オフィスチェアやデスク、会議室の什器、複合機やシュレッダーといったオフィス家具・事務機器は、SNSで人気のデスク周りやオフィス紹介の投稿と相性が良い一方で、購入を決めるのが個人ではなく会社であるという難しさがあります。インフルエンサーに使ってもらっても、いいねは集まるのに商談につながらないという悩みは少なくありません。この記事では、法人向けの有形商材を扱うメーカーや販売会社に向けて、導入事例の発信の作り方、総務などの担当者層への訴求、投稿から資料請求やショールーム予約につなげる商談導線、広告表示や撮影の注意点、KPIの置き方までを実務目線で解説します。

この記事の要点

  • オフィス家具・事務機器のインフルエンサー活用は、商品単体の紹介よりも「どんな会社が、なぜ選び、導入後に何が変わったか」という導入事例の発信にすると、法人の検討者に届きやすくなります。
  • 購買には総務・経営者・情報システム担当・従業員など複数の立場が関わるため、立場ごとに響く発信者と訴求ポイントを分けて設計します。
  • 起用先はデスクツアー系、経営者・起業家系、総務や人事の実務家、空間デザイン系の4類型で考えると選びやすくなります。
  • 成果は投稿の反応ではなく、指名検索・資料請求・ショールーム予約・商談化までの導線で測ります。投稿から商談までの受け皿を先に作ることが前提です。
  • 広告であることの表示、撮影先オフィスの機密への配慮、二次利用の範囲は契約前に決めておきます。

オフィス家具・事務機器のインフルエンサー活用とは

オフィス家具・事務機器のインフルエンサー活用とは、チェアやデスク、収納、会議室什器、複合機やシュレッダーといった法人向けの有形商材を、働く環境づくりに関心の高い発信者に実際に使ってもらい、導入の理由や使い心地、職場の変化を投稿として発信してもらう施策のことです。家庭向けの家具と違い、最終的な購入の判断は個人ではなく会社が行うため、投稿の役割は「欲しい」と思わせることよりも、「うちの会社でも検討してみよう」と社内で話題にしてもらうきっかけを作ることにあります。

家庭向け家具のインフルエンサー施策との違い

家庭向けの家具やインテリアでは、投稿を見た人がそのまま購入者になるため、見た目の良さや部屋になじむかどうかが訴求の中心になります。一方、オフィス家具や事務機器では、投稿を見た人が購入を決める立場にいるとは限りません。投稿を見た従業員が総務担当者に共有する、総務担当者が見積もりを取って上長に稟議を上げる、経営者が移転の際に思い出すといったように、情報が社内を伝わっていく過程を想定する必要があります。住まいの商材を扱う場合の考え方は住宅・インテリア業界のインフルエンサー活用と長期検討商材のKPI設計で解説しているので、家庭向けと法人向けの両方を扱うメーカーは合わせて確認してください。

SaaSなど無形のBtoB商材との違い

同じBtoBでも、SaaSのような無形の商材と、家具や事務機器のような有形の商材では、発信の作り方が大きく変わります。SaaSは画面や機能の説明、業務の効率化といった論理的な情報が中心になりますが、オフィス家具は座り心地や質感、空間の雰囲気といった、写真や動画で見せたほうが伝わる要素が多い商材です。無形商材の進め方はBtoB・SaaS企業のインフルエンサーマーケティング活用法で、実名の専門家による発信はLinkedInのインフルエンサー活用とBtoBの信頼を作る発信設計で扱っています。この記事では、有形の設備・什器ならではの「導入事例の発信」と「担当者を商談につなぐ導線」に絞って解説します。

オフィス家具が発信と相性の良い理由

オフィス家具や事務機器が発信と相性が良いのは、働き方の変化によってオフィスの役割そのものが見直されているためです。出社と在宅を組み合わせる働き方が広がり、「人が集まりたくなるオフィス」「採用で見せられるオフィス」を作りたいと考える会社が増えています。こうした会社の担当者は、カタログよりも、実際に他社がどんな空間を作り、どんな家具を選んだのかという具体例を探しています。デスク周りやオフィスの様子を紹介する投稿はもともとSNSで人気のあるジャンルなので、その延長線上で法人向けの情報を届けられるのが強みです。

法人の購買プロセスと関与者を整理する

オフィス家具や事務機器の購入には、総務担当者・経営者・情報システム担当者・実際に使う従業員という、少なくとも4つの立場が関わります。誰か1人に刺さる投稿を作るだけでは、社内で検討が前に進まないことが多いため、施策を始める前に「誰に、どの段階で、何を伝えるか」を整理しておくことが大切です。

関与者ごとに気にしている点

総務担当者は、予算内に収まるか、納期に間に合うか、耐久性や保証は十分か、搬入や設置で業務が止まらないかといった実務面を重視します。経営者は、採用やブランドイメージ、従業員の生産性や定着への効果を気にします。複合機や会議室の映像機器などでは、情報システム担当者がセキュリティやネットワークとの接続を確認します。そして従業員は、座り心地や使い勝手といった毎日の体験を気にしています。これらの関心はそれぞれ異なるため、1本の投稿ですべてを伝えようとせず、発信者と投稿を分けて役割分担することが有効です。

関与者主な関心響きやすい発信者投稿で見せたい内容
総務・ファシリティ担当予算、納期、耐久性、保証、設置の手間総務・人事の実務家、オフィス移転の経験者選定の比較軸、見積もりの考え方、導入までの段取り
経営者・役員採用、ブランド、生産性、従業員の定着経営者・起業家系オフィスを変えた理由と、変えた後の社内の変化
情報システム担当セキュリティ、接続、運用管理ガジェット・IT系、情シス経験者設定の手順、管理機能、トラブル時の対応
従業員・利用者座り心地、使い勝手、見た目デスクツアー系、ワークスタイル系1日使った感想、姿勢や疲れ方の変化

検討期間の長さを前提にした設計

法人のオフィス家具の購入は、オフィス移転や増床、レイアウト変更、決算期の予算消化といったタイミングに集中しやすく、検討を始めてから発注までに数か月かかることも珍しくありません。そのため、投稿した直後に問い合わせが来なくても、施策が失敗したとは言い切れません。投稿を見て保存した担当者が、半年後の移転プロジェクトで資料請求をするといった動きも十分に考えられます。投稿を一度きりで終わらせず、保存される資料的な内容にすることと、自社の広告や記事で再接触できるようにしておくことが、検討期間の長い商材では重要になります。

稟議を通しやすくする情報の提供

総務担当者が社内で稟議を通すときに必要なのは、価格の妥当性と導入の効果を説明できる材料です。インフルエンサーの投稿で「なぜこの製品を選んだのか」「他の候補と何を比べたのか」が語られていると、担当者はそのまま社内説明の参考にできます。発信者に依頼する際は、使い心地の感想だけでなく、比較した観点や選定の決め手まで話してもらうよう構成を共有しておくと、法人の検討者にとって価値の高い投稿になります。

起用するインフルエンサーの類型と選び方

オフィス家具・事務機器の施策で起用先を選ぶときは、デスクツアー系、経営者・起業家系、総務や人事の実務家、空間デザイン系の4類型に分けて考えるのが実務的です。フォロワー数の多さよりも、そのフォロワーの中に法人の検討者や意思決定に関わる人がどれだけ含まれているかを重視して選びます。

4類型の特徴と向いている商材

デスクツアー系は、自宅やオフィスの作業環境を紹介している発信者で、チェアやデスク、モニターアームなど個人の作業環境に関わる商材と相性が良い類型です。経営者・起業家系は、自社のオフィスづくりや組織づくりを発信している人で、オフィス全体のリニューアルや移転の事例を語ってもらうのに向いています。総務や人事の実務家は、バックオフィスの仕事術を発信している人で、総務担当者に直接届く数少ない発信者です。空間デザイン系は、インテリアや建築の視点で空間を語る人で、会議室やラウンジ、共用部の什器を見せるときに力を発揮します。

類型主なフォロワー層向いている商材強み注意点
デスクツアー系会社員、フリーランス、ガジェット好きチェア、デスク、モニターアーム、収納使い心地を具体的に伝えられる個人向けの印象が強く、法人の検討には別の後押しが必要
経営者・起業家系経営者、管理職、起業志望者オフィス全体の刷新、移転、ラウンジ什器意思決定者に直接届く本業が忙しく、撮影日程の調整に時間がかかる
総務・人事の実務家総務、人事、バックオフィス担当事務機器、収納、備品、オフィス移転サービス選定や稟議の観点で語れる発信者の数が少なく、早めの打診が必要
空間デザイン系デザイナー、建築関係者、インテリア好き会議室・共用部の什器、照明、パーティション空間全体の魅力を伝えられる機能や価格の情報が薄くなりやすい

フォロワーの中身を確認する方法

法人向けの施策では、候補者のフォロワーに検討者がいるかどうかを、投稿へのコメントの内容から推測するのが現実的です。「うちの会社でも導入したい」「総務に提案してみます」「どこのメーカーですか」といったコメントが付いている発信者は、法人の検討者に見られている可能性が高いと考えられます。あわせて、プロフィールに書かれた職業や所属、過去の企業案件の内容も確認します。可能であれば、投稿を見ている人の年齢層や地域、職業の傾向を本人から共有してもらい、商材のターゲットと重なるかを確かめておきます。

商材の価格帯と発信者の規模の合わせ方

1脚数万円から十数万円するようなワークチェアや、会社単位で導入する事務機器は、発信者の規模を大きくすればするほど成果が出るとは限りません。フォロワーが数千人から数万人規模でも、総務や経営に関わる人が多く見ている発信者のほうが、商談につながる反応を得やすいことがあります。認知を広げたい新製品の発表時には規模の大きい発信者を、検討段階の後押しには専門性の高い発信者を、というように、目的ごとに起用先の規模を使い分けることをおすすめします。

導入事例の発信の作り方

オフィス家具・事務機器で最も成果につながりやすいのは、実際のオフィスに導入した様子を、導入前の課題から導入後の変化までストーリーとして見せる「導入事例の発信」です。法人の検討者は、商品の性能よりも「自社と似た会社でうまくいったか」を知りたいと考えているため、事例の形にすることで自分ごととして受け止めてもらいやすくなります。

3つの事例パターン

導入事例の発信には、大きく3つのパターンがあります。1つ目は、インフルエンサー自身の会社やオフィスに製品を導入してもらい、本人の言葉で語ってもらうパターンです。経営者やフリーランスの発信者であれば、自分の事務所の改装として自然に紹介できます。2つ目は、自社の顧客企業のオフィスをインフルエンサーが訪問し、取材する形で紹介するパターンです。顧客企業の担当者へのインタビューを交えると、総務の目線での選定理由を伝えられます。3つ目は、自社のショールームや自社オフィスを見学してもらい、働く環境のつくり方を紹介してもらうパターンです。ショールームの見学は、後の商談導線とも直結しやすい形式です。

導入前後の変化を具体的に見せる

事例を説得力のあるものにするには、導入前と導入後の違いを具体的に見せることが欠かせません。写真や動画では、同じ角度から撮ったレイアウトの変化、会議室の使われ方の変化、収納が片付いた様子などが分かりやすい素材になります。言葉では、「会議室の予約が取りにくかった」「書類の保管場所が足りなかった」といった導入前の課題と、導入後に社内で起きた変化をセットで語ってもらいます。数値を出す場合は、導入した会社が自ら確認できた範囲にとどめ、効果を大きく見せるための推測の数値は使わないようにします。

顧客企業の協力を得る進め方

顧客企業のオフィスを取材する形式では、相手企業の広報や総務の協力が欠かせません。依頼の際は、撮影する範囲、写ってはいけない書類や画面、社員の顔出しの可否、社名を出すかどうか、公開前の確認の流れを事前に取り決めておきます。顧客企業にとっても、働きやすいオフィスを外部に発信できることは採用活動の追い風になるため、「取材される側にもメリットがある企画」として提案すると協力を得やすくなります。採用の観点でオフィスを発信する考え方は採用インフルエンサー活用の設計と社員発信の運用ルールも参考になります。

導入事例を発信するときの注意点

  • 顧客企業の社名やロゴ、社員の顔を出す場合は、相手企業から書面で許可を得ておきます。
  • モニターの画面、ホワイトボード、書類棚のラベルなど、機密が写り込みやすい場所を撮影前に確認します。
  • 導入効果の数値は、導入した会社が自ら確認したものだけを使い、確認時期と算出方法を添えます。
  • インフルエンサー自身のオフィスで導入する場合も、商品提供を受けていることを投稿内で分かるように示します。

担当者層に響く訴求の組み立て方

担当者層への訴求で大切なのは、総務担当者が社内で説明するときに使える「比較の観点」と「選定の理由」を投稿の中に入れておくことです。見た目の良さだけを伝える投稿は好意的な反応は集めても、実際の検討には結びつきにくい傾向があります。

総務担当者に届く情報の種類

総務担当者が知りたいのは、価格の目安、納期、保証期間、メンテナンスの体制、搬入や組み立てにかかる時間、既存の家具との組み合わせ、リースやレンタルの有無といった実務的な情報です。こうした情報を投稿本文やキャプション、固定コメントに整理して載せてもらうと、保存されやすい投稿になります。動画の場合は、組み立ての様子を早送りで見せる、搬入の流れを短くまとめるなど、総務担当者が気にする場面を意図的に入れると効果的です。

経営者と従業員に向けた訴求

経営者に向けては、オフィスの変化がもたらす組織への効果を中心に伝えます。来客や面接に来た人の反応、社員が出社したくなる雰囲気、部署を越えた会話が増えたといった変化は、経営者が投資を判断する材料になります。一方、従業員に向けては、長時間座っても疲れにくいか、高さ調整は簡単か、手元が片付くかといった日々の使い心地を伝えます。従業員が「この椅子にしてほしい」と社内で声を上げることは、総務が導入を検討するきっかけにもなるため、従業員向けの発信も間接的に法人の購買を後押しします。

避けたい表現

オフィスチェアなどの訴求では、「腰痛が治る」「肩こりが解消する」といった、医療的な効果をうたう表現は避けます。効果や性能を表示する場合は、メーカーとして根拠を示せる範囲にとどめる必要があり、消費者庁が所管する景品表示法でも、根拠のない優良誤認表示は問題になります。また、「どこよりも安い」「業界No.1」といった比較の表現も、根拠と調査時点を明示できない場合は使わないようにします。表現の判断に迷う場合は、自社の法務担当者や弁護士など専門家に確認してください。

商材カテゴリ別の見せ方

オフィス家具・事務機器は、「チェア・デスク」「会議室・共用部の什器」「収納・備品」「複合機・シュレッダーなどの事務機器」「オフィス移転・レイアウトのサービス」の5つに分けると、見せ方の型が整理しやすくなります。カテゴリごとに伝わりやすい場面と投稿形式が異なるため、商材に合わせて構成を変えます。

チェア・デスクと会議室・共用部の什器

チェアやデスクは、個人の体験として語りやすい商材です。1日の仕事の流れの中で使っている様子や、高さや角度を調整する手元の動きを見せると、使い心地が伝わります。会議室や共用部の什器は、空間全体の雰囲気を見せることが中心になります。人がいない完成写真だけでなく、実際に会議や雑談で使われている場面を入れると、導入後の使われ方を想像してもらいやすくなります。

収納・備品と事務機器

収納や備品は、片付けの前後を比べる投稿が効果的です。書類の電子化と合わせて収納を減らした事例や、フリーアドレス化に合わせて個人ロッカーを導入した事例など、働き方の変化と結びつけて語ってもらうと法人の検討者に響きます。複合機やシュレッダー、ラベルプリンターなどの事務機器は、操作の手順や時間の短縮を見せることが中心です。情報システム担当者にも届くよう、設定や管理機能について触れてもらうことも検討します。

商材カテゴリ主な訴求ポイント見せるべき場面相性の良い投稿形式
チェア・デスク使い心地、調整のしやすさ、姿勢1日の作業風景、調整の手元リール、YouTube
会議室・共用部の什器空間の雰囲気、使われ方、採用への効果会議や雑談で使われている場面リール、フィード投稿
収納・備品片付けの効果、省スペース片付けの前後比較フィード投稿、ショート動画
複合機・シュレッダーなどの事務機器時間の短縮、管理のしやすさ、セキュリティ操作手順、管理画面YouTube、ブログ
オフィス移転・レイアウトのサービス段取りの安心感、全体の変化移転の準備から完成までの記録YouTube、連載形式の投稿

オフィス移転・レイアウトのサービス

オフィス移転やレイアウト変更のサービスは、完成までの過程を記録する連載形式の発信と相性が良い商材です。物件探し、レイアウトの検討、家具の選定、引っ越し当日、完成後の社内の様子と、数回に分けて投稿してもらうと、移転を控えた会社の担当者が自分たちの計画と重ねながら見てくれます。製造業のように一般の人になじみの薄い商材の見せ方は製造業・メーカーのインフルエンサー活用と技術系商材の伝え方でも整理しているので、事務機器メーカーの方は合わせて参考にしてください。

投稿から商談につなげる導線設計

オフィス家具・事務機器の施策で成果を出すには、投稿を見た人が次に取る行動の受け皿を、投稿の公開前に用意しておくことが前提です。法人の商材は投稿を見てすぐに購入されることはほとんどないため、資料請求やショールーム予約、無料の貸し出しといった「軽い次の一歩」を設計します。

商談導線の選択肢

主な導線には、資料請求、ショールームの見学予約、製品の試用・貸し出し、オンライン相談、オフィス移転のセミナーへの参加などがあります。投稿のプロフィールリンクやキャプションから、インフルエンサーごとに分けた専用のページへ誘導すると、どの発信者経由で問い合わせが来たかを把握できます。専用ページでは、投稿で紹介した事例の詳細や、導入の流れ、よくある相談内容をまとめておき、検討者が社内に共有しやすい形にしておくと効果的です。

導線検討者の負担商談への近さ向いている商材
資料請求・カタログのダウンロード小さいやや遠いすべての商材の入口
オンライン相談小さい〜中程度近いレイアウト変更、移転サービス
ショールームの見学予約中程度近いチェア、会議室什器、空間全体
製品の試用・貸し出し中程度とても近いチェア、事務機器
移転・オフィスづくりのセミナー中程度やや近い移転サービス、オフィス全体の刷新

ショールームとイベントの活用

ショールームを持つ企業は、インフルエンサーを招いた見学会を開き、その様子を投稿してもらうと、投稿を見た担当者が「実際に座ってみたい」と予約する流れを作れます。見学会の日程に合わせて、投稿の読者向けの特別な見学枠を設けると、投稿からの予約数を測りやすくなります。体験会の企画や運営の進め方はインフルエンサーを招待するイベント・体験会の企画と運営で詳しく解説しています。

問い合わせ後のフォローとデータの連携

投稿経由で資料請求やショールーム予約があった場合は、その情報を営業管理の仕組みに記録し、どの投稿から来た見込み客かを後から追えるようにしておきます。検討期間が長い商材では、数か月後に商談や受注になったときに、最初の接点がインフルエンサーの投稿だったと分かるかどうかが、施策の評価を大きく左右します。顧客データとの連携方法はインフルエンサー施策とCRMを連携して顧客データを活かす方法を参考にしてください。

広告表示・撮影・税務の注意点

オフィス家具・事務機器の施策でも、広告であることの表示、撮影先の機密への配慮、二次利用の範囲の取り決めは欠かせません。法人向けの商材であっても、SNSの投稿は一般の消費者の目にも触れるため、家庭向けの商材と同じ水準で表示を徹底するのが安全です。

広告であることの表示

消費者庁は、景品表示法に基づき、広告であることを隠した表示をいわゆるステルスマーケティングとして規制しており、2023年10月1日から施行されています。オフィス家具の購入者の多くは法人ですが、在宅勤務用のチェアのように個人が購入する場面もあり、投稿が一般の消費者に届くことも十分にあります。商品提供や報酬がある投稿には「#PR」「#広告」などの表示を分かりやすい位置に入れてもらうよう、契約書と依頼書の両方に明記しておきます。表示の具体的な方法はステマ規制とは?景表法対応と#PR表記の実務ガイドで整理しています。個別の案件が規制の対象になるかどうかの判断は、弁護士など専門家に相談してください。

撮影時の機密と権利の扱い

実際のオフィスで撮影する場合は、パソコンの画面、ホワイトボードの書き込み、書類のラベル、来客名簿など、機密情報が写り込む場所が多くあります。撮影前に撮影範囲を一緒に確認し、写ってはいけないものを片付けてから撮影する段取りにしておきます。また、投稿で使われた写真や動画を自社のサイトや広告、営業資料で使いたい場合は、二次利用の範囲と期間、追加の報酬の有無を契約時に取り決めておく必要があります。展示会や営業資料で使い回したいことが多い商材なので、最初から二次利用を前提に条件を決めておくと後のトラブルを防げます。

撮影前に確認したいこと

  • 撮影する範囲と、写してはいけない画面・書類・掲示物を決めましたか。
  • 社員や来客の顔が写る場合の許可の取り方を決めましたか。
  • 顧客企業の社名やロゴを出すかどうか、公開前の確認者は誰かを決めましたか。
  • 写真や動画の二次利用の範囲、期間、追加報酬の有無を契約書に入れましたか。

商品提供と税務処理の考え方

発信者に家具や事務機器を提供する場合は、提供した製品を返却してもらうのか、そのまま使ってもらうのかを決めておきます。返却を前提にしない場合、提供した製品は発信者にとっての報酬の一部とみなされることがあり、提供する側の会計処理にも影響します。また、顧客企業に製品を無償で導入して取材に協力してもらう場合も、処理の方法を事前に経理担当者と確認しておきます。なお、オフィス家具を購入する法人側では、国税庁の「減価償却資産の耐用年数表」で、事務机や事務いすなどの器具及び備品は主として金属製のもので15年、その他のもので8年とされており、総務担当者は購入時にこうした税務上の扱いも気にしています。具体的な処理は事業や取引の内容によって変わるため、個別の判断は税理士など専門家に確認してください。

成果指標とKPIの置き方

オフィス家具・事務機器の施策では、投稿の反応ではなく、指名検索・資料請求・ショールーム予約・商談化・受注という、商談に向かう段階ごとの指標で成果を測ります。いいね数や再生数だけで判断すると、法人の検討者に届いていない投稿を高く評価してしまうおそれがあるためです。

段階ごとの指標と確認の時期

投稿の公開直後は、保存数やプロフィールへのアクセス、リンクのクリック数を確認します。保存数は、検討者が後で見返すために残している可能性を示す指標なので、法人向けの商材では特に重視します。公開から1か月ほどは、社名や製品名での検索の増加、資料請求やショールーム予約の件数を追います。そして3か月から半年ほどの期間で、商談化や受注の件数を確認します。それぞれの指標をいつ確認するかを最初に決めておくと、短期的な数字だけで施策を打ち切ってしまう失敗を防げます。

段階主な指標確認の目安測り方
認知リーチ数、再生数公開から1週間発信者から共有されるインサイト
関心保存数、プロフィールへのアクセス、リンクのクリック数公開から2週間インサイト、計測用のURLパラメータ
検討指名検索の増加、資料請求、ショールーム予約公開から1か月検索の推移、専用ページのフォーム
商談商談化した件数、見積もり依頼公開から3か月営業管理の仕組みでの流入元の記録
受注受注件数、受注金額公開から半年営業管理の仕組みと受注データの照合

想定例で見る目標の置き方

ここでは考え方を示すための想定例として、ワークチェアのメーカーが総務・人事の実務家3名とデスクツアー系2名を起用するケースを考えます。この場合、デスクツアー系には保存数とショールーム予約を、総務・人事の実務家には資料請求と商談化を主な指標として割り当てます。発信者の類型ごとに役割が違うため、全員を同じ指標で比べるのではなく、それぞれの役割に合った指標で評価することが大切です。実際の目標値は、自社のこれまでの資料請求から商談化までの割合をもとに逆算して決めます。

評価を誤らないための工夫

法人の商材では、投稿を見た人が直接リンクをクリックせず、後日、社名で検索してから問い合わせることがよくあります。そのため、問い合わせフォームに「何を見て知ったか」を選ぶ項目を設け、インフルエンサーの名前や投稿を選択肢に入れておくと、計測の取りこぼしを減らせます。また、営業担当者が商談の中で「どこで当社を知ったか」を聞き、記録する運用も効果的です。数字だけでは見えにくい影響を拾う仕組みを持っておくことで、施策の評価がより正確になります。

進め方・よくある失敗・発注前チェックリスト

オフィス家具・事務機器のインフルエンサー施策は、オフィス移転や新年度の準備など法人の需要が高まる時期から逆算して、3か月ほど前から準備を始めるのが理想です。ここでは、進め方の流れとよくある失敗、発注前に確認したい項目をまとめます。

需要の時期から逆算した進め方

法人のオフィス関連の需要は、新年度を迎える前の時期や、決算期に合わせた予算の執行、新卒の入社や組織変更の前などに高まりやすい傾向があります。これらの時期に投稿を届けるには、発信者の選定と依頼、製品の発送や設置、撮影、確認、公開という流れに2〜3か月かかることを見込んで、早めに動き始めます。特に顧客企業のオフィスを取材する形式は、相手企業との調整に時間がかかるため、余裕を持った日程を組むことが大切です。

よくある失敗

よくある失敗の1つ目は、見た目の良いオフィス写真ばかりが集まり、総務担当者が知りたい価格や納期、選定の理由が伝わらない投稿になってしまうことです。2つ目は、投稿の受け皿となる専用ページや資料を用意しないまま公開してしまい、関心を持った検討者を取りこぼすことです。3つ目は、公開直後の反応だけで成否を判断し、数か月後に生まれる商談を施策の成果として捉えられないことです。いずれも、施策を始める前に目的と導線、評価の時期を決めておくことで防げます。

オフィス家具・事務機器の発注前チェックリスト

  • 購買に関わる立場(総務・経営者・情報システム担当・従業員)ごとに、届けたい内容を整理しましたか。
  • 起用する発信者の類型と、それぞれに期待する役割を決めましたか。
  • 導入事例の形式(自社オフィス・顧客企業の取材・ショールーム見学)を決め、必要な許可を取りましたか。
  • 資料請求やショールーム予約など、投稿から商談につなげる受け皿を公開日までに用意しましたか。
  • すべての投稿に#PRなどの広告表示を入れるよう依頼し、二次利用の範囲を契約書に入れましたか。
  • 保存数・指名検索・資料請求・商談化・受注まで、指標と確認時期を決めましたか。

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本メディアは、審査制インフルエンサー30,000人のマッチングプラットフォーム『Bloom』(株式会社ハーマンドット)が運営しています。