食品スーパーの集客は、新しいお客様を呼び込むことよりも、すでに商圏に住んでいるお客様に「今週もう1回来てもらう」ことで売上が大きく変わる業態です。折込チラシの部数が減り、特売情報をアプリやSNSで確認する人が増えるなかで、生活者に近い立場で献立や買い物のコツを発信するインフルエンサーは、チラシに代わる新しい接点になりつつあります。この記事では、食品スーパーの販促担当者や店舗運営の責任者に向けて、来店頻度を上げるためのインフルエンサー活用法を、起用先の選び方、PB商品の訴求、チラシとの予算配分、来店の計測方法まで実務の順番で解説します。

この記事の要点

  • 食品スーパーの集客で成果に直結するのは、新規来店よりも既存客の「来店頻度」と「買い上げ点数」です。インフルエンサーは、献立・時短・節約といった毎日の買い物の判断に入り込める点が強みです。
  • 起用先は、フォロワー数よりも「商圏内に住むフォロワーの多さ」と「献立・作り置き・時短料理の発信実績」で選びます。ナノ・マイクロ層を複数人起用するのが基本です。
  • PB商品は価格の安さではなく「この料理がこの手間で作れる」という使い方の文脈で紹介してもらうと、来店時の指名買いにつながりやすくなります。
  • チラシは特売の告知、インフルエンサーは献立の提案と使い分け、いきなり置き換えずに商圏の一部で併用テストをしてから予算を動かします。
  • 来店の計測は、専用クーポン、POSの対象商品の売上、アプリ会員の利用データを組み合わせて行い、投稿前後と未実施店舗とを比べます。

食品スーパーの集客構造とインフルエンサー活用の位置づけ

食品スーパーのインフルエンサー活用は、新規客の獲得よりも、商圏内の既存客の来店頻度と買い上げ点数を上げるための施策として位置づけるのが効果的です。食品スーパーの集客とは、店舗から一定の距離に住む生活者に対して、日々の食材購入の行き先として自店を選んでもらい、その回数と1回あたりの購入額を増やしていく活動のことです。家電量販店や家具店のように一度きりの大きな買い物ではなく、週に何度も繰り返される小さな買い物の積み重ねで売上が決まるため、「来店頻度×客単価×商圏内の顧客数」という構造で考えると打ち手を整理しやすくなります。

売上を分解すると見える3つのレバー

食品スーパーの売上は、商圏内の顧客数、1人あたりの来店頻度、1回あたりの客単価の3つに分けて考えられます。商圏内の顧客数は立地と競合店の配置で大きく決まるため、販促だけで大きく増やすのは簡単ではありません。一方で、来店頻度と客単価は、献立の提案や新商品の紹介、季節の売場づくりによって動かしやすいレバーです。インフルエンサー施策はこの2つのレバーに効く施策として設計すると、投資の目的がはっきりします。

他の販促手段との役割の違い

食品スーパーの主な販促手段には、折込チラシ、アプリやLINEのクーポン、店頭のPOP、自社SNSなどがあります。チラシやクーポンは「何がいくら安いか」を伝えるのが得意で、価格に敏感なお客様の来店を促します。インフルエンサーは「何をどう作るか」という使い方や献立の文脈を伝えるのが得意で、価格以外の理由で来店してもらうきっかけを作れます。両者は競合するものではなく、伝える内容が違う補完関係にあります。

販促手段得意な情報主に動かすレバー弱み
折込チラシ特売価格・日替わり情報来店頻度(特売日)購読世帯の減少で届く範囲が縮小
アプリ・LINEクーポン会員向けの割引・ポイント来店頻度・再来店会員以外には届かない
店頭POP・売場その場での使い方・おすすめ客単価(ついで買い)来店した人にしか届かない
自社SNS店舗ニュース・入荷情報来店頻度フォロワーが既存客に偏りやすい
インフルエンサー献立・時短・使い方の文脈来店頻度・客単価・指名買い効果の計測に設計が必要

食品メーカーや産地PRとの違い

同じ食品分野でも、メーカーが自社商品の認知を広げる施策や、産地が農産物のブランドを伝える施策とは、ゴールが異なります。メーカーや産地は「どの店で買ってもよいから商品を選んでもらう」ことを目指しますが、食品スーパーは「どの商品を買うにしても自店に来てもらう」ことを目指します。そのため、投稿には商品だけでなく、店舗名、売場の様子、買い物のしやすさといった「この店で買う理由」を必ず含めてもらう必要があります。メーカー側の考え方は食品・飲料ブランドのインフルエンサー活用事例と勝ち筋で詳しく解説しています。

来店頻度を上げるために発信で狙う3つの接点

来店頻度を上げるために発信で狙うべき接点は、「献立を決めるとき」「買い物リストを作るとき」「売場で迷ったとき」の3つです。生活者の多くは、夕方に冷蔵庫を開けてから何を作るかを考えたり、週末にまとめ買いの計画を立てたりしています。この判断の瞬間に自店の商品や売場が頭に浮かぶ状態を作れれば、来店の回数は自然と増えていきます。

献立を決める瞬間に入り込む

最も影響力が大きいのは、献立を決める瞬間です。「今日の夕飯どうしよう」と考えるときに、InstagramやTikTokで作り置きや時短レシピを検索する人は少なくありません。その場面で、近所のスーパーで買える食材を使ったレシピが目に入れば、「帰りにあの店で買っていこう」という行動につながります。インフルエンサーの投稿を、献立の候補として保存してもらえる内容にすることが重要です。

買い物リストに自店の商品を載せる

2つ目の接点は、買い物リストを作るときです。週末のまとめ買いや作り置きの準備では、必要な食材を事前にリスト化する人が多くいます。インフルエンサーに「1週間分の作り置きで買ったもの」のような形で、自店で購入した食材の一覧を紹介してもらうと、視聴者はそのままリストとして活用できます。保存されやすい形式にしておくと、投稿から時間がたっても来店のきっかけとして働き続けます。

売場で迷ったときの後押しをする

3つ目は、売場で商品を選ぶときです。新しく導入した惣菜や調味料、PB商品などは、手に取ってもらうまでのハードルが高い商品です。インフルエンサーの投稿で見たことがある商品は、売場で目に入ったときに「あの人が使っていたもの」として選ばれやすくなります。投稿に登場した商品を売場のPOPで紹介すると、オンラインの接点と店頭の接点がつながり、指名買いを後押しできます。

「保存される投稿」を目標にする

食品スーパーの施策では、いいね数よりも保存数を重視するのがおすすめです。献立や買い物リストの投稿は、見た瞬間ではなく「作るとき」「買い物に行くとき」に見返されることで来店につながるからです。依頼時には、レシピの手順や購入品の一覧を画像内にまとめるなど、保存したくなる構成を具体的に伝えておきます。

献立・時短文脈に合う起用先の選び方

食品スーパーの施策に合う起用先は、フォロワー数の大きさではなく、献立・作り置き・時短料理・節約の発信を日常的に続けている人です。料理系インフルエンサーにもさまざまなタイプがあり、本格的なレシピを紹介する人、子育て家庭の夕食を発信する人、一人暮らしの節約自炊を発信する人では、フォロワーの買い物行動が大きく異なります。自店の主要な客層に近いフォロワーを持つ人を選ぶことが出発点です。

発信タイプ別の向き不向き

次の表は、料理・暮らし系インフルエンサーの主な発信タイプと、食品スーパーの施策との相性を整理したものです。どのタイプが合うかは、自店の客層と施策の目的によって変わります。

発信タイプフォロワーの傾向相性のよい施策注意点
作り置き・まとめ買い共働き世帯・子育て世帯週末の来店・まとめ買いの客単価向上購入量が多く見えるため価格表示に配慮
時短・10分レシピ平日夜に料理する層平日夕方の来店・惣菜や合わせ調味料手抜きと受け取られない表現にする
節約・家計管理価格に敏感な層PB商品・特売との連動安さだけの訴求になりやすい
子どものごはん・お弁当未就学児〜小学生の親朝食・お弁当食材・冷凍食品アレルギーなどの表現に配慮
本格料理・食材こだわり料理好き・中高価格帯志向鮮魚・精肉・こだわり商品の訴求日常の来店頻度には効きにくい

主婦・主夫層の発信者を起用するときの視点

食品スーパーの主要な客層である家庭の料理担当者に届けたい場合は、同じ立場で発信している主婦・主夫層のインフルエンサーが有力な候補になります。こうした発信者は、日々の買い物の悩みや工夫を共有しているため、フォロワーとの距離が近く、紹介した商品や店舗が「自分ごと」として受け取られやすい傾向があります。子育て中の発信者に依頼する場合は、撮影日程や子どもの映り込みへの配慮が必要になるため、ママインフルエンサー起用の選び方と費用・依頼の配慮点もあわせて確認しておくと安心です。

ナノ・マイクロ層を複数人起用する理由

食品スーパーの施策では、数十万人規模の有名インフルエンサーを1人起用するよりも、フォロワー数千人から数万人のナノ・マイクロ層を複数人起用するほうが効率的なことが多くあります。食品スーパーの商圏は店舗から数キロ程度に限られるため、全国に広くフォロワーがいる人では、商圏外の人への露出が多くなってしまいます。地域で発信している人を複数起用すれば、商圏内の生活者に繰り返し接触でき、来店の後押しになります。

地域商圏に合わせたインフルエンサーの探し方

地域商圏に合ったインフルエンサーは、地名ハッシュタグ、地域の暮らし情報アカウント、マッチングプラットフォームのエリア条件の3つを組み合わせて探すのが効率的です。食品スーパーにとって最も価値があるのは「商圏内に住んでいて、地元の生活者にフォロワーが多い人」であり、全国的な知名度は必ずしも必要ありません。

地名ハッシュタグと地域アカウントから探す

最初に試したいのは、市区町村名や駅名と「ごはん」「暮らし」「子育て」などを組み合わせたハッシュタグでの検索です。地元の飲食店やイベントを紹介している地域情報アカウントのフォロワーやタグ付け先をたどると、同じ地域で発信している個人が見つかることもあります。候補が見つかったら、投稿に登場する地名や店舗が実際に商圏内に集中しているかを確認します。

フォロワーの居住地を確認する

候補の発信者が商圏内に住んでいても、フォロワーまで地元の人とは限りません。インサイト画面のスクリーンショットで、フォロワーの上位の市区町村や都道府県を共有してもらうと、商圏との重なりを確認できます。地域で集客するインフルエンサーの見極め方はローカルインフルエンサーで地方の店舗集客を設計する方法で詳しく解説しています。

多店舗チェーンでの割り当て方

複数の店舗を展開するチェーンでは、店舗ごとに担当するインフルエンサーを割り当てる方法と、エリア全体を1人がカバーする方法があります。来店頻度の向上を狙うなら、店舗ごとに担当を決め、その店舗の売場や商品を繰り返し紹介してもらうほうが効果を測りやすくなります。全店共通のPB商品の訴求であれば、エリアをまたいで発信している人を起用し、近隣の店舗名を併記してもらう方法も考えられます。

PB商品のプロモーション設計

PB商品のプロモーションでは、価格の安さを前面に出すよりも、「この商品を使えばこの料理がこの手間で作れる」という使い方の文脈で紹介してもらうことが、来店時の指名買いにつながります。PB商品はその店舗やチェーンでしか買えないため、投稿で興味を持った人が購入するには来店が必要です。この「ここでしか買えない」という性質は、来店頻度を上げたい食品スーパーにとって大きな武器になります。

使い方の文脈で紹介してもらう

PB商品は、ナショナルブランドの商品と比べて知名度が低く、「安いけれど品質はどうなのか」と不安を持たれることがあります。インフルエンサーに実際に料理に使ってもらい、味や使い勝手を自分の言葉で伝えてもらうと、この不安を和らげることができます。冷凍食品なら平日の夕食の一品、調味料なら作り置きのアレンジといったように、具体的な場面とセットで見せることが大切です。

シリーズで複数の商品を組み合わせる

1つのPB商品だけを紹介するよりも、複数のPB商品を組み合わせた献立として紹介してもらうと、1回の来店での購入点数が増えやすくなります。たとえば、PBのパスタとソース、冷凍野菜を組み合わせた時短の夕食や、PBの調味料を使った1週間の作り置きなどです。シリーズとして継続的に発信してもらえば、フォロワーにとって「あの店のPBで作るごはん」というイメージが定着していきます。

売場と投稿を連動させる

投稿で紹介したPB商品は、売場でも見つけやすくしておく必要があります。投稿の画像や紹介されたレシピをPOPにして商品の近くに掲示したり、紹介商品をまとめた小さなコーナーを作ったりすると、投稿を見て来店した人が迷わず購入できます。投稿の画像を店頭や自社サイトで使う場合は、二次利用の範囲と期間を契約時に決めておくことが必要です。

チラシとの併用と予算配分

チラシとインフルエンサー施策の予算配分は、いきなり置き換えるのではなく、商圏の一部や一部の店舗で併用テストを行い、来店や売上の変化を確認してから段階的に動かすのが基本です。チラシは長年の実績があり、特売日の来店を確実に作る手段として機能しているため、効果を確かめる前に削ると、来店数の落ち込みを招くおそれがあります。

チラシとインフルエンサーの役割分担

チラシは「何曜日に何が安いか」という特売の情報を伝えるのに向いています。インフルエンサーは「その食材で何を作るか」という献立の提案に向いています。たとえば、チラシで鶏むね肉の特売を告知し、同じ週にインフルエンサーに鶏むね肉を使った作り置きレシピを投稿してもらうと、価格の訴求と使い方の提案を同時に届けられます。折込チラシとの比較や商圏での使い分けは折込チラシとインフルエンサー施策の比較と地域商圏の予算配分で詳しく解説しています。

比較項目折込チラシインフルエンサー施策
届く相手新聞購読世帯・ポスティング先発信者のフォロワー(若い世帯にも届く)
伝わる内容特売価格・品目の一覧献立・使い方・店舗の雰囲気
効果の持続特売期間中が中心保存された投稿は期間後も見返される
計測のしやすさ特売品の売上で比較的わかりやすいクーポンやPOSの設計が必要
向いている目的特売日の来店数来店頻度・指名買い・若い世帯の獲得

併用テストの進め方

併用テストでは、条件の近い店舗を2つのグループに分け、一方ではチラシのみ、もう一方ではチラシに加えてインフルエンサー施策を行います。テスト期間は少なくとも1〜2か月程度とし、週ごとの来店客数、対象商品の売上、クーポンの利用数を比べます。季節やイベントの影響を受けやすい業態なので、前年同時期の数字もあわせて確認すると、施策の効果を見誤りにくくなります。

予算を動かす判断の目安

テストの結果、インフルエンサー施策を行った店舗で来店頻度や対象商品の売上が上がっていれば、チラシの配布部数や回数の一部を見直し、その分をインフルエンサー施策に回すことを検討します。最初から大きく動かすのではなく、配布エリアの外縁部や反応の弱い曜日など、チラシの効果が相対的に低い部分から置き換えていくと、リスクを抑えながら予算を移せます。

若い世帯の獲得は別の指標で評価する

新聞を購読していない若い世帯は、チラシではそもそも接点を作りにくい層です。インフルエンサー施策の評価では、全体の来店数だけでなく、アプリの新規会員の年代構成やクーポン利用者の属性も確認すると、チラシでは届かなかった層に届いているかどうかを判断できます。

投稿企画のパターンと依頼時の注意点

食品スーパーの投稿企画は、「献立提案型」「購入品紹介型」「売場紹介型」「新商品・季節商品型」の4つのパターンを基本に組み立てると、目的に合った依頼がしやすくなります。どのパターンでも、店舗名と商品名、購入した店舗がわかる情報を投稿に含めてもらうことが、来店につなげるための前提です。

代表的な4つの企画パターン

献立提案型は、自店の食材を使ったレシピや1週間の献立を紹介してもらう企画で、来店頻度の向上に向いています。購入品紹介型は、実際に店舗で買い物をした様子と購入品を紹介してもらう企画で、まとめ買いの客単価向上に向いています。売場紹介型は、鮮魚売場や惣菜コーナーなど、店舗の特徴的な売場を紹介してもらう企画で、まだ来店したことのない人への認知に向いています。新商品・季節商品型は、新しく導入した商品や旬の食材を紹介してもらう企画で、売場での指名買いに向いています。

店内撮影のルールを先に決める

店内で撮影してもらう場合は、撮影可能な時間帯、撮影してよい売場、他のお客様や従業員の映り込みへの配慮を事前に決めておきます。混雑する時間帯の撮影は、他のお客様の迷惑になるだけでなく、映り込みによる肖像権のトラブルにもつながります。開店直後や平日の昼過ぎなど比較的すいている時間を指定し、店長にも撮影日時を共有しておくと現場が混乱しません。

ステマ規制と価格表示への配慮

企業が依頼した投稿には、広告であることがわかる表示が必要です。2023年10月から、いわゆるステルスマーケティングは景品表示法の不当表示として規制されており、詳しくは消費者庁のステルスマーケティングに関するページで確認できます。また、投稿で価格に触れる場合は、特売期間が終わったあとに投稿を見た人が誤解しないよう、価格が期間限定であることを明記してもらうなどの配慮が必要です。PR表記の具体的な書き方はステマ規制とは?景表法対応と#PR表記の実務ガイドで解説しています。

来店計測の方法(クーポン・POS)

来店の計測は、専用クーポン、POSの対象商品の売上、アプリ会員の利用データの3つを組み合わせて行うのが現実的です。食品スーパーの施策は、オンラインで完結するECの施策と違い、投稿を見た人が実際に店舗で何を買ったかを直接たどることが難しいため、複数の指標を重ねて効果を推定します。

計測方法ごとの特徴

次の表は、食品スーパーで使える主な計測方法とその特徴を整理したものです。1つの方法だけに頼ると、計測できない来店が多く残るため、施策の目的に合わせて2つ以上を組み合わせることをおすすめします。

計測方法わかることメリット注意点
インフルエンサー別の専用クーポン投稿経由の来店と購入発信者ごとの効果を比較できるクーポンを使わない来店は数えられない
POSの対象商品の売上紹介商品の販売数の変化クーポンなしの購入も捉えられる他の販促や季節の影響と切り分けが必要
アプリ会員の利用データ来店頻度・新規会員の変化個人単位の来店頻度を追える会員以外の動きはわからない
来店時のアンケート来店のきっかけ投稿を見たかどうかを直接聞ける回答率が低く、記憶に頼る
未実施店舗との比較施策全体の上乗せ効果外部要因の影響を減らせる条件の近い店舗が必要

専用クーポンの設計

専用クーポンは、インフルエンサーごとに異なるコードや画面を用意し、レジやアプリで読み取れるようにします。割引額を大きくしすぎると、クーポン目当ての一度きりの来店が増えて、来店頻度の向上という本来の目的から外れてしまいます。有効期限を2週間程度に設定し、2回目の来店で使える特典をつけるなど、繰り返しの来店を促す設計にするとよいでしょう。クーポンの設計と計測の考え方はインフルエンサー施策のクーポンコード設計と利用数の測り方で詳しく解説しています。

POSデータでの効果の見方

POSデータでは、投稿で紹介した商品の販売数を、投稿前の数週間と投稿後の数週間で比べます。あわせて、施策を行っていない店舗の同じ商品の販売数の変化も確認すると、季節や全社的な販促の影響を取り除いて効果を推定できます。紹介商品と一緒に買われた商品も確認すると、献立としての提案が客単価の向上につながっているかどうかがわかります。

施策を継続させる運用体制と年間計画

食品スーパーのインフルエンサー施策は、単発のキャンペーンで終わらせず、季節の行事や旬の食材に合わせて年間で継続することで、来店頻度の向上という効果が積み上がります。毎日の買い物の行き先は習慣で決まることが多いため、一度だけの投稿で習慣を変えるのは難しく、繰り返し接触することが大切です。

季節行事に合わせた年間計画

食品スーパーの売場は、正月、節分、ひな祭り、お花見、母の日、土用の丑の日、お盆、ハロウィン、クリスマス、年末のおせち準備など、季節の行事に合わせて大きく変わります。こうした行事の2〜3週間前から献立の提案を投稿してもらうと、行事の買い物の行き先として自店を選んでもらいやすくなります。年間の行事カレンダーと売場の計画を販促担当と共有し、インフルエンサーへの依頼時期を逆算しておきます。

本部と店舗の役割分担

多店舗チェーンでは、本部が起用先の選定、契約、投稿内容の確認、効果の集計を担い、店舗が撮影の受け入れと売場の連動を担う形が一般的です。店舗の担当者がインフルエンサーの投稿内容を把握していないと、来店したお客様に紹介商品の場所を聞かれても答えられないことがあります。投稿の予定と内容を事前に店舗に共有し、売場のPOPや陳列を準備してもらう流れを決めておくと、投稿から購入までの導線が途切れません。

継続起用と関係づくり

効果の高かったインフルエンサーには、継続して依頼することを検討します。同じ人が継続して自店の商品や売場を紹介することで、フォロワーにとって「あの人がいつも行っているスーパー」という印象が強まり、来店の習慣化につながります。継続起用では、毎回同じ企画にならないよう、季節や新商品に合わせてテーマを変えることや、発信者自身の意見や工夫を取り入れることが、投稿の鮮度を保つうえで大切です。

まずは1店舗・3人・3か月から

はじめて取り組む場合は、1つの店舗で、商圏内の発信者3人程度に、3か月間継続して献立の投稿を依頼する小さなテストから始めると、手間と効果のバランスを確かめやすくなります。専用クーポンとPOSデータで効果を確認し、手応えがあれば店舗数や人数を広げていきます。

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