくリプライに書く方法は、明瞭とはいえない場合が多いとされています。動画は冒頭だけの表示だと途中から見た人が見逃すおそれがあり、全体を通じて表示することが望ましいとされています。

商品提供だけの場合は、無償提供と投稿の依頼だけで直ちに事業者の表示になるわけではありません。ただし提供の目的ややり取りの内容などから、本人の自主的な意思による投稿と認められない場合は、事業者の表示とされることがあります。投稿をお願いしているなら、商品提供でもPR表記を入れてもらうのが安全です。

投稿の転載で出た措置命令

見落としやすいのは、投稿そのものより、投稿を自社サイトに載せる時です。消費者庁の公表資料には、次の2件があります。

  • RIZAP「chocoZAP」(令和6年8月8日措置命令):対価を条件にInstagramへの投稿を依頼し、その投稿を依頼したものと明らかにせず抜粋して、自社サイトの口コミを紹介する箇所などに載せていたとされました。
  • 大正製薬「NMN taisho」(令和6年11月13日措置命令):商品の無償提供と対価の提供を条件にInstagramへの投稿を依頼し、一部を抜粋して自社サイトに載せ、依頼した投稿であることを明らかにしていなかったとされました。

投稿を自社サイトに載せる時は、依頼した投稿だと示す

元の投稿にPR表記があっても、自社サイトへ抜粋して「お客様の声」や「口コミ」として載せれば、別の問題になります。消費者庁のQ&Aも、依頼した投稿を「お客様の声」として載せるのは適当でないとしています。二次利用の前に、掲載箇所の見出しと表記を確認してください。

参考記事:ステマ規制とは?景表法対応と#PR表記の実務ガイド

効果測定と続ける基準

効果測定は、発注前に決めた目的ごとに見る数字を絞り、投稿の成果と配信の成果を分けて記録します。2つを混ぜると、良かったのが人なのか配信設定なのかが分からなくなります。報告の形も先に決めておくと、社内の説明が楽になります。

目的ごとのKPI

目的タイアップ投稿で見る数字投稿の配信で見る数字
認知リーチ数、再生数インプレッション数、CPM、視聴の維持率
興味・検討保存数、コメント、リンクのクリック数クリック率、ランディングページへの到達数
購入・申込計測リンク経由の購入数、クーポン利用数、売上CPA、ROAS
素材の獲得投稿数、広告に使える素材の数素材ごとのクリック率とCPA

リーチや保存数は本人のアカウントでしか確認できないため、投稿後のインサイトを提出してもらうことを依頼の時点で取り決めてください。

参考記事:インフルエンサー施策の効果測定の方法と計測ツール

計測の仕組みと期間

売上まで測るには、人ごとの計測リンクや専用のクーポンを投稿の前に用意します。計測の期間は、投稿の翌日で区切らないでください。THECOOの解説は同社の調査をもとに、PR投稿を見た後の購入は2〜3日後や1週間程度後が多いと紹介しています。

CPAは、報酬、商品原価、依頼先への費用、二次利用費、配信費を足した総額を購入数で割って出します。先ほどの案Cの760,000円で購入が380件なら、CPAは2,000円です。売上が2,280,000円ならROASは300%です(いずれも仮の数字)。ROASが高く見えても、粗利率によっては赤字になることがあるため、損益分岐点は粗利率から計算してください。

参考記事:インフルエンサーマーケティングのROIと費用対効果の測り方

続ける基準と止める基準

基準は発注の前に決めておきます。例えば「CPAが目標以内の投稿が出たら配信費を増やす」「目標の1.5倍を超える状態が2回続いたら人か訴求を入れ替える」といった形です(数字は例なので、自社の粗利率に合わせて決めてください)。止める前に、原因が人なのか、投稿の内容なのか、受け皿のページなのかを分けて確認します。クリックされているのに購入されないなら、見直すのは投稿よりページのほうです。

発注から配信までの手順

発注から配信までは、目的の決定、依頼先の選定、条件の合意、投稿の確認、配信、振り返りの6つの手順で進めます。はじめての場合は少人数で一周させると、社内の詰まる所が分かります。そのうえで人数と配信費を増やしてください。

6つの手順

  1. 目的と予算を決める:見る数字を1つ決め、配信費を含めた総額の上限を置きます。
  2. 依頼先と候補を選ぶ:4つの依頼先から選び、フォロワーの層と過去のPR投稿を確認します。
  3. 条件を書面で合意する:報酬、投稿の本数と時期、PR表記、二次利用、インサイトの提出を決めます。
  4. 投稿を確認する:PR表記、事実と違う表現、薬機法や景品表示法に触れる表現がないかを見ます。伝えたいことは共有しつつ、表現は本人に任せます。
  5. 反応の良い投稿を配信する:動画コードや広告コードを受け取り、少額から配信します。
  6. 振り返って次に回す:人、投稿、配信を分けて記録し、続ける人と変える人を決めます。

参考記事:インフルエンサーマーケティングの進め方6ステップと標準スケジュール

発注前のチェックリスト

  • 目的と見る数字を1つに絞った
  • 予算を報酬ではなく総額で出し、配信費の枠を分けた
  • 広告配信と自社サイトへの掲載の可能性を、依頼文に書いた
  • 二次利用の媒体、期間、費用を書面に入れた
  • PR表記の書き方と、確認する担当者を決めた
  • 計測リンクかクーポンを人ごとに用意した
  • インサイトの提出を条件に入れた
  • 続ける基準と止める基準を決めた

ここまで決まれば、次は依頼先を実名で比べる段階です。任せる範囲から選びたい方は会社の比較を、自社で回す前提で金額を確かめたい方はBloomの料金表をご覧ください。

参考記事:【2026年11月最新】インフルエンサーマーケティング会社・代理店25社を比較|大手・キャスティング・内製化支援

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