インフルエンサーの投稿からそのまま自社ECに送客して販売する場合、特定商取引法の表示義務を満たしているかは、投稿の文面よりもリンク先の商品ページや最終確認画面で決まります。この記事では、投稿経由の流入をECで受けているEC担当・法務担当の方に向けて、特定商取引法(通信販売)の表示義務を、投稿・LP・カート・最終確認画面という導線に沿って整理します。事業者名・所在地、価格と送料、返品特約、定期購入の条件などを、どこに・どう表示すればよいかを、表示事項チェック表と導線別チェックリストで確認できます。法令の内容は2026年10月時点で消費者庁「特定商取引法ガイド」とe-Gov法令検索の一次情報をもとに確認しています。

この記事の要点

  • 特定商取引法の表示義務を負うのは、インフルエンサーではなく商品を売る販売業者です。投稿からECに送客する場合も、申込みを受け付ける商品ページ(LP)と最終確認画面に必要事項がそろっているかが確認の中心になります。
  • 広告(LP・商品ページ)には、販売価格と送料、支払時期と方法、引渡時期、返品特約、事業者の氏名・住所・電話番号などを表示します(法第11条・施行規則)。返品特約や申込期間は、請求時に提供する方法での省略ができません。
  • インターネット通販の最終確認画面には、分量・販売価格と送料・支払・引渡時期・申込期間・撤回や解除(返品特約)の6項目が必要です(法第12条の6)。LPに書いてあっても、最終確認画面の義務を果たしたことにはなりません。
  • インフルエンサー投稿で「送料無料」「返品OK」「お試し」などの条件に触れる場合は、LPとカートの表示と食い違わないように、依頼時のブリーフと投稿確認で照合します。
  • 法令の内容は2026年10月時点で消費者庁「特定商取引法ガイド」とe-Gov法令検索で確認したものです。個別の判断は弁護士など専門家に確認してください。

インフルエンサー経由のEC販売と特商法の表示義務

インフルエンサー投稿からECで販売する場合も、自社ECで商品を売る以上は特定商取引法の「通信販売」に当たり、販売業者に表示義務がかかります。特定商取引法の通信販売とは、販売業者や役務提供事業者が郵便やインターネットなどの方法で売買契約などの申込みを受けて行う販売のことで、法第2条第2項に定義されています。消費者庁の「特定商取引法ガイド」では、新聞・雑誌・テレビのほか、インターネット上のホームページによる広告も通信販売の広告の例に挙げています。

表示義務を負うのは販売業者

法第11条は「販売業者又は役務提供事業者は、通信販売をする場合の…販売条件…について広告をするときは」と定めており、表示の義務を負うのは商品を販売する事業者です。インフルエンサーに投稿を依頼して自社ECに送客する形であれば、義務を負うのはブランド側の販売業者で、インフルエンサー本人ではありません。そのため、実務での確認は「投稿の文面」よりも「投稿のリンク先で申込みを受け付けるページ」と「注文を確定する画面」に重心を置くことになります。

一方、インフルエンサー本人が自分の名前でオリジナル商品を企画し、自分のショップで販売している場合は、本人が販売業者になります。消費者庁のガイドでは、営利の意思を持って反復継続して取引を行えば、個人でも販売業者に当たると説明しています。コラボ商品のように「誰が売主か」があいまいになりやすい案件では、まず販売業者がどちらなのかを契約書で明確にしておくことが出発点です。

この記事が扱う範囲

インフルエンサー施策には、特定商取引法のほかに複数の法令がかかわります。この記事では、特定商取引法の通信販売に関する表示(広告の表示事項、最終確認画面、返品特約、誇大広告の禁止)に絞って解説します。#PR表記やステルスマーケティング規制は景品表示法の論点ですので、ステマ規制と#PR表記の実務ガイドで確認してください。化粧品・健康食品の効能表現は薬機法の基本と商材別NG表現、医療機関の発信はクリニックのインフルエンサー起用と医療広告ガイドライン対応が該当します。

インフルエンサー経由で表示の抜けが起きやすい理由

インフルエンサー施策では、普段の自社ECとは違う専用LP、期間限定のクーポン、セット商品、予約販売などを短期間で用意することがよくあります。新しく作ったページは通常の商品ページの共通フッターや「特定商取引法に基づく表記」へのリンクが抜けたり、限定条件の返品可否が書かれていなかったりします。投稿が公開されると短時間でアクセスが集中するため、表示の不足があるとトラブルの件数も一度に増えます。表示の確認は、投稿の公開前に済ませておく必要があります。

広告に表示が必要な事項の一覧

通信販売の広告に表示が必要な事項は、法第11条第1号から第5号と、施行規則で定める事項の組み合わせです。インフルエンサー経由の販売でも、申込みができる商品ページやLPにこれらをそろえることが基本になります。消費者庁の「通信販売広告Q&A」では、インターネット通信販売の場合、申込みができる広告(ランディングページ等)の中に表示事項を表示する必要があると説明しています。

表示事項チェック表

次の表は、消費者庁「特定商取引法ガイド」の通信販売のページと「通信販売広告Q&A」をもとに、表示事項と、インフルエンサー経由の販売で起きやすい抜けを整理したものです(2026年10月時点で確認)。

表示事項主な根拠インフルエンサー経由で起きやすい抜け
販売価格(実売価格)と送料法第11条第1号投稿の「送料無料」が条件付きなのに、LPに条件が書かれていない
販売価格・送料以外に購入者が負担する金銭(手数料等)施行規則代金引換手数料を「かかります」とだけ書き、金額がない
代金の支払時期と方法法第11条第2号後払い・分割の条件が専用LPに書かれていない
商品の引渡時期法第11条第3号予約販売で「入荷次第」としか書いていない
申込期間の定めがある場合はその内容法第11条第4号「投稿から48時間限定」の期限がLPにない
申込みの撤回・解除に関する事項(返品特約を含む)法第11条第5号限定セットだけ返品不可なのに、共通の返品ルールしか書いていない
事業者の氏名(名称)・住所・電話番号施行規則屋号やブランド名だけで、登記上の名称がない
法人がWeb広告を行う場合の代表者または通信販売業務の責任者の氏名施行規則専用LPにだけ責任者名がない
契約不適合の場合の販売業者の責任に関する特約(定めがある場合)施行規則返品特約と混ざり、どちらの話か分からない
2回以上継続して契約する必要がある場合はその旨と販売条件施行規則「お試し」を前面に出し、定期購入である旨が目立たない
販売数量の制限などの特別な販売条件(ある場合)施行規則「お一人様1点限り」がクーポン利用時の条件として書かれていない

このほか、ソフトウェアを販売する場合の動作環境、有料のカタログを送る場合のカタログ代金、電子メールで広告する場合の事業者の電子メールアドレスも表示事項に含まれます。自社の商材に当てはまるかを一度確認しておいてください。

省略できる事項と省略できない事項

法第11条ただし書により、広告に「請求があれば表示事項を記載した書面や電子メール等を遅滞なく提供する」旨を表示し、実際に提供できる体制を整えていれば、一部の事項を省略できます。消費者庁のガイドでは、事業者の氏名(名称)・住所・電話番号などは省略できる項目に含まれる一方、申込期間、申込みの撤回・解除(返品特約)に関する事項、2回以上継続する契約の条件、特別な販売条件などは省略できないと整理しています。

インフルエンサー施策で特に注意したいのは、返品特約と申込期間が省略できない点です。投稿に合わせた限定販売では、期間と返品条件が通常販売と変わることが多いため、専用LPごとに表示を見直す必要があります。また、通信販売広告Q&Aでは「遅滞なく」とは、申込みの意思決定に先立って十分な時間的余裕をもって提供されることだと説明しています。投稿直後の短時間で売り切る販売形式では、省略を使わずにページ上に表示しておくほうが安全です。

事業者名・住所・電話番号の書き方

通信販売広告Q&Aでは、氏名・名称は戸籍上の氏名や登記上の名称を表示する必要があり、屋号やサイト名だけでは認められないとしています。住所は現に活動している住所、電話番号は確実に連絡が取れる番号である必要があり、私書箱は住所として認められません。バーチャルオフィスやプラットフォーム事業者の住所・電話番号を使う場合は、取引活動がそこで行われること、連絡先として使うことに合意があること、運営者が販売業者の現住所や本人名義の電話番号を把握して連絡できることなどの条件が示されています。インフルエンサーとのコラボ商品で、インフルエンサーの事務所を窓口にするような場合も、販売業者が誰で、どこに連絡すればよいかを購入者が把握できる表示にしてください。

投稿からカートまでの導線と表示の置き場所

インフルエンサー経由の販売では、投稿、リンク先のLP、商品ページ、カート、最終確認画面という導線の段階ごとに、求められる表示が違います。特定商取引法の表示は「広告」と「最終確認画面」で根拠条文が分かれているため、導線のどこに何を置くかを決めておくと確認の漏れが減ります。

導線別チェックリスト

次の表は、投稿からカートまでの導線を段階ごとに分け、主に確認する内容を整理したものです。法令が直接求めている事項と、トラブルを避けるために社内で決めておきたい事項を分けて記載しています。

導線の段階主な根拠確認すること
インフルエンサーの投稿・ストーリーズ法第12条(誇大広告の禁止)の考え方、社内基準価格・送料・返品・期間に触れる場合、LPと同じ条件か。「誰でも返品OK」など、LPより有利に見える言い方になっていないか
プロフィールリンク・リンクまとめページ社内基準リンク先が申込みできるページか。古いキャンペーンLPが残っていないか
専用LP・商品ページ法第11条、法第12条表示事項チェック表の全項目。返品特約を価格の近くに明瞭に表示しているか
カート(数量・クーポン入力)社内基準(最終確認画面へ正しく引き継ぐため)クーポン適用後の価格、送料無料の条件が正しく反映されるか
最終確認画面法第12条の6分量・価格と送料・支払・引渡時期・申込期間・撤回や解除の6項目。ボタンの文言が申込みと分かるか
注文完了・確認メール社内基準返品の連絡先と期限を再掲しているか

「特定商取引法に基づく表記」ページとの関係

多くのECサイトは、事業者情報や支払方法、返品ルールを「特定商取引法に基づく表記」のページにまとめ、各ページのフッターからリンクしています。消費者庁の返品特約ガイドラインでも、全ての商品に共通するルールを「御利用ガイド」などの共通表示部分にまとめる方法について、一定の条件のもとで、消費者が容易に認識できる表示と考えられる場合があるとしています。ただし同じガイドラインでは、各商品の広告部分に「返品不可」「到着後○日以内に限り返品可」といった重要事項を明瞭に示すことなどを求めています。共通ページにまとめるだけで足りると考えず、商品ごとの表示と組み合わせることが前提です。

専用LPを作るときの注意

インフルエンサー施策用の専用LPは、通常のサイトのテンプレートから外れたページとして作られることがあり、共通フッターや表記ページへのリンクが入っていないことがあります。専用LPから直接カートに進める構成にする場合は、そのLP自体が「申込みができる広告」になるため、LPの中で表示事項を確認できるようにしておく必要があります。インフルエンサー施策の売上導線そのものの設計はインフルエンサー施策をEC売上につなげる導線設計で解説していますので、導線を作る段階で表示の置き場所も一緒に決めておくと手戻りが減ります。

最終確認画面に必要な6項目

インターネット通販の最終確認画面には、法第12条の6第1項により、分量、販売価格と送料、代金の支払時期と方法、引渡時期、申込期間、申込みの撤回・解除に関する事項の6項目を表示する必要があります。消費者庁の「通信販売の申込み段階における表示についてのガイドライン」では、最終確認画面とは、その画面の申込みボタンなどをクリックすると契約の申込みが完了する画面のことで、一般的には「注文内容の確認」といった表題の画面がこれに当たると説明しています。

広告の表示と最終確認画面の表示の違い

同ガイドラインは、法第11条の「広告」と法第12条の6の最終確認画面は異なる概念であり、広告で法第11条に従った表示をしても、それによって最終確認画面の表示義務を果たしたことにはならないとしています。インフルエンサー向けのLPをしっかり作り込んでも、カート以降の画面で項目が抜けていれば不足があることになります。次の表で、二つの表示の違いを整理します。

比較項目広告(LP・商品ページ)最終確認画面
根拠条文法第11条法第12条の6
対象広く一般の消費者を契約に誘う表示個別の申込み内容を確認して申込みを確定する画面
主な表示事項価格・送料、支払、引渡時期、申込期間、撤回・解除(返品特約)、事業者情報など分量、価格・送料、支払、引渡時期、申込期間、撤回・解除(返品特約)の6項目
請求時提供による省略一部の事項で可(返品特約・申込期間などは不可)省略の規定はなく、表示か容易に参照できる形が必要
誤認させる表示著しく事実に相違する表示などを禁止(法第12条)申込みであることや表示事項を誤認させる表示を禁止(法第12条の6第2項)
違反時の民事上の効果返品特約の表示が不十分な場合、8日間の撤回・解除の規定が適用され得る(法第15条の3)誤認して申込みをした消費者は取り消すことができる(法第15条の4)

リンクで参照させる場合の条件

同ガイドラインは、最終確認画面について、原則として表示事項を網羅的に表示することが望ましいとしたうえで、消費者が明確に認識できることを前提に、参照の対象となる表示事項と参照箇所や参照方法を明示して広告部分を参照させる形式も妨げられないとしています。リンクで参照させる場合は、リンク先のページで必要事項を容易に認識できるように表示していなければならないとされ、参照させた広告上の該当箇所は最終確認画面の一部として扱われます。リンク先が長いLPの下のほうに埋もれているような作りでは、容易に参照できるとはいえない可能性があります。

SNSやチャットで申込みを受ける場合

同ガイドラインの注記では、最終確認画面について、チャットやSNSなどを利用して申込みを行う場合も含むとしています。インフルエンサー施策では、投稿へのコメントやDMで注文を受け付ける、チャット型の購入フローを使うといった販売方法をとることもあります。そのような場合でも、申込みを確定する場面で6項目を確認できるようにしておく必要がある点に注意してください。

LPを作り込んでも最終確認画面の義務は別に残る

インフルエンサー施策では専用LPの作り込みに力が入りがちですが、消費者庁のガイドラインは、広告で法第11条の表示をしても最終確認画面の表示義務を果たしたことにはならないと明記しています。投稿公開前のテストでは、LPだけでなく、クーポンを入れて注文確認画面まで進み、6項目が正しく出ているかを実際の画面で確認してください。

返品特約の明記と表示方法

返品特約は、広告に表示していないと法第15条の3の規定により、商品の引渡しを受けた日から起算して8日を経過するまで申込みの撤回や契約の解除ができることになるため、インフルエンサー経由の販売でも必ず明記すべき事項です。法第15条の3は、販売業者が申込みの撤回等についての特約を広告に表示していた場合はこの規定を適用しないとしており、電子消費者契約などの場合は、広告に加えて省令で定める方法でも表示していることを求めています。消費者庁のガイドでは、インターネット通販では最終確認画面にも返品特約の表示が必要だと説明しています。

返品特約で書くべき三つの重要事項

消費者庁の「通信販売における返品特約の表示についてのガイドライン」は、返品の可否、返品の条件、返品に係る送料負担の有無を「返品特約における重要事項」と位置づけ、他の事項に比べてより明瞭な方法で表示する必要があるとしています。具体例として、商品の価格や申込先の電話番号など消費者が必ず確認する事項の近くに表示する、価格と同じ文字の大きさにする、色文字や太字を使うといった方法が挙げられています。通信販売広告Q&Aでは、「返品はその都度ご相談」といった書き方は返品特約の表示にならないこと、返品を認めない場合もその旨を明示する必要があることが示されています。

  • 返品の可否: 「返品可」「返品不可」「未開封に限り返品可」など
  • 返品の条件: 「到着後○日以内に連絡」「使用前に限る」「セット商品は全点そろっている場合のみ」など
  • 返品に係る送料負担: 「返品送料はお客様負担」「当社負担」など

インフルエンサー限定商品で起きやすいずれ

インフルエンサーとのコラボ商品や限定セットでは、通常商品と返品条件を変えることがよくあります。たとえば、通常商品は未開封なら返品を受け付けているのに、限定セットは返品不可にしているといったケースです。このとき、サイト共通の表記ページに通常商品のルールしか書いていないと、限定セットについて返品特約を表示していないことになるおそれがあります。限定商品ごとに、商品ページと最終確認画面の両方に返品条件を明記してください。

また、投稿の中でインフルエンサーが「合わなかったら返品できるから安心」と話しているのに、実際には返品不可だった場合は、購入者とのトラブルにつながります。法第12条は、申込みの撤回や解除に関する事項について、著しく事実に相違する表示や、実際のものよりも著しく有利であると誤認させるような表示を禁止しています。投稿の台本や確認の段階で、返品に関する言及が実際の条件と一致しているかを照合してください。

返品特約と契約不適合の特約は分けて書く

返品特約ガイドラインは、商品に問題がない状態での返品特約と、届いた商品が種類や品質の点で契約の内容に適合しない場合の販売業者の責任に関する特約は別のものだと整理しています。両者の区別がつかない表示をすると、商品に問題がない場合の返品特約だけを定めたものと解され、不良品などの場合の責任は民法・商法の一般原則によると解されることになるとしています。「返品・交換について」という一つの見出しの中で、「お客様都合の返品」と「不良品・誤配送の場合」を分けて書くのが分かりやすい方法です。

価格・送料・クーポンの表示をそろえる

価格と送料の表示は、投稿で伝えた条件とLP、最終確認画面の三か所で同じ内容になっていることが基本です。法第11条第1号は販売価格と送料を表示事項とし、通信販売広告Q&Aでは、販売価格は実際に販売する価格を指し、定価や希望小売価格を書いていても実売価格と異なれば販売価格の表示にはならないとしています。

送料と手数料の表示

通信販売広告Q&Aでは、送料は全国一律でない場合でも、最高額と最低額、平均的な額、いくつかの例などを示して購入者が負担額を把握できれば、商品ごとの個別表示は不要としています。一方、代金引換手数料や梱包料などの販売価格・送料以外の負担は、「かかります」と書くだけでは足りず、金額を表示する必要があるとしています。インフルエンサー投稿で「送料無料」と伝える場合は、「○円以上で送料無料」「この投稿のクーポン利用時のみ」などの条件があるかを確認し、条件がある場合はLPと最終確認画面で条件と適用後の金額が分かるようにしておきます。

クーポンコードと最終確認画面

インフルエンサー専用のクーポンコードは、成果を計測しやすい一方で、カートに入力するまで割引後の金額が見えない仕組みになりがちです。最終確認画面には販売価格と送料を表示する必要があるため、クーポン適用後の金額、適用条件、利用期限が画面上で分かるようにしておきます。投稿で期限を告知する場合は、その期限とLPの表示、カートの期限設定が一致しているかも確認してください。クーポンの設計と計測はインフルエンサー施策のクーポンコード設計と利用数の測り方で詳しく解説しています。

二重価格や「今だけ」の表現

「通常価格○円が今だけ○円」といった比較の表示や、販売期間を強調する表現は、主に景品表示法の有利誤認の論点になります。特定商取引法の観点では、法第12条が販売条件について実際よりも著しく有利だと誤認させる表示を禁止しているため、期限や数量の条件を投稿とLPで正確にそろえることが重要です。価格表示の景品表示法上の判断については、本記事の範囲外ですので専門家に確認してください。

定期購入とお試し訴求の注意点

定期購入の商品をインフルエンサー経由で販売する場合は、「お試し」や「初回○円」を強調する訴求が、最終確認画面での誤認表示に当たらないかを特に注意する必要があります。申込み段階のガイドラインは、初回の分量や価格を強調し、定期購入の条件を小さな文字や離れた位置に表示することで定期購入ではないと誤認させる場合は、法第12条の6第2項第2号に該当するおそれがあるとしています。

定期購入で表示する分量と総額

同ガイドラインは、定期購入契約では各回に引き渡す数量に加えて、引渡しの回数も表示し、商品の総分量が分かるようにする必要があるとしています。例として、5か月分の定期購入なのに1か月分の分量だけを表示している場合は、分量を正しく表示していないことになると説明しています。広告についても、2回以上継続して契約する必要がある場合はその旨と販売条件を表示する必要があり、この事項は請求時提供による省略ができません。通信販売広告Q&Aでは、期間の定めのない定期購入の場合に、半年分や1年分などの目安の金額と、それが目安であることや無期限であることを示す方法が説明されています。

「お試し」「いつでも解約可能」の強調

同ガイドラインは、「お試し」や「トライアル」を殊更に強調する表示は、消費者が試行的な契約や容易に解約できる契約だと認識する可能性が高いため、実際には定期購入であったり解約に条件があったりする場合は誤認させる表示に該当するおそれが強いとしています。また、「いつでも解約可能」と強調しながら、実際には解約の条件がある場合も誤認させる表示に当たるおそれがあるとしています。インフルエンサーの投稿で「気軽に試せる」「いつでもやめられる」といった言葉を使ってもらう場合は、LPと最終確認画面の解約条件と食い違わないかを必ず確認してください。

解約条件の示し方

同ガイドラインは、解約の申出に期限がある場合はその期限を、解約時に違約金などの不利益がある場合はその内容を表示する必要があるとしています。解約方法を特定の手段や時間帯に限定している場合も、その内容を消費者が明確に認識できるように示すことが求められています。サブスク・定期購入商材の施策全体の考え方はサブスク商材のインフルエンサー施策とLTV基準の採算設計で扱っていますので、採算の設計とあわせて表示の条件を決めてください。

投稿の「気軽さ」と画面の条件を一致させる

インフルエンサーの投稿は、商品の気軽さや試しやすさを伝えるほど反応が良くなる傾向があります。その分、「お試し」「いつでも解約」といった言葉が、実際の定期購入の条件とずれやすくなります。定期購入の商材では、投稿の台本に使ってよい言葉と避ける言葉をあらかじめブリーフに書いておくと、確認の手戻りを減らせます。

依頼から公開までの社内チェック体制

特定商取引法の表示をインフルエンサー施策の中で確実に整えるには、依頼前・投稿確認時・公開直前の三つの段階で確認する担当と項目を決めておくことが有効です。表示義務を負うのは販売業者ですが、投稿の内容と販売ページの条件がずれると購入者のトラブルにつながるため、マーケティング担当、EC担当、法務担当が同じチェック表を使える状態にしておくことが大切です。

依頼前に決めること

依頼の前には、販売業者がどの会社か、販売するページのURL、価格と送料、クーポンの条件と期限、返品の可否と条件、定期購入かどうかを一覧にしておきます。この一覧をインフルエンサーへのブリーフにも反映し、投稿で触れてよい条件と、触れる場合の言い方を示しておくと、投稿とLPの食い違いを防げます。コラボ商品のように、インフルエンサーの事務所が販売にかかわる場合は、販売業者と問い合わせ窓口を契約書で決めておきます。

投稿確認と公開前テストで見ること

投稿の下書きを確認する段階では、価格、送料、期限、返品、解約などの販売条件に触れている箇所に印をつけ、LPの表示と一つずつ照合します。投稿確認の進め方はインフルエンサーの投稿確認フローと修正依頼の進め方で解説しています。公開前には、実際にスマートフォンで投稿のリンクからLPに入り、クーポンを入力して最終確認画面まで進むテストを行います。インフルエンサー経由の流入はスマートフォンが中心になるため、スマートフォンの画面で返品特約や6項目が見つけやすい位置にあるかを確認してください。

  • 投稿の販売条件の言及が、LPの表示と一致しているか
  • LPに表示事項チェック表の全項目があるか、または容易にたどれるか
  • 返品特約の重要事項(可否・条件・送料負担)が価格の近くに明瞭に表示されているか
  • クーポン適用後の金額と期限が最終確認画面に表示されるか
  • 申込みボタンの文言が「注文を確定する」など申込みと分かるものになっているか
  • 定期購入の場合、回数・総分量・解約条件が最終確認画面で分かるか

ボタンの文言と画面の作り

申込み段階のガイドラインは、「注文内容の確認」といった表題の画面に「申込みを確定する」といったボタンがあり、クリックすると申込みになることが明らかな場合は、一般に消費者を誤認させることにはならないとしています。一方、「送信する」「次へ」といったボタンだけで、画面のほかの部分にも申込みであることを示す表示がない場合は、誤認させるおそれがあるとしています。インフルエンサー施策用に新しいカートやフォームを作る場合は、ボタンの文言も確認項目に入れてください。

違反した場合のリスクとBloomでの進め方

特定商取引法の表示義務に違反した場合は、行政処分の対象になるほか、購入者による申込みの取消しなどの民事上の効果が生じる可能性があります。法第14条は、法第11条、第12条、第12条の6などに違反した販売業者に対して、主務大臣が是正のための措置などを指示できると定めています。法第15条は、取引の公正や購入者の利益が著しく害されるおそれがある場合などに、2年以内の期間を限って業務の全部または一部の停止を命じることができると定めています。

民事上の効果

法第15条の4は、最終確認画面で表示事項を表示しなかった場合や不実の表示をした場合、申込みであることや表示事項を誤認させる表示をした場合に、それによって誤認して申込みをした人はその意思表示を取り消すことができると定めています。また、返品特約が適切に表示されていない場合は、法第15条の3により、商品の引渡しを受けた日から8日を経過するまで申込みの撤回や契約の解除ができることになります。インフルエンサー経由の販売は短期間に注文が集中するため、表示の不足があると影響が大きくなる点に注意が必要です。

Bloomでの進め方

Bloomは、審査制のインフルエンサー30,000人に企業が直接依頼できるマッチングプラットフォームです。依頼時のブリーフに販売ページのURLや販売条件、投稿で触れてよい条件をまとめておき、投稿の確認段階でLPの表示と照合する流れをとると、表示の確認を施策の進行に組み込めます。ASPを内蔵しているため、投稿ごとの送客と購入を計測しながら、成果の出たインフルエンサーへの追加依頼にも進めます。なお、Bloomはマッチングと進行管理のための仕組みであり、販売ページの特定商取引法の表示が適法かどうかを判断するものではありません。表示の内容は販売業者として自社で確認してください。

参照した一次情報

この記事の法令の内容は、2026年10月に次の一次情報で確認したものです。法令や運用は改正されることがありますので、実際の表示を決める際は最新の情報を確認し、個別の判断は弁護士など専門家に相談してください。

本メディアは、審査制インフルエンサー30,000人のマッチングプラットフォーム『Bloom』(株式会社ハーマンドット)が運営しています。