LINEでインフルエンサー施策をやりたい、と言われて手が止まる担当者は少なくありません。InstagramやTikTokのように「知らない人に見つけてもらう」導線がLINEには乏しく、同じ発想で企画すると成果が出ないからです。この記事では、LINEを発見の場ではなく関係を継続する場として位置づけ直したうえで、LINE VOOMの配信ロジック、他SNSのインフルエンサー投稿からLINE公式アカウントの友だち追加へつなぐ導線設計、友だち追加率を上げるインセンティブ、追加後のブロックを抑える配信設計、そして友だち追加経路を分けて測る方法までを順に整理します。実店舗ビジネスを持つ企業の担当者や、単発の投稿で終わらせずリピートまで作りたい方に向けた内容です。記載の数値は2026年8月時点の公開情報と実務上の目安であり、商材やアカウント状況によって変動します。

この記事の要点

  • LINEは新規の発見が起きにくいプラットフォームですので、インフルエンサー施策の役割は「認知づくり」ではなく「獲得した関心を継続接点に変えること」に置いてください。
  • InstagramやTikTokで認知を作り、LINE公式アカウントの友だち追加を受け皿にする二段構えが基本形です。LINE単体で完結させようとすると露出が足りません。
  • LINE VOOMはフォロー外へも配信されるショート動画の面ですが、他プラットフォームの動画を転用して併用する使い方が現実的です。
  • 友だち追加率はインセンティブの設計で大きく変わります。割引よりも「その人からしか受け取れない情報」のほうが、追加後の残存率が高くなる傾向があります。
  • インフルエンサー1人につき1本の友だち追加URLを発行すれば、起用単価あたりの獲得friends数を人単位で比較でき、次回の起用判断がデータで決まります。

LINEのインフルエンサー施策の位置づけ

LINEのインフルエンサー施策とは、他のSNSで獲得した認知や関心を、LINE公式アカウントの友だちという継続的な接点に変換するための施策です。InstagramやTikTokのインフルエンサー施策が「知らない人に知ってもらう」ことを主目的にするのに対し、LINEでの主目的は「一度接触した人と、あとから何度でも連絡が取れる状態を作る」ことにあります。この目的の違いを最初に押さえておかないと、企画の入口から噛み合わなくなります。

LINEが発見の場になりにくい理由

2026年8月時点で、LINEヤフーが公表している国内の月間利用者数は9,000万人台後半で推移しており、国内SNSの中では突出した規模を持ちます。それでも新規ブランドの発見が起きにくいのは、利用者の大半がLINEを「知っている人と連絡を取るアプリ」として使っているからです。トーク画面を開く動機は、家族や友人からのメッセージであって、新しい商品を探すことではありません。

この利用文脈の違いは、そのまま可処分注意の使われ方の違いになります。InstagramやTikTokを開いている人は、面白いものを探すモードに入っています。一方でLINEを開いている人は、用事を済ませるモードに入っています。同じ人物でも、アプリによって受け入れられる情報の種類が変わるという前提で設計を組んでください。

継続の場としての強さ

逆に、いったん友だちとしてつながった後の到達力は、他のSNSと比べて群を抜いています。フィードのアルゴリズムを経由せず、トーク画面という日常的に開かれる場所へ直接メッセージが届くためです。フォロワーに対する投稿のリーチが数パーセントにとどまるSNSと比較すると、この違いは施策設計に決定的な差を生みます。

つまりLINEの価値は、獲得コストではなく獲得後の回収力にあります。一度の投稿で完結する施策ではなく、次回の来店、再購入、キャンペーンの告知といった二回目以降の接触を安く回せることが本質的なメリットです。単発の売上だけで費用対効果を判断すると、この価値を取りこぼします。

施策を二つの階層に分けて考える

LINEに関わるインフルエンサー施策は、性質の異なる二つの階層に分かれます。ひとつはLINE VOOMへの投稿という「コンテンツの階層」、もうひとつはLINE公式アカウントの友だちを増やすという「関係の階層」です。この二つは同じLINEというアプリの中にありながら、目的も評価指標もまったく異なります。混ぜて企画すると、どちらの目標も中途半端になります。

二つの階層の役割分担

  • コンテンツの階層(LINE VOOM)は、他プラットフォームで作った動画を転用して露出を足す補助的な面として使います。
  • 関係の階層(LINE公式アカウント)は、他SNSのインフルエンサー投稿から友だち追加を集めて継続接点を作る主戦場として使います。
  • 予算配分に迷ったら、関係の階層に厚く配分してください。VOOM単体で成果を出すには相応の投稿本数と期間が必要になります。

他SNSとの役割の違いを整理する

LINEは「継続」の役割を担い、Instagram・TikTok・YouTube・Xはそれぞれ「発見」「共感」「深い理解」「拡散」の役割を担います。この役割分担を最初に紙の上で決めておくと、どのSNSにどれだけ予算を割くかの判断が速くなります。すべてのSNSで同じことをやろうとするのが、もっともありがちな失敗です。

プラットフォーム別の役割比較

主要プラットフォームを、カスタマージャーニー上の役割という観点で比較しました。媒体そのものの特性やフォロワー単価の比較はInstagram・TikTok・YouTube インフルエンサー施策の媒体比較で詳しく扱っていますので、本記事では役割の違いに絞って整理します。

プラットフォーム主な役割新規発見の起きやすさ既存接点への到達力インフルエンサー施策での使い方
LINE関係の継続低い非常に高い他SNSからの受け皿として友だちを集めます
Instagram発見と共感高い中程度認知獲得とLINEへの導線の起点にします
TikTok発見と話題化非常に高い低い短期間で母数を作る役割を担わせます
YouTube深い理解と検討中程度中程度比較検討層に情報量で効かせます
X(旧Twitter)拡散と情報伝播高い低いキャンペーンの告知と話題の増幅に使います

この表で注目していただきたいのは、LINEだけが「新規発見が低く、既存接点への到達力が非常に高い」という非対称な位置にいることです。ほかのSNSは発見と到達のバランスがある程度取れていますが、LINEは極端に片側へ寄っています。だからこそ、他のSNSと組み合わせて初めて機能します。

フォロワーと友だちは別の資産

InstagramやTikTokのフォロワーと、LINE公式アカウントの友だちは、同じ「つながり」でも資産としての性質が違います。フォロワーはプラットフォームのアルゴリズムを経由しないと届きませんが、友だちはメッセージを送れば基本的に届きます。一方で、友だちには送るたびに配信コストがかかり、送りすぎればブロックされるという制約もあります。

この違いを一言でまとめると、フォロワーは「安いが届きにくい資産」、友だちは「高いが確実に届く資産」です。したがって、友だちに対しては届けるべき価値のある情報だけを選んで送るという運用が必要になります。フォロワー向けの投稿と同じ感覚で配信本数を増やすと、コストとブロックの両方が増えます。

役割を決めてからKPIを置く

役割が決まれば、置くべきKPIも自然に決まります。Instagramでの投稿にはリーチとプロフィールアクセス、TikTokでは視聴完了率と保存数、LINEでは友だち追加数と追加後のブロック率と再来訪数を置くのが基本形です。すべてのSNSに売上を直接ひもづけようとすると、貢献の見えない媒体が不当に評価されます。施策全体のKPIの組み方はインフルエンサー施策のKPI設計とテンプレートにまとめていますので、あわせてご覧ください。

LINE VOOMの特性と使いどころ

LINE VOOMは、LINEアプリ内にあるショート動画中心のフィードで、友だち関係とは独立した「フォロー」という関係でつながる面です。かつてのタイムラインが2021年にリニューアルされてできた機能で、友だちの近況を見る場から、フォローした発信者の動画を見る場へと性格が変わりました。ここを理解していないと、公式アカウントの友だち数とVOOMのフォロワー数を混同してしまいます。

友だちとフォローは別のつながり

LINE VOOMでは、公式アカウントを友だち追加していなくてもフォローだけすることができ、逆に友だち追加していてもVOOMをフォローしていない人がいます。つまり同じアカウントに対して二種類のつながりが並行して存在します。管理画面上でも友だち数とフォロワー数は別々にカウントされますので、レポートを作るときは両者を混ぜないよう注意してください。

実務上の意味は、VOOMのフォロワーを増やしても、そのままメッセージを送れる相手が増えるわけではないという点にあります。VOOMで動画が伸びたときに、その視聴者を友だち追加へ誘導する仕掛けを投稿内に用意しておかないと、数字だけが増えて回収できません。

フォロー外へ配信されるロジック

LINE VOOMの投稿は、フォロワー以外のユーザーのおすすめフィードにも配信されます。視聴時間や反応といったシグナルをもとに、興味を持ちそうな人へ広げていく仕組みで、この点はInstagramのリールやTikTokと同じ発想です。フォロワーがゼロの状態からでも露出が発生し得るという意味では、LINEの中では例外的に発見が起こる面だと言えます。

ただし、視聴者の絶対数と滞在時間ではリールやTikTokに及ばないのが2026年8月時点の実情です。LINE VOOM単体で認知の母数を作ろうとすると、投稿本数と継続期間の負担が大きくなります。現実的な使い方は、他プラットフォーム向けに制作した縦型動画を転用して露出を上乗せする補助的な運用です。縦型動画そのものの設計はリール・ショート動画のインフルエンサー施策設計で詳しく解説しています。

インフルエンサーにVOOM投稿を依頼するときの条件

インフルエンサーにLINE VOOMへの投稿を依頼する場合、二つの条件を先に確認してください。ひとつは、そのインフルエンサーがLINE VOOMのアカウントを運用しており、一定のフォロワーを持っているかどうかです。もうひとつは、他プラットフォーム向けに作った動画をVOOMへ二次利用することを契約に含められるかどうかです。

実際には、VOOMを主戦場にしているインフルエンサーはInstagramやTikTokと比べて多くありません。したがって、VOOM投稿を必須条件にすると候補が大きく絞られます。おすすめは、InstagramやTikTokの投稿を主契約としたうえで、同一素材のVOOM転載をオプションとして追加する形です。二次利用の考え方はUGCマーケティングの活用法と二次利用の進め方を参考にしてください。

VOOM投稿もステマ規制の対象です

企業が報酬や商品を提供して依頼した投稿は、掲載先がLINE VOOMであってもステルスマーケティング規制の対象となる広告に該当します。動画の冒頭テロップと投稿文の両方にPR表記を入れ、視聴環境によって見落とされない状態にしてください。表記の具体的なルールはステマ規制とは?景表法対応と#PR表記の実務ガイドで整理しています。

公式アカウントの友だちを集める導線設計

インフルエンサー経由で友だちを集める導線は、認知・興味・追加・初回体験という四段階で設計してください。InstagramやTikTokの投稿で認知と興味を作り、投稿内の導線から友だち追加へ進んでもらい、追加直後に受け取れる特典で初回の体験を完了させる、という流れです。どこか一段でも抜けると、そこで人が漏れます。

四段階の設計図

段階担当する場所設計のポイント見るべき指標
1. 認知Instagram・TikTokの投稿商品よりも先に、使う場面や悩みを提示しますリーチ数・視聴完了率
2. 興味投稿後半・ストーリーズ友だち追加で得られるものを具体的に言い切りますリンクタップ数・保存数
3. 追加友だち追加URL・QRコードタップから追加完了まで2アクション以内に収めます追加数・タップからの追加率
4. 初回体験あいさつメッセージ約束した特典を即座に渡し切ります特典の利用率・当日ブロック率

この四段階のうち、実務でもっとも軽視されるのが第4段階です。友だち追加までは丁寧に設計しても、追加した瞬間に何が起きるかを詰めていないケースが目立ちます。追加直後の数十秒がもっとも関心が高い瞬間ですので、ここで約束したものを確実に渡し切ってください。

投稿内でのリンクの置き方

プラットフォームごとにリンクの置き場所が異なりますので、依頼書には掲載場所まで指定して書いてください。Instagramではストーリーズのリンクスタンプとプロフィールのリンク欄、TikTokではプロフィールのリンク欄と概要文、YouTubeでは概要欄の冒頭が主な置き場所になります。投稿の本文中にURLを書いてもタップできない仕様のプラットフォームがありますので、そこを混同すると導線が切れます。

もうひとつ重要なのが、リンクに到達するまでの言葉です。「プロフィールのリンクから」とだけ書かれた投稿と、「プロフィールのリンクをタップして、LINEの友だち追加をすると初回限定のクーポンが届きます」と書かれた投稿では、タップ率が明確に変わります。何をすればいいかと、その結果何が得られるかを、一文で言い切ってもらってください。

インフルエンサー本人のLINEを経由させる選択肢

もう一段踏み込んだ設計として、インフルエンサー本人が持つLINE公式アカウントを経由させる方法もあります。本人のアカウントで友だちを集めておき、そこからブランドの情報を配信してもらう形です。ファンとの関係が濃い相手であれば、企業アカウントを直接案内するより追加率が高くなる傾向があります。

ただし、この形は本人のアカウントに友だちが蓄積されるため、契約終了後に資産が自社に残りません。継続的に組む前提の相手に限定するか、期間中に自社アカウントへの誘導も並行して行うといった条件を契約に盛り込んでください。継続起用を前提にした設計の考え方は、施策全体の組み立てとあわせて検討する価値があります。

友だち追加率を上げるインセンティブ設計

友だち追加率を左右する最大の変数は、追加した瞬間に何がもらえるかという一点です。2026年8月時点の実務感覚として、インフルエンサーの投稿からリンクをタップした人のうち友だち追加に至る割合は20〜40%程度、投稿のリーチ全体を分母にすると0.1〜1%程度に収まることが多く、この幅の中でどこに着地するかはインセンティブの設計で決まります。

インセンティブの型と向き不向き

インセンティブの型追加率への効き追加後の残存向いている商材
初回限定クーポン高い低め飲食・小売・サロンなど単価が明確な商材
送料無料・サンプル進呈中程度中程度EC・D2Cの初回購入促進
限定コンテンツ・先行情報中程度高いブランド想起が重要な商材
インフルエンサー限定の企画参加権高い高いファン基盤のある相手と組む場合
抽選プレゼント非常に高い非常に低い短期の母数づくりに限定して使います

この表で読み取っていただきたいのは、追加率と残存率が必ずしも一致しないことです。抽選プレゼントは追加率をもっとも押し上げますが、抽選結果が出た直後に大量のブロックが発生します。目的が「友だち数の一時的な確保」でないのであれば、残存率の高い型を選ぶほうが結果的に安く済みます。

クーポンよりも「その人からしか受け取れないもの」

インフルエンサー施策と組み合わせる場合にとくに有効なのが、その相手を通じてしか受け取れない特典です。たとえば、そのインフルエンサーが選んだおすすめの組み合わせを紹介するコンテンツ、本人が出演する使い方解説の動画、本人の名前がついた限定セットといった形です。値引きだけを訴求すると、値引き目当ての層が集まり、配信を続けても反応しません。

この考え方は、追加後に届く一通目の内容にも直結します。単なる割引コードだけの一通目と、インフルエンサー本人からの言葉が添えられた一通目では、その後の反応率が変わります。制作の手間は増えますが、依頼時に一通目用のテキストや短い動画をあわせて納品してもらう形にすれば、追加の負担は限定的です。

期限と数量の設計

特典には必ず期限を設けてください。期限のないクーポンは「あとで使おう」と思われた瞬間に忘れられ、初回体験が完了しないままブロックの候補になります。実務では、投稿から7日から14日程度の有効期限を設定し、期限の2日前にリマインド配信を送る組み立てがよく使われます。

数量限定を使う場合は、実際の在庫や提供可能数と整合させてください。先着100名と告知しながら実際には制限がない、あるいは逆に告知した数量を大きく下回るといった運用は、景品表示法の観点でも問題になり得ます。インフルエンサーに伝える条件と、実際の運用条件をずらさないことが基本です。

ブロック率を抑える追加後の配信設計

ブロックの大半は、友だち追加から最初の1週間で発生します。一般には追加から1か月で20〜30%程度のブロックが起きると言われており、この水準自体は異常ではありません。問題にすべきなのは、追加直後の数日に集中して起きているケースで、これはほぼ確実に初回の体験設計に原因があります。

最初の1週間の設計

追加直後に送るあいさつメッセージは、約束したものを渡すことだけに集中させてください。企業紹介、SNSアカウントの一覧、複数のキャンペーン告知を一度に詰め込むと、読まれずにブロックされます。一通目は特典と使い方の案内に絞り、それ以外の情報は後日に回すのが原則です。

その後の配信は、追加から3日目に特典のリマインド、7日目に商品の使い方や関連情報、それ以降は週1回程度という間隔から始めると、極端なブロックを避けやすくなります。頻度を上げるかどうかは、開封率とブロック率の推移を見てから判断してください。最初から週3回で始めて調整するより、少なく始めて増やすほうが安全です。

セグメント配信で不要な通知を減らす

LINE公式アカウントには、属性や行動にもとづいて配信先を絞る機能があります。インフルエンサー経由で追加した友だちには、その相手の投稿を見て興味を持ったという共通点がありますので、この文脈に合った内容を送るとブロックが減ります。全員に同じ内容を一斉送信する運用は、コストの面でも反応の面でも不利です。

実務的には、友だち追加時の経路情報をもとにタグを付け、経路ごとに一通目と二通目を出し分ける設計が現実的です。まずは「インフルエンサーA経由」「広告経由」「店頭経由」といった粗い分け方から始め、反応の差が見えてきたら細かくしていくとよいです。

配信コストの構造を理解する

LINE公式アカウントの料金体系は、無料枠を超えた分のメッセージ通数に応じて課金される構造になっています。2026年8月時点では、無料で使えるプランに月あたり数百通程度の上限があり、その上に月額数千円から1万数千円程度のプランが用意されているのが一般的な形です。友だち数が増えるほど、一斉配信1回あたりの通数が増える点に注意してください。

友だち数を増やすほど固定費が上がります

友だちを1万人抱えて週1回一斉配信すると、月間の配信通数は4万通規模になります。反応しない友だちが多いほど、成果につながらない配信にコストを払い続けることになりますので、獲得の段階で「あとで買う可能性がある人」に絞る設計が重要です。抽選プレゼントで無差別に集めた友だちは、この観点で見ると継続的な負債になり得ます。最新の料金体系はLINEヤフーの公式情報でご確認ください。

実店舗ビジネスとLINEの相性

LINEのインフルエンサー施策がもっとも効きやすいのは、実店舗を持つビジネスです。理由は明確で、来店という行動が地理的に限定されるため、広く薄い認知よりも「近くにいて、また来てくれる人」との継続接点のほうが売上に直結するからです。ECのように全国から集客する必要がないぶん、友だち数の絶対値が小さくても成立します。

来店型ビジネスで効く理由

飲食店、美容室、フィットネス、クリニック、物販店といった来店型のビジネスでは、初回来店より2回目以降の来店のほうが利益率が高くなるのが一般的です。ところが、初回で満足した客に再来店を促す手段は意外と限られています。LINEの友だちになってもらえば、次回の予約タイミングに合わせて連絡が取れる状態になります。

ここでインフルエンサーが担う役割は、初回来店のきっかけづくりと、来店時に友だち追加をしてもらう動機づけの二つです。投稿を見て来店した人は、そのインフルエンサーへの信頼を持って来ていますので、店頭で友だち追加を案内したときの反応も良くなります。来店型の集客設計そのものは飲食店・店舗集客のインフルエンサー活用ガイドで詳しく扱っています。

店頭とオンラインの二重導線

実店舗の場合、友だち追加の入口を投稿内だけに置くのはもったいないです。投稿を見た人が来店したとき、店頭のPOPやレシート、テーブルのQRコードからも追加できる状態にしておくと、取りこぼしが減ります。オンラインで追加しなかった人が、来店後に追加してくれるケースは珍しくありません。

このとき、店頭用のQRコードとインフルエンサー用の追加URLは必ず分けてください。分けておかないと、インフルエンサー施策の貢献を店頭経由の追加と混同して評価してしまいます。分け方の具体は次の章で扱います。

予約と在庫に直結させる

来店型ビジネスでは、配信内容を予約や在庫に直結させると効果が跳ね上がります。今週末に空きがある時間帯の告知、当日限りのメニュー、入荷したばかりの商品といった、いま動く理由のある情報です。逆に、ブランドの世界観を伝えるだけの配信は、LINEというチャネルの性質には合いません。

サロンや教室のように予約が必要な業態では、LINE上で予約まで完結できる状態にしておくと、配信から行動までの距離が最短になります。予約導線の作り方については美容室・サロンのインフルエンサー集客と予約導線の作り方で業種特有の論点を整理しています。

友だち追加経路の分け方と計測設計

インフルエンサー施策の成果を測るには、友だち追加の経路を必ず分けて計測してください。LINE公式アカウントには友だち追加経路を分ける仕組みがあり、経路ごとに専用の友だち追加URLやQRコードを発行して配布すれば、どの経路から何人が追加したかを管理画面で確認できます。この設定をしないまま施策を回すと、増えた友だちが誰の投稿によるものか永遠にわかりません。

パラメータ付き友だち追加URLという考え方

基本の発想はシンプルで、「配布先ごとに違うURLを渡す」というものです。インフルエンサーAにはA専用の追加URL、インフルエンサーBにはB専用の追加URL、店頭にはさらに別のQRコードという形で発行し、それぞれがどれだけの追加を生んだかを個別に集計します。同じ着地点であっても入口を分けておけば、貢献の切り分けができます。

この分け方の副次的な効果として、追加時に付与するタグを経路ごとに変えられるという点があります。インフルエンサーA経由で追加した人には、Aの投稿の文脈に沿った一通目を送るといった出し分けが可能になり、初期のブロック率を下げられます。計測と体験改善が同じ仕組みの上で両立するのが、この設計の利点です。

起用単価あたりの獲得数で比較する

経路を分けて集計できるようになると、インフルエンサー1人あたりの成果を同じものさしで比較できます。もっとも実用的な指標が、起用にかかった費用を獲得した友だち数で割った「友だち1人あたりの獲得単価」です。フォロワー数が多い相手が必ずしも安いとは限らず、実際にはフォロワー1万人規模の相手のほうが単価が良くなる例が頻繁に見られます。

見る指標計算方法判断に使う場面
友だち獲得単価起用費用 ÷ 経路別の友だち追加数次回の起用可否と単価交渉
タップ率リンクタップ数 ÷ 投稿リーチ投稿内の訴求文の良し悪し
追加完了率友だち追加数 ÷ リンクタップ数追加インセンティブの強さ
7日ブロック率7日以内のブロック数 ÷ 追加数あいさつメッセージと初期配信
特典利用率クーポン利用数 ÷ 追加数特典設計と有効期限の妥当性
経路別の再来訪率2回目以降の来店・購入数 ÷ 追加数友だちの質と継続起用の判断

この六つのうち、最初に整えるべきは友だち獲得単価と7日ブロック率です。前者で「どの相手が効率よく集められるか」、後者で「集めた友だちが残るか」がわかります。この二つが揃えば、次回の起用判断はほぼデータで決められるようになります。効果測定の全体像はインフルエンサー施策の効果測定の方法と計測ツールで体系的に整理しています。

売上まで追いかける場合

友だち追加の先にある売上まで追うなら、経路別のタグをそのまま購買データにひもづける設計が必要になります。ECであれば、LINE経由のクーポンコードを経路ごとに変える方法が簡便です。実店舗であれば、会計時にLINEのクーポン画面を提示してもらう運用にしておけば、レジデータと突き合わせられます。EC側の導線設計はインフルエンサー施策をEC売上につなげる導線設計で扱っていますので、購買まで一気通貫で組みたい場合は参考にしてください。

他SNSとの連携を前提にした全体設計

結論として、LINEのインフルエンサー施策は他SNSとの連携を前提に組んでください。LINE単体で認知から購買までを完結させようとすると、入口の露出が決定的に足りず、投下した費用に見合う母数を作れません。役割を分担させ、他SNSで作った関心をLINEで受け止めて育てるという構造にしたときに、初めてLINEの到達力が生きます。

標準的な進行スケジュール

時期やること担当
施策開始の6週間前役割分担とKPIの決定・予算配分企業のマーケティング担当
5週間前候補の選定と打診・条件のすり合わせ企業またはプラットフォーム
4週間前公式アカウントの整備とあいさつメッセージ作成企業のLINE運用担当
3週間前経路別の友だち追加URL発行と依頼書配布企業のマーケティング担当
2週間前投稿原稿の確認とPR表記のチェック企業とインフルエンサー
投稿週投稿公開・追加数の日次モニタリング企業のマーケティング担当
投稿の翌週7日ブロック率と特典利用率の確認企業のLINE運用担当
投稿から1か月後経路別の再来訪率で継続起用を判断企業のマーケティング担当

この日程で押さえるべき勘所は、公式アカウント側の整備を投稿より先に終わらせることです。投稿が公開されてから慌ててあいさつメッセージを作るという進め方では、初日に追加した人がもっとも雑な体験をすることになります。もっとも関心の高い層に、もっとも悪い体験を届けてしまう構造ですので、順番を逆にしないでください。

着手前チェックリスト

投稿を公開する前に確認する8項目

  • 認知を担当するSNSと、継続を担当するLINEの役割分担が文書で決まっています。
  • インフルエンサーごとに専用の友だち追加URLを発行し、経路名を設定してあります。
  • あいさつメッセージが完成しており、約束した特典が自動で届く状態になっています。
  • 特典の有効期限とリマインド配信の日程が決まっています。
  • 投稿内のリンク掲載場所を、プラットフォームごとに指定してあります。
  • PR表記の位置と文言をインフルエンサーに伝え、原稿で確認しています。
  • 友だち獲得単価と7日ブロック率の目標値を、投稿前に置いてあります。
  • 店頭やサイトなど、他の追加経路とURLが分かれています。

この8項目のうち、2番目と3番目が抜けている企業がとくに多く見られます。どちらも投稿の直前に整えるのは難しい項目ですので、候補の打診と並行して着手してください。逆に言えば、この二つさえ先に片付けておけば、施策の質は大きく崩れません。

最初の一歩をどこに置くか

これから始めるのであれば、いきなり大人数を起用せず、1人から3人程度で基準値を取ることをおすすめします。1回目は友だち獲得単価と7日ブロック率の自社基準を知るためのテストと位置づけ、2回目以降の目標をその実測値から設定してください。業界の平均値を借りてくるより、自社の実測値のほうがはるかに使えます。

BloomでのLINE連携施策の進め方

Bloomでは、審査制インフルエンサー30,000人の中からフォロワー属性や商材ジャンルで候補を絞り込み、依頼内容や原稿のやり取りをプラットフォーム上に記録として残せます。LINEへの導線を含む施策では、誰にどの追加URLを渡し、どの投稿から何人が追加したのかを人単位で追える状態にしておくことが、次回の起用判断の精度を決めます。初期費用0円で始められますので、まずは1人から3人の小さなテストで自社の基準値を取るところから試してみてください。

LINEは、集めるまでが大変で、集めた後が強いチャネルです。他SNSのインフルエンサー施策で入口を作り、LINEで関係を続けるという役割分担を最初に決めておけば、単発の投稿では届かなかった二回目以降の売上まで設計に含められるようになります。

本メディアは、審査制インフルエンサー30,000人のマッチングプラットフォーム『Bloom』(株式会社ハーマンドット)が運営しています。