「インフルエンサーマーケティングは効果ない」「意味ない」と社内で言われた時や、自社の施策で手応えがなかった時に、続けるか止めるかを判断するための記事です。先に結論を書くと、手法そのものが効かないのではなく、目的・人選・導線・計測のどこかが欠けた施策で成果が見えなくなっている場合が多くあります。この記事では、実施企業の調査データで実態を確かめたうえで、「効果がない」と「測れていないだけ」を切り分ける診断表、評価の期間、費用対効果の試算、撤退の判断、社内での説明の仕方までを順に整理します。数字は2026年11月時点で確認できた公開情報で、出典と調査時期を添えています。
この記事の要点
- インフルエンサーマーケティングは条件つきで効果がある施策です。実施企業の担当者102名の調査(2025年5月)では、成果を「大いに感じた」「ある程度感じた」が合計79.4%、「あまり感じなかった」「全く感じなかった」が合計20.6%でした。
- 「効果がない」には、測れていない、評価が早い、目的と指標がずれている、打ち手が効いていない、の4つの状態があります。止める判断ができるのは4つ目だけです。
- 売上や来店は投稿の反応より遅れて動きます。1か月で回収を求めると、順調な施策でも効果がないと判定しやすくなります。
- 同じ施策でも、評価の範囲で赤字にも黒字にも見えます。開始前に、総費用・評価の範囲・撤退ラインを決めておきます。
- 判断には複数の人を試して人ごとに測ることが必要です。依頼先は、この検証を回せるかで選びます。
効果がないと言われる場面の整理
インフルエンサーマーケティングは手法として効果がないわけではなく、条件がそろわないと成果が出ない、または見えなくなる施策です。インフルエンサーマーケティングとは、企業がSNSで発信力を持つ個人に依頼し、広告であることを明示した投稿で商品やサービスを紹介してもらう施策です。テレビCMや検索広告のように出稿量と結果が比例しやすい手法ではないため、同じ予算でも結果に差が出ます。この差が「効果がない」「意味ない」という声につながります。
結論は条件つきで効果がある
効果が出る条件は、目的が1つに絞られていること、商材と合う人を複数試していること、投稿の後に買う場所や調べる場所があること、結果を人ごとに測っていることの4つです。逆に、どれかが欠けると成果が出ないか、出ていても確かめられません。効果は認知・想起の向上、SNSからの集客、売上への寄与の順に広がるため、どの段階を狙う施策なのかで評価の仕方も変わります。
「効果がない」には4つの意味がある
社内で「効果がなかった」と言われる時、指している内容は次の4つに分かれます。この4つは打つ手が違うため、まとめて議論すると判断を誤ります。
- 測れていない:売上につながったかを確かめる仕組みがなく、分からないだけの状態です。
- 評価が早い:投稿の反応は出ているものの、売上が動く前に判定している状態です。
- 目的と指標がずれている:認知を狙った施策を売上で評価している、または売上を狙った施策をいいね数で報告している状態です。
- 打ち手が効いていない:計測も期間も足りているのに、人選や企画、導線、商材のどこかが合わず、数字が動かない状態です。
切り分けの手順は後の節で表にしています。その前に、実施した企業がどの程度の成果を感じているのかをデータで確かめます。
データで見る効果の実態
実施企業の担当者の約8割は成果を感じており、約2割は感じていません。つまり「全く効かない手法」とも「やれば必ず効く手法」とも言えないのが、公開データから読み取れる実態です。
担当者の成果実感と課題の数字
hotice株式会社「102社が明かす!インフルエンサーマーケティング成功の“リアル”戦略と課題」によると、施策を実施した国内企業のマーケティング担当者102名(2025年5月調査)のうち、成果を「大いに感じた」が28.4%、「ある程度感じた」が51.0%でした。一方で、「あまり感じなかった」が18.6%、「全く感じなかった」が2.0%あり、5人に1人は成果を感じていません。課題の面では、株式会社PLAN-B「インフルエンサーマーケティングの実施状況に関する調査」(2025年2〜3月・担当者160名)で「効果測定が難しい」が40.0%と最も多く、「成果が予測しづらい」が39.4%で続きました。
| 調査(時期・対象) | 分かること | 主な数字 | 読む時の注意 |
|---|---|---|---|
| hotice/実施 RASA JAPAN(2025年5月・実施企業の担当者102名) | 成果の実感 | 感じた合計79.4%、感じなかった合計20.6% | 自己評価で、売上の証明ではありません。回答者はIT・通信が27.5%で最多です |
| PLAN-B(2025年2〜3月・担当者160名) | 実施時の課題 | 効果測定が難しい40.0%、成果が予測しづらい39.4% | 複数回答です。調査元はサービス提供会社です |
| Influencer Marketing Hub(2026年版・600超の回答) | 予算と回収の期待 | 予算を増やす87.49%、減らす5.55%、1か月以内の回収を期待65.9% | 日本に限らない調査です。予算の見通しは効果の証明ではありません |
| サイバー・バズ/デジタルインファクト(2024年11月発表) | 国内の市場規模 | 2024年860億円、2029年1,645億円(予測) | 支出額の推計で、広告主の成果を示す数字ではありません |
市場と予算の動き
国内市場は2024年に860億円(前年比116%)と見込まれ、2029年には1,645億円に達すると予測されています(出典:サイバー・バズ/デジタルインファクト調べ、2024年11月発表)。海外でも、Influencer Marketing Hub「Influencer Marketing Benchmark Report 2026」で87.49%の回答者が予算を増やすと答え、減らすとの回答は5.55%でした。効果が全くないなら、これほどの支出は続きにくいと考えられます。ただし、市場が伸びていることは自社の施策が効くことを意味しません。市場データは、社内で「世の中の流れ」を説明する材料にとどめ、成果の根拠には自社の数字を使います。
数字を読む時の注意
公開されている調査の多くは、実施した担当者の自己評価か、サービスを提供する会社の調査です。「効果があった」と答えやすい立場の人が回答している可能性を差し引いて読む必要があります。学術研究では、Journal of Marketing の研究(Leungほか、2022年)が、支出を1%増やすとエンゲージメントが0.457%増えると報告しています。これは支出に見合った反応が得られることを示す一方で、測っているのはエンゲージメントであり、売上ではありません。消費者側の数字も同様で、株式会社LeveL.L の調査(2026年3月・945人)では発信をきっかけに購入した経験が「ある」46.7%、「ない」53.3%でした。経験の有無であり、施策の投資対効果までは分かりません。
効果がないと言われる原因
効果がないと言われる原因の多くは、発注する側で変えられる設計と運用の問題です。上位の解説記事が挙げる理由を整理すると、目的と導線、人選、運用と計測の3つにまとまります。
目的・KPI・導線の設計不足
最も多いのは、認知と購買を同じ施策に求めてしまうケースです。認知を広げる投稿で翌週の売上を期待すると、効果がないという評価になります。また、投稿を見た人が次に何をするかを決めていない施策も成果が出ません。商品名で検索した時に公式サイトやECの商品ページが上位に出ない、投稿のリンク先がトップページで買う場所まで遠い、といった状態では、興味を持った人が途中で離れます。目的を1つに絞り、投稿の後の行動まで決めてから依頼します。
フォロワー数に偏った人選と偽フォロワー
フォロワー数だけで選ぶと、フォロワーの層が商材と合わないまま費用だけがかかります。HypeAuditor「State of Influencer Marketing 2023」(Shopify の記事より)では、エンゲージメント率がナノ(5,000フォロワー未満)の2.53%に対し、メガは0.92%でした。一方で、前述のJournal of Marketingの研究では、フォロワーが多いほど施策の効果は大きく、フォロワーとブランドの適合度は高すぎても低すぎても効果が下がる逆U字の関係でした。率と到達量は別の話であり、「大きい人はだめ」「小さい人がよい」と決めつけず、目的に合う規模を選びます。偽フォロワーも現実の問題で、Influencer Marketing Hubの2026年版レポートでは不正・品質の問題として報告された内容の56.5%を偽フォロワーやbotが占めました。
参考記事:フェイクフォロワーの見分け方と選定でのチェック手順
丸投げ・単発・投稿で終わる運用
依頼して投稿を待つだけの運用も、効果が出ない原因になります。hoticeの調査では、課題として「商品の理解不足のまま発信された」が42.9%でした。商品の特徴や訴求の優先順位を渡さず、投稿の確認もしなければ、内容が商材に合わないまま公開されます。また、1人に1回だけ依頼する単発の施策では、結果がよくても悪くても理由が分かりません。投稿を広告やサイトに二次利用する発想も重要で、PLAN-Bの調査では経験者が61.3%でした。経験者の回答では、効果として「新たな訴求軸や活用法の発掘」52.0%、「コンバージョン率の向上」33.7%が挙がっています。
| 原因 | 現場で起きること | 発注側で直す点 |
|---|---|---|
| 目的が複数ある | 報告のたびに評価の軸が変わる | 1施策に目的を1つ、KPIも1つに絞る |
| 導線がない | 反応はあるが売上や問い合わせが増えない | 投稿の後の検索・EC・店舗の受け皿を整える |
| 層が合わない | 再生数は多いが保存や購入が少ない | フォロワーの年代・性別・関心を確認して選ぶ |
| 不正なアカウント | フォロワーに対して反応が不自然に少ない | 増え方とコメントの中身を確かめる |
| 丸投げ | 訴求がずれ、修正もできない | 商品情報と必須事項を渡し、公開前に確認する |
| 単発で終わる | 結果の理由が分からず次に生かせない | 複数人・複数回を前提に予算を組む |
| 測っていない | 売上への影響が説明できない | 開始前に人ごとの計測手段を決める |
参考記事:インフルエンサーマーケティングの失敗例10パターンと回避策
効果がないのか測れていないのかの切り分け
判断の前にやることは、本当に効果がないのか、測れていないだけなのかを分けることです。「効果測定が難しい」が課題の最上位である以上、数字がないまま「効果がない」と結論づけている施策は少なくないと考えられます。
4つの状態を見分ける診断表
次の表の上から順に確かめます。上の行に当てはまる間は、止めるか続けるかの結論を出すにはまだ早い状態です。
| 状態 | 見分け方 | まず確かめること | 次の判断 |
|---|---|---|---|
| 測れていない | 人ごとの売上や流入が出せない | 計測リンク、クーポン、購入者アンケートの有無 | 計測を入れて、小さくやり直す |
| 評価が早い | 反応は出ているが開始から1〜2か月以内 | 商材の検討期間、指名検索の動き | 評価の時期を延ばし、中間指標で見る |
| 目的と指標がずれている | 認知目的を売上で評価している、またはその逆 | 開始時の目的と報告の指標 | 目的を決め直し、指標をそろえる |
| 打ち手が効いていない | 計測も期間も足りているのに中間指標も動かない | 人選・企画・導線・商材のどこが弱いか | 1つずつ変えて検証し、改善しなければ縮小・撤退 |
「効果がない」と報告する前の確認
- 人ごとの売上や流入の数字はありますか。なければ「測れていない」状態です。
- 開始から何か月たっていますか。商材の検討期間より短ければ「評価が早い」状態です。
- 開始時の目的と、報告している指標は同じですか。違えば「ずれている」状態です。
売上につなげる計測の手段
売上への影響は、1つの手段では捉えきれないため、直接の計測と間接の確認を組み合わせます。Influencer Marketing Hubの2026年版レポートでは、計測手段としてクーポンなどのコードが45.9%、アフィリエイトリンクが26.0%、SNS内のショップ機能が25.0%でした。リンクやコードで測れるのは、その場で行動した人だけです。投稿を見て数日後に検索して買った人は漏れるため、購入時のアンケートで「何で知ったか」を聞く方法や、指名検索の増減を見る方法を足します。予算が大きい場合は、配信する地域や期間を分けて売上の差を比べる方法や、マーケティング・ミックス・モデリングで他の広告と並べて推定する方法もあります。
| 手段 | 分かること | 漏れるもの | 向く規模 |
|---|---|---|---|
| 人ごとの計測リンク | クリック、購入、売上 | 後から検索して買った人 | 小規模から |
| 人ごとのクーポン | EC・店舗での利用数 | クーポンを使わなかった人 | 小規模から |
| 購入者アンケート | 知ったきっかけ | 回答しなかった人、記憶違い | 小規模から |
| 指名検索の推移 | 関心の高まり | 他の施策の影響と区別しにくい | 中規模から |
| 地域・期間を分けた比較 | 施策の有無による売上の差 | 比べる条件をそろえる手間がかかる | 中〜大規模 |
| マーケティング・ミックス・モデリング | 他の広告と並べた貢献度の推定 | 十分な期間のデータが必要 | 大規模 |
売上以外の効果の数え方
売上だけで評価すると、投稿の二次利用や指名検索の増加など、別の形で残る価値を落とします。認知が目的なら1リーチあたりの費用と指名検索数を、素材の確保が目的なら広告に使える投稿の本数とその広告の成果を測ります。これらは開始前に目的として決めておいた場合にだけ、評価に入れます。売上が出なかった後で「認知には貢献した」と言い換えると、社内の信頼を失います。
株式会社ハーマンドットのサービス
人ごとに測りながら、複数人を試して効果を確かめる選択肢:Bloom
- AIで進行を自動化:応募への返信・初稿と投稿のチェック・リマインド・インサイトの回収をAIが代行し、判断が要るものだけ担当者に回します
- AIがPDCAまで回す:実施結果から効果の高かった投稿を分析し、その分析をもとにインフルエンサーごとに投稿の作成指示・修正指示を出します
- ASPを丸ごと内蔵:インフルエンサーごとの計測リンクでクリック・購入・売上を人ごとに計測します。成果計測ツールの別契約は要らず、他社ツールとの連携もできます
「効果があったのか分からない」の原因になりやすい、集計と確認の作業をAIとASPが受け持ちます。社内に残る作業の中心は、案件の作成と起用する人の判断になります。
審査済みのインフルエンサー30,000人・採用数は無制限・料金は月額30,000円(税別)から
効果が出るまでの期間
売上や来店の成果が見え始めるのは、1〜3か月後が目安です。投稿の反応は数日で出ますが、購入はそれより遅れて動くため、見切りが早いと順調な施策まで「効果がない」と判定します。ここで示す期間は統計値ではなく、媒体の仕様と購買行動から本メディアが整理した目安です。
回収の期待が短すぎる問題
Influencer Marketing Hubの2026年版レポートでは、回答者の65.9%が1か月以内の回収を期待し、そのうち2週間以内と答えた人が48.4%でした。短期の回収を前提にしている会社が多いことが分かります。しかし、人に勧められた商品をその場で買うとは限りません。継続して複数の投稿に触れてから買う人もいるため、回収の期間を短く置くほど、未達と判定されやすくなります。期間の見通しは開始前に社内で合意しておきます。
指標が動く順番
指標は、投稿の反応、関心の行動、売上の順に動きます。時期ごとに判断できることを分けておくと、早い段階で売上だけを見て止める失敗を防げます。
| 時期の目安 | 主に動く指標 | この時点で判断できること | まだ判断できないこと |
|---|---|---|---|
| 投稿後72時間 | 再生数、リーチ、保存、コメント | 投稿の出来、訴求との相性 | 売上への貢献 |
| 1〜4週間 | 指名検索、サイト流入、クーポン取得 | 関心が行動に変わっているか | 検討期間の長い商材の成約 |
| 1〜3か月 | 購入、申込、来店、問い合わせ | 費用対効果の初期評価 | ブランドへの中長期の影響 |
| 3〜6か月 | 指名検索の水準、認知、UGCの量 | 継続・拡大・縮小の判断 | 単発の施策では材料が不足しがちです |
商材で変わる検討期間
検討期間が長い商材ほど、成果の確認は遅くなります。食品や日用品、低価格の化粧品は数日〜2週間で購入が見え始める一方、住宅やBtoBの高額商材は成約までに3〜6か月以上かかることがあります。後者では成約数ではなく、資料請求や指名検索を途中の指標にします。媒体でも差があり、Instagramのストーリーズは表示が24時間で終わるのに対し、YouTubeの長尺動画は検索や関連動画から数か月以上見られ続ける傾向があります。
参考記事:インフルエンサー施策で成果が出るまでの期間と評価の目安
費用対効果の判定方法
費用対効果は、総費用と粗利を並べ、損益分岐のROASと比べて判定します。ここで評価の範囲を決めないと、同じ結果を見て「赤字」と言う人と「黒字」と言う人に分かれます。コストの高さを理由に効果がないと言われる場合も、まずこの計算で確かめます。
総費用に入れる項目
総費用には、インフルエンサーへの報酬だけでなく、関連する費用をすべて入れます。入れ忘れると、黒字に見えた施策が実は赤字ということが起こります。hoticeの調査では、起用予算が50万円未満の施策が全体の約56%でした。起用予算だけで評価せず、工数まで含めた総額で見ます。
- インフルエンサーへの報酬
- 商品の原価と送料(商品提供の場合)
- 代理店や会社への手数料、プラットフォームの利用料
- 投稿を広告として配信する費用
- 担当者の工数(確認、連絡、集計の時間を金額に換算)
損益分岐ROASの計算
損益分岐のROASは、1÷粗利率×100で求めます。粗利率が40%なら250%で、売上が総費用の2.5倍になると損益が釣り合います。粗利率が20%の商材では500%が必要になるため、粗利の低い商材ほど売上だけで回収するのは難しくなります。これは、施策の出来とは別に、商材の条件によって効果がないと評価されやすいことを示しています。
評価の範囲で変わる試算
次の表は仮の数字で計算した例で、実績ではありません。総費用50万円、客単価6,000円、粗利率40%とし、再購入の回数も仮に置いています。
| 評価の範囲(仮の数字) | 購入回数 | 売上 | 粗利 | ROAS | ROI |
|---|---|---|---|---|---|
| 計測リンク経由の初回購入だけ | 100回 | 60万円 | 24万円 | 120% | −52.0% |
| クーポンとアンケートで確認した40人を足す | 140回 | 84万円 | 33.6万円 | 168% | −32.8% |
| 140人が12か月で合計3回購入した場合 | 420回 | 252万円 | 100.8万円 | 504% | +101.6% |
同じ施策でも、見る範囲によって結論が逆になります。再購入が見込めない商材で3行目を使うと過大評価になるため、自社の購買データで確かめた再購入率だけを使います。どの範囲で評価するかは、開始前に決めて社内で共有します。ROIの計算方法は下の記事で、費用の組み立て方は料金比較の記事で詳しく説明しています。
参考記事:インフルエンサーマーケティングのROIと費用対効果の測り方
参考記事:インフルエンサーマーケティングの料金体系を比較|キャスティング手数料と総額の試算
検証しやすい依頼先とBloomの使いどころ
効果を確かめたい段階の依頼先は、複数の人を試して人ごとに測れるかで選びます。1人の結果では、人選が悪かったのか商材が合わないのかを判断できないためです。
依頼先ごとの検証のしやすさ
依頼先によって、費用の形と計測の持ち方が違います。次の表は2026年11月時点の一般的な形を整理したもので、実際の条件は各社の公式情報と見積もりで確かめてください。
| 依頼先 | 費用の形 | 検証の回しやすさ | 計測の持ち方 | 向く状態 |
|---|---|---|---|---|
| 総合・専業の代理店 | 見積もりが中心 | 企画から任せられる一方、1回の単位が大きくなりやすい | 代理店の報告(範囲は契約で確認) | 社内に担当者がおらず、企画から任せたい |
| キャスティング会社 | フォロワー単価や1人あたりの料金が多い | 人数を増やすほど費用が増える | 契約ごとに異なる | 起用したい人が決まっている |
| プラットフォーム(例:Bloom) | 月額定額など、サービスごとに異なる | Bloomは商品提供なら月額だけで何人でも起用できる | Bloomは人ごとの計測リンクで自社で確認できる | 自社で人を選び、複数人で試したい |
| 直接依頼(内製) | 報酬を個別に交渉 | 交渉と確認の工数が人数分かかる | 自社で仕組みを用意する | 少人数と深く組みたい |
参考記事:インフルエンサーマーケティングプラットフォーム17社を比較|選び方と料金
参考記事:インフルエンサーマーケティング会社・代理店25社を比較|大手・キャスティング・内製化支援
Bloomで検証する場合
Bloomは、審査済みインフルエンサー30,000人に自社から依頼できるマッチングプラットフォームで、料金は月額30,000円(税別)から、採用数は無制限です。商品提供なら月額だけで何人でも起用できるため、1人に絞らず複数人を試して、結果を比べる使い方ができます。商品の原価と送料は別に見込んでください。インフルエンサーに現金の報酬を支払う案件は、月額料金とは別にプラットフォーム手数料がかかります(商品提供のみのギフティング案件は対象外)。
検証に関わる機能は3つあります。応募への返信や投稿のチェック、リマインドをAIで自動化できること、実施結果からAIが効果の高かった投稿を分析して次の投稿の指示まで回すこと、インフルエンサーごとの計測リンクでクリック・購入・売上を測るASPを内蔵していることです。料金の詳細はBloomの料金で確認できます。
Bloomが合わない企業
Bloomは自社で案件を作り、起用する人を判断する形のサービスです。そのため、企画から進行までを丸ごと任せたい企業には代理店のほうが合います。1案件だけ単発で実施したい企業や、インフルエンサーのデータベース分析だけを使いたい企業にも向きません。特定の著名人を起用したい場合も、キャスティング会社のほうが適しています。
効果が出やすい商材と公開事例
効果が出やすいのは、使っている様子を見せられ、検討期間が短めで、フォロワーの関心と重なる商材です。これは上位の解説記事や本メディアの整理による一般的な傾向で、統計ではありません。
効果が出やすい商材と出にくい商材
コスメ、食品、アパレル、ガジェットのように、見た目や使用感を投稿で伝えられる商材は向いています。一方で、説明に専門知識が必要な商材、広告の表現に法令上の制約が強い商材、粗利が低く単発の購入で終わる商材は、売上だけで回収するのが難しくなります。ただし、出にくい商材でも目的を変えれば使える場合があります。BtoBの商材であれば、売上ではなく採用や認知、資料請求を目的に置く方法があります。
| 商材の特徴 | 例 | 置きやすい目的 | 注意点 |
|---|---|---|---|
| 見た目・使用感で伝わる | コスメ、食品、アパレル | 購入、UGCの獲得 | 競合の投稿が多く、埋もれやすい |
| 場所に来てもらう | 飲食、美容室、宿泊 | 来店、予約 | 地域とフォロワーの居住地を確かめる |
| 検討期間が長い | 住宅、BtoB、教育 | 指名検索、資料請求 | 成約での評価には時間がかかる |
| 表現に制約がある | 健康食品、医療関連 | 認知、理解 | 表示の法令を事前に確認する |
味の素とケイトの公開事例
公開情報で数字を確かめられる例として、次の2件があります。どちらも本メディアやBloomが関わった事例ではありません。
| 事例 | 行ったこと | 公開されている数字 | 出典 |
|---|---|---|---|
| 味の素「味の素」 | 料理研究家のリュウジ氏(2019年当時Twitterフォロワー約5万人)の自発的な発信をきっかけに、同社もレシピを作り、同氏のYouTubeとXで発信 | 若年単身層の100人あたり購入金額が2023年時点で10年前の3倍以上。「味覚がおかしくなる」と考える人は2018年13%から2025年8.2%へ | マネーポストWEB(2026年6月14日) |
| カネボウ化粧品「ケイト」リップモンスター | 発売日から人気TikTokクリエイターの動画を投稿し、ブランドエフェクトと、動画を広告配信するSpark Adsを組み合わせ | 発売1週間のセルフメイク口紅市場シェア50%超(2021年5月3〜9日、インテージSRI+調べ)。エフェクト利用動画の総再生約460万回(2021年5月1〜6日) | WWDJAPAN(2022年6月20日・PR表記の記事) |
事例の読み方
事例から読み取るべきなのは、数字の大きさより条件です。味の素の例は当初依頼によるものではなく、同社のマネージャーが潮目の変化として同氏の影響を挙げた発言で、因果関係を数字で証明したものではありません。フォロワー数が大きくなくても、商品への本気の関心がある人の発信が起点になり得ることを示す例として読めます。ケイトの例は、発売前の口コミ施策や広告配信も組み合わせており、インフルエンサーの投稿だけの成果ではありません。また、大手の大型商品の結果であり、同じ数字を中小企業の予算で期待するのは現実的ではありません。社内資料で引用する時は、この前提も添えます。
継続・縮小・撤退の判断と社内への説明
継続か撤退かは、開始前に決めた指標と閾値で判定します。担当者の感覚や、声の大きい人の印象で決めないためです。
3段階の判断
判断は、継続、縮小・改善、撤退の3段階で行います。目標に届かなかった時に、すぐ撤退とせず、まず改善の余地があるかを確かめます。撤退ラインは目標値とは別に置き、次の表の例では目標値の50〜70%程度を2〜3サイクル連続で下回った時に発動する形にしています。数字は本メディアの想定例なので、自社の許容獲得単価から置き直してください。
| 判断 | 状態の目安 | 予算と体制 | 次の動き |
|---|---|---|---|
| 継続 | 主要な指標が目標以上、または改善が続いている | 維持、成果に応じて増額 | 成果の出た人選と企画を広げる |
| 縮小・改善 | 目標未満だが撤退ラインは上回っている | 人数や予算を絞る | 原因の仮説を1つずつ検証する |
| 撤退 | 撤退ラインを連続で下回り、改善策でも回復しない | 停止し、他の施策へ再配分 | 契約、PR表記の残る投稿、二次利用の期限を整理する |
開始前に決めておく4項目
- 判定に使う指標(1つ)
- 目標値と撤退ライン
- 評価の時期(中間と最終)
- 最終的に判断する人
撤退の前の切り分け
撤退を決める前に、原因が人選、企画、導線、商材、外部要因のどこにあるかを分けます。特に計測の不備は最初に疑います。リンクの設定漏れやクーポンの集計漏れがあれば、数字そのものが信用できません。次に、季節要因や競合の大型施策など、一時的な落ち込みでないかを確かめます。それでも複数の人と訴求を試して動かないなら、商材とこの手法の相性が悪いと判断し、撤退して予算を他の施策に移します。撤退は失敗ではなく、確かめた結果としての予算の再配分です。
参考記事:インフルエンサー施策の撤退判断基準と見直し手順の作り方
社内の反論への答え方
社内の反論には、感想ではなく数字と手順で答えます。よくある反論と、答え方の例は次のとおりです。
| 言われること | 答え方 | 添える材料 |
|---|---|---|
| 効果がないと聞いた | 実施者の約8割は成果を感じ、約2割は感じていません。差は条件にあります | hoticeの調査、この記事の診断表 |
| 売上に効いたか分からない | 測れる分と測れない分を分けて報告します。測れる分だけで判定する基準も決めます | 人ごとの計測リンク、アンケート |
| 費用が高い | まず小さく試します。実施企業の調査でも、起用予算50万円未満の施策が約56%です | 損益分岐ROAS、総費用の内訳 |
| 1か月で回収できないなら止める | 売上の評価は1〜3か月後です。途中は中間指標で進み具合を見ます | 指標が動く順番の表 |
| 広告のほうが確実だ | 同じ指標で比べます。投稿を広告素材に使う組み合わせも試します | 獲得単価の比較、二次利用の結果 |
| 炎上やステマが心配だ | PR表記と公開前の確認を手順に入れます | 消費者庁のQ&A、確認の手順書 |
問題点・デメリットと今後の見通し
主な問題点は、成果の予測のしにくさ、投稿内容の管理のしにくさ、費用の高騰、不正なアカウント、法令上のリスクの5つです。いずれも、始める前に対策を決めておけば小さくできます。
問題点とデメリット
PLAN-Bの調査では、「成果が予測しづらい」が39.4%、「発信される情報のコントロールが難しい」が31.3%、「自社に適したインフルエンサーを探すのが難しい」が30.0%でした。また、Influencer Marketing Hubの2026年版では「クリエイター費用の高騰」が35.4%で、最も多い課題でした。投稿者の言葉で語ってもらう手法である以上、広告のように表現を完全に統制することはできません。必須事項とNG事項を渡し、公開前に確認する運用で、この弱点を補います。
ステルスマーケティングが禁止される理由
ステルスマーケティングが禁止されるのは、広告と分からない表示が消費者の合理的な選択を妨げるためです。消費者庁の説明ページによると、消費者は広告にはある程度の誇張があると考えて商品を選んでいますが、広告と分からないと第三者の感想と誤って認識してしまいます。2023年10月1日から景品表示法違反となり、規制の対象はインフルエンサーではなく広告主である事業者です(消費者庁のQ&A)。実際に、医療法人社団祐真会(2024年6月6日)と大正製薬株式会社(2024年11月13日)に措置命令が出ています。商品提供だけの依頼でも、事業者が投稿内容に関与すれば対象になり得ます。効果の議論以前の前提として、広告であることを明示する手順を整えます。
参考記事:ステマ規制とは?景表法対応と#PR表記の実務ガイド
今後の見通し
市場は拡大が続くと予測されており、効果の説明責任はより強く求められていきます。サイバー・バズ/デジタルインファクトの2024年11月の発表では、インフルエンサーマーケティングのうち縦型ショート動画の分は2024年の246億円から2029年に636億円へ増える予測です。出稿する企業が増えれば投稿は埋もれやすくなり、クリエイター費用も上がりやすくなります。そのため今後は、話題になったかどうかより、人ごとに測って予算を配り直す運用を続けられるかが差になると考えられます。
ここまでの確認で「測れていない」「評価が早い」に当てはまったなら、止める前に計測と評価期間を整えて、小さくやり直すことをおすすめします。依頼先を見直す場合は、料金比較とプラットフォーム比較の記事で候補を絞り、複数人を試せる条件を確かめてください。Bloomの費用は料金ページで確認できます。
本メディアは、審査制インフルエンサー30,000人のマッチングプラットフォーム『Bloom』(株式会社ハーマンドット)が運営しています。