インフルエンサーに依頼して投稿の反応は良かったのに、売上や問い合わせにはつながらなかった、という結果の多くは、施策の最初に「誰に、何を約束して動いてもらうか」が決まっていなかったことに原因があります。ペルソナと訴求軸が曖昧なままだと、起用するインフルエンサーはフォロワー数で選ばれ、投稿の内容も発信者ごとにばらばらになります。この記事では、インフルエンサー施策のペルソナ設定を、情報の集め方から1人の人物像への落とし込み、訴求軸の決め方、起用するインフルエンサー像と投稿テーマへの変換まで、実務の順番で解説します。
この記事の要点
- インフルエンサー施策のペルソナとは、施策で動かしたい1人の顧客像を、属性・悩み・価値観・SNSの使い方まで具体化したものです。
- ペルソナは「誰に届けるか」、訴求軸は「何を約束して動かすか」で、この2つを先に決めると起用するインフルエンサー像と投稿テーマが自然に決まります。
- 手順は、情報収集→設定項目の整理→1人の人物像に落とし込む→訴求軸を決める→起用像に変換する→投稿テーマとブリーフに落とす、の順番です。
- ペルソナは想像ではなく顧客データと実際の声から作り、最初は主ペルソナ1人と訴求軸1つに絞ります。
- 施策後はコメントや保存、クーポン利用者の属性を見て、ペルソナと訴求軸が当たっていたかを検証し、次の施策で更新します。
インフルエンサー施策のペルソナとは
インフルエンサー施策のペルソナとは、施策で購入や来店などの行動を起こしてほしい1人の顧客像を、年齢や職業といった属性だけでなく、悩み・価値観・情報の集め方・SNSの使い方まで具体的に描いたものです。広告やWebサイトのペルソナと考え方は同じですが、インフルエンサー施策では「この人はどんな発信者を信頼しているか」まで描く点に違いがあります。ペルソナが決まると、誰に依頼し、何を、どう語ってもらうかという施策の中身を、同じ基準で判断できるようになります。
ターゲットとペルソナの違い
ターゲットは「30代女性・共働き・首都圏」のように、顧客を属性で区切った集団のことです。一方のペルソナは、そのターゲットの中から代表的な1人を取り出し、名前や生活の場面まで描いた人物像を指します。ターゲットだけでも媒体やインフルエンサーの候補はある程度絞れますが、「何を言えば響くか」までは決まりません。ペルソナまで落とし込むことで、投稿の言葉選びや見せる場面が具体的になります。
たとえば「30代女性」というターゲットの中にも、時短を最優先する人と、手間をかけても質を求める人がいます。同じ商品でも、前者には「5分で終わる」、後者には「成分にこだわっている」と伝えたほうが響きます。どちらの人を主役にするのかを決める作業が、ペルソナ設定です。
インフルエンサー施策でペルソナが特に重要な理由
インフルエンサー施策では、メッセージを届ける役割を自社ではなく第三者の発信者に任せます。そのため、企業側の「誰に何を伝えたいか」が曖昧なままだと、インフルエンサーは自分のフォロワーに合わせた解釈で投稿を作り、施策全体のメッセージがばらばらになります。複数人を起用する場合はなおさらで、ペルソナと訴求軸という共通の土台がないと、成果の良し悪しを比較することもできません。
また、インフルエンサーの選定は「誰のフォロワーに届けるか」を選ぶ作業でもあります。ペルソナがはっきりしていれば、候補者のフォロワー属性が自社の顧客像と重なっているかを判断する基準になります。フォロワー属性の確認方法はインフルエンサーのフォロワー属性分析と一致率の見方で詳しく解説しています。
ペルソナと訴求軸の関係
ペルソナが「誰に届けるか」を決めるものだとすれば、訴求軸は「その人に何を約束して行動してもらうか」を決めるものです。訴求軸とは、商品の価値の中から、ペルソナの悩みや欲求にもっとも強く結びつく1点を選び、施策全体のメッセージの中心に据えたものを指します。ペルソナだけを決めて訴求軸を決めないと、投稿は「良い商品です」という一般論に寄ってしまいます。本記事では、ペルソナと訴求軸を一続きの手順として扱います。
ペルソナと訴求軸を先に決めるメリット
ペルソナと訴求軸を先に決める最大のメリットは、起用するインフルエンサー、投稿テーマ、効果測定の基準が1本の線でつながり、判断のぶれがなくなることです。施策に関わる人が増えるほど、この共通の土台があるかどうかで準備の手間と成果の安定性に差が出ます。ここでは具体的に3つのメリットを整理します。
起用するインフルエンサー像がぶれない
ペルソナが決まっていないと、選定はフォロワー数やエンゲージメント率の高い順になりがちです。数字の良い候補が自社の顧客に届くとは限らないため、投稿の反応は良いのに売上につながらないという結果になりやすくなります。ペルソナがあれば「この人のフォロワーにペルソナに近い人が多いか」「ペルソナがこの人を信頼しそうか」という観点で候補を比べられるため、社内の承認でも選んだ理由を説明しやすくなります。
投稿テーマとブリーフが具体的になる
訴求軸が決まると、インフルエンサーに渡すブリーフで「必ず伝えてほしいこと」を1つに絞れます。伝えてほしいことが多すぎるブリーフは、投稿が説明的になり、インフルエンサー本人の言葉が消えてしまう原因になります。ペルソナが使っている場面と、訴求軸として伝えたい1点が明確であれば、それ以外の表現はインフルエンサーに任せられるため、自然で反応の取れる投稿になりやすくなります。
効果検証で「何が当たったか」が分かる
ペルソナと訴求軸を事前に言語化しておくと、施策後に「狙った人に届いたか」と「狙った価値が伝わったか」を分けて検証できます。コメントの内容が訴求軸に沿っているか、クーポン利用者の属性がペルソナに近いかを見れば、外れた場合にどこを直せばよいかが分かります。事前の仮説がなければ、結果が良くても悪くても次に活かせる学びが残りません。KPIの置き方はインフルエンサー施策のKPI設計とテンプレートも参考にしてください。
ペルソナ設計に使う情報源
ペルソナは、社内の想像ではなく、実際の顧客データと顧客の声から作ることが原則です。担当者の頭の中にある理想の顧客像は、実際に買っている人とずれていることが少なくありません。情報源は大きく、自社の購買データ、顧客への直接調査、SNS上の声と競合の反応の3つに分けられます。
自社の購買データと問い合わせ履歴
最初に確認したいのは、ECや会員の購買データ、店舗のPOS、問い合わせやレビューの履歴です。年代や性別、地域、購入回数、購入時期、一緒に買われている商品などから、売上の中心にいる顧客層が見えてきます。とくにリピート購入している顧客の特徴は、施策で増やしたい顧客像そのものなので、ペルソナの土台として優先して見てください。
顧客インタビューとアンケート
購買データからは「誰が買ったか」は分かっても、「なぜ買ったか」までは分かりません。そこで、既存顧客数名へのインタビューや、購入者アンケートで、購入のきっかけ、比較した商品、決め手になった点、普段の情報源を聞きます。とくに「どのSNSで、どんな人の発信を見て商品を知ったか」は、インフルエンサー施策のペルソナに欠かせない情報なので、質問に必ず含めてください。インタビューは4〜8名程度でも、共通する傾向は十分に見えてきます。
SNS上の声と競合の反応
自社の顧客データが少ない新商品や新規事業では、SNS上の声が重要な情報源になります。自社や競合の商品名で検索し、どんな人がどんな言葉で感想を書いているか、どんな悩みと一緒に語られているかを集めます。競合がインフルエンサー施策を行っている場合は、その投稿に付いたコメントから、反応している人の年代や関心を推測することもできます。
| 情報源 | 分かること | 手間 | 向いている場面 |
|---|---|---|---|
| 購買データ・会員データ | 年代・性別・地域・購入頻度など売上の中心層 | 少ない | 既存商品で顧客データがある場合 |
| 問い合わせ・レビュー履歴 | 不満や期待、言葉づかい | 少ない | 訴求の言葉を探したい場合 |
| 顧客インタビュー | 購入の理由、比較対象、決め手、情報源 | 多い | 主ペルソナを深く描きたい場合 |
| 購入者アンケート | 理由や情報源の量的な傾向 | 中程度 | インタビュー結果を裏付けたい場合 |
| SNS上の声・競合投稿のコメント | 生活者の本音、悩みとの結びつき | 中程度 | 新商品や顧客データが少ない場合 |
手順1 ペルソナの設定項目を決める
ペルソナ設計の最初の手順は、描く項目を決めることです。項目は、基本属性、悩みと価値観、SNSの使い方と信頼する発信者、の3つの層に分けて整理すると、インフルエンサー施策で使える形になります。項目を増やしすぎると作るだけで終わってしまうため、施策の判断に使う項目に絞ります。
基本属性(デモグラフィック)
年齢、性別、職業、居住地、家族構成、年収や可処分所得といった基本属性は、ペルソナの骨格になります。インフルエンサー施策では、とくに年齢と性別、居住地がフォロワー属性との照合に直接使えるため、幅を持たせすぎずに決めてください。「20〜40代」のような幅では照合の基準になりにくいので、「32歳前後」のように中心を置き、許容範囲を別に書いておくと実務で使いやすくなります。
悩み・価値観・購買行動(サイコグラフィック)
次に、商品カテゴリに関する悩み、大切にしている価値観、お金の使い方、購入前の比較の仕方を描きます。ここが訴求軸を決めるための材料になるため、もっとも時間をかけたい部分です。「肌荒れに悩んでいる」だけでなく、「季節の変わり目に荒れやすく、刺激の強い商品で失敗した経験がある」のように、具体的な場面と過去の経験まで書くと、刺さる言葉が見えてきます。
SNSの使い方と信頼する発信者
インフルエンサー施策ならではの項目が、SNSの使い方と信頼する発信者です。よく使う媒体、使う時間帯、保存する投稿の種類、フォローしているアカウントの傾向、そして「どんな人のおすすめなら信じるか」を描きます。この項目が、後の手順で起用するインフルエンサー像に変換されます。
| 層 | 設定項目 | 施策での使いみち |
|---|---|---|
| 基本属性 | 年齢・性別・職業・居住地・家族構成・可処分所得 | フォロワー属性との一致率の判断、媒体選び |
| 悩み・価値観 | カテゴリの悩み・過去の失敗・大切にしていること | 訴求軸の候補出し |
| 購買行動 | 比較の仕方・購入場所・決め手・予算感 | 投稿で見せる情報、購入導線の設計 |
| SNSの使い方 | 主な媒体・時間帯・保存する投稿・検索の仕方 | 媒体と投稿フォーマット、投稿時間の決定 |
| 信頼する発信者 | フォローしている人・信じるおすすめの条件 | 起用するインフルエンサー像への変換 |
手順2 1人の人物像に落とし込む
項目を集めたら、それを1人の具体的な人物像としてまとめます。集団の平均値ではなく、実在しそうな1人として描くことで、関係者全員が同じ人を思い浮かべられるようになります。人物像は1枚のシートにまとめ、施策に関わる社内メンバーとインフルエンサーへの説明に使える形にしておきます。
主ペルソナを1人に絞る
最初に作るペルソナは、売上や事業目標への貢献がもっとも大きい顧客層の代表1人に絞ります。複数のペルソナを同時に設定すると、訴求軸も起用するインフルエンサーも分散し、どれも中途半端になりやすいためです。2人目以降のペルソナは、主ペルソナで施策を回して検証が進んでから追加しても遅くありません。予算が限られている施策ほど、1人に絞る効果は大きくなります。
人物像の記述例
たとえば、敏感肌向けの保湿クリームを扱う場合、主ペルソナは次のように描けます。都内在住の34歳、共働きで5歳の子どもが1人、平日は朝の支度に追われてスキンケアに使える時間は5分ほどです。季節の変わり目に頬が赤くなりやすく、以前に話題の美容液で肌が荒れた経験から、新しい商品には慎重です。情報収集は夜の寝かしつけ後にInstagramで行い、成分を分かりやすく解説してくれる同年代の発信者の投稿を保存しています。
このように書くと、「5分で終わる」「刺激が少ない」「成分の理由が分かる」という訴求の候補と、「同年代で成分を解説する発信者」という起用像の手がかりが、文章の中から自然に読み取れます。記述例は、ペルソナシートに箇条書きで残すだけでなく、上のような短い文章でも書いておくと、社外のインフルエンサーにも伝わりやすくなります。
購入までの行動をたどる
人物像ができたら、その人が商品を知ってから購入するまでの行動を、認知・興味・比較・購入・継続の段階でたどります。インフルエンサーの投稿がどの段階で役に立つのかを決めるためです。認知の段階なら「悩みに共感してもらう投稿」、比較の段階なら「他の商品との違いが分かる投稿」というように、段階によって投稿に求める役割が変わります。施策の目的に合わせて、どの段階を主に担わせるかを決めておいてください。
手順3 ペルソナから訴求軸を決める
訴求軸は、ペルソナの悩みや欲求と商品の強みが重なる点の中から、1つを選んで決めます。商品の強みを並べるところから始めるのではなく、ペルソナの悩みから始めるのがポイントです。企業が伝えたいことと、ペルソナが知りたいことは一致しないことが多いため、必ずペルソナ側から考えてください。
訴求軸の候補を出す
候補は、機能、悩みの解決、価値観への共感、利用シーン、価格や手軽さの5つの切り口で出すと漏れが少なくなります。それぞれの切り口で、ペルソナの言葉に置き換えた一文を作ってみてください。「保湿力が高い」は機能の訴求ですが、「朝塗れば夕方までつっぱらない」はペルソナの言葉に置き換えた訴求です。インフルエンサー施策では、後者のように生活の場面で語れる訴求のほうが投稿にしやすくなります。
| 訴求軸の切り口 | 内容 | インフルエンサー投稿との相性 | 向いている商材・段階 |
|---|---|---|---|
| 機能・スペック | 成分、性能、数値で示せる強み | 解説型の発信者と相性が良いです | 比較検討の段階、ガジェット・家電・化粧品 |
| 悩みの解決 | ペルソナの困りごとが解消される | 使用前後の体験談にしやすいです | 認知から興味の段階、美容・健康・日用品 |
| 価値観への共感 | 環境配慮や丁寧な暮らしなどの考え方 | 発信者の世界観と重なると強いです | ブランド好意の形成、D2C・ライフスタイル |
| 利用シーン | 使う場面や時間が具体的に浮かぶ | 日常投稿やリールに自然に入ります | 認知の段階、食品・雑貨・アパレル |
| 価格・手軽さ | お得さ、始めやすさ、時短 | クーポンや期間限定と組み合わせやすいです | 購入の段階、EC・サブスク・飲食 |
訴求軸を1つに絞る基準
候補が出そろったら、3つの基準で1つに絞ります。1つ目は、ペルソナにとっての重要度が高いかどうかです。2つ目は、競合が同じ訴求をしていないかどうかで、競合と同じことを言っても選ばれる理由になりません。3つ目は、インフルエンサーが自分の体験として語れるかどうかで、実際に使って実感できない訴求は投稿で伝わりにくくなります。3つすべてを満たす候補が見つからない場合は、ペルソナにとっての重要度を優先してください。
訴求の一文を言語化する
絞り込んだ訴求軸は、「誰の、どんな悩みを、商品のどの強みで、どう解決するか」を含む一文にまとめます。先ほどの例なら「忙しくてスキンケアに時間をかけられない敏感肌のママが、刺激の少ない保湿クリーム1本で、朝の5分ケアを終えられる」となります。この一文がブリーフの中心になり、インフルエンサーの投稿内容を確認するときの判断基準にもなります。
訴求軸を決めるときのチェックポイント
- 訴求軸はペルソナの悩みや欲求から出発していますか。
- 候補を機能・悩み・価値観・シーン・価格の5つの切り口で出しましたか。
- 競合のインフルエンサー投稿と同じ訴求になっていませんか。
- インフルエンサーが自分の体験として語れる内容になっていますか。
- 訴求の一文を、社内の誰が読んでも同じ意味に取れる言葉で書きましたか。
手順4 起用するインフルエンサー像に変換する
ペルソナと訴求軸が決まったら、それを「どんな人に依頼するか」という起用するインフルエンサー像に変換します。起用像は、フォロワーがペルソナに近いこと、発信者自身がペルソナに信頼される人物であること、訴求軸を語れる発信スタイルを持っていることの3点で描きます。この3点を候補選定の条件として書き出しておくと、選定作業が速くなります。
フォロワー属性がペルソナと重なっているか
1つ目の条件は、候補者のフォロワーにペルソナに近い人がどれだけ含まれているかです。年齢・性別・地域の分布をインサイトで確認し、ペルソナの中心とどの程度重なっているかを見ます。フォロワー数が多くても、ペルソナと重なる割合が低ければ、実際に届く人数は小さくなります。数字の見方と判断の目安は、前述のフォロワー属性分析の記事で整理しています。
ペルソナが信頼する発信者か
2つ目の条件は、発信者本人がペルソナにとって「この人のおすすめなら試してみたい」と思える人物かどうかです。手順1で描いた「信頼する発信者」の項目がここで生きてきます。先ほどの例なら、同じように子育て中で、成分を自分で調べて分かりやすく説明している発信者が当てはまります。年代やライフステージが近いこと、過去の投稿で同じ悩みに触れていることは、信頼につながる大きな要素です。ブランドとの相性の見極め方はインフルエンサーのブランド適合性を5軸で判定するチェック手順が参考になります。
フォロワー規模と媒体を決める
3つ目に、訴求軸と施策の目的に合わせてフォロワー規模と媒体を決めます。悩みの解決や機能の訴求のように説明が必要なものは、フォロワーとの距離が近いマイクロ層や、長尺で語れるYouTubeと相性が良い傾向があります。利用シーンや手軽さの訴求は、短い動画で一目で伝わるInstagramのリールやTikTokと相性が良い傾向があります。規模ごとの使い分けはインフルエンサーのフォロワー数別の使い分けとミックス設計、媒体の特徴はInstagram・TikTok・YouTubeの媒体比較で解説しています。
| 設計の段階 | 決めること | 敏感肌向け保湿クリームの例 |
|---|---|---|
| ペルソナ | 誰に届けるか | 都内在住34歳、共働きで子育て中、敏感肌で新商品に慎重 |
| 訴求軸 | 何を約束するか | 刺激の少ない保湿クリーム1本で、朝の5分ケアが終わる |
| 起用するインフルエンサー像 | 誰に語ってもらうか | 30代で子育て中、成分を分かりやすく解説するInstagramのマイクロ層 |
| 投稿テーマ | どの場面で語ってもらうか | 朝の支度中のスキンケアをリールで見せ、季節の変わり目の肌の変化に触れる |
| 検証指標 | 当たったかをどう見るか | 保存数、コメントの悩み言及率、クーポン利用者の年代 |
手順5 投稿テーマとブリーフに落とし込む
最後の手順は、ペルソナと訴求軸を、インフルエンサーに依頼する投稿テーマとブリーフに落とし込むことです。ここで初めて、インフルエンサー本人に施策の意図が伝わります。どれだけ丁寧にペルソナを作っても、ブリーフで伝わらなければ投稿には反映されません。
投稿テーマを場面で決める
投稿テーマは、商品の説明ではなく、ペルソナが商品を使う場面で決めます。「保湿クリームの紹介」ではなく「朝の5分で終わるスキンケア」「季節の変わり目の肌荒れ対策」のように、ペルソナの生活と悩みの中に商品が登場する形にします。複数のインフルエンサーを起用する場合は、訴求軸は共通のまま、場面を人ごとに変えてもらうと、投稿の重複感が減り、検証で場面ごとの反応も比べられます。投稿の型は成果が出るPR投稿クリエイティブの作り方と7パターンにまとめています。
ブリーフに書くこと・任せること
ブリーフには、ペルソナの要約、訴求の一文、必ず伝えてほしい1点、避けてほしい表現、PR表記のルールを書きます。一方で、話し方、構成、撮影の雰囲気といった表現の部分は、インフルエンサー本人に任せます。フォロワーに響く伝え方をもっとも知っているのはインフルエンサー自身だからです。ペルソナをそのまま渡すのではなく、「あなたのフォロワーのうち、こういう悩みを持つ人に向けて」と、インフルエンサーの言葉に置き換えて伝えると意図が伝わりやすくなります。指示書の作り方はインフルエンサーディレクションの進め方と指示書で解説しています。
表現の規制を事前に確認する
訴求軸によっては、法律上の表現規制に注意が必要です。化粧品や健康食品で「治る」「改善する」といった効果を断定する表現は、医薬品医療機器等法(薬機法)や景品表示法に抵触するおそれがあります。また、2023年10月1日に施行されたステルスマーケティング規制により、広告であることを明示しない投稿は景品表示法上の不当表示に当たります。訴求の一文を決めた段階で、表現として使えるかを確認しておくと、投稿の差し戻しを減らせます。
ブリーフに必ず入れる項目
- ペルソナの要約(年代・生活の場面・悩み)を3行程度で記載します。
- 訴求の一文と、必ず伝えてほしい1点を明記します。
- 投稿テーマとして想定している場面を例示します(あくまで例であることも書きます)。
- 使えない表現と、PR表記の位置・書き方を示します。
- 話し方や構成など、本人に任せる範囲をはっきり書きます。
ペルソナ設定でよくある失敗と見直し方
ペルソナ設定でよくある失敗は、理想の顧客を描いてしまうこと、ペルソナを増やしすぎること、作ったまま更新しないことの3つです。どれも、ペルソナが施策の判断に使われなくなる原因になります。施策の前後で見直す仕組みを最初から組み込んでおくことが大切です。
理想の顧客を描いてしまう
もっとも多い失敗は、実際の顧客ではなく「こういう人に買ってほしい」という理想像をペルソナにしてしまうことです。たとえば、実際の購入者は40代が中心なのに、ブランドイメージを若く見せたいという理由で20代のペルソナを置くと、起用するインフルエンサーも投稿も実際の顧客から離れていきます。新しい顧客層を開拓したい場合でも、まず既存顧客のペルソナで施策を回し、その上で新しい層を別のペルソナとして試すほうが失敗が少なくなります。
ペルソナと訴求軸を増やしすぎる
関係者の意見を取り入れるうちに、ペルソナが3人、4人と増えてしまうこともよくあります。ペルソナごとに訴求軸と起用像が変わるため、予算が分散し、どのペルソナにも十分に届かない結果になりがちです。1回の施策で扱うのは主ペルソナ1人と訴求軸1つを基本にし、予算に余裕がある場合でも2人までにとどめることを本メディア編集部では推奨しています(2026年10月時点の編集部の目安です)。
施策の結果でペルソナを更新する
ペルソナは一度作って終わりではなく、施策の結果を受けて更新するものです。施策後は、コメントの内容が訴求軸に沿っていたか、保存や問い合わせをした人の属性がペルソナに近かったか、クーポンやUTMで計測した購入者の年代はどうだったかを確認します。想定と違う層が反応していれば、その層を新しいペルソナ候補として記録し、次の施策で検証してください。目安として、半期に1回程度はペルソナシートを見直すと、市場の変化にも対応しやすくなります。
Bloomでペルソナに合うインフルエンサーを探す進め方
Bloomでは、ペルソナと訴求軸を募集内容に書き込むことで、条件に合うインフルエンサーからの応募を集めて比較しながら選定できます。Bloomには2026年10月時点で審査制のインフルエンサー30,000人が登録しており、ジャンルやフォロワー属性の異なる候補を同じ基準で見比べられます。ここでは、ペルソナ設計の結果をBloomの選定に生かす流れを紹介します。
募集文にペルソナと訴求軸を書く
募集文には、商品の説明に加えて、ペルソナの要約と訴求の一文を書きます。「30代の子育て中の方で、敏感肌のスキンケアについて発信している方」のように、起用像を具体的に書くと、自分のフォロワーが合っていると考えるインフルエンサーが応募しやすくなります。条件が具体的であるほど、合わない応募が減り、選定の手間も小さくなります。
応募者をペルソナ基準で比較する
応募が集まったら、フォロワー属性、過去の投稿テーマ、発信スタイルを、手順4で書き出した3つの条件に照らして比較します。フォロワー数の大小だけで選ばず、ペルソナとの重なりと、訴求軸を自分の体験として語れそうかを優先してください。施策の企画段階で全体像を整理したい場合は、インフルエンサー施策の企画書の作り方と必須項目11点もあわせてご覧ください。
小さく試して当たりのペルソナを見つける
ペルソナや訴求軸に確信が持てない場合は、少人数のマイクロ層で複数の訴求軸を試し、反応の良かった組み合わせに予算を寄せる進め方が有効です。Bloomは初期費用0円、月額3万円(税別)から利用できるため(2026年10月時点の料金です)、いきなり大型の施策を組まずに、仮説を検証しながら規模を広げられます。検証で当たったペルソナと訴求軸は、次の施策や広告のクリエイティブにも転用できる資産になります。
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